第12話マモルリタイココロ B パタン・・・。704の部屋の番号の部屋に入っていくかごめと富樫・・・。 富樫はキーと写真集を窓際のテーブルに置くと冷蔵庫から缶ビールを取り出す。 「お嬢さんもどうです?」 「け、結構です!!」 「そうですか・・・」 プシュッ。 椅子に腰掛け、ビールの栓を開いてゴクゴクと飲む。 かごめは警戒するようになるべく入り口の近くで立っている。 「ぷはー。心配しなさんな・・・。急に押し倒そう何て事はしませんから。ふふっ・・・。」 思わずかごめは後ずさりする・・・。 (・・・。だめだわ・・・。なんとしてでもネガと写真を取り返さないと・・・) 「・・・。お嬢さん、さっき俺に言いましたねぇ。どうして昔の様な写真を撮らないのかって・・・。じゃあ、何故貴方は、惚れた男のためとはいえ、俺みたいな妖しい男と取引なんてしようとするです・・・?下手したら・・・。貴方の身が危ないっていうのに・・・」 「・・・。理由なんてありません。あたしは犬夜叉が・・・。あいつの傷つくのが絶えられないだけです・・・」 「・・・恋は盲目ってか・・・。ふん・・・。くだらねぇな・・・」 鼻で笑う富樫。 かごめはカチンときた。 「理由?そんなものないわよ!あたしはあいつが苦しむのが辛いだけ・・・。あたしは・・・自分が出来ることをしたいだけ・・・。それだけ・・・。理由なんていえらないのよ・・・ッ!」 かごめはついカッとなって思わず声を荒げてしまった・・・。 「・・・“理由なんていらない・・・”か・・・。フッ・・・
フ・・・フフフ・・・」 グシャッ。 ビール缶を握りつぶす富樫。 そして立ち上がりジリジリと・・・。 かごめに近づく・・・。 「な、何よ・・・」 逃げるように後ろに下がって壁へと追い込まれるかごめ・・・。 かごめは咄嗟にテーブルの上にあったペーパーナイフを握りしめ、富樫を威嚇する。 「こないで!!」 しかし富樫はナイフを持つかごめの手首をグッとつかみ、ナイフを取り上げ、 「きゃッ・・・」 ガッと両手でかごめを万歳させるようにを壁におしつけた・・・。 その勢いでアップしていたかごめの髪がパサッと
ほどける・・・。 「言っただろう?俺はあんたみたいなのが好みだって・・・」 ヤニ臭い富樫の息がかごめの首筋になま暖かくかかるり背中に悪寒がはしる・・・。 そして富樫はかごめの耳元でささやく・・・。 「“理由がないらない・・・”か・・・。俺もそんな熱かったよ・・・。あの写真集を出した頃まではな・・・。でも・・・一発屋でな。次からは売れやしなかった。だから。ゴシップ記事の良い写真撮っていかねぇとな・・・。喰っていかれねぇんだよ・・・。女子大いっておもしろ可笑しくやってるお嬢さんにはわかんねぇかもしれねぇがな・・・」 富樫はかごめのあごをグッと持ち上げる・・・。 肩をビクッ震わせるがごめだが怯まず富樫を睨み返す。 (負けられない・・・!なんとしても負けられないわ!!) 富樫をにらみ返すあごめ。 「言い訳だわ・・・。貴方は自分に言い訳してるのよ・・・」 「何・・・?」 「自分が本当に心の底からやりたい事なら、簡単に放り投げやしないわ・・・!辛くたってそんな忘れられない恋人みたいに何度も思い出しては・・・自分にはこれしかないんだって気付くのよ!!貴方はただそれから目をそらしてる・・・!本当は貴方だって・・・。自分が撮りたいのはこんなものじゃないって葛藤してるはずよ!!」 かごめは富樫をまっすぐ見て言った・・・。 「・・・」 「・・・」 富樫はスッとかごめの手を離した・・・。 「・・・。けっ・・・気分がなえちまった年下の小娘のあんたに説教されてな・・・」 苦笑いする富樫・・・。 ドンドン!! 誰かが激しくドアをたたく。 中にいた富樫がドアをゆっくり開けた途端。 バアン!! 「どきやがれ!かごめはどこだ!!」 犬夜叉は富樫のを突き飛ばして中に突入した。 「犬夜叉・・・!?どうして・・・」 「かごめ・・・!お前・・・」 犬夜叉はハッとした。 アップしていた髪がほどけ、ブラウスのボタンがはずれているのに気づき・・・。 「てめぇえ!!かごめに何しやがったァーーーッ!」 バキッ! 勢いで壁にぶつかる富樫。 尚も富樫に馬乗りになり襟をぐっと掴む。 「犬夜叉!!やめて!!」 「てめぇッ!!応えろ!!かごめになにしやがったぁあッ!!」 犬夜叉のパンチにもかかわらず、富樫は口もとの血をペッと吐くと不敵に笑った・・・。 「・・・。ホテルで
することつったら一つしかねぇだろうが」 「んなっ・・・ッ。テンメェエエエッ!!!」 犬夜叉は拳を高く振り上げた!しかしかごめがその腕にしがみつく。 「犬夜叉、やめて!!あたしは大丈夫だから・・・」 「けど・・・ッ」 「お願い・・・。やめて・・・」 「・・・」 かごめの言葉に犬夜叉は渋々手を離す・・・。 「・・・。すんげぇ腕力だ事・・・。いたた・・・。ふふ。月島桔梗とそのおじょうさんと二股かけてるだけはある・・・」 またカッとなりそうな犬夜叉を腕に触れて止める。 「かごめ!帰るぞ・・・。俺はこいつの顔見てると今にもぶん殴りそうだからな・・・」 かごめがテーブルの上のバックを取ろうとした瞬間・・・。 「きゃっッ!あッ!!」 「かごめッ!!!」 「取引だと!?ふざけんじゃねぇッ!!かごめをはなしやがれ!!!」 「ふう。熱くなっちまって・・・。青いねぇ・・・。お嬢サン。俺のバックの内側のポケットにネガと写真が入ってる。とってくれねぇか」 「俺はこのお嬢さんが気に入った。このお嬢さんをここに置いていく代わりにお前にゃネガと写真はくれてやる?どうだ?言い取引だろ?」 「テンメェ・・・ッ!!」 犬夜叉が富樫に飛びかかろうと近づいたが富樫はペーパーナイフをスッと床に落とした。 「犬夜叉ッ!!」 その隙にかごめは犬夜叉の背後に逃げ込む! 「フハハハハハハハハハ・・・。ククククク・・・!!純愛だねぇ。ククク・・・。ネガよりお嬢さんをとるなんて。しかも熱い告白付きで・・・。嗚呼熱くて、何だか笑いがとまらねぇ・・・。ククク・・・」 異常に笑う富樫。 「もうそんな写真はいらねぇ・・・。惚れたはれたなんてネタより週刊誌は今は、悪徳政治家の実態暴露の方がウケるのさ」 立ち止まる犬夜叉とかごめ。 富樫はチラッとかごめに視線を送る・・・。 「お嬢サン、俺を許せなかったら警察に突き出してもかわまえねぇんだぜ?もう俺はどうなっちまってもかまわねぇんだからな・・・」 かごめは黙って顔を横に振った。 「あの写真集・・・。あんな素敵な写真を撮れる人だもの。本当はそんな悪い人じゃないです。警察に言ったらそれこそ本当に今度こそあなたの撮りたい写真が撮れなくなるでしょう?」 かごめは微笑んで言った・・・。 「クハハハハ・・・!なんてまっすぐなんだ。お嬢さんは・・・。ふっ。オイ小僧。また俺みてぇな腐った奴が出てくるかもしれねぇぜ。せいぜいそのお嬢さん守ってやるんだな・・・」 「・・・。うるせぇよ・・・。てめぇに言われなくてわかってる・・・。かごめは俺が守る・・・!てめぇこそ、もう二度とかごめに近づくんじゃねーぞ!!」 バタン! 出際、かごめは立ち止まり、富樫に一礼し、部屋を跡にした・・・。 テーブルの上には富樫の写真集が置いてある・・・。 アパートへの帰り道・・・。
犬夜叉はバイクを引っぱって怒った顔で歩く。 「・・・。ねぇっ。犬夜叉ってば。何そんな怒ってるのよ・・・!」 「怒ってねぇ!」 「怒ってるじゃない!なによ!写真とネガ・・・。返してもらったんだからよかったじゃないの!!」 「おまえなッ・・・。勝手に一人でケリつけるなんて・・・。俺がどれだけ心配したかわかってのんか!!」 かごめ犬夜叉の顔をのぞく。 「そんなに心配だったの・・・?」 「い・・・。いや、だ、だからその・・・。と、とにかく・・・。一人で何でも勝手に動くな・・・」 「うん・・・。ごめんね・・・。心配かけて・・・」 自分のせいで、かごめをトラブルに巻き込むことになってしまったのに・・・。 “また、俺みたいな腐った奴でてくるかもしれねぇぜ・・・” 富樫の忠告が犬夜叉の心にひっかかていた・・・。 以前も・・・。無双の事でかごめが襲われて・・・。 犬夜叉はピタリと立ち止まる。 「犬夜叉?どうしたの?」 「かごめ・・・。俺・・・。アパート・・・出た方がいいんじゃねぇかと思って・・・」 「えッ!?な、なに急に・・・」 「・・・。また・・・。今日みてぇな事あったら・・・」 「・・・。何よそれ・・・。何よソレッ!!!」 かごめは突然声を荒げ、スタスタと先に歩いていく。 「お、おいかごめ!?」 さっきとは逆にかごめの跡を追う犬夜叉。 「おい!まちやがれ!!」 公園のなかにズカズカと入っていくかごめ。 すべり台の前で立ち止まり犬夜叉に振り向いた。 「あんた全然わかってない・・・。自分がいなくなれば迷惑がかからないですって?格好付けないでよッ!あたしは自分に被害が及ぶのが嫌だから一人で写真のネガ取りに行ったんじゃない・・・。犬夜叉の苦しむ顔が見たくなかったらなのに・・・!犬夜叉と桔梗の事が世間に知れて騒ぎになったら・・・。それこそ妙にあんた責任感強いからそれこそ・・・。どっかいっちゃうんじゃないか、アパートでてくんじゃとかそんな先ばしった事まで考えちゃって・・・」 かごめは両手で顔を覆った。
「う・・・かごめ・・・」 かごめの涙に犬夜叉、オロオロする。 「な・・・泣くことないだろ・・・」 顔を覆ってしまったかごめにさらに犬夜叉オロオロ。 「は・・・ハンカチ今持ってねぇし・・・。かごめ。これで拭け」 犬夜叉は自分のTシャツを指さした。 「・・・。ぷっ・・・」 「な、なんで笑う!よ、汚れてねぇぞ!」 「ごめんごめん・・・。じゃあ借りるね」 かごめは犬夜叉の赤いTシャツをくいっと引っぱって涙を拭った。 「ぴっぱりすぎんなよ・・.か、かごめ、もういいだろ。離せよ」 しかしかごめは離そうとしない。 「腹が冷えるじゃねーか。はなせって・・・」 「犬夜叉・・・」 「何だよ・・・」 「・・・。もう出ていくなんて言わないでよね・・・。あたしは大丈夫だから・・・。ね・・・」 「かごめ・・・」 けれど、Tシャツを握るかごめの手は少し不安そう小刻みにに震えて・・・。 どこへも行かないでと言っている様に・・・。 途中で降ろされる・・・。 力一杯抱きしめれば壊れそうで・・・。 「犬夜叉・・・」 |