71,「モクレン」(モクレン科)

 「これは何でしょう?」
 これは,モクレンの袋果です。中に見える朱色の物が種です。モクレンの花はよく知っていたのですが,種までは知りませんでした。モクレンの紅葉した葉が散る頃,この袋果と種が目立ち始めます。袋果は成熟すると開裂して白色の糸によって朱色の種を垂れ下げます。そうして種を飛ばし仲間を増やしていくのです。
 モクレンの仲間には,コブシ,ホオノキ,シキミ,ダイサンボクなどがあります。コブシは,春,新芽が出るよりも早く開花し山々を白く彩ります。ホオノキは,町内の各地に見られますが,町中では,信用金庫のお庭にあるホオノキが見事です。シキミは仏壇にお供えするので栽培もされています。この他,ヒメコブシが実に見事に咲き誇る家があります。ピンク色の花が爛漫と咲く姿に圧倒されます。おばあさんに苗木を分けていただき植えているのですがなかなか大きくなりません。でも,あのヒメコブシの姿を夢見て世話をしています。
 花が咲けば必ず実ができ種を落とします。しかし,花から種までの草花や樹木の一生を知る人はあまりいません。実や種を採取して草花や樹木を育てるのも楽しいものです。今は亡き近所のおじいさんがヒノキに登ってヒノキの実を採取されていた姿が懐かしく思い出されてきます。
                                    中西 正一 先生


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