100のお題・084. カフェより

 

別設定の千と千尋の神隠し

第三部・気まぐれ更新夫婦編

その1・カフェ

 

 

どこまでも広がる青空に

ぽかりと浮かんだ白い雲が

ゆっくりと流れていくのを

見るともなしに見つめながら

空気に満ちる香りを

胸いっぱいに吸い込む。

裏の小さな森を縁取るように

梢を彩る白い花々の周りには

ぶんぶんと陽気な音をたてながら

小さな虫達がその本能に

促されるように楽しげに働いていて

少女はくすくすと上機嫌に微笑んだ。

そうして、働き者のミツバチたちに負けじと

手に持っていた白い布を

パンと小気味良く広げると

目の前に置いてある小さな机に

皺一つ無く被せ、うん、と満足げに頷いた。

「うん、完璧。」

タイミングよく聞こえた足音に

ゆっくりと振り向く。

「「おはよう。」」

重なる声に微笑み合って。

と瞬きする間もなく

翡翠の輝きが近づいてくる。

ちゅっ

軽い音をたて離れた唇に

名残り惜しげに

ゆっくりと指を這わせてくる

恋人にくすりと笑うと

少女は栗色の髪を揺らして

顔をあお向ける。

ちゅっ

そうして

いつまでも離れようとしない

唇をさり気なく放すタイミングにも

ようやく慣れてきた少女は

抱き寄せようとする腕から

するりと抜け出すと

もう一度同じ言葉を

その甘い唇に乗せた。

「おはよう、はく。」

 

 

「ね、おいしい?」

「ああ、とてもね。」

いつもよりほんのちょっぴり

遅い朝食を、青空の下に整えた

テーブルに向かい合って

食べている二人の周囲には

甘い蜜のような初夏の香気が

満ちていたのだった。

 

 

おしまい

 

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新婚さん、いらっしゃ〜い。

って感じで。

 

只今の季節、我が家の周辺には

アカシアの花の香りが一面に漂っています。

ほんと甘くていい香り。

私、蜂蜜の中では

アカシアの蜜が一番好きなのですよ。

 

さてさて、お久しぶりのお題です。

カフェはカフェでも、

プチぜいたくなおうちカフェ。

アナタならどんなメニューを考えますか?

 

薫り高いコーヒーに

絞りたてオレンジジュース。

トマトとバジルとチーズののったトーストと

蜂蜜とバターをたっぷりつけた焼きたてロールパン。

半熟に焼いたベーコンエッグに

レタスとアボガドと小エビのサラダを添えて。

果物は果汁たっぷりの桃と甘酸っぱいさくらんぼ。

なんてどうでしょ?

まあ、朝からなんて贅沢!

 

ま、やつらなら味噌汁と漬物だけのネコマンマでも

ハート飛ばしながら喰いそうだけどね。