理想の展示場を作ろう
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広告掲載について考える

ごぞんじのように、野球場のバックスクリーンにはたくさんの企業広告が載っています。
しかし、展示場の場合、場内案内はありますが、ビッグサイトでも幕張メッセでも、企業広告は簡単には見つからないでしょう。

商用施設なのに広告が見あたらない、変だと思いませんか?

たとえば、松下電器が展示会を開催したとします。その通路に、東芝のポスターがたくさん貼ってあったら、来場者はどんな感じを抱くでしょうか。
実は、ここに展示会場内での広告掲載の難しさがあります。

単なる広告の掲示でも、開催状況とのすりあわせを考えなくては、簡単にはできないのです。
ひとつの展示会には数百の出展社が集います。ですから、そのすべての状況を把握して広告掲載を準備することなど、不可能なのです。
ほんとうなら、広告収入は、のどから手が出るほどほしいのです。出したい企業も多いでしょうし・・・。

ところが、関西の展示場に行くと、たくさん企業広告が張り出されています。この辺も、風土の違いなんでしょうかねぇ。

そこで、理想的な展示会場には、通路にプラズマディスプレイを設けて、会場案内と企業広告が交互に表示される仕組みを作りましょう。
表示が頻繁に切り替われば、出展社にもあまりいやな感じを与えません。中央で制御し、同じ広告が同時に表示されないようにします。

まず、コンピュータに1か月分の広告スケジュールを記憶させます。表示内容は業者から清刷原稿で持ち込んでもらって、スキャナーで読み込む方式にします(素人でも操作できるように)。
レストラン案内などが必要のない、10〜11時、14〜16時を広告タイムとします。1時間を1スケジュールとし、これを3回繰り返せばいいわけです。
1単位を30秒とすれば、1時間に120枚程度が表示可能です。半分くらいは会場のインフォメーション(場内施設の紹介や展示会スケジュール)にあてます。
したがって、企業広告に使えるのは60枚くらいです。
展示会繁忙期の春秋と、夏冬とで、掲載料にかなり大きな差をつけなければなりません。

ディスプレイは巨大なものよりも、40インチくらいのものが目線の高さにあればいいと思います。
注意しなければならないのは直射日光で、明るいところでは、こういうものはほとんど役に立ちませんから、注意しましょう。


実は、私たちはビッグサイトでこれを試みようとしました。
ただし、場内ではなく、会場の外にある大型ディスプレイを使ってです。設備面での準備はかなり整っていました。
しかし、大きな障害があったのです。

臨海副都心には、広告規制があるのです。

都バスが「リゲイン」の広告を積んで街中を走り回っている今日では考えられないことですが、当時(たぶん今も)の臨海部では、そとに広告を出すことが禁じられていました。

まず第一に内部に照明を持った掲示板はダメとされました。ビッグサイトの大型ディスプレイはこれに該当します。しかし、外から照明を当てることは規制されませんでした。不思議です。
第二に、高さの制限がありました。このため、多くの企業は、窓の内側にロゴを貼るというゲリラ戦法に出ました。

しかしながら、企業広告というのは、ある意味では道案内表示でもあります。
あれだけの奇抜な会議棟があるのだから、屋上に「東京ビッグサイト」と表示したいですよね。

それがないがために、たくさんの、ほんとにもうたくさんのお客様から、「会場の場所がわかりにくい」というお叱りの言葉を頂戴しました。
まわりのビルにも広告塔がないので、道案内もとても難しかったのです。

私は今でも、この広告規制を設けた東京都の方々に×××(以下、都合により自己規制します)。

さて、屋外の大型ディスプレイを使ったPR戦略には、広告規制以上に手強い敵がいました。

どうも、やっても収支が合いそうもないのです。

新宿のアルタ前とか、渋谷の交差点のように、常時不特定多数の人々がいるところだと、電照広告も意味がありますが、展示場のように目的意識のはっきりした来場者に対しては、あまり効果が期待できないのです。
それに、開催のないときは閑散としていますから、がらんとしたところで、笑顔のおネーさんなんかが商品をもって表示されていては、不気味な感じさえします。
加えて、屋外では、どうも明るすぎて目立ちません。

最終的に、手間や人件費などを計算すると、とてもこれはペイしないとの判断となりました。

ただし、場内にディスプレイを置くことには、多くの利便があります。
それはまた、別項で。

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