65,「アサギマダラ」(マダラチョウ科)


 この町にも多くの蝶が棲息しています。蝶の魅力は何と言っても羽の美しさでしょう。ところで,蝶を手につかむと蝶の粉「鱗粉」が手に付きます。鱗粉はどのような形をしているでしょう。鱗粉を顕微鏡にかけて見ると驚きます。子ども達に見せると「コスモスの花びらみたい」と言います。その通り,蝶の粉「鱗粉」の一つひとつがコスモスの花びらのように見えるのです。
 蝶の羽の模様は,何億もの鱗粉の一つひとつが規則正しく並んでできているのです。卵…幼虫…蛸を経て静かに静かに鱗粉が形成され,あの美しいチョウチョが誕生するのですから本当に不思議です。どのようにして鱗粉の一つひとつができていくのでしょうか。しかも蝶の種類によって同じ模様ができていく。誠に不思議です。
 今回,紹介するアサギマダラを見られたことがありますか。何百キロもの遠くまで渡りをする蝶として有名です。羽の白い部分にマジックなどで印を付けて,どこからどこまで渡って行くのかなどの研究が研究家の手で進められています。
 アサギマダラは,この辺りでは希にしか見られませんが,今年は2カ所で採取できました。ふわりふわりとゆるやかに滑空するので目立ちます。まるで羽が飛んでいるようにも見えます。夏から秋に山地から人里に降りてきて,ヒヨドリバナやコスモスなどを訪れます。幼虫・蛸で冬を越すと言われていますが,県下ではまだ確認されていません。秋も一段と深まっていきますが,蝶たちは今年最後の花を楽しんでいるのです。
   
                                    中西 正一 先生


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