LOVELY、LOVELY、HAPPY ! - autumn wind -
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「・・・・・・何やってるの、真琴」
窓のカーテンを握っている私に、眞乃が呆れた声を出した。
「う・・・」
なにって・・・
隠れています。
外では竜くんが体育の授業に参加できなくて、木陰で見学していた。というより、寝ていた。
そこに授業が終わった竜くんの同級生たちが竜くんに悪戯を仕掛けて、竜くんが起きて、松葉杖を投げつけて・・・
といった一連の騒動を、私は窓際の席から眺めていたのだけれど。
パッと竜くんが私の方に振り返って、私を見るから。
笑って、ひらひらと手を振るから。
思わず。
「ほんと、何やってるの真琴・・」
眞乃が、今度こそ心底あきれているといった調子で言った。
「え? 竜センパイの顔が見れない??」
お弁当を食べながら、眞乃と里佳に追及された。
「う、うん・・・竜くんがこっちを見るとカーッと顔が熱くなる感じで・・・」
なんなんだろう、ホントに。
「ドキドキしすぎて、」
パニックに近いくらい。
わーって叫んで逃げ出したくなる。
「真琴・・・」
「・・・今まで・・・」
「 あれっっっだけ強引に迫ってたのに?」
・・・・・・ハイ、スミマセン。。。おっしゃるとおりです
「・・・だって、これまでどう接していたのか分からなくなって」
どうやって話し掛けていた?
どうやって見つめていたんだろう?
竜くんのあの真っ直ぐな目を見返せない。
私の大好きな目。
「だからって隠れなくても」
里佳が呆れたように言った。
「うーー、そうなんだけど・・・」
とっさに体が勝手に動いたんだもん!
「猛烈アタックしていた頃の勢いはどこ行った?!」
里佳がグッと手を握って発破をかける。
「私が知りたいーー」
「取り戻せー!」
二人でわーわー言っている陰で、眞乃がぼそっと。
「竜センパイ、反撃、するんだろうなあ」
と呟いたことに私は気がつかなかった。