10万HIT記念企画・無謀にも「七粒ノお題A」に挑戦してみよ〜

 

04・虫けら程の価値もない

 

ご覧、ご覧。

駆けて行くよ。

人の娘が駆けて行くよ。

なんて運のよい娘。

なんて運の悪い娘。

ご覧、ご覧。

あの娘に手出ししようとしたものの行く末を。

ぷすぷすと焼け焦げているあの塊を。

ご覧、ご覧。

なんて恐ろしい娘。

なんて可愛そうな娘。

おいしそうな蜜の輝きは

炎のように明るく輝くよ。

ご覧、ご覧。

人の子のくせに。

人の子のように見えるくせに。

総てを焼き尽くす炎のごとく輝いて。

ご覧、ご覧。

魔女が行くよ。

怖い、怖い魔女が行くよ。

人間の振りをした魔女が行くよ。

神様さえも絡め取った

恐ろしい魔女が行くよ。

 

「黙れ。」

 

ご覧、ご覧。

竜が行くよ。

神様でなくなった竜が行くよ。

なんて愚かな竜。

なんて優しい竜。

ご覧、ご覧。

人の手で神から追われた竜を。

物の怪に成り下がった竜を。

ご覧、ご覧。

なんて可愛そうな竜。

なんて歪んでしまった竜。

水のくせに炎の輝きに魅せられているよ。

ご覧、ご覧。

神様だったくせに。

たくさんの命を等しく愛する神様だったくせに。

まるで炎に飛び込む虫けらのごとく。

ご覧、ご覧。

狂った竜が行くよ。

人の子に絡め取られた竜がいくよ。

炎を恋慕う

狂った竜が行くよ。

 

「黙れ。」

 

 

 

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おっ?

やっと登場か?