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LOVELY、LOVELY、HAPPY ! - autumn wind -






「ううう・・・」
やっちゃった・・・
どうにも頭の整理が出来なくて、帰りの車まで逃げちゃった・・・

だって竜くんと二人きりの後部座席なんて、今は耐えられない。

買い物があるから、なんて言い訳して、竜くんと時間をずらして、でも本当は用事がないから時間がつぶれない。
「はぁ〜」
出るのは溜息ばかり。
どこに行こう。
眞乃も里佳も部活だし、一人でぶらぶらと駅に向かう。

ケーキ買って帰ろうかな。
最近ダイエットというほどでもないけど、甘いものを控えていたので、少し元気が出るかも。
竜くんの夜食の差し入れにして・・、やっぱり顔を見ないのは淋しい。
勉強の合間なら、少しだけの時間で済むし。
よし!スイーツで気合を入れて頑張ろ!

・・・って、竜くんの顔を見るぐらいで気合が必要って・・・(自己ツッコミ)
自分の情けなさにがっくりしながら、お気に入りのお店でケーキを買った。


「おおー!!ショートケーキ!!」
竜くんの満面の笑顔。
「う!」
ま、まぶしい!
思わず顔を背ける。
竜くんの部屋にケーキを持っていくと、ニコニコと子供のように喜んでくれた。
「あ?なに?」
少し距離を開けた私に、竜くんの怪訝そうな声が聞こえたけれど、すでにまた心臓が爆発しそうで顔が上げられない。
それでも何とかその場に踏み止まる。
「・・しょ、」
「ん?」
「ショートケーキなんですね!他にも買ってきましたけど!」
「あー、最近シンプルさに目覚めたというか、やっぱり生クリーム美味い店がうまい気がするっていうか」
「なななるほど!」
もうだめ、限界。
「あ、あの、勉強 がんばって下さい!」
ケーキの箱を押し付けて逃げようとすると、
「こら待て伊集院」
と竜くんに呼び止められた。
腕をつかまれそうになったので、
「ひゃあ!」
と変な声が出て、竜くんの手を振り払ってしまった。

「・・・・・・」
まずい。
あからさまに避けたのが、分かったはず。

頭上から竜くんの重い視線を感じるけれど、顔が上げられない。
「・・・伊集院」
「・・・・・・」
「その態度、なに?」
硬くなった声に、体が動かない。

「俺に文句があるなら言えば?」

「文句なんて!私は、ただ、」
パッと顔を上げて、竜くんを見た。


真っ直ぐに見つめてくる、竜くんの目。
真剣な顔。


自分の顔がカーッと熱くなって、一瞬にして真っ赤になっただろうことが分かる。


「んん?」
竜くんの気の抜けた声がする。

体中が熱くなって、もう目まで熱くなって、涙まで出そうになって、
「・・・・・っ!」
だめ、限界。
泣いてしまう、と背を向けて逃げようとして、





・・・ドン !!


壁ドン!

・・・っていうか、松葉杖ドン!!!

目の前を竜くんの松葉杖で塞がれた。

意表を突かれて、思わず振り返ると、またそこから逃げると思ったのか、次は、


ダンッ!

ギブスの脚でドン!


「・・・・・!」
松葉杖とギブスで挟まれて・・・

「って、違うーー!せっかくの壁ドンなのに!なにか違いますよ?!」
ときめかない!
涙も引っ込んだ!!!

「竜くん!憧れのシチュエーションなのに!もうちょっと雰囲気を・・」
思わず猛抗議をして竜くんの顔を見上げた。

「ほー、ふんいき。」
真顔の竜くん。

「逃げ回ってたくせに、雰囲気」
はんっと鼻で笑って、竜くんが私を見る。
「う・・・」
蛇に睨まれた蛙のように体が動かない。

竜くんが探るような、考えるような顔をして私を見下ろす。

そんなひとつひとつの表情に、心が跳ねる。
どきどきして、たまらない気持ちになる。








つづく




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