第4話 傷心 〜そばに・・・いて欲しい・・・ B 夜、仕事から帰ってきた犬夜叉を呼び止め、楓は犬夜叉に刀々斉から聞いた話を犬夜叉に伝えた。 「というわけで・・・。申し訳なかったのじゃが桔梗の事を皆に話した。許せ。犬夜叉」 犬夜叉はかなり不機嫌そう・・・。 「あのおしゃべりじじいめ・・・。人のことペラペラしゃべってんじゃねぇよ・・・」 「そうはゆうが、お前、『無双』という奴を本当にしらんのか?」 「しらねーよ。そんな野郎は・・・」 しかし、『黒い手袋の男』というのが気になる・・・。
「でもお前だけならまだしももし・・・『無双』が今お前がここに居ることを知っていたら・・・。桔梗とうり二つなかごめを見過ごさないだろうな・・・」 「!!」
「かごめ・・・が・・・?」 「お前よりむしろかごめの方が・・・」
「犬夜叉!かごめちゃんこっちに来てない?」 「かごめがどうかしたのか!?」 「うん・・・。さっき、あたしかごめちゃんにお醤油借りようと思って部屋に行ったらかごめちゃん、いなかったの!」 「さっき、私は、窓から長身の男の姿をチラッと見ました。それで急に心配になって・・・」 「・・・」 バタン!! 「犬夜叉!」 犬夜叉はドアを乱暴に閉めてかごめを探しに飛び出していった。 「珊瑚、私達も行きますよ!手分けしてかごめ様を捜そう・・・!」 「うん!」 弥勒と珊瑚も犬夜叉の後を追う・・・。 「かごめ・・・」 楓は心配そうに皆の後を見つめていたのだった・・・。
電柱に街灯もついてはいるが、かなり薄暗い・・・。 周りは住宅ばかりで人通りもほとんどない・・・。 楓から、外に出歩くときは気を付けろと言われていたことをおもい浮かべるかごめ・・・。 (・・・。早く帰ろう・・・) かごめは少し歩くのを早める。 コツコツコツ・・・。 かごめの靴音に合わせて後ろからももう一つ足音を感じるかごめ。 (誰か・・・。つけてきてる・・・!?) コツコツコツ・・・・。 明らかにかごめともう一人誰かが歩いている音がする。
しかしかごめは突然、すごいスピードでダッシュ! 後ろの足音も速く鳴り響いてかごめを追う・・・! 曲がり角に来たとき、かごめは路上駐車してあった車の影に身を隠した。 すると、足音はピタリと止んだが・・・。 かごめは恐る恐る顔を出し、辺りを伺う・・・。 誰もいない・・・。 (・・・。もう大丈夫かな・・・) そう思い、再び歩き出した瞬間・・・! 「ウウウ・・・ッ!!」
かごめがチラリと後ろに視線をやると不適に笑う男が・・・。
「あ・・・。あたしをどうするつもり!?」
かごめは大声を出して、助けを求めたいが、口を更にグッと塞がれかすれ声さえ出ない! (・・・。嫌だ・・・。このままこいつの思い通りになんてさせない・・・!!) かごめは右手に持っていた醤油の入ったビニール袋を思い切り後ろに振り上げた!!
「かごめーーー!!」 かごめは全速力で走った!!
「かごめちゃん!」 「かごめ様!」
「桔梗の仇だと!?ふざけんな!!何でてめぇが・・・。てめぇと桔梗はどういう関係だ!!何で2年前俺の前に現れた・・・!!!」
無双は大声で高々と笑う。
「てめぇは何にもしらねぇのか?きづかねぇのか・・・?何故桔梗があそこへこなかったか・・・」
「!!!!」
約束のあの日・・・。犬夜叉は夜になっても桔梗を待っていた。
“裏切られたのか・・・俺は・・・ッ!”
訳の分からないまま恋人を失い、何もかもが嫌になった・・・。
「て・・・てめぇええええええーーーーーッ!!!ふざけんじゃねぇェえええーーーーーーーッッ!!うわあああああ!!!!」 バキィッッ!!! 犬夜叉は、わき上がる激しい怒りを拳に代え、無双にぶつけた! ドカッ !!バキ!! 容赦なく犬夜叉は無双を殴る!殴っても殴っても気が収まらない!! 「犬夜叉!やめろ!!」 「うるせえ!!!はなしやがれ!!ブッ殺してやる・・・ッッ!!この野郎!!桔梗の仇うってやる!うおおおおおおッ!!!」 弥勒は必死に犬夜叉を後ろから両手で止めようとするが、犬夜叉はものすごい力で暴れ、振り払われる! 「てめぇえええーーー!!」 「犬夜叉もうやめて!!」 かごめは無双の襟をつかむ犬夜叉の腕に掴んで、必死に止めた。 「うるせえ!!どけ!!かごめ!!」 「お願い・・・!!もうやめて・・・ッ。これ以上そんな犬夜叉見たくないの・・・ッ」 必死に訴えるかごめの瞳に・・・涙がにじんむ・・・。 「・・・」 犬夜叉はフッと無双の襟を離した・・・。 「俺は・・・。俺は・・・ッッ!!!!!」 辛い・・・。辛い・・・ッ。 桔梗は・・・。桔梗は・・・ッ! 「あッ・・・犬夜叉ッ!!」 犬夜叉は、その場にいるのが堪らず暗闇の中へと走っていってしまった・・・。 「く・・・。くくくく・・・」 不適に笑う無双・・・。 「情けねぇ野郎だ・・・。にげていきやがった・・・。やるならやっちまえばいいものを・・・。まぁどっちにしろ桔梗はもうかえってこねぇ・・・。桔梗は永遠に俺のもんだ・・・。永遠にな・・・。くっくっくッ・・・」 バシッ・・・ッ。
そして険しい表情で無双に告げる。 「あんたの事なんて・・・。桔梗だって誰だって愛さないわ・・・ッ!誰も・・・ッ!!」 そしてかごめはすぐに犬夜叉を探しに後を追いかけた・・・。 「あ、まってかごめちゃん・・・ッあたしも・・・」 珊瑚も行こうとしたが、弥勒が止めた。 「ここはかごめ様にまかせた方がいい・・・」 「・・・。うん・・・」
弥勒、珊瑚、楓の3人はただ、犬夜叉とかごめの帰りを待っていたのだった・・・。 ※ 暗い街の中をかごめは息を切らし、犬夜叉を捜した。 しかし、どこにもいない・・・。 (どこ行ったの・・・。犬夜叉・・・) かごめはその時、『日暮神社』がなぜか頭に浮かんだ・・・。 御神木の下で蹲る犬夜叉の姿・・・。 かごめの足はすぐさま日暮神社に向かった・・・。 「犬夜叉・・・」 御神木の前で、ただ、ぼう然と立ちつくす犬夜叉・・・。 その背中はひどく痛々しく見えた・・・。 かごめは少し近づこうとした・・・。 ドカッ!!! ビクッとするかごめ・・・。 犬夜叉は思いきり御神木に拳を叩きつける・・・。 「・・・。。俺がもっとあいつを信じていれば・・・。死なずにすんだ・・・。俺が・・・!!あんな野郎の嘘を見抜いていれば・・・!!俺にな俺が・・・ッ!!俺が・・・ッ!!」 天才バイオリニストとしての安定して輝く未来。才能・・・。 もしかしたら桔梗は生きていたら今、世界にもっと羽ばたいていたかも知れない・・・。 「くそッ!!!クソッツォオオオーーーッ!」 ドン!! 地面をを叩きつけ、崩れるように座り込む犬夜叉・・・。
全身が、犬夜叉の全身がそう言ってる気がする・・・。 どこへぶつければいいか分からない怒りと哀しみと悔しさが犬夜叉の全身を 覆って 痛めて 傷つけて・・・
かごめが 笑ってた・・・。
ワラッテ・・・た・・・。
−オマエノエガオガホシイヨ・・・−
そしてとても愛しげな・・・瞳で犬夜叉は言った・・・。 (な・・・なんて目してんのよ・・・) 「そばに・・・いて欲しい・・・。頼む・・・」 「・・・」 かごめは腕を掴まれたまま静かに座った・・・。 「犬夜叉・・・」 「・・・」
かごめは掴まれた犬夜叉の腕をそっと離し・・・。
代わりに・・・。犬夜叉の右手をそっと握った・・・。
そう言っているようで・・・・ やっと第4話まで来ました。この後、もっと犬かご的にしようかと思っております。あとミロサンももっと書きたいので、かなり長めになりそうな気配ですが、引き続き読んでいただけたら嬉しいです。また、原作編も執筆中なので、そちらの方もよろしくおねがいします。 |