そろそろ人生の整理が必要か・・・
この先、日本はほんとうに大丈夫なのか、と思う・・・

定年より5年も早く退職してしまった私だったが、運良く中小企業振興公社に拾ってもらい、アルバイト生活を続けるうちに、もう4年近くが過ぎた。
3月にモデル事業の発表会があった。今回は、直前で司会者が倒れるなんてこともなく、無難に終わった。私は荷物番だった。ま、アルバイトには相応しい役割分担だ。そろそろ、身を引く時期が近づいたな、と思った。

担当の仕事もいよいよ大詰めとなってきた。
だが、事業終了について、誰もハッキリしたことを言わない。「この事業は終了しよう」と決まると、「次は何をするのか」と問われる。その答を出す自信がないから、都庁関係者の態度が固まらないのだ。
しかし、下請の立場では、それはとても困る。止めるなら止めるで、いろいろ準備があるからだ。
しかたがないので、関係機関に挨拶回りをし、「まだ、止めるか止めないかハッキリしないのですが、止める可能性が高いし、こちらもそのつもりで準備をしますので、いろいろとお世話になりました・・・」なんて、お礼を言ったところ、その直後に、「取りあえず来年前半まで継続する・・・」って決まった。どうなってるんだ。
元都庁職員として、現在の状況はとても恥ずかしい。しかし、「だったら辞めなけりゃよかったのに・・・」と言われかねない。卑怯にも逃げた立場の人間なので、あれこれ言っても仕方が無い、とも思う。

今年の大きな変化は、女性の上司が来たことだ。と言っても、年下の女性が上司になることは、初めてではないし、その上の上司もそうなのだから、別段、当たり前のことである。
当たり前のことを当たり前に判断してくれる人なら、男も女も関係ない。仕事なんだから。
いつの間にか、そういう世の中になったんだな、と実感する。
と、同時に、「男ももっとしっかりせぇ」と思ってしまう。
それもそれで、差別意識なのかもしれない、と反省する。

担当する仕事に、企業のPR動画の作成が加わった。制作サイドと対象企業の調整役だが、そもそも映画好きの私としては、面白い。
コンテなんてものがあるのは知っていたが、本当にこんな風になっているとは・・・。

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前年に、国の借金は1000兆円を越えた(12月31日現在、1028兆円)。毎日、700億円増えているのだという。いずれは破綻するだろう。
安全保障の歯止めは、なし崩し的にグズグズになってきている。しかし、近隣諸国はややもすると牙をむく。それでいて、日本に観光にきて爆買いをする。どう見ても、こりゃバブルだ。秋葉原界隈の商店は外国人人気に浮かれているが、これも、いずれはじける。
あれやこれや不安含みだ。そうなったとき、どういう具合に世界が回り出すのだろうか。
しかし、そんなこんなも、もはや自分にはあまり関係なく感じられる。

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アルバイトの賃金は月18万円。手取りだと14万円。当然、この額では食べていけない。それに毎日、晩飯は飲み屋だ。アルバイト代は、ほぼそこに消える。仕方なしに蓄えを崩しながら生活している。とはいえ、思いの外、減り方は少ない。

自分の趣味といったら、映画鑑賞とプラモデル。そんなにお金がかかるものでもない。ちなみに、この年観た映画のマイベストワンは「ジュラシック・ワールド」。
『妻なし子なし×なし自動車免許なしローンもなし。』――それをキャッチフレーズにすることにした。いろいろなものを持たなかった故に、最後のゲインが得られた。しかし、何か情けないな。

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旅行も嫌いだ。
しかし、この年、田舎からの採算のお呼びで、9月に、高岡に行った。北陸新幹線にも初めて乗った。快適。初めて駅ねっとで切符を予約した。以前、友達との旅行で使おうとしたのだが、台風でキャンセルになって使えなかった。
いろいろと世の中便利になっている。

高岡は、私の祖父母の出身地だった。
特段、観光地のようなところでもない。藤子不二雄の2人の出身地だという。それでも、大々的にこれを売ろうとはしていない。素朴さが、一番の取り柄といったところか。
私の叔父は、祖母の実家を継いでいるが、北海道からの養子で来ているので、私とは血縁はない。3人の息子は、未婚の長男がIT企業の幹部、次男がデザイン会社の社長、三男が料理店の店長になっていた。
しかし、孫は2人だけ。こんなところにも、少子化の波が押し寄せている。
叔父の趣味は写真で、自宅にはたくさんのアルバムが積まれていた。しかし、高齢になった今では、自動車免許も返上しているので、あれこれ写真を撮りに出歩くこともできない。老夫婦で年金生活を送っている。それはそれで幸せなのかもしれない。
「いっぺん遊びに来んと、私ら死んでしまうよ」というお誘いの言葉に乗ったわけだ。たまにはこんなのもいいかもしれないが、やっぱ、自宅でノンビリ過ごしている方が気楽だ。
高岡には小学生の頃、病気の祖父のお供で湯治に来たことがあった。頭川温泉というところだ。しかし、今では温泉街そのものが無くなっていた。

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今年のアクシデントとしては、12年間使ってきた給湯器が故障したこと。そろそろ買い換え時期かなと思って、東京ガスからカタログをもらっていたのだが、いろいろ種類があってどれがいいのかわからない。
そうこうしているうちに、突然、シャワーから水が出るようになった。勘弁してくれ~と悲鳴を上げた。
急いで新しくしてもらったが、37万円もかかった。ボーナスのない身ゆえ、イタイ。
でも、それが年間の一大事件なんだから、ま、ほどよい年だったと言える。
しかし、来年あたり、エアコンも換えなくてはならない。辛いなぁ~。

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だんだんと体力が衰えつつある。
しかし、今年はぎっくり腰になることもなかった。
目に飛紋症が出て、モノが見づらくなった。これも老化現象か。

記憶力も落ちてきた。人の名前が出て来ない。3月のイベントのテープ起こしをするのだが、なかなか先に進まない。

本棚に買った本が押し込められていたが、何が書いてあったか記憶にない。仕事関係なので、今後の人生にもあまり必要ないと思うが、口惜しいので捨てる前にもう一度読み直してみることにした。
内容の薄いものも多くて、こんな本を後生大事に持っていたのか・・・と思うものもある。
だが、本棚に隙間が増えるにつれて、何か自分の人生が失われていくような気がして、寂しい。

そんなこんなで1年が過ぎていく。来年はいよいよ還暦だ。私は一足早く職業人生から半分身を引いたが、友人たちも、来年は定年になる。雇用が延長されない者もいる。

さて、この先、どういう展開になるだろうか。

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