発問15 |
「が,なんと思ったか,再びじゅうを下ろしてしまいました。」
せっかくのチャンスに,なぜ大造じいさんは銃を下ろしてしまったのでしょう。 |
留意点 |
「なんと思ったか」としか書いてないので,その気持ちは分からない。
という解答の仕方もあるでしょうが,(実際,ある年にはこういう反応もありました。)やはりここは大切にしてしっかり考えてみたいところです。
そして,この物語の中心になる「猟師の心さえも変えてしまうガンの頭領,残雪の行動」「自分たちの命を脅かす側にいたおとりの仲間を命がけで救おうとするドラマチックな残雪のヒーローとしての行動力」をはっきりと読み取らせたいものです。
児童の反応の中には「どんな戦いをするのか見てみたいから」等の意見も出てくるかもしれません。しかし,ここはもう少し深く考えさせたいと思います。 |
解答例 |
仲間を救おうとする姿を見て,そういう時に撃つのは卑怯だと思ったから。
大造じいさんが自分で仕掛けた方法で残雪に勝ちたかったから。
自分たちの命を奪ってしまうためのおとりだった鳥の命を救おうとしている残雪を見て,それを横から撃つ気にはならなかったから。
(「仲間を救おうとする残雪の行動に“強く心をうたれた”から。」という意見が出る場合があります。“強く心をうたれて”というのは,この後の3場面の最後で,残雪が“最期の時を感じて,せめて頭領としてのいげんをきずつけまいと努力しているよう”な姿を見た時に出てくる,大造じいさんの心の様子を表す言葉です。そこを読んでいるために,ついここで当てはまりそうなこの“強く心をうたれて”を使っていると思われます。しかし,ここではまだ“心をうたれる”ほどの状況ではありません。どちらかというと,大造じいさん自身の「引け目」が感じられるところです。
もしこの“強く心をうたれて”という意見が出た場合は,それを言った子へのフォローに気をつけながら,「強く心をうたれる場面はもう少し後で出てくるから,またそこで考えようね。」ぐらいで済ませるか,実態によってはこの言葉について考え合っていってもよいと思います。) |