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 マクロ経済スライド

●マクロ経済スライド
(1)基本的な考え方
「マクロ経済スライド」とは、将来世代の給付のバランスを調整するもので平成16年に導入されました。 年金額は、賃金や物価が上昇すると増えていきますが、公的年金被保険者の変動と平均余命の伸びに基づいて、 スライド調整率を設定し、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除し、一定期間、年金額の伸びを調整する(賃金や物価が上昇するほどは増やさない)ことで、保険料収入などの財源の範囲内で給付を行いつつ、将来世代の年金の給付水準を確保しつつ長期的に公的年金の財政を運営していきます。

(2)調整機関における年金額の具体的な仕組み

 
マクロ経済スライドによる調整期間の間は、賃金や物価による年金額の伸びから、「スライド調整率」を差し引いて、年金額を改定します。「スライド調整率」は、現役世代が減少していくことと平均余命が伸びていくことを考えて、「公的年金全体の被保険者の減少率の実績」と「平 均余命の伸びを勘案した一定率(0.3%)」で計算されます。

(3)名目下限設定 現在の制度では、マクロ経済スライドによる調整は「名目額」を下回らない範囲で行うことになっています。詳しい仕組みは、下の図を見てください。 ※平成30年度以降は、「名目額」が前年度を下回らない措置を維持しつつ、賃金・物価の範囲内 で前年度までの未調整分の調整を行う仕組みとなります。


現行の改定ルールは次の3つの考え方で構成
@ 新規裁定者は賃金変動、既裁定者は物価変動をベースに改定
A 物価変動>賃金変動の場合は既裁定者も賃金変動をベースに改定
B 改定率がマイナスになる場合は、新規裁定者、既裁定者とも物価変動のマイナス分を下限に改定


■ 参考1:令和4年度の参考指標
・ 物価変動率 :▲0.2%
・ 名目手取り賃金変動率 ※1 :▲0.4%
・ マクロ経済スライドによるスライド調整率 ※2 :▲0.3%
※1名目手取り賃金変動率(▲0.4%) =
実質賃金変動率(▲0.2%)+ 物価変動率(▲0.2%)+可処分所得割合変化率(0.0%) (平成 30〜令和2年度の平均) (令和3年の値)  (令和元年度の値)
※2マクロ経済スライドによるスライド調整率(▲0.3%) = ▲0.1% (令和3年度のマクロ経済スライドによるスライド調整率の繰り越し分) + ▲0.2%(令和4年度のマクロ経済スライドによるスライド調整率)
* ▲0.2%の計算= 公的年金被保険者数の変動率(0.1%)(平成 30〜令和2年度の平均)+ 平均余命の伸び率(▲0.3%)(定率)

◆ 令和5年度以降に繰り越されるマクロ経済スライドの未調整分(▲0.3%)

■ 参考3:賃金の低下に合わせた年金額改定ルールの見直しについて
平成 16 年の年金制度改正では、賃金が物価ほどに上昇しない場合には、物価変動ではなく賃金変動に合わせて年金額を改定するルールが導入されていましたが、例外的な取り扱いとして、 賃金と物価がともにマイナスで賃金が物価を下回る場合には、物価に合わせて年金額を改定し、 また、賃金のみマイナスの場合には、年金額を据え置くこととしていました。
将来世代の給付水準を確保するため、平成 28 年の年金制度改正で、この例外を改め、支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とする観点から、賃金が物価を下回る場合には、賃金に合わせて年金額を改定するようルールが見直され、令和3年4月に施行されました。