85,「ネムノキ」

 南部から咲き始めたネムノキがこの辺りでも7月に入ると咲き始めました。ネムノキの由来は,小葉が夜の間は閉じて眠るからです。オジギソウがおじぎをする様子に似ていますね。ネムノキのことを私はコウカイノキと教えられて育ちました。皆さんはネムノキをどのように呼ばれていますか。ネブノキ,コウカ,コウカギ,コウカイノキどれでしょうか。呼び名がどうであれ,美しく咲いた紅色の花には見とれてしまいます。また,涼しさを感じますね。
 ところで,ネムノキの花は,日没前に開花します。だから,朝のネムノキが一番美しく見えるのでしょう。
 ネムノキの花が咲いた後にはさやができ,中には豆がつまっています。それを見て豆の仲間だと分かります。しかし,あの細い糸状の花からはとうてい豆の仲間だとは考えられません。ネムノキの花は場所によって咲く時期が違ったり,花の色が微妙に違ったりするので違いを楽しむこともできます。
 大きな時代の流れの中でいろりやくどが消え風呂もストーブも薪をたくことが少なくなりました。薪割りをしているとよく割れる木,割れにくい木があります。その中でもネムノキは気持ちよく割れる木として思い出に残っています。樹木もいろいろ,樹木の花もいろいろです。そのいろいろからいろいろなことを学ぶことができます。

                                    中西 正一 先生


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