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ITは相談窓口を越えられるか

取っかかりのデータをいくら集めても傾向しか見えてきません。AI化に繋げるには、問題発生から最終解決まで一連のデータが必要です。

行政の窓口相談からはAIに繋がるビッグデータが得られない

最新のAIは失敗を学習し次回に活かす

最近のAIが注目されているのは、自己学習能力を持ったこと。いわゆるディープラーニングですが、これにはビッグデータというものが深く関わっています。
AIはインターネットを通じて、ありとあらゆるデータを自分で収集します。これによって、回答の精度が高まります。
さらにすごいのは、結果が失敗だった場合にその原因を考え、次のデータ分析を間違えないよう工夫することです。人間よりも賢いですね。
これをAIが自動でやるようになりました。このため、AIがどういう論理で結果を出したのか、開発したエンジニアにもよく分からなくなっています。 まさに、ターミネーターの世界ですね。

窓口相談は専門家に委託するのが主流

行政の窓口相談の場合、「受任できない」というウイークポイントがあります。
窓口に並んでいるのは、その道の専門家であることがほとんどです。専門家は、自らも「〇〇事務所」を開いていて、お金をもらって相談を受けます。
行政の窓口で相談を受ける場合は、相談を受けアドバイスをすることはできても、事案を受けて担当することはできません。 自分の顧客を得ることを目的として公共機関の窓口を利用することは許されないからです。 おそらく「知り合いの同業者を紹介する」といったところが、限界でしょう。
しかし、これでは持ち込まれた相談事の成り行きや結果がわかりません。つまり、窓口相談についてはビッグデータに繋がらないのです。
ビッグデータが得られなければ、AIを活用する意義がありません。技術的問題よりも、相談事業のあり方が制約条件となっているのです。
昔は行政の職員が相談を担当するのが普通でしたし、実際、東京都の労働相談などは基本的には職員対応になっています。 しかし、現下では行政は人事異動が激しく、ベテランも減り、その結果、職員のノウハウも“広く浅く”になってしまっています。 このため、相談窓口は「〇〇士」の先生方に依頼することが少なくありません。ですので、その相談事の結末まで知ることができないのです。

相談者本人が動かないと問題は解決しない

相談者と専門家との間には信頼関係が必要です。 私たちは「波長が合う」と言っていますが、今の相談者はいくつかの窓口を回ることが多く、中には「この先生に是非依頼したい」という希望も出てきます。 ですが、その依頼を専門家が受けてしまうと、「行政の窓口を商売に利用している」ということになり、注意されることになります。
なんか矛盾してますよね。
このため、窓口の専門家が代理人となって問題解決を取りなすことはできません。あくまで、相談者本人が動くことが基本です。
ある相談窓口(行政ではない)では、「ここから先は相談者と専門家との個人対個人の関係であって、相談窓口とはいっさい関係がありません」という一筆を書かせて 個別対応させていました。
そのような覚書を書かせたとしても、行政窓口だと顧客確保に公的機関を利用していることになりますから、何かあったときには責任を問われることになります。

窓口相談では、問題発生から解決までの一連の流れが見えてこない

もちろん、相談者本人が何回が窓口相談を繰り返して最終結果に行き着くこともありますが、まれですし、相談でのアドバイスに従うことで解決に行き着いたとしても、 その相談者が結果報告してくれるとは限りません。
ですので、取っかかりの窓口相談の事例をいくつ増やしたところで、AI化はもとより、何かシステム的な解決手法の発見に繋げるのは難しいのです。
ただし、一定の傾向値はわかります。「最近、こんな相談事が多くなってますから、気をつけてくださいねー」という周知には使えます。パンフレットくらいには仕立てられます。
そのためには、相談の分析は必要です。が、そのあたりが限界かと思います。


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