理想の展示場を作ろう
目次に戻る
展示ホールの配置を考える
なかなか展示場建設への核心に到達できません。
そこで、話は飛びますが、展示ホールの配置をどう考えるか、という点にふれてみたいと思います。
左の平面図は、東京ビッグサイトの東ホールです。
このホール配置を、モノにたとえていうならば、「豆腐の賽の目切り」といえます。
間仕切りをはずすと3つのホールを連続して使うことができます。ところが、4つ以上を使用するときには、どうしても中央通路(ガレリア)で隔てられた飛び地ができてしまいます。
次の図は、幕張メッセの本館の平面図です。いうならば「かまぼこ型」の配置となっています。
これなら、飛び地は生じません。
ですが、一つのホールを単独で使うとなると、間口が狭く、奥が深いホールになってしまいます。
1ホールを単独で使うなら、ビッグサイトの方がまとまりがいいのです。
私が知恵を絞って考えたホール配置は、3番目の図です。
正方形のホールを縦につないで連続性を持たせつつ、横に長くなるという欠点をカバーするために扇形の配置としました。
中央に広場(アトリウム)をもってきて、来場者導線ができるだけ均等になるように配慮しています。
ホールが正方形の場合、来場者の回遊コースは円に近くなります。
このため、まんべんなくホール内を訪問することになります。
1ホールだけを使う場合は、正方形がベストなのです。
しかし、2つ以上のホールを結合させます。

そうすると、左の図のように、3か所ほど、来場者がなかなか訪れない場所ができてしまいます。

アーチ型のホール配置は、来場者の動きにホールの形を合わせて、場内を平準化させることが、大きな理由になっています。

こういう形にしたいと思ったのには、他にも理由がありますが、別のところで説明することにしましょう。

ところで、旧晴海会場には「ドーム館」と呼ばれる円形のホールがありました。
建築物としても、たいへん魅力的で、完成当初は、これだけでも集客能力があったようです。強度もドーム構造の方が丈夫なはずです。

しかし、展示ホールとして考えるとき、円形だと無駄になる空間が大きくなります。
というのも、各ホールに設置される個々の展示ブースは、四角く区分されていくからです。
当然、通路も碁盤の目のようになります。ピット(配線・配管のための溝)も、これにならって縦横に設置されます。

ですから、展示場としての効率を考えると、ホールの形はどうしても正方形か長方形になってしまうのです。

→次のページへ