第17話 ミッド・ナイトなかごめちゃん@

週末の夜10時。

いつもならばかごめは風呂に入っているか音楽を聴いてリラックスタイム。

しかし、なぜかかごめはパジャマを着替え、どこかへ出かける準備を始めた。

ガチャ。

鍵をかけ、自転車にのり出かけていく。

犬夜叉や珊瑚達は買い物にでも行ったのかと思っていた。

だが・・・。

帰ってくるのは午前3時過ぎ・・・。

それも毎週繰り返される・・・。

そしてとある日のこと。

ここは戦国町の一番の繁華街。

カラフルなネオンや看板。

無数のクラブやスナック等水商売の店が立ち並ぶ。

「いや〜。仏野君。君は本当にいい店を知っているねぇ」

「そうですか。喜んでいただけて私も嬉しいです」

お偉いさんに手もみしながら弥勒は接待中。

今夜も取引先の社長と一杯やりに桜木町に繰り出していた・・・。

その弥勒、人混みの中にある人物を発見する。

(あ・・・あれは・・・。かごめ様!?)

到底、こんな場所にいるはずもないかごめの姿が明らかに見える。

弥勒は最近のかごめの謎の行動を思い出す。

「社長。そろそろお時間ですよ。ほら奥様がまた怒ってまっておられます!!」

腕時計をみせて、弥勒は酔っぱらった社長を通りかかったタクシーに乗せた。

「では社長。おやすみなさいませ!」

弥勒は急いでかごめの姿を追う。

(あ、いたいた・・・)

数メートル離れながら弥勒がかごめの後をつけるととある店に入っていく・・・。

弥勒は驚いた。

「こ・・・ここは・・・」

『クラブ・蛇湖都』

桜木町の中で一番ゴージャスでなんというか中身が『濃い』クラブ。

桜木町の飲み屋やスナックを網羅している弥勒でさえ、近寄れなかった。

(こ、こんなところにどうして・・・。これは探りを入れてみる必要があるな・・・。やっぱりあいつに・・・)

早速アパートの帰った弥勒は珊瑚や犬夜叉に報告。

「かごめちゃんがどうしてそんなところに・・・。まさかかごめちゃん、そこで働いてたりして?」

犬夜叉、珊瑚の言葉に想像してみる。

着飾ったかごめ。ソファに座り酒を勧め、お偉いさんの中年男がかごめにべたべた触る。

『かごめちゃんかわいいねぇどう?おじさんと今度あそばない?』

『やだぁ★社長さんたら♪』

「かごめに気安く触るんじゃねぇッ!!クソオヤジ!!」

犬夜叉、拳を握って叫ぶ・・・。

「なに想像してたんだ。お前は」

「なっなんでもねぇよッ・・・。それよか弥勒、ホントにそれ、かごめだったのか?」

「見間違えるわけもない。犬夜叉。お前、気になるだろう。果てしなく気になるだろう〜???」

犬夜叉に滲み寄る弥勒。

「べッ別に気になんか・・・」

「しかしなぁ〜。あの店に来る客はすぐ店の子にすぐ手を出すって噂だしなぁ・・・」

「!!」

「何しろ店の名前からして怪しいからなぁ『蛇呼都』だもんなぁ」

弥勒は犬夜叉にちらちら見ながらわざとらしく言う。

「けっ・・・。かごめが何して様と俺には関係ねぇ。ちょっとたばこかってくらぁ」

バタン!!

荒々しく弥勒の部屋を出ていった犬夜叉・・・。

弥勒も珊瑚も行き先はわかっていた。

「クックック・・・。犬夜叉。『貴重』な体験をしてこい。何事も経験だ」

なぜか不適に笑う弥勒。

「?弥勒様何その何かを企てた様な笑いは」

「いえいえなんでも。それより珊瑚。久しぶりに二人きりですね。どうです。私と今宵・・・」

ボキボキ・・・。

手を鳴らし、にらむ珊瑚。

「・・・さっさとねまーす。おやすみなさーい・・・」



『魅惑の王国・蛇呼都』

黒い重たい鉄の扉。

犬夜叉は店の前に来ていた。

(こ・・・。ここのかごめがいるのか・・・)

犬夜叉はゴクリと唾を飲んでドアを開けた・・・。


ギィ・・・。

ドアを開けると、そこは・・・。


「な・・・なんだここは・・・!?」

緑と黒の鱗柄の壁がみ。

テーブルは蛇の形をしてくねくねしている。

カウンターの椅子も蛇の形・・・。

「・・・ジャングルか、ここは・・・??」

犬夜叉が店の中をキョロキョロしていると。

ガッと両脇を何者かに捕まれる犬夜叉。

「!?な、なんだ!?」

「いらっしゃいませ〜♪お一人様、お入りでーす!」

いきなり、犬夜叉の前に美人なホステスが。

そしてソファに拉致させる犬夜叉。

「ななんだ!!はなしやがれ。俺はきゃ、客じゃ・・・」

ソファに座らせられると、テーブルの上にビールやらウィスキーやらぼんぼんでてくるでてくる。

「お客さん、お初の顔ね♪結構かわいい顔してるしー★」

「あらほんと♪若いし、初々しいわ〜♪」

派手なメイクだがなかなか綺麗所のホステス。

犬夜叉はすっかりホステスのペースで無理矢理ビールやらつまみやら飲ませられる。

しかし、犬夜叉、あることに気がつく・・・。


(ん・・・?何で女ののどがあんなにでっぱてんだ・・・?)

「・・・」


そうですここは・・・。


「お・・・お・・・おかまバーかーーーーー!!!!」

犬夜叉は逃げようと席をたったが背後にいいしれぬ悪寒が・・・。

恐る恐る振り向くと・・・。


「あら〜♪ホントだ★オレ好みのいい男♪」

ペロッと唇をなめる、蛇柄のスーツを着た男(?)。

犬夜叉を強引に席に戻らせ、横に座り腕を組まれる・・・。

「嗚呼見れば見るほどオレ好み♪ねぇ。あんた、お名前は?」

「て、てめぇに教える義理はねぇッ!!」

「きゃー♪その小生意気な台詞も萌えるわ〜♪」

蛇骨ママ、犬夜叉の顔をじろじろ見る。

「は、離れろ!!」

「この肌と艶・・・v震いつきたくなるぜ〜♪」

蛇骨ママ、迫りまくり・・・。

「うふふ・・・。この店に入ったのが運のツキ・・・。観念しな・・・」

犬夜叉、顔を固定され、蛇骨ママの紫の口紅が近づく・・・。

「や・・・やめねぇかーーーー!!」


犬夜叉の叫びと同時に、店の従業員部屋から幼い裸の少年が飛び出してきた。

「わーい!!」

バスタオルを持ったかごめも出てきて・・・。

「こら!捕まえた。まあくん。裸のまんま走っちゃだめでしょう!」

少年の体をバスタオルで包みふくかごめ。

「か・・・かごめ!!」

「犬夜叉!?どうしてここに・・・」

犬夜叉は、こうしてすんでのところで魅惑の蛇骨ママのキスを免れたのだった・・・。