理想の展示場を作ろう
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ホールに備えなければならない設備(1)
ピットとその内部に必要な設備
ピットとは、会場の床に配置された溝のことです。
この中に配置されるのは、@電源・照用の配線、情報通信用の配線、音声専用の配線、Aガス・水道用の配管、下水用の配管などで、@とAは同居できません。
Aの配管は、必要に応じて、主催者が設置することになります。

このうち、電源は必置です。
各ブースには、個別に照明が必要なので、ピットが無いと、元電源から地面の上をケーブルをはわせることになります。
その結果、展示会場は「障害物競走」などと、悪口を言われるようになります。

情報用の光ケーブルが必要だという業者がいたなら、あなたはカモに見られています。
いりません。そんなもの設置したなら、維持管理のための費用は甚大です(理由は文末をご覧下さい)。

ピットの中には、人が入って作業します。
このため、それ相当の広さが必要とされます。

ピットが廃水用の通路として兼用される場合があります。
その際は、断面が左の○のようになるほうが、汚水が流れやすいです。
内部での作業のしやすさを考えるなら×の方がいいかもしれませんが。
ピットには当然蓋がされますが、床の強度を確保するため、強靱な鉄製の蓋になります。
重いです。
その重い蓋をはがしながら、ピット作業を進めなければなりません。
このため、数十cmくらいに蓋を分割して、ピット上部にはめ込んでいくことになります。

それでも、鉄製の蓋は、数十kgの重さです。
お金はかかるかもしれませんが、一つ一つの蓋をはがしやすいように、引き出し型の取っ手をつけると、便利です。

 
(補足説明)

幻の入場管理システム

ビッグサイトの当初計画案では、入場管理システムを設置することとなっていました。
その概要はこうです。

施設の中枢に大型のコンピュータを設置します。
主催者は、来場者の事前登録を推奨します。来場登録の内容は、メインコンピュータにすべて記憶されます。
登録されないまま当日来た来場者は、登録所に設置された端末から、メインコンピュータに入力されます。
このことにより、すべての来場者のデータが、会場側のコンピュータに記憶されるワケです。

登録された来場者は、来場者カードを受け取ります。カードには、バーコードで来場者の登録番号が記載されています。

展示ホール内には、超高性能のLANが張り巡らされています。

そして、ホール内の出展社ブースにも、端末がおかれています。
来場者がブースに来ると、出展社は、来場者カードの提示を求めます。
それを、手元のカードリーダーで読みとると、ブース内の端末に、その来場者がどんな人物か、表示されます。
出展社は、これを見て、商品の説明内容を変えるのです。

どうです、すばらしいシステムでしょう。


(補足説明2)

入場管理システムはなぜ実現しなかったか

@来場者のデータは、主催者のものだ

主催者は、登録所で来場者から名刺をもらいます。
その内容は、主催者の事務局のコンピュータに登録されます。
主催者は、それをもとに名簿を作ります。
そして、それを、出展社に売ります。
主催者は、会場側に来場者のデータを一括管理されたくは、ありません。

A入力の手間がたいへん

展示会の場合、事前登録をする来場者はごく少数です。ほとんどは、当日、いきなり来ます。それを、すぐその場で端末から入力するには、膨大な人数のアルバイトと、たくさんの入力端末が必要となります。OCRなどもありますが、誤読も多いですから、やはり人手を必要とします。
その費用は、すべて出展料に跳ね返ります。

B強力なLANが必要

大きな展示会だと、出展社は数百社になります。来場者も一日数万人です。
それだけのデータのやり取りをするには、どれだけの太さのLANが必要か見当が付きません。
私たちは入力の手間を省くため、来場者の名刺を画像データで読みとり、バーコードを貼って、簡易な入場者カードを作ることを提案しましたが、画像データをそんなにたくさん流すのでは、いかに光ファイバーといってもパンクしてしまうといわれました。

Cそもそも、来場者が事前登録をしてくれるでしょうか?

当時も事前登録制はありましたし、インターネットが発達した今日は、かなりたくさんの展示会が事前登録を採用しています。ただしこれは、ほとんどの場合は、専門的な展示会に限られています。いわゆる、「部外者お断り」の展示会です。
そもそも、そんな面倒なシステムを導入したら、来場者の数は激減してしまうのではないでしょうか。
人が来ない展示会ほど、寂しいものはありません。

DLANは維持管理がたいへん

会場内にLANを張り巡らすと、LANを問題なく機能させるためのメンテが会場側の責任になります。
べらぼうに高くつきます。

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