100のお題 011・Once upon a time

(千と千尋の神隠しより)

 

第4部竜王たちの伝説 

間章1

 

Once upon a time  

 

あなたは覚えているかしら

白皙の頬を流れた一筋の涙を

 

あなたが産声をあげた瞬間

疾風のように飛び込んできて

そうして呆然と立ち尽くしながら

私たちを見つめていた翡翠の光

ぽたりと

母様の胸の上に転がって

そうしてあなたの手の中に

ころりと落ちていった涙を

 

 

あなたは覚えているかしら

この世で最初に耳にした言霊を

 

ころりと落ちたその瞬間に

父様の震える唇から

まるで零れ出るかのように

放たれたその言霊を

 

 

ありがとう

 

あなたがこの世で

最初に耳にした言霊は

あなたがこの世で

最初に手にしたものに

静かに吸い込まれていって・・・

 

 

そう

この玉は

あなたがこの世に

生まれ出た

その時に

翡翠の瞳から流されて

想いの総てを注がれた

ただ一つだけの涙玉

 

父様がくださった

唯一無二の

たからもの

 

 

 

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なんのこっちゃっ、てなもんですが

あっさり第2章に入るよりも

ワンクッション置いたほうがいいかなって思いまして・・・

 

気長にお待ちくだされば

いつか、きっと、そのうち、たぶん、

この伏線が生きてくる日が

来る・・・予定です。(爆)