たみちゃんは「ハンカチ事件」が起こってから、ずっと学校へ来ていません。ずっとお休みをしています。
このはんかち事先生達も会議をしそして、勿論たみちゃんのクラスでも話し合いをしました。担任の田中先生。
いじわるをした男子とたたせて大声をあげて、
「みんなでたみちえてみましょうどんな気持ちがするか!」
と、すごく怒ったのです。最初はそんな田中先生に驚いていたけど、暫く立つと涼しい顔をしていました。
今回の事件の事について作文を書きました。田中先生が、作文を読むと、
「弱い人をいじめてはいけないとおもった」とか、
「いじめはいけない」
とか、そんな短い文章ばかりでした。
誰も、たみちゃんへの言葉は書いてありませんでした。
しかし、その中に、
「小野はな」ちゃんという子の作文に目がとまりました。
「たみちゃんごめんなさい。たみちゃんごめんなさい。ごめんね。私もみんなと一緒にハンカチを投げました。家でお母さんに話したら、頬をたたかれました。とてもいたかった・・・」
田中先生は、はなちゃんの作文を読んでとても救われたきもちになりました。
たみちゃんの気持ちを考えてる子がいる・・・。
昨日、田中先生はたみちゃんの家に行って来 ました。
たみちゃんの様子を見に行ったのです。しかし・・・。
「先生も学校も全部怖い・・・。怖くて怖くて・・・」 と、言って出てきてくれなかったのです・・・。
そして、たみちゃんのお母さんも泣いておられました。
「あの子・・・。毎晩私の布団の中へ入ってくるんです。そして私に何度も聞くんです。私、きたないの?って・・・」
田中先生はお母さんの涙がいたくていたくてたまりませんでした。
そしてそれ以上に小さくお母さんの布団の中で体をくるめているたみちゃんの姿が頭に浮かんで・・・。たみちゃんのココロの痛みが体中に感じたのです。
そしてそれと同時にどうしてもっとたみちゃんが辛かったことを気がついてあげられなかったのだろう・・・と悔しい気持ちで一杯になっ たのでした・・・。
でも、たみちゃんは学校の何もかもが怖い・・・と言っています。
田中先生はどうしたらたみちゃんが少しでも元気になってくれるかと必死で考えました。そして、はなちゃんの作文を読んであることを思いついたのでした・・・。
その日の放課後、はなちゃんは田中先生に相談室に呼ばれました。
「はなちゃん。作文読んだよ・・・。先生ね、とても嬉しかった・・・。たみちゃんの気持ちを考えてあげてるって・・・」
「・・・」
しかし、はなちゃんは首を横に振りました。
「あたしも・・・みんなと一緒にハンカチ投げたの・・・。たみちゃんが泣いてるってわかってたけど、投げた・・・。だってみんな、 投げろ、投げろって言うから・・・。ごめんなさい。先生・・・ごめんなさい・・・」
田中先生ははなちゃんのなみだをそっとティッシュでぬぐってあげました。
「でもね・・・。たみちゃんの気持ちははなちゃんが一番よく知ってるんじゃないかな・・・。同じ辛い気持ち・・・知ってるよね」
「・・・」
「うん・・・。分かるよ・・・。すごく分かるのに・・・それなのに私は・・・」
はなちゃんも前の学校で嫌な事を言われたり無視されたりしていました。
とても辛くて辛くて、それで、去年、この学校に転校してきたのです。
「あのね・・・。今日、はなちゃんに来てもらったのはね。先生・・・。はなちゃんにお願いがあったからなの」
「お願い・・・?」
「そう・・・」
そう言うと田中先生は、机の引出しからあ るものを取り出しました。
「これ・・・。算数と国語のプリント・・・」
「そうなの。これ、たみちゃんの分。情けないけど先生じゃだめみたい・・・。全然会ってくれないないの・・・。だから、はなちゃんにね、時々、溜まったプリントとかお知らせをたみちゃんに届けて欲しいの・・・」
「え・・・。でも先生・・・私・・・たみちゃんにひどいことしたんだよ?」
「ひどいことをされた気持ち・・・。はなちゃんがわかると思ったから・・・。たみちゃんは今、一人だと思うの。お願い・・・できるかな・・・?」
「・・・。わかり・・・ました・・・」
そう先生と約束したはなちゃん。だけど、はなちゃんのココロは揺れていました。