78,「ワサビ」(アブラナ科)

 ワサビは深山の水の澄んだ谷沿いに生える多年草として知られています。根茎を香辛料とするため長野県などで栽培されているのを観光でみられた方も多いと思います。北アルプスや南アルプスから流れ出る澄んだ水を利用して栽培し高値で売買されているのを見ると,この町にも同じような環境があればいいのにと羨ましく思います。町では根茎が香辛料に使えるほど大きくならないため葉ワサビとして親しまれてきました。
 ところで,皆さんは葉ワサビをどのようにして食べられますか。私は,まず,水できれいに洗います。次に,水をきって短く刻みます。その次に,ザルに入れ熱湯をかけます。それをしぼると密封食品保存容器か大きなコーヒー瓶などに入れ,醤油を適量入れて蓋をします。最後に,激しく振り続けた後,冷蔵庫に入れて冷やします。これでOKです。しばらくの後,冷蔵庫から出し蓋を開けると鼻を通る香りと,ぴりっと辛いワサビの味を味わうことができます。
 大根を強くすり下ろすと辛くなる,カラシを一方方向に激しくこねると辛くなるように,ワサビにも強いショックを与えると辛味が出るのだと思います。
 ワサビが生えるには,冷たい澄んだ水とその水が湧き出たり流れたりする谷沿いの環境が必要です。残念ながら,このような自然環境は少なくなっていますが,これらの自然を貴重な財産として保存し,ワサビの味を故郷の味として,人から人へと伝えていきたいものです。
                                    中西 正一 先生


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