81,「お金のなる木」(ベンケイソウ科)

 厳寒で花のない時期にお金のなる木は花を付けます。1月のある日のことでした。私は,小学校の校長室を訪れました。校長室に入ったとたん見事に咲き誇ったお金のなる木に目を奪われました。校長先生が丹誠込めて育てられたものでした。「校長先生,本当の名前は何というのですか。それにしても見事に咲きましたね」と言うと「今年,初めて咲いたんですよ。本当の名前は分かりませんがね」と笑顔で応えられるのでした。
 この植物は新芽に5円玉をさしておくと5円玉を抱え込んだまま葉が大きくなっていきます。だから,お金のなる木と名付けられています。郵便局にも大きなお金のなる木があります。意外に寒さにも強いことから育てられる方も多いと思います。
 私は,見事に咲いた花をよく観察しました。花びら5枚,雄しべ5本,雌しべ5本で雌しべのもとには甘い蜜がたくさんありました。この寒さの中でも蜜をしっかり出して虫たちを呼んでいるのだなと感心させられました。今年は,この花のように華々しく景気が回復するように祈りました。
 ところで,お金のなる木の本当の名前は「黄金花月」と言います。クラスラとも呼ばれています。ペンケイソウ科の仲間はオウゴンカゲツのように葉が肉厚になっています。町が誇るクロツバメシジミという蝶の食草となっているツメレンゲもペンケイソウ科です。

                                    中西 正一 先生


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