64,「ミョウガ」(ショウガ科)


 もうかれこれ10年も前のことだったと思います。「先生,不思議な花を見つけたのですが,見に来てください。」という電話をいただき,早速行って見ると,今まで見たこともない真っ赤な妙な物が土手に幾つも開いていました。海にいるヒトデのように見えました。
 「ここはミョウガがたくさん生えていたのを草刈り機で刈ったのです。だから,これはミョウガの花でしょうか。」と尋ねられるのでした。私もミョウガの花は知っていたのですが,このような妙な花は見たことがありませんでした。この時の様子は,新聞にもカラー写真で紹介されたので記憶されておられる方が多いと思います。
 今年,また,このミョウガのことが新聞で報道され,昔の記憶がよみがえって来ました。みなさんもご存じのようにミョウガは大きな淡黄色の花を咲かせます。
 盛夏にミョウガの芽を採りに行き,この花に出くわした経験をお持ちの方は多いことでしよう。
 写真をご覧ください。赤く見える部分は果皮が開いたところです。果皮の中に見える目玉のような物が種子です。種子は黒色ですが白色の仮種皮をかぶっています。
 「花が咲けば実がなり,必ず種ができる」と言いますが,あまり見ることができないミョウガの果皮の真っ赤な裂開と目玉のような種子にミョウガは妙だと思うのです。全く自然の姿は絶妙ですね。

                                    中西 正一 先生


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