時事放談
神石高原町議会議員
木野山孝志
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 11月30日(水)

 有害鳥獣駆除と捕獲動物肉の有効利用について

 この度、被害が増加中の有害鳥獣の駆除をするだけでなく、捕獲した動物の肉を有効活用しジビエ料理を考案し町の特産として観光資源化を目指している和歌山県日高川町へ本町商工会工業部の皆さんと視察してきました。

 日高川町は、紀伊山地を源流とする日高川流域にあり、総面積331.65ku、農林業が中で、人口10,891人(H23.3)の我が町とよく似た中山間地の町でサル、イノシシ、シカ、カワウなどによる被害額は3,800万円弱(H22)となっています。

 有害被害対策は、捕獲対策として、捕獲報奨金(猿2万円、猪1.5万円など)、わな免許取得支援、捕獲檻設置支援、食肉処理加工施設設置など、防御対策として電気柵、とたん・ネット設置支援、追い払い環境整備隊、環境整備として緩衝帯の設置。耕作放棄地解消施策など実施しており、有害鳥獣の捕獲状況は、H22年度は猪・鹿・猿で有害捕獲1,376頭猟期捕獲566頭で合計1,942頭(神石高原町はH22年791頭)です。報奨金の総額は1,234万円、猟友会の会員数は192名、猟友会への補助金は平成21年度19万2千円(192×1,000円)でした。

 有害鳥獣食肉加工処理施設の設置については、猟友会からは副収入となる報奨金単価はそれほどでもなく限界がある上に無益な殺生への抵抗感などあり何とかならないかという意見が多く、地元の生活研究グループ(女性会など)からは佃煮など加工品販売に利用できないかと試作研究がなされていたところへ、議会からの提案や、県からのジビエ料理による野生鳥獣の資源化・ジビエで地域おこし事業の創設とそれに伴うジビエ衛生管理ガイドラインが創られ一気に加工施設設置への機運が高まり、国の鳥獣害防止総合対策事業・地域活性化経済危機対策臨時交付金を活用し、平成22年度事業にて町内に2箇所(中津地区に新築2,124万円、美山地区に改修整備883万円、それぞれ機械備品整備655万円)に設置されました。

 管理運営体制は、いわゆる公設民営方式で日高川町が設置所有し、(財)日高川町ふるさと振興公社(町営)が管理主体となり経理、運営、施設備品管理、利用料の徴収を行い、ジビエ工房紀州利用者の会(H22.5設立)が施設を利用し利用者の会を構成する各グループが食肉作業と販売を行っています。

 当初は、イノシシだと1頭解体費3,000円を支払い各グループが処理・販売を行っていましたが、平成23年7月から専門解体技術員を採用し、公社が解体を行う事とし、イノシシ1頭当たり生体重量の30%を1K1,000円で買い取る方式に変更し現在に至っています。
 例えば、1頭が60kのイノシシを持ち込むと60k×30%で18kを1,000円で買い取りますので、ハンターには引き取り料金18,000円と報奨金20,000円で計38,000円の副収入と成るわけで、本年の10月には93頭の生体捕獲があったそうです。

 写真は加工施設で、シカが2頭、解体専門員により解体処理されていました。(クリックすると写真が大きくなります)

 公社は、収益事業を行っているわけではなく目的は有害鳥獣駆除に有るわけですが、肉の部所によりランク別に肉を業者(JAや飲食店・ホテルなど)に販売しています。例えばJAはイノシシ肉入りのレトルトカレー1食分を400円で販売していますが、カレー加工用の肉は1k2,300円で販売となっているそうです。道路向かいにある道の駅では、カレー用のお肉として真空パックにしたものを1k2,800円で販売していました。

 日高川町では、有害鳥獣駆除促進のために猟友会と長期にわたって協議を行い処理加工施設を設置する事によって、捕獲量の促進を図り、捕獲した野生鳥獣の肉処理加工販売のために肉処理の完全衛生管理の徹底とジビエ料理の差別化を行う事により、観光資源として経済活性化に繋げている。平成22年7月から23年3月までの各地からの視察研修も32団体と先進地としての地位もしっかりと確保している。

 

 販路は、和歌山市内のホテル・飲食店、道の駅、町内宿泊施設、町内飲食店、冷凍食品などで広範囲にわたっており、ジビエ料理のレシピ集には猪肉チャーシュー・猪団子甘酢掛け・猪肉シューマイ・味噌煮・猪マーボトーフ・ミートスパゲッティなど多くのレシピが写真入りで紹介されている。今後は高級食材とする、ジビエ祭りの開催、学校給食へ活用し食育への取組みなど夢はつきない。

 本町にとっても、大いに参考にすべき事例である。


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