理想の展示場を作ろう
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足元にご注意を
古い公共の建物というのは、どうも空調の効きが悪いものが多いですね。

聞くところによると、ビルの空調というのは表面から見えないものですが、いいものを作ろうとするとたいへん経費がかかる部分だそうです。
逆にいえば、経費を節約するなら、まず空調から、ということになります。

役所が建設物を建てるとき、最初は必要とされる経費をすべて見積もりますが、予算要求の最終段階になって、一律にバッサリ切られることが往々にしてあります。
そうした場合、まず餌食にされるのは、空調設備になります。これが、空調の効きの悪い一因になっているという話でした。

展示場の場合、床部分が犠牲者になる可能性があります。
しかし、床加重の強度は、展示場にとっては死活問題につながりかねないところです。

古い晴海会場の場合は、地べたにコンクリートを流しただけの床でした。
いちおう、加重限度は1uあたり5tと決まっていましたが、実際のところ、そんなことにあまり気を使う必要はありませんでした。

ところが、最新型の設備では、地下にいろいろと設備を設けることが普通です。床自体が梁で支えられる構造になります。
だから、床の強度というのは、たいへん重要となってきます。

もちろん、埋立地の展示場だと、床のそのまた下の地盤そのものの強固さも、ひじょうに大切です。

ビッグサイトでは、なんとかその辺のところは、持ちこたえることができました。
当時、東京都には潤沢に資金があったので、土地の改良も入念に行われたし、建物の地下構造もたいへん深いところまで、きっちりと作られました。
それでも1u5tを、ようやっとクリアです。

展示場には、いろいろなものが陳列されますが、ときに大型印刷機のような重量物が所狭しとひしめくことがあります。
床の強度に自信が持てない場合は、重量物持ち込みのときにも、まず搬入経路を考え、据え付け場所を考えで、一苦労となります。

今のような資金不足だったら、どうでしょう。ぞっとするところです(注:ただし、1u5tというのは、1uに5mの高さの水槽を持ち込んだ重量で、そんな重いものはめったに展示されることはありません)。

同じ理由で、2階建ての展示場を作る場合は、2階部分の重量制限に注意が必要です。
できれば展示ホールはすべて1階部分に作った方がいいと思います。

ところで、展示場内に2階建ての構造物などを設置する場合、それを固定するため、床にアンカーボルトを打ち込んで留めることになります。
展示会が終わったらボルトを焼き切り構造物を撤収します。当然、床が痛みます。

このため、展示場の床は何年かに1度、上部をはがして補修しなければなりません。
アンカーボルトを使った場合は、出展社から、将来の補修経費相当部分を徴収することになります。

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