展示会を開催するためには、関係の役所の許可を得なければなりません。
基本的には主催者と役所との関係になりますが、その結果が施設運営にも深く係わってきます。
それに主催者は大切な顧客ですから、会場側としても知らんぷりできる部分ではありません。
このため、会場側のスタッフとして、関係OBなどを迎え入れ、相談窓口とします。
一見、「天下り」のようにも思われますが、旧職務と新しい仕事との利害調整にあたる当事者は、なかなか難しい立場に置かれます(※ビッグサイトには、警察・消防の関係者が常駐します)。
催しものがある日は、土日でもおちおち休んでいられない、きびしい仕事です。
融通の利かない人が旧職務の原理原則を通せば「あの会場には官憲の傀儡がいる」というウワサはあっという間に主催者団体に広がります。お客はどんどん引いていきます。
かといって、100%主催者側に立って規制を遠慮しすぎると、大きな事故につながりかねません。
バランス感覚をもった人を選任できるかどうかが、会場の浮沈が左右するといっても、言い過ぎではないのです。
なお、催しものと係わりの深い官庁には、次のようなものがあります。
(1)警察
催しもの開催時には、来場者の誘導計画などについて、事前に警察と相談します。
混雑が予想されるときは、たくさんの誘導要員を配置するように、警察から指示されます。しかし、主催者にとって、人件費ほど高いものはありません。
主催者はできるだけ、これを節約したいと思うわけです。
そのほか、周辺の道路規制などについても、警察が権限をもっています。
警察の理解なくしては、自動車関連の展示会は開催できません。
(2)消防
避難通路の確保は、消防の権限下です。この基準、ひじょうに細かく決まっています。
会場内の通路の広さは、これによって左右されます。通路が広ければ、当然、出展社に売れる面積が少なくなります。
主催者の弁を借りるならば、日本の消防法による規制はヨーロッパなどよりかなりきつい、とのことです。
多少込み合っている感じの方が、催しものがにぎわっている感じを演出できるので、その意味でも、主催者は通路を狭くしたいと、思っています。
(3)保健所
展示会場内に出店を出すときは、保健所の許可が必要です。
神社の縁日には、焼きそばやたこ焼きの屋台がたくさん出ていますが、場内に出展するとなると、なぜかたいへん条件が厳しくなります。
手洗い所の完備から廃水設備の仕様、さらに料理の取り扱いまで、ひじょうに細かな指示があり、これをクリアしなければなりません。
そのほか、興業法による規制についての権限も保健所が有しています。
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