続・居場所を探して
〜タンポポの種〜
其の八・一日暮家と愉快な仲間達@
とんびが犬夜叉とかごめの頭上を飛んでいる。
田園風景の中を荷物をもったかごめと犬夜叉が歩く。
「しっかしお前の実家ってのはんっとに田舎の真ん中だよな」
「・・・。そのド田舎の実家と親戚になろうとしてるんだよ、犬夜叉」
「・・・ふーん」
そう。
犬夜叉たちがかごめの実家に戻ったのは
自分達のことをかごめの家族に告げるため。
”かごめをオレにください!”
(そんな台詞・・・。口が裂けてもいえねぇけど・・・。
親に挨拶もねぇってのもまずいしな・・・。くそいい言葉が思いつかねぇ)
犬夜叉無人野菜購買所のトマトを勝手にほおばりながら悩む。
「あんた、何やってんのよ!!」
「田舎なんだからいーじゃねぇか」
「お金ちゃんと払ったの?もう・・・。しょうがないなぁ・・・」
チャリン。
木製の料金箱にチャリンと30円を入れるかごめ。
「こんなうめぇ野菜が30円って・・・。すげぇな」
「お天道様の栄養たくさんはいってるからね。うふふ」
かごめも一つ購入。
「うんおいしーv」
軽トラの荷台に乗せてもらった二人。
とうもろこしとトマトを仲良く食べる。
「よかったね。実家の隣のおじさんのトラックに
うちまで乗せてってもらえて」
「けっ・・・。こんなちんたらちんたらした車・・・。走ったほーがはやいぜ」
犬夜叉の口にとうもろこしを突っ込むかごめ。
「おじさん、ごめんなさい。今黙らせたから。運転お願いしマースv」
「いやいーんだよ。かごめちゃん・・・(汗)」
ちょっと複雑な表情を浮かべる運転手のおじさん。
一方犬夜叉・・・とうもろこしをくわえたままだ・・・
「かほめ・・・。あろでおもえれろ・・・」『訳・かごめ、後で覚えてろ・・・!』
「あんた。まだ怒ってんの?」
「おこってねえ!」
かごめの実家の門の前まできて痴話げんかの始まり・・・
「大体ね、あんたが勝手にお野菜たべちゃうから・・・」
「なんだと・・・」
「あー。ねえちゃんたち!!久しぶりーー!」
高校生になった弟の草太が帰ってきた。
学生服が真新しい。
「犬の兄ちゃん。やっとかごめ姉ちゃんとくっついたのか。
弟ながら心配だったんだ」
「けっ。よけーなお世話だ」
腕組みをする犬夜叉。
「・・・あ。もしかしてぇ・・・。ねぇちゃんたちさ。
できちゃった結婚ですって言いにきたのかーぁ???」
真っ赤になるフタリ。
「んなわけないでしょーーーー!!草太ーーー!!」
犬夜叉の背後にひょいっと隠れる草太。
「そうかーオレもいよいよ”おじさん”かぁー。母さんにしらせねばッ!!」
ガラガラガラ・・・ッ
運動靴をぽいっと脱いで草太はさっそくかごめ母に報告!
「こら、草太ーーー!!!もう・・・」
「草太、背、伸びたな」
「うん。やんちゃなところは変わってないけど・・・」
離れて暮らしていると久しぶりにあったとき、
弟の成長をすごく感じる。
騒がしいこの出迎え方も
草太らしい・・・
そして。
座敷に座布団。
上座にかごめ母と祖父。そして草太の3人が並んですわり、
犬夜叉とかごめが向かい合って座る。
(・・・この緊張感は)
”娘さんをオレにください!”
お約束の台詞が犬夜叉の頭をよぎるが
やはりどうにもテレが邪魔して・・・
「・・・えっと・・・。そのあの・・・」
「・・・」
股に手をはさんでもじもじする犬夜叉。
「うふふ。堅苦しいのはやめましょ」
「え」
「不束な娘ですがよろしくおねがいしますね」
かごめ母が反対に犬夜叉に頭をつけて言った。
「い、いや・・・。た、たしかに不束だけどよろしくお願いされます」
「ぷっ。うふふふ・・・。本当に貴方は面白いわねぇ」
「・・・い、いや・・・(汗)」
幾分緊張がほぐれた
「さてと挨拶はこれでおしまい。さ、かごめ。お夕飯の準備、手伝って」
かごめにエプロンを手渡し台所へ・・・
「犬の兄ちゃん。いいもの見せてやろーか」
「いーもの?」
「”かごめ姉ちゃんが愛のメモリー”」
「!!」
犬夜叉、嫉妬のアンテナがビンっと反応。
「な・・・」
「みたいでしょ?かごめ姉ちゃんの甘酸っぱい青春の思い出・・・」
(そ、そんな。過去のことなんて気にするほどオレは器が小さくねぇ)
「かなーりカッコいい学校の先輩だったらしいよ。相手は」
(!!)
「・・・見せろ」
こそこそと草太の部屋にふたりで二階に上がっていく。
「きったねぇ部屋だな。掃除してんのかよ」
雑誌やら洋服やらたたみの上に散らかって足の踏み場がない。
「兄ちゃんには負けるよ。俺、ビール飲まないし、変なビデオなんてないし」
「!!あ、あれはオレの後輩が勝手に・・・(慌)って、かごめの奴、
お前に話したのか!??」
「・・・楓ばあちゃんから大体聞いた」
(あんのばばあ・・・!!)
心の中で楓を睨んでいろころ、同じ空の下の楓は・・・
「ふー・・・。騒がしい犬夜叉がいないと実に平和じゃのう・・・。のう、
ゴマ」
ワン!【そうね!静かでアタシも安心して昼寝できるわ!】
縁側で座布団にすわり茶をすする楓。
膝の上にはゴマちゃんがちょこんとのっかっている。
「今頃、かごめ達は何をしてるんじゃろうなぁ・・・。”娘さんをください”と
ちゃんと挨拶しているじゃろうか」
ワンワンワン・・・!【きっと犬夜叉の奴、かごめちゃんの昔のアルバムとか見てるんじゃないかしら。 過去にこだわる男なのよね!】
其の通り。
犬夜叉はゴマちゃんのご明察どおり・・・
「だ、誰だ、このかごめとくっついてる男は!!」
かごめの高校のときの卒業アルバムを見て、吠えていた。
「くっついてる男って・・・。これ、担任じゃんか。兄ちゃん・・・」
犬夜叉、クラス全員の集合写真ですから(笑)
「・・・。う、うるせぇッ(照)」
ぺらぺらとアルバムをめくる
運動会、学園祭・・・
三つ編みでセーラー服姿のかごめがあちらこちらに・・・
「可愛いだろ〜。結構かごめ姉ちゃん・・・いっつも笑ってたなぁ」
「・・・」
自分の知らないかごめの笑顔。
もっと知りたい。
もっともっと知らないかごめがいるなら知りたい・・・
「色々辛いことあったのに・・・。オレ、返って心配だったんだ・・・
どこかで泣いているんじゃないかって・・・」
「・・・」
「・・・だから。姉ちゃんの幸せはオレにとっても大切なんだ。わかってるよな、兄ちゃん」
草太はバシッと犬夜叉に野球ボールを投げた。
「わかってるに決まってんだろ!」
今度は犬夜叉が投げ返す。
「じゃあ・・・、兄ちゃんの中ではもう・・・”月島桔梗”はちゃんとケリ、
ついてんだよな」
「・・・!」
草太が投げた二投目を受け損なう犬夜叉・・・
「・・・オイオイ・・・。それが”答え”かよ。兄ちゃん」
「・・・う、うるせぇ・・・」
「・・・兄ちゃん・・・。姉ちゃんの過去には子供並の嫉妬巡らせるくせに
自分はまだケリついてねぇって・・・。冗談じゃねぇぜ。それでよく
結婚だなんて・・・」
呆れ顔の草太・・・
「かごめ姉ちゃんの昔のカレシ(候補)の方がよっぽどいいや」
「やかましい・・・!!オレはもうけじめつけたんだ!
かごめと一緒にずっと添い遂げるって決めたんだ!誰にも邪魔はさせねぇ!!」
「じゃあかごめ姉ちゃんに愛してる?」
「決まってンじゃねぇか!!」
ガチャ・・・
ドアが開けられかごめとかごめの母がばっちり
今の犬夜叉の言葉を聞いた・・・
「・・・というわけだってさ。姉ちゃん。よかったなー」
ニタリと笑う草太・・・
(草太の奴・・・。確信犯だな・・・!!)
犬夜叉、義弟にまんまと嵌められたご様子・・・
「犬夜叉さん、しっかり今の言葉、聞きましたからね」
かごめ母、トドメに確認。
「・・・は・・・ハイ・・・」
犬夜叉、かごめファミリーの連携でかごめへ忠誠を誓わされる・・・
パチパチパチ・・・
最後はかごめファミリー、勝利(?)の拍手で閉められました・・・
(オレ・・・もしかしたらトンデモナイ家族と親戚になるのかもな・・・(汗))
ちょっと個性的な家族だけど。
家族が親戚が出来ることは嫌じゃない。
むしろ・・・
嬉しい。
「もう!犬夜叉ったら!お肉まだあるのに・・・」
その日のかごめ家の夕食。
楓荘お約束の『すき焼き』
犬夜叉はかごめ母から”遠慮なく沢山食べてね”といわれたので
本当に遠慮なく肉ばっかりつまんでいる。
「・・・アンタのその素直さだけは私も驚くわ・・・」
「んだよ。お前のかーちゃんが食っていいっていうから」
「そーだけど建前ってものがあるでしょ。普通」
「建前も駅前だかしったこっちゃねぇ」
「・・・ったくもうー・・・」
呆れ顔のかごめ。
「あ、ほら、口にごはんついてる」
当たり前のように犬夜叉の口についたご飯粒を食べるかごめ
その二人のやりとりを目の前にかごめファミリーの皆様、箸が泊まる。
「な・・・何みんな・・・」
「いやー。あんまりラブラブなやりとりなんでつい、見惚れてたわよー」
「///」
かごめと犬夜叉照れて同時に俯く。
「まぁあ。照れ方も一緒なんて。仲がいいのね♪ね、犬夜叉さん、
かごめ、孫の顔はいつ見せてくれるのーvv」
犬夜叉に肘をついて尋ねるかごめ母。
「い、いつってそんなのそのあの・・・」
「や、やだ、お母さんたらッ(照)」
「あー。早くみたいわぁ♪ね、犬夜叉さん、頑張って!子作りは男がリードしなくっちゃ!!」
ブハっとビールをはく犬夜叉。
「かごめってガードが固いそうでしょ。もう強引に押し倒して服脱がせて
ちゃっても構わないのよーーvv」
「・・・(真っ赤)」
かごめ母、ちょっと酔いが回ったらしい。顔が染まっている。
そのとき、茶の間の電話のベルが鳴った。
「あ・・・わ、私出るわ」
(お母さんのお酒の種になりたくないわ。もう・・・)
かごめはその場を逃げるようにパタパタとスリッパをならして
電話に出た
「はい。もしもし日暮ですが」
(あ・・・!?)
その聞き覚えのある声は・・・
「北条君!??」
(な、何!??ホージョーだと!??)
犬夜叉の嫉妬レーダーはかごめの声をちゃんと聞き取った。
だがかごめ母に子作りの極意を伝授されている途中でしっかりと腕をつかまれ席をはずせない
「え・・・?うん・・・うん・・・」
(何話してやがるんだ・・・??)
しっかりと耳をたてる犬夜叉。
「わかった・・・。じゃ・・・」
チン・・・
黒電話の受話器を静かに置き、台所にもどってきたかごめ。
「誰だったんだよ。かごめ姉ちゃん」
「うん。北条君」
「へぇ。珍しい・・・。もしかして、姉ちゃんのこと、まだ諦めてなかったりして」
ピクリ。
草太の言葉が犬夜叉の嫉妬レーダー反応。
「馬鹿なこといわないで。同窓会のことで話があるって。それだけよ」
「ふーん・・・。でもわざわざ電話かけてくるなんて。北条の兄ちゃん、かっこよくなったぜ〜」
チクリチクリ・・・
草太の言葉が犬夜叉に刺激をあたえる。
勿論、計画的犯行でっすv
「北条の兄ちゃん、きっと姉ちゃんのこと、さらっていこうなんて
考えてんじゃねヵなぁ♪略奪愛〜!!」
(・・・(怒怒))
犬夜叉ちょっと血管浮いてます。
「いい加減にしなさい!草太!そうやって犬夜叉からかうような言い方・・・。
気にしないでね。犬夜叉」
「べっ。別にオレは気になんかしてねぇ。お前がどこで誰と会おうと俺が
とやかく言うことじゃねぇし」
「・・・何よ。棘があるわね。其の言い方」
「うっせぇえ!!てめぇは行きてぇとこ行きゃいーだろ!!オレにいちいち
聞くな!!」
「そう・・・。あたしのことやっぱり信じてないんだ」
「けっ・・・。電話ぐらいで呼び出されてのこのこ出て行くなんて・・・。
お前も北条にまだ気があるんじゃねぇか?」
プッチン。
かごめもキレマシたv
「そう・・・。わかったわよ!!北条君と浮気しちゃうからッ!!!」
浮気しちゃうから 浮気しちゃうから 浮気しちゃうから・・・
犬夜叉の耳にエコーし犬夜叉は石化・・・
「ごちそうさまでした!!」
かごめは乱暴に箸をおいて
ばたばたと自分の部屋に上がっていった・・・
一方犬夜叉は・・・
「・・・兄ちゃん・・・。生きてる・・・?」
石化して動きが止まった犬夜叉の顔の前で手をパタパタ動かし意識確認する
草太。
「だめだ・・・。魂ぬけてる。かごめ姉ちゃんの浮気宣言一発KOだ・・・」
「でもまぁ夫婦ケンカも犬も食わないっていうし。さ、草太すき焼き食べちゃいましょ♪」
「ほーいv」
かごめファミリー、石化した犬夜叉をほったらかして
すき焼きパーティー再会v
(・・・かごめが浮気 浮気 浮気 浮気・・・)
呆然としてガリガリと箸置き食べている。
・・・完全に壊れちゃいました♪
さてさて・・・
犬夜叉とかごめの運命は如何に・・・(大げさ)