給食の時間。はなちゃんは自分の給食を持って、保健室に行きます。
「みちこ先生、こんにちはー!」
「あら、はなちゃんいらっしゃい。まってたよ」
この間の給食の時の一件以来、はなちゃんはクラスのみんなとは口をきいていません。
授業意外の休み時間は保健室にいるはなちゃん。もうすっかり、みちこ先生となかよくなりました。
ちなみに今日の給食のメニューは、わかめごはんとヒレカツです。
「はなちゃん・・・。がんばっているね」
「え・・・?」
「クラスのみんな・・・。はなちゃんとおしゃべりしてくれないって注意したんだけど、田 中先生、はなちゃんがとても辛いんじゃないかって心配していたわ」
はなちゃんのおはしがとまりました。
「・・・。大丈夫だよ。みちこ先生。みんなから無視されるのなんて初めてじゃないし、それに、たみちゃんとね、お顔みてお話できたんだもん!すごく嬉しくて。なんかね、こう、お届け物係魂が燃えるんだ!」
はなちゃんはみちこ先生にグーをして、言いました。
「それにさ、みんなから無視されたお陰でこうして、みちこ先生と仲良くなれたんだもん!こういうの、ケガのみょうがっていうんでしょ?」
「それをいうならケガの功名よ。はなちゃん、座布団2まいね」
「えへへ・・・。また間違えちゃった」
舌をぺろっと出して笑うはなちゃん。みちこ先生はその笑顔がとても愛おしくと同時にとても痛々しく感じました。
無視されるのは誰でも辛いはず。だけど、はなちゃんは、笑顔でいつも登校してきます。だから、みちこ先生は保健室に来るはなちゃんをいつも、待っていてあげています。
保健室ははなちゃんが、唯一学校で安心できる場所だから。
「クシュン!」
はなちゃんはもすごい大きなくしゃみをしました。
「あら・・・。はなちゃんかぜ・・・?そう言えば、お顔が少し赤いね・・・」
「だいじょーぶです。私、お母さんに似て、丈夫だから」
「そう・・・。でもしんどくなったらいいなさいね」
「はい」
しかし、はなちゃんは何だか体がだるいな・・・と少し感じていたのでした。
「たみちゃんのお顔みられて嬉しいな♪今日も元気にお届けしましょ♪たみちゃんち♪」
はなちゃんは道々、ご自慢の
「お届け物係ソング」を作詞作曲をしながら、たみちゃんの家に向かいます。
「たみちゃんとお話できた嬉しいな・・・。たみちゃん・・・。フゥ・・・」
けれど、今日はいまいち調子が出ません。とても、体が熱くてだるくて・・・。
はなちゃんは、おうちに帰ったら風邪薬を飲もうと思いました。
「こんにちはー。はなちゃん専属お届け物係・はなでーす!」
「あ!はなちゃん」
たみちゃんが二階の部屋から降りてきました。
たみちゃんは、最近、こうしてはなちゃんを待っていてくれるのです。はなちゃんはそれが嬉しくてたまりませんでした。
「はい。これ、今日のプリントとノート」
「ありがとう。あれ・・・?はなちゃんお顔、赤いね」
「え・・・?そうかな・・・」
「大丈夫・・・?少し休んでいく?」
「え・・・ううん。へいき・・・」
たみちゃんのお顔がぼやーっと見えます。そして、はなちゃんはふらっと倒れてしまいました!
「はなちゃん!!大丈夫!?はなちゃん!!」
たみちゃんがはなちゃんのおでこを触るととても熱い。
「お母さん!お母さん!!大変!はなちゃんがはなちゃんが・・・!」
はなちゃんは、ぐったりしてたみちゃんの声がだんだん遠くなっていきました。