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ITは相談窓口を越えられるか

相談件数は統計処理されます。しかし、個々の相談を見ると、大きく分けて「情報提供型」と「問題解決型」に分かれます。 中身によって実際に対応するためのマンパワーは大きく異なります。ですので、それぞれを1件として集計するのは間違いなのですが、 得てして、そういう風に集計されてしまいます。

情報提供型相談と問題解決型相談

簡単な受け答えですむ情報提供型の相談

相談窓口に持ち込まれる相談事は、大きく分けて2つの種類があります。
一つは情報提供型で、いわゆる“問合せ”と呼ばれるものです。 例えば「東京都の最低賃金の額はいくらですか?」とか「派遣事業を始めたいのですが、窓口はどこになりますか?」とか 「補助金をもらうにはどうすればいいのか」といったものがそれです。 数的には情報提供型の方が圧倒的に多く、単なる資料提供で終わったり、電話一本で済むものもたくさんあります。
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問題解決型は相当ヘビーだ

これに対して、問題解決型というのがあります。
「残業代が払われていない」「素行の悪い従業員を解雇したい」「他社から商標権侵害で抗議されている」といったものが、それです。
問題解決型の相談は疲れます。特に来所面談を通じた相談事は、かなりマンパワーを消耗します。
特に近年、「自分の代わりに会社をやっつけて欲しい」という人が増えておりまして、 この役所はそういうことをするところではない、ということを理解してもらうのにずいぶん苦労しました。
私の場合、問題解決型の相談は、1日に4件も受ければ、かなりクタクタでした。
たまたま「昔の仲間で集まろう」という飲み会が予定されていた日の夕方頃に、やっかいな来所相談を受け、 終わってからほとんど放心状態で帰宅したために、約束をすっぽかしてしまったこともありました(忘れもしない、ニューヨークのテロがあった日です)。

もちろん、この2つの相談パターンは、ハッキリと区分できるものではありません。 その中間には、「解雇予告手当を払いたくないのだが、手続きを教えてほしい」「機器リースを期間途中で解約したいが、どうすればいいか」といったものもあります。

情報提供型の相談はWebでかなり代用できる

1日4件しか受けられない問題解決型の相談も、1日20件だって受けられる情報提供型の相談も、統計処理されると「1件」でカウントされてしまうのですよね。
東京都の労働相談の場合、その数は年間5万件で推移しています。もし、相談が「問題解決型」だけだったら、現有の職員数で5万件をこなすことは不可能です。 「情報提供型」がかなりの部分を占めているので、数を落とさずに来ているのです。
しかし、Webが情報提供手段の主体となっている現代では、いずれそういう分野に情報提供のウエイトは移っていくでしょうし、また、そうでなければならないと思います。
情報提供だけなら、AIなどを待つまでもなく、Webをうまく活用すれば、かなりの件数が消化できます。実際に、健康相談などでは多くの“まとめサイト”があるのはよく知られています。

ですが、相談件数が減れば、当然のように職員数は減らされてしまいます。実はそこに問題があるのです。
窓口職員数が減れば、1件あたりが重い「問題解決型」の相談事へ対応するマンパワーが維持できません。
相談窓口は、そういう矛盾を抱えているのです。
だから、私がWebで情報提供を始めたことが、すべての担当から歓迎されていたかというと、そうではなかったような気がします。


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