理想の展示場を作ろう
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防災マニュアルを作ろう

ビッグサイトの開業1年前、阪神大震災が起こりました。

たくさんの来場者を集める会場ですから、当然、防災のためのマニュアルが必要です。ただし、その第一の作成目的は、火事を消すことでも、けが人に対処することでもありません。

何をおいても来場者のパニックを起こさないこと。これに付きます。
ということは、災害発生直後の緊急処置がすべてです。

10万人も会場に入っていれば、身の安全は、一人一人の来場者に託さなくては、どうにもなりません。
ホール内の秩序は主催者に任せなければ、会場側事務室から走っていっても数分かかりますから、意味がありません。
とりあえずできることはといえば、パニック防止くらいしかないのです。

このため、状況に応じて複数の種類の防災マニュアルが必要です。

その1:主催者事務室の壁に、緊急対処法を掲示する。

よく目に付く場所に、「緊急時の対処法」を貼ります。たくさんの内容は書けませんから、とりあえずやるべきことを箇条書きします。
「緊急時の心構え」なんかは必要ありませんから、やるべきことだけ書きます。

〔記載例〕

消防署は119番、警察は110番
中央防災司令室は、内線○○○○○番です。
詳しい防災マニュアルは、この事務室の××にあります。
事務室のモニターでテレビ放送が見られます。スイッチは・・・。
場内のパニック防止のため、必要があれば緊急放送をお願いします。
(放送例)
「ただいま、関東地域で比較的大きな地震が発生しました。
震源地は○○地域、震度は××でした。
この地震による津波の心配はありません。
これまでのところ、場内での災害の発生は報告されていません
その他、詳しい情報については、入り次第、お知らせいたします。」


その2:主催者用防災マニュアルの記載内容

いくぶん詳しい防災マニュアルを作って、事務室に備え付けます。詳しいといっても、電話帳のように厚いものを作っても、役に立ちません。20〜30ページがせいぜいでしょう。

表紙に「消防署は119番、警察は110番。中央防災司令室は、内線○○○○○番です。」と記載します。
何をそこまでと思われるかもしれませんが、実は、災害発生時には、主催者自身が舞い上がってしまって、消防署の電話番号すら、とっさに出てこないことがあるのです。

もっとも、消防・警察が役に立つのは、その会場だけ災害が発生したときだけで、初期に頼れるのは、会場側の防災司令室だけだと思った方がいいでしょう。

さて、マニュアルの記載内容ですが、まずは人命第一です。
場内の救護所の場所、会場付設のクリニックなどの案内、最寄りの病院への連絡方法を最初に持ってきます。
第二には、消火施設の案内です。
第三には、周辺避難場所の案内です。会場内にとどまるのが一番安全だということも説明しておきます。
次に、都心との連絡方法です。これも望み薄でしょう。大地震などの発生時には、電話等ほとんど利用できませんが、公衆電話の場所を問い合わせに来場者が殺到することも想定されますので、場内の電話の位置なども載せておきます。

実は、主催者用マニュアルの最も重要な点は、「主催者あてに脅迫電話があったらどうするか」です。
この辺のところはマル秘なので紹介できません。もっとも、このマニュアルに詳しく記載されることはありませんけれど。具体的な対処方法は、次の会場側マニュアルに詳述されることになります。

その他、「応急処置の方法」などの冊子を、念のため主催者事務室に置いておくといいでしょう。

その3:会場側防災マニュアルの記載内容

私も、中央防災事務室のマニュアルの内容どのようなものかわかりません。

しかし、防災事務室の人間が、非常時にマニュアルを読んで行動していたのでは話になりませんから、おそらく「防災マニュアル」という冊子としてではなく、業務指示書のような形で存在していて、「すわ!」というときには読む前に行動できるようになっていると思います。

来場者に十分な情報を与える

情報不足はパニックの引き金になります。

しかし、いざという場合に、事務局にその余裕はありません。
そこで、ハイテク施設を利用してみてはいかがでしょうか。

会場内には、場内案内用(兼、企業PR用)のディスプレイがたくさん設置されています。
地震発生時には、これに一斉にテレビニュースを流すようにします。

そうすれば、時事変化する状況が来場者に伝わります。

そして、会場にとどまり冷静さを保つことが一番安全なのだということテロップで流し、十分に伝達します。事実、そうなのですから。

緊急避難の方法などを知らせることは必要ですが、これが誤って表示されたりするとパニックの引き金になります。
防災関係の仕組みを考えるときには、専門家の意見を良く聞き、また、同業の展示場とも協力して、いいものを作り上げましょう。

事務局側にも臨戦態勢を

大きなイベントだと「爆弾を仕掛けた」などという嫌がらせがあります。
事務局側も、こういった妨害への対応策が必要です。

ほとんどの場合、愉快犯ですから、それによって付和雷同すると、犯人はいい気になって犯行を重ねます。
かといって、無視することはできません。
関係者一丸となって全力を出し、毅然とした対処が必要です。

また、イベントが終了したからといって、「まぁ、いいか」で犯行を見逃すことなく、証拠をしっかり保存し、いざ、裁判となった場合に備え、「脅迫状を発見した人は誰」「電話をとったのは誰」など、関係者を確認し、事実関係を書類で残しましょう。

事務局には自営消防団などの設置が義務づけられるので、こうした場合の手引きに、各人の対応を明記しておきます。

ビッグサイトの場合、コミック関係のイベントで発煙筒をたかれた事件、おもちゃショーのときに「人体に害のある材料を使うな」という垂れ幕を会議棟からおろされるという事件がありました(いずれも犯人は逮捕)。

世の中にはいろいろな主張があるとは思いますが、圧倒的多数は関係のない善意の人たちなので、そういった迷惑をかけることは許されないと思います。

余談ですが、垂れ幕事件を意図したとされる団体は、同じ会場で後日開催された環境関係の展示会に出展したりしてます。
ほんとに不思議。

なお、災害や犯罪に対してしっかりした対応をするために、事務局側に消防・警察の関係者を招聘する必要があると思います。

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