79,「ビワ」(バラ科)

 冬に花を咲かせるビワ。冬の暖かな日にはミツバチが花に集まっているのを見かけることがあります。ビワは寒さに負けずに長期間にわたって咲き続け冬の内に実を付け6月〜7月にかけて実を熟します。その辛抱強さには驚きます。町内の所々に植えてありますが,美味しく食べられる実にはなってくれません。ところが,海抜400mに満たない畑では立派なビワができるのです。
 ビワは,奈良時代に中国から伝わって来ました。漢名で枇杷と書くのは果実や葉の形が楽器の琵琶に似ているからです。ところで,食べられる実にはならないのに600mを超す高地にもビワが植えてあるのは何故でしょうか。それは,常緑樹で葉が美しいこと,薬用として使えたからだと思うのです。葉はいつでも採取できます。葉の裏を軽く火であぶって布などで毛を除き,乾燥させて煎じて使いました。胃薬,咳止め,湿疹,あせもに効能があります。
 このように,化学の発達していなかった時代でも人々は色々な植物から薬を見つけ健康を守るために努力したのです。今の私達は,医者と化学薬品に頼りがちですが,身の回りの植物などを見直し,自分で薬を煎じて飲むという生きる力が大切なのではないでしょうか。   

                                    中西 正一 先生


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