月夜裏 野々香 小説の部屋

    

錬成系 維新戦記 『1kg級魔法使いで』

 

  

 

 第02話 1852年 『瑞穂銅行と。国防参謀役と。』

 おれ、銅行屋になっちまったぜ、

 副業で、製鉄所と造船所とか作ろうとしてるし、

 おかげで、老中直属で1000石の国防参謀とか、

 

 

 

 1月

  桂小五郎、斉藤弥九郎の紹介で江川太郎左衛門に入門砲術等を学ぶ

  英国がトランスヴァールの独立を承認

  琉球にイギリス船現る

  寅二郎、鼎蔵会津に立ち寄る

 

 この時代のアームストロング砲は、世界最強レベル。

 まだ、開発されてないものもあるけど、

 薩英戦争(1863年)前後には、配備されている。

  アームストロング後装施条14口径178mm砲    約50kg   358m/s  射程4000m

  アームストロング前装施条14口径178mm砲    約51kg   465m/s

  アームストロング後装施条22.5口径120.7mm砲  約18kg   360m/s  射程3400m

  アームストロング後装施条14.3口径95.3mm砲   約9.9kg  340m/s  射程3100m

  アームストロング後装施条24口径76.2mm砲    約4.84kg  378m/s  射程3100m

 こっちも作るけど、真似しようと思っても簡単に真似できるものじゃない、

 とはいえ、製鉄所さえ完成すれば、なんとかなりそうな気もするし、

 製造は、歳月の問題と言える。

 でも、その前に大砲を製造する工作機械なんだよな。

 鎖栓式閉鎖機と、段隔螺式閉鎖機を作ろうとしてるけど、

 もうしばらくかかりそう。

 ていうか、工作機械が大変なんだって

 

 

 武山(200m)

 久里浜を見下ろす山に櫓を建設している。

 ペリー艦隊を見下すためもあるけど、追い返すこともできなくはない、

 しかし、開国しないと日本の文明開化がな・・・・

 まぁ おれが、文明開化してやってもいいけどさ、

 下手すると幕府に殺されるし・・・・

 「国防参謀殿。櫓の作りが少し、雑な気がしますな」

 「海からくる船に見せつけるための櫓だからな。これくらいでいい」

 

 そうそう、西洋風の軍服と戦闘服と鉄帽を試作してます。

 銃も必要だけど、まずは、形からだよな。

 

 

  2月

 会津藩主松平容敬死去、養子容保に家督相続

 

 

 今日は今日で、製鉄所製造所で、瑞穂銅行券を錬成中、

 そして、越後屋の番頭さんが持ってきた銅貨の山と交換する、

 あとは、交換した銅貨で、人足一人一人に日当500文を支払うだけ、

 最近は、人足でさえ、小金が溜まってるのか。

 10分の1を損しても重たい銅貨を嫌い瑞穂紙幣と交換したがる、

 そりゃそうだろう1gの10000文紙幣と。10000枚の銅貨を持ち歩くのとでは、全然違う。

 こっちも10000文、5000文、1000文は、大きさが少し違うだけで、

 重さは少ししか違わない、錬成したとしても大して増えないので、割損になる。

 なるべくなら10000文を錬成したい、

 

 

 3月

 全長60m×全幅10mと、全長120m×全幅20mの乾ドックを掘ってる。

 完成すれば全長50m×全幅7mと、全長100m×全幅17mほどの船を建造できた。

 建造しやすいようにクレーンのようなものも建ててる。

 木造船は、檜50m。杉60m。椹50mほどなので、

 竜骨の長さで逆算するなら、せいぜい、全長が40m〜60mの船になる。

 竜骨を持つ船は、外板を薄くでき、

 竜骨が重しの役割を兼ねて、復元性が高いことがあげられ、

 艦首を鋭角にしやすく耐波性も良かった。

 未来の船になるとモジュールを繋ぎ合わせていくだけで、完成するが、

 そんな建造の仕方をすると、とんでもなく複雑な計算が必要になった。

 最初は、弁才船を機帆船に改装することから始めた。

 そして、蒸気機関になれたあと、

 全長50m×7mの3本マストのスクーナ船の建造、

 見よう見まねで建造したので、一部、和船みたいな感じだ。

 しかし、船橋の上に第一帆が立っていて、

 30口径75mm連装砲  射程6500m  砲弾6.1kg

 艦首2基 艦尾1基

 ターンテーブルの上に載った連装大砲は、比較的小型砲であっても駐退機を備え、頼もしく思えた。

 「本当は、フィリピンのチーク材で建造したかったかな」

 「そんなにチーク材はいいのですか」

 「最高の船材だろうな・・・・」

 蒸気機関は、100馬力。底部に配置され、スクリューを持っていた。

 それとは別に、

 小銃 銃身長700mm/全長1000mm  6.5mm×50 初速730m/s

 が海兵に配られている。

 

 そうそう、TNT火薬を作らないとな。

 いつまでも黒色火薬は嫌だし、

 無煙火薬とか、どうやって作るんだろう。

 今そんな感じ、

 とにかく懸賞金を出して、新型爆薬を開発させてるよ。

 でも、おれは、近づかない、危ないから (笑

 

 

 

 4月

  第2次ビルマ戦争起こる。

  吉田松蔭東北旅行から江戸へ到着

  河井継之介27歳、佐久間象山の象山書院に入門

 

 老中 久世広周(33)に江戸城に呼ばれた。

 老中は報告書に目を通している。

 本丸も二の丸も焼けているけど、支障ないようだ。

 封建時代らしく、

 大廊下、大広間、溜間、帝鑑間、柳間、雁間、菊間広縁があって、

 おれがいるのは菊間ね。

 膠着した世襲と権力に酔った侍階層に、

 かしずいて、おべっか使って、人脈を繋げて、談笑するだけ、みたいな

 現場で仕事したほうがいいじゃん的な。

 まったく、江戸城を登り降りして参内するの大変だし、

 仕事ないし、なんか意味あるの、みたいな。

 ああ、勇者を待ち構えてる魔王城ならぴったりかもしれんけど、

 幕末だぜ、

 江戸中期ならいざ知らず、待っててどうすんのさ、

 マジで、おまえら、ラスボスだよ。

 そうそう、江戸城本丸の再建がされないのは、徳川家が呪われてるから、

 大名、旗本、御家人だけでなく、町民の間に

 本丸を建て直しても、また城下町を巻き込んで、大火でしょ 的な空気が漂ってるわけ、

 まぁ 何回、修理しても大火が続いてるし、まぁ 縁起担ぐよね。

 「国防参謀殿、御用船の建造は、いいようであるな」

 「はい、幕府は、海軍を持つことができますよ」

 「そうか。オランダの情報によると。来年は、アメリカから使節船団が来るという」

 「対抗せねばならない。対抗できるか?」

 「相互主義で、国交を結ぶことはできるはずです」

 「国交を結ばず、開国せず済ませたいのだが」

 「それはできなくありませんが、外患と結び離反する藩も現れるかもしれません」

 「そなたは、どうしたらいいと思うておるのか?」

 「天皇を江戸に住まわせるか。徳川幕府が京都に引っ越すか」

 「そうしなければ、天皇を外様に奪われ、徳川が逆賊にされかねません」

 「しかし、天皇が江戸に住めば、徳川の治世は、危うくなる」

 「それに幕政を京都に移しても、徳川の治世は、安定しない」

 「では、外国にバラバラにされぬよう諸藩士族を集め、幕藩連合で国軍を編成するよりないでしょう」

 「「「「・・・・・・」」」」 ため息

 「今のままでは、済まぬと申すのか」

 「来年来るというアメリカ使節船団との条約。諸藩に物言いが入らぬよう上手くやるしかないでしょう」

 「綾波国防参謀。本当にアメリカに遅れを取らぬであろうな」

 「幕府は、遅れを取りません」

 「しかし、外国船が大砲を外様藩に降ろしたら、大変なことになります」

 「相分かった。善処してみることにしよう」

 

  

 5月

  吉田寅之助、脱藩の罪を自主し長州へ送還、到着

 

 おれの周りに御家人が4人ほどいる。

 なんでかというと、上洛で預けた太刀が軽くて竹光と思われたらしい、

 老中から派遣された国防参謀の直属護衛だそうだ。

 おれが、外様に逃亡しないよう見張ってるとしか思えないな。

 まぁいいけど、

 だけど、侍は、滅ぼしてぇ

 ていうか、チャンバラの時代じゃなくて、鉄砲の時代なんですけど、

 ぶっちゃけ、お前らより、庶民の方が生産力が高いんだよ。

 というわけで、おれは、士農工商に関係なく、能力に応じて、賃金を払うことにしてる。

 でも、どこぞの侍のご落胤とか、天下りがきそうな予感、

 そうそう、暇潰しに道場で剣術を教わったわ・・・

 何しろ、転移系と違って、おれ、逃げられないし、

 魔法を使うと1kg分軽量化できるので、日本刀の重さをほぼゼロにできるし、

 振り下ろすとき、1kg分の重さを加重させられるらしい、

 もっとも慣性の法則でかかる重量はそのまま加重されるから、

 見た目より力があるくらいかも、

 だいたい、軽量と加重の切り替えで、魔法1回分とか、損だわ、

 ・・・・・・・

 ・・・・・

 ・・・

 おれ、剣術の才能ないかも、

 ていうか、これまで、どんな生き方してきたのって感じで、軽蔑されちゃったよ (涙々

 

 

 

 

 6月

  ロシア船メンチコフ号下田投錨

 

 最近は、10回を超える前に瑞穂紙幣を錬成することが増えてる。

 まぁ なるべく、魔法回数を残して自衛したいからさ、

 木製自転車は、上手く作れてる。

 タイヤは、オランダから買ったゴムを使ったよ。

 乗ってみたら、思わず涙ぐんでしまったよ。

 おれ、シャフト駆動の自転車を作ってやるんだ。

 

   

 そうそう、ちょっと、名が知れると、

 成り上がりたい、名を売りたい、浪人に挑発されやすくなる、

 ていうか、不詳の非人から行商人風情だったので、相手にされなかったけど、

 一応、帯剣を許されて、武士扱いになると、難癖をつけられそうになるわけだ。

 「おい、そこの偽侍」

 子供3人に喧嘩を売られる (笑

 付きの者が対応しようとするけど、

 やめさせた。

 子供を見てる中に、その筋の者が5人くらいいるわけで、

 高飛車になって、子供相手に本気になると、その5人組が、かっこよく出てくるわけ、

 やべぇ〜〜

 お付き2人だし

 魔法力あと、3回だし、

 ギリギリじゃん

 召喚系と違って、現物なしの口弁慶だし、

 転移系と違って逃げられないし、

 1kg級魔法使いとか、器用貧乏なだけじゃん、

 とにかく、金持ち喧嘩せずだし

 無視続けて、公衆の面前から離れ、その場を切り抜けたよ。

 “覚えてやがれ!”

 子供たちは、雇い主が見えなくなると、逃げていく、

 そう、証人になる公衆の面前でなければ、挑発の意味がないからだ。

 

  

 

 7月

  ジョン・万次郎一行土佐に送還

 

 老中たちにペコペコですけど、

 おれ、瑞穂銅行で財力があるし、

 国防参謀で権威があって、

 旗本や御家人の役無しを雇って仕事してますよ。

 でも、こいつら威張り散らかして、使えねぇ〜

 まぁ そこそこ、寺子屋で勉強してるので

 平均的に頭いいし、若い方が謙虚だけど、特権意識が強すぎるかな。

 まだ、庶民の方が使いやすい気がする。

 でも、庶民は、勉強が足りない気がする。

 そうそう、一応、軍組織を作ってやったよ。

 階級は、9段。

 大将、中将、少将、

 大佐、中佐、少佐、

 大尉、中尉、少尉

 軍曹、伍長、一等兵、二等兵

 

 班    将校と、一等兵と二等兵の3人

 分隊  少尉。軍曹。兵長。一等兵3人。二等兵3人  9人 (少尉1人)

 小隊  中尉と一等兵、二等兵の3人と、分隊4個  39人 (中尉1人。少尉4人)

 中隊  大尉と一等兵、二等兵の3人と、小隊4個  159人 (大尉1人。中尉4人。少尉16人)

 大隊  少佐と一等兵、二等兵の3人と、中隊4個  639人 (少佐1人。大尉4人。中尉16人。少尉64人)

                  歩兵中隊。機関銃中隊。砲兵中隊。偵察中隊。

 連隊  中佐と一等兵、二等兵の3人と、大隊4個  2559人

           (中佐1人。少佐4人。大尉16人。中尉64人。少尉256人)

                  管理中隊。歩兵中隊。機関銃中隊。砲兵中隊。

                  通信中隊。補給中隊。衛生中隊。施設大隊。偵察中隊。

 旅団  大佐と一等兵、二等兵の3人と、連隊4個  10239人

          (大佐1人。中佐4人。少佐16人。大尉64人。中尉256人。少尉1024人)

                  管理中隊。歩兵中隊。機関銃中隊。砲兵中隊。偵察中隊。

                  通信中隊。補給中隊。衛生中隊。施設大隊。工作大隊。輸送中隊。

 師団  少将と一等兵、二等兵の3人と、旅団2個  20481人

         (少将1人。大佐4人。中佐16人。少佐64人。大尉256人。中尉1024人。少尉4096人)

 大隊までが純粋な前線戦闘部隊で、

 連隊からは、後方支援部隊が増え、

 参謀部隊が随行し、指揮官の死傷に備え、准将、准佐、准尉が付く、

 大将は3個師団以上、中将は、2個師団以上で動くとき、統括する。

 

 

  俸給

   大将(18000文)  中将(1万4000文)  少将(1万2000文)

   大佐(10000文)  中佐(6000文)  少佐(5000文)

   大尉(4000文)  中尉(2000文)  少尉(1500文)

   軍曹(1000文)  兵長(700文)  一等兵(600文)  二等兵(500文)

 大将と二等兵は、36倍の格差。

 軍服は紺。飾帯色違いで、将官3本。佐官2本。尉官1本。

 戦闘服は、緑と茶の迷彩。

 幕府の重鎮に、平民と戦闘服同じだと、文句を言われたから、

 二等兵に “おまえ、銃を持っていたら、どの階級を狙う?”

 “大将を狙います”

 で、決着がついた。

 

 

 そうそう、夏といえば、お祭り、

 パソコンに現代風の歌詞と曲で幾つか使えそうな歌があったので、

 歌が上手そうな女の子をプロディースして、歌手にしてやりました。

 でも、生声のいい少女を選ばないと誤魔化しがきかんわ、

 あと、音響の良さそうなステージが必要かな。

 

 

 ちょっと、風魔法を試してみた。

 こういうのは使わないと、いざという時にやろうとしてもうまくいかないからさ、

    “900gの物を100km/h (27.7m/s) 〜 100gの物を900km/h (250m/s) で飛ばせる”

 最強の台風は、54m/sほどなので、

 800gの空気を台風並みの速度で、相手に当てることができるわけだ。

 どのくらいかというと、1リットルペットボトル620本分くらい、

 もちろん、ペットボトルがなくて空気だけだけどね。

 使ってみると、確かに空気の壁がモノに当たって吹き飛ぶけど、

 まぁ 台風くらいの勢いだ。

 酸素だけを集めて、火を付けた方がいいんじゃないって気がするけど、

 花のお江戸で、そんなことしたら、軽く打ち首だよ (笑

 むしろ、10g10個を250m/sで飛ばすほうが良さそうだ。

 残念ながら、10g5個を500m/sで飛ばすことは規格外なのでできないらしい、

 

 

 

 8月

 製鉄所の生産が少しずつ軌道に乗っていく、

 削り刃は、タングステン刃。潤滑油はトウゴマの種ヒマシ油。

 タングステン刃は、おれが錬成しました。

 たぶん、この時代だと最強の工作機械かな。

 工作機械は、水車で回してます。

 発電機は、もう少しあと、ていうか、紙幣を作らないと、

 

 

 オランダ船が持ってきた書物とか、蒸留機械で、蒸留酒を製造するつもり、

 もちろん、種を使って、商品作物も生産するよ。

   泡盛           インディカ米

   ウイスキー        大麦、ライ麦、トウモロコシ

   ウォッカ         ライ麦、グレーン、甜菜、フルーツ、ジャガイモ

   カシャッサ(ピンガ)  サトウキビ

   焼酎           米、麦、サツマイモ、黒糖、そば、栗

   ジン           大麦、ライ麦、ジャガイモ

   ブランデー       果実酒

   コニャック        ブドウ

   ラム酒          サトウキビ

   テキーラ         竜舌蘭

   カルヴァドス       りんご

 酒が好きというわけでなく、

 蒸留技術が後々役に立つ、

 まぁ 石油精製の事なんだけどね。

 化学の基礎にもなるし、

 蒸留技術が進んだら淡水化とかもしやすい、

 長期航海とか、蒸気機関を利用して、減圧しながら海水を淡水化するんだけど、

 これがあるのとないとでは、エライ違いだ。

 あと、作物生産が過剰な時は、酒にすると作物価格を維持する調整できて、

 商品作物の種類を増やすこともできる。

 東北とか、りんごがあれば、子供を売ったり、飢えずに済むし、

 まぁ どちらにしろ、お金があるからできることだね

 あと、ガラス生産も増やしたいわけよ。

 ちなみにおれのガラス細工は、造形能力が今ひとつみたい、

 だけど、江戸切子とか、ビードロを錬成し直して、

 ガラスにプラチナ糸、金糸、銀糸を落とし込むと、あら不思議、

 十数倍の値段になったよ。

 ヴェネツィアン・グラスやボヘミアガラスでやったら、笑いが止まりませんでした。

 あと、ガラス職人の才を持つ者は、意外にいるかもしれない、

 

 

 

 9月

 士学館の道場でチャンバラごっこ。

 いいよね。

 いい年こいて竹刀振り回して、楽しいよね。

 おれが入門した道場は、鏡新明智流(きょうしん・めいち・りゅう)というらしい、

 系統的には、一刀流、戸田流と、陰流、柳生流の流れを汲むそうだ。

 一応、武士階級なので、それなりにできないと、示めしがつかない、

 業界用語で “おぬし。できるな” ってやつ

 ていうか、これから暗殺の時代だし、

 おれだって、魔法が尽きたら剣くらい使わないと、殺されちゃうよね。

 ていうか、拳銃を作ったほうがいいよね。

 「参謀殿。竹光では、身を守れませぬぞ」

 「いやいや、切られそうになったら走って逃げますゆえ」

 「軽ければ、半歩速く走れます」

 「「「「・・・・・」」」」 ため息

 

 

 10月

  露太平洋艦隊司令官 プチャーチン中将が極東に向けてクロンシュタットを出港

  ジョン万次郎一行中ノ浜へ帰着

  島田虎之助死去(39歳)

 

 450t級千歳型 蒸気機関 3本マスト スクーナー艦 

  全長50m×全幅7m

  30口径75mm連装砲3基

  200馬力 10kt

 一度、建造してしまうと、同型の軍艦を建造することができた。

   千歳 笠置 和泉 吉野  浪速 畝傍 明石 宗谷

 

 

 “肉が食いたい”

 まぁ 北海道で牧畜したいと思ったのは、肉を食いたいからだけどね、

 そうそう、体捌きも剣術も慣れてきたし、牛肉で試し斬りしました。

 一応、人体とか斬りやすい筋みたいなものがあるらしいけど、巻藁や竹を斬ったし、

 少しくらい外しても斬れるはず、

 でも、肉と斬るのと、巻藁や竹は、根本的に違う、

 だけど、人を斬るのは、ちょっと嫌、

 なので、吊るした牛肉を・・・

 スパッ!

 刀身が軽いので、途中で勢いが殺されて止まるかと思ったら、

 肉も骨も、斬れました。

 すげぇ〜〜

 でも刀身に重さがないので、

 この速度で振り下ろさないと、っていう最低限の速さがあるね、

 斬るを目的にするなら、まっすぐ垂直に振り下ろす時が一番強い、

 自分の足を切らないよう、さりげなく、途中でずらすとか、止めないといけないけど、

 垂直だと、刃筋がブレないから、刀身が傷みにくいし、刃毀れも少ない、

 だけど、相手もとうぜん受けるので、そうもいかない、

 なので、刀身を斜め40度から45度くらいからの袈裟斬りで打ち下ろしたり、

 横からなぎ払ったり、

 時には、持ち替えて振り上げたり、

 これが優れてるのが軽量強靭な日本刀だね。

 それでも、刀身の重さがあるし、体勢が狂って刃筋がブレまくる、

 軌道がブレると、仮に斬れたとしても、刀身が痛むし、刃毀れしやすいわけで、

 なにより、無理な体勢で奇策な軌道は、何回も振り下ろすより数倍疲れる、

 1対1なら日本刀使い捨てで振り回せるけど、

 1対多とか、多対多とかで、剣技に任せて突っ込むと死ぬ、

 地の利、死角、体力の温存、立ち位置が大きくなるし、

 生き残るのも実力より運が大きくなる、

 日本刀も上手に使わないと斬れ味が落ちて窮地に立たされる、

 刀身が軽くて、斬れるなら、体力と刀身を温存できるし、少しは生き残りやすいかもしれない、

 魔法は24時間で10回、

 常時3、4回は残してるけど、

 それを超えて、敵が来ると、口先三寸と、服と、日本刀だけになる、

 まぁ 日本刀は、持ってるだけで、戦いを避けるのが、上策だけどね、

 転移系と違って、射程圏外に逃げられないのが辛いわ、

 あと10年ぐらいしたら兜割りにでも挑戦してみるか。

 

 

 

 11月

  米東インド艦隊司令官ペリー提督が日本に向けてノーフォークを出港

  

 江戸城

 侍階級は、新しい軍編成にまだ慣れていないようだ。

 というより

  大将(大老)  中将(老中)  少将(若年寄)

  大佐(1000石相当)  中佐(600石相当)  少佐(500石相当)

  大尉(400石相当)。中尉(200石相当)。少尉(与力)。

  軍曹、兵曹(同心)。岡っ引き(一等兵)。下っ引き(二等兵)みたいな。

 安直に選んだけど、町民や非人の二等兵と組むことに違和感を覚えている。

 戦いは、数だから、俸給が安くて済む平民や非人で兵力を水増ししたほうがいい、

 でもなぁ 軍隊は、世襲とか、家柄じゃなくてさ、

 実力主義とか、能力主義で選びたい、

 中将の老中も、少将の若年寄も駄目駄目だし

 佐官・尉官の旗本と御家人は、抜刀して斬り合いを重んじる指揮ぶりで、

 こいつら、敵以上に、味方を殺すわ、

 もう、ひっちゃかめっちゃかにして、籤引きで、将校を選んだほうが100倍益し、

 そう思いました。

 だめだこりゃ

 

  

 オランダに頼んでたミュール紡績機械が3台来たよ。

 オランダ人は、蒸気機関もないのに買うとか馬鹿だな。みたいな表情をしてましたけど、

 設計さえわかれば、改良して生産力を上げていけるし、こっちのものよ。みたいな。

 あと、1kg級の細かい金属錬成とかは、得意だし、

 欧米よりいいものに改良するのは早いかな。

 でも、先に瑞穂紙幣作ってくれって五月蝿いからな。

 

 

 

 12月

  ルイ=ナポレオン・ボナパルト、国民投票により皇帝に即位しナポレオン3世となる(フランス第二帝政)

  大英博物館完成(1823年着工)

  吉田寅次郎、許可なく東北旅行に出た事に対して“士籍剥奪”の判決が下る

  ペリー艦隊マディラ諸島に到着

  ペリー艦隊セントヘレナ島に到着

  ジョン・万次郎土佐藩士となり中浜万次郎となる。

 

 瑞穂銅行券を24時間で6回ほど作ると1200枚。

 1ヶ月36000枚。1年だと43万2000枚。1年半だと64万8000枚

 富裕層。特に堺商人は、目ざとく、

 瑞穂銅行券を溜め込んで、瑞穂紙幣1と、銅貨1.1倍を交換している。

 何しろ、銅貨や小判と違って、嵩張らないので、便利で、

 贋作できたとしても、費用対効果が悪すぎた。

 大阪圏で使われだすと、日本全国に広がり、紙幣価値だけで流通した。

 日本中から銅貨が集まってきたけど、人足を次々と雇って、公共工事をしていく、

 雇用が多いと人脈も広がるし、

 おれを捕縛したら仕事がなくなって干されるから大騒ぎになるし、

 お代官様も手が出せないはず、たぶん・・・

 

 

 

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 一軒家 100両 (1000万〜2000万円)

 間口9尺奥行3間長屋家賃 500文

 1日  居職350文  出職410文

 かけ蕎麦 10文   風呂代  8文

 米一升〜二升 100文   味噌醤油 50文

 酒1合 20文〜24文

 1文 30円〜40円    1両   12〜16万円

 一分銀 3〜4万円    二分金 6〜8万円

 1朱   約1万円

 

 

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第01話 1851年 『とりあえず、稼がないと』
第02話 1852年 『瑞穂銅行と。国防参謀役と。』
第03話 1853年 『開国しなくても、おれが文明開化してやんよ』