72,「ヤマカガシ」(ヘビ科)

 マムシは毒蛇として知られていますが,この辺りには,もう一匹毒蛇がいます。それが,ヤマカガシです。子どもの頃から「シバカリヘビ」だと教えられました。秋に芝刈りをしているとよく見かけたからでしょう。
 「ヤマカガシが毒蛇?噛まれたこと無いよ」と言われるでしょう。それもそのはずです。毒牙が口の奥の方にあるため,口の中に指をつっこまない限り噛まれることはありません。
 しかし,子どもは面白半分に指を口の中に入れて噛まれることがあります。口の奥の方には小さな牙があり,深く噛まれると上顎のデュベルノア腺から毒が傷口から体内に入ります。噛まれてから十分後に意識不明になった例もあるからかなり強い毒です。毒のため,内臓出血,脳内出血などを起こして死亡することもあります。また,首の後にある頸腺を強く押さえると黄色い毒液を出し,これが傷口や目にはいると危ないので注意をしましょう。
 ヤマカガシに手を出すとコブラのように首から腹の一部を広げて威嚇します。ヤマカガシはカエルやオタマジャクシを好物にしています。また,水によく潜り魚も食べます。
 ヘビが好きな人はあまりいませんが,周りに敵がいっぱいいる中でヘビたちも懸命に生きているのです。
 
                                    中西 正一 先生


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