実践! 経営革新入門 ネットの活用
●場所の確保

社をあげての大掃除が始まりました。



教室に模様替えする旧工場跡の倉庫に、売れ残りの在庫は思ったほど残っていませんでしたが、その代わり、たくさんの工作機械が眠っていました。
都南空調サービスは、昭和40年当時に地方へ工場移転したのですが、そのときすでに古い型になっていた工作機械群です。

都南社長は、こういうものの処分を放置していたことを、大いに反省させられることになります。

かつては、古い製品といっても赤字覚悟で値引きすれば売れたものです。木製の廃材は、近所の銭湯が焚きつけとして引き取ってくれました。
しかし、今はゴミを出すにも「お金」がかかる時代なのです。調べてみると、廃棄物処理のために予想外の出費を強いられるとわかりました。

[都南社長]: どうしたものかなぁ。

[篤志(若手社員)]: 在庫品も加工機械も、骨董品です。買い手がつくかもしれません。

[都南社長]: あんな古いもの、誰も買いはしないよ。

[篤志(若手社員)]: 今はネットオークションというのがあります。インターネットを使って広く買い手を探せば、売れるかもしれません。それでももらい手がつかないものだけ産業廃棄物にすればいいと思います。

ネットオークションは、予想以上の効果がありました。
その工作機械を開発したメーカーが、「自社にも在庫がない機材なので買い戻す」と言ってきたのです。
倉庫を塞いでいた機材は一掃され、わずかではありますが、改装費用の足しにもなりました。

[都南社長]: インターネットの威力に、今さらながら感心させられた。新事業をPRするときも、インターネットを利用しよう。

さて、次は倉庫を教室に変身させる段階になります。
これは、○×サービスの得意とする分野です。したがって、従業員たちは嬉々として作業に参加しました。

意外だったのは、会社旅行や忘年会には出てこない若手従業員が進んで参加してくれたことです。

「仕事でも、これだけ熱心になってくれればいいのだが」 と苦笑する都南社長ではありましたが・・・・。

すでにOBとなった従業員も手弁当で参加してくれましたし、近所の人たちも物珍しそうに集まってきました。それだけでも、十分なPRになりました。

こうして半月もすると、埃をかぶった倉庫は見違えるようにきれいになり、おとぎ話のお菓子の家のような、メルヘンチックな子供教室へと変貌したのです。

屋根の上の看板には、誇らしげにこう書かれていました

****** 『まちなかの、モノづくり教室』 ******





 
 <補足説明>
Webの活用は、その効果が予測できません。反響が殺到して、そちらの方に忙殺されることもあれば、まったく手応えがない場合もあります。費用をかけて利用する場合は、事前にITに詳しい専門家の助言を受けるようにしましょう。




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