実践! 経営革新入門 社内プロジェクトの発足
●計画性のある事業に向け再検討

環境事業の展開で、さっそく躓いてしまった都南社長であった。

最初は自分なりにいいアイデアだと思っていた。しかし、金融機関が言うように、確かに具体性に欠けることは否定できない。
都南は、会社が提携しているコンサルタントに相談を持ち込んだ。

[坂井(コンサル)]: 確かに目の付け所はいいですが、やはり企業体としての事業計画の水準まで行っていないようですね。事業化計画というよりは、自分のやりたいことを列挙しているだけ、といった感じです。

[都南社長]: 私もそう思います。しかし、子供たちを見ていると、このままでいいのか・・・とも思うんです。何か、できないかと・・・。

[坂井(コンサル)]: 優秀な従業員もたくさんいることだし、先代社長の知り合いにも頼りになる人たちが大勢います。いろいろな人に意見を聴いてみたらどうでしょうか。

[都南社長]: そうしてみます。

[坂井(コンサル)]: それと、この計画には、○×サービスがやっている仕事との間の関連性が薄いように思えます。まずは、ご自分の会社の事業内容の分析から始められたらいかがでしょうか。

[都南社長]: そうはいっても、会社はじり貧の状態ですし、何か役に立つ材料があるのでしょうか。

[坂井(コンサル)]: これまでの企業の強みを新規事業に生かして弱い部分を克服するところが、経営革新計画策定の神髄なんですよ。



●会社の英知を集める

社長は昔を思い出した。
先代の社長・都南一郎は人の意見を聞かず何でも自分で決める人だった。
息子の都南次郎は、そういうオヤジに何かにつけて反発していたのだが、今回の一件を振り返ってみると、自分も父に似てきて何でも自分中心に進めていたように思えた。
だから、今度はコンサルタントの意見を取り入れ、従業員の考えを聞くことにした。

[都南社長]: 我が社の経営は低迷している。何か新しい事業を考えないと、いずれは廃業になる。できれば会社を再興して、息子に継がせたい。だが、今の子供たちを見ると、どうも元気がない。部屋の中でゲームばっかりやっている。

[篤志(若手社員)]: それは、社長の考えが古いですよ。ゲームも立派な先端技術なんですから。

[都南社長]: だが、やはり子供は自然の中で走り回っていた方がいい。

[相馬(中堅社員)]: ここで話をしているのは事業プランです。何か会社の事業に繋がるものでないと、話だけで終わります。

[番野(古参社員)]: 当社も今じゃメンテ業だが、昔はもの作りをやっていた。そうした基礎的な技術があったから、サービス業としても何とかやってこられたんだ。具体的にそれが何だか言い表せないが、次の時代に伝えるべきものがあれば、そんなところに埋もれているのかもしれない。

[都南社長]: コンサルの坂井さんからも、仕事との関連性で考えてみてはと言われている。みんなも忙しいだろうが、力を貸して欲しい。

都南空調サービスでは、さっそくプロジェクトチームを立ち上げることにした。



 
 <補足説明>
経営革新計画を作るには、まずは、自社の事業内容を分析してみることが必要です。どこに強さがあり、どこに弱点があるのか。従業員の皆さんと十分な意見交換をしてみてはいかがでしょうか。




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