機械ではできないこと
インターネットを使えない人がいる
当たり前の話ですが、お年寄りでパソコンなんか使えない、という人がいます。役所では、いろいろな告知をWebで公開することを当然のように行っていますが、そういう情報から取り残されている人もサービス対象だということを忘れてはなりません。
相談からは少し話がそれますが、最近「お年寄りの見守りシステム」というのがいろいろと出てきています。その中には、Wi-Fi環境を前提に作られているシステムが少なくありません。 しかし、お年寄りが自宅にWi-Fiを引くのには、それなりの費用がかかります。月額3,000円から5,000円、格安でも1,000円以上は必要です。 年金暮らしで冷暖房も切っているような高齢者だと、活用はとても無理だと思います。
ですが、そういう人にこそ行政が手を差し伸べてあげなくてはならない、と考えます。
相談窓口にセカンドオピニオンを求めてくる人がいる
逆に、ネット活用がバリバリできて、すでにWebでいろいろ調べており、自分の中では結論を出している人も少なくありません。 あるいは、いろいろな相談窓口をウィンドウショッピングのように渡り歩いているような人もいます。こうした人たちが、更に窓口相談に来るのは、自分の考えを固めるために別の専門家の意見を欲しているからです。
意外とそういう人は多いので、担当になったら、そういう背景があるかもしれないということも心にとめておく必要があります。
面接相談にはカウンセリング機能がある
相談窓口に来る人たちは、いろいろと悩み事を抱えています。実際のところ、なかなか問題解決まで持っていくことができないことが多いです。それでも「誰かに心の内を聞いてもらうだけでも、少し楽になったような気になる」と言ってくれる相談者はいます。
機械では、そういう癒やしを与えることはできません。
窓口相談はキャッチボールの場
まれにですが、面接相談のやり取りをする中で、自分の考えを固めていこうとする人がいます。「新事業に乗り出したいのだが、成功する自信が持てない・・・」といった場合に、その是非を決めるための場として、相談窓口を活用するのです。
背中を押してもらえればGO! ちょっと待った方がいいと言われればSTOP! ということになります。
会社の幹部クラスになると、なかなか社内で弱音を吐けないというような立場の人もいるでしょう。そういう人にとっては、面接相談の場は効果大だと思います。
相談者によって回答を変えられる
これについては異論もあろうかと思いますが、相談者はそれこそ千差万別ですから、質問と回答が1対1で決まっているとは限りません。中にはとんでもないことを言い出す人もいます。機械なら「そんなことありえない」とか「すぐに医者に診てもらった方がいい」と答えるところでも、 人である窓口担当者は、まずは傾聴するはずです。そして、状況に応じて対応を変えていくはずです。
機械は矛盾を受け入れられないが、人間はそれを飲み込むことができます。 そういう臨機応変さが人ゆえの持ち味ではないでしょうか。
以上から、私としては行政の相談窓口を無くすことはできない、と考えています。
しかし、担当者の育成はどんどん難しくなってきています。 それでいて業務の効率化と専門性の高度化という相反する目標を目指していかなければならない、という局面はいつまでも続きますから、 IT活用はさらに進める必要に迫られてくるとも思います。