月夜裏 野々香 小説の部屋

    

錬成系 維新戦記 『1kg級魔法使いで』

 

  

 

 第03話 1853年 『開国しなくても、おれが文明開化してやんよ』

 1kg級魔法とか、たくさんできることあるけど、手のひら魔法じゃん、

 24時間に10回でも、器用貧乏なだけじゃん、

 使いすぎると自衛もできないじゃん、

 おれTUEEEEEE〜♪ できねぇじゃん!

 奇術じゃ歴史改変できねぇよ。

 あうあうあうあうあうあう・・・・

 

 今年は、ペリー艦隊が浦賀に来るよ。

 ワクワク ワクワク

 攘夷か、開国か、

 ていうか、開国しなくても、おれが文明開化してやんよ

 

 

 

 1月

  太平天国の乱: 太平軍が武昌を占領

  吉田寅次郎、遊学の為萩出立。

  老中 阿部正弘、江戸城に薩摩、宇和島、筑前、佐賀藩主を呼び、

  ペリー来航の情報をリークするように依頼する。

 

 

 老中の久世広周(34)とかと一緒に、文明開化してます。

 神社仏閣に隣接して、小学校、中学校、高校、大学の学校建設と、

 国語、算数、理科、社会、歴史、外国語の教科書をつくることにしました。

 幕臣を校長にして、住職を副校長にしてもらうつもり、

 あと、譜代家臣1人を主任と、外様家臣から1人を副主任にするつもり、

 歴史と社会の本で、日本を国民国家にしてやるんだ。

 あと、教科書の朝鮮半島は、悪鬼半島って名前に改称しました。

 子飼いの作家に国賊日本人が悪鬼を国内に引き込んで、政敵の日本人を殺し、

 日本と世界を戦争させ、世界を日本と戦争させるよう謀略してる悪鬼を書かせ、

 最後には、悪鬼に国賊が殺され、日本国民が苦しむ物語を何回も書かせました (笑

 

 しかし、おれ、銅行家で、国防参謀なんだけど、

 なんで文部省やってるんだろう的な (笑

 そうそう、鉄道とか、造船もやってるんで、鉄道省と通産省もやってますよ。

 封建制と世襲と慣習と家柄で死んだようになっていた旗本が目を覚ました感じですね。

 ぶっちゃけ、おれが金を握ってるので、

 日本を支配してるのはいつの間にかおれってことに (笑

 

 

 そうそう、江戸城の再建を引き受けたよ。

 その代わり、両替商の銅行業だけでなく、金貸し業の銅行業もやる許可をもらいました。

 庶民って、盗まれて上等の長屋だし、蔵とか、金庫を持ってないでしょ

 幾らかさ張らないからって、袖の下ばかりに入れてられない、

 なにより、大火が怖いでしょ

 江戸城再建と大火の不安が比例してて笑えるわ、

 てなわけで、鋼鉄の大金庫と、

 頑丈なジオポリマーの建物で、瑞穂銅行を作りました。

 もう、銅行じゃなくて、正真正銘の銅行でしょうか。

 ちなみに預かり保証金は、元金の1分(100分の1)です (笑

 金を預かって金を取るとか (笑

 でも、この時代は、しょうがないよね。

 長屋じゃ安心できないもの

 こうなると、税金をとってるような感覚ですかね。

 そうそう、金と銀の交換比を欧米の1対15で合わせておきます。

 1対10じゃ大損ですしね。

 貸金業もしますよ。

 もちろん、存在しない紙幣が増えます。

 資本バブルのはじまりはじまり、

 

 

 

 2月

  関東西南部に地震発生。

  吉田寅次郎、大坂の和砲術家坂本鼎斎を訪問

  ワシントン大学創立

 

 北海道と、千島列島と、樺太に城塞都市を建設するために船団を送る準備をしてます。

 送るのは、初夏だけど、ペリー艦隊の来航とかぶるな。

 まぁ いいや、仙台藩と、長州藩と、薩摩藩に手伝わせよう (笑

 

 

 そうそう、おれの私塾は、瑞穂塾ね。

 おれは、弟子たちに言いました。

 「開国が嫌なら、お前たちで力で文明開化しなければならない」

 「文明開化は、文化、科学、化学、電気、医学、農業、漁業、工学、兵学、音楽、天文学を高めることだ」

 てなわけで、機関車を製造しました。

 やったね。

 ペリーに見せびらかしてやる。

 腰抜かさせてやる。

 

 あと、大型造船所(全長120m×全幅20m)で、

 4000t級青葉型機帆船

   全長100m×全幅14m×吃水6m 

   1000馬力  14kt   10000海里/12kt

   30口径120mm連装砲4基

   装甲25mm

 を建造中、

 まぁ ペリー来航に間に合わないけど、幕藩体制は、存続かもね。

 封建社会は、あまり存続させたくないから形骸化させるつもりだよ。

 

 

 3月

  フランクリン・ピアースがアメリカ合衆国14代大統領に就任

  太平天国の乱(1850年12月〜1864年8月) 太平軍が南京を占領

  坂本龍馬、江戸の千葉定吉に入門するため土佐を出立。

  ペリー艦隊シンガポール出立。

 

 ジオポリマーというか。石畳の道路を広げていくつもり、

 まぁ 区役所とか、郵便とか、上下水道とか、学校とか

 瓦版新聞とか、電力会社とか、鉄道とか、医療機関とか、銅行とかの区画整理も兼ねるよ。

 そうそう、瓦版の人気は、太平天国の乱かな。

 歴史の教科書で習った太平天国をリアルタイムで瓦版で読むことになるとはね。

 アヘン戦争で負けた清国で、

 神体験した現人神の洪秀全が清国人を煽り、

 中国大陸に神の国を作るために戦う架空戦記モノな。

 清国の島原の乱か、明治維新だよ。

 ちなみに、時期的に、おれの出現とかぶってるからさ、

 ちょっと、比較されちゃう。

 でも、おれ、宗教軍とか、革命軍みたいなの無理なキャラだから、

 立ち上げないから (笑

 

 

 

 4月

 東京湾からが次々と弁才船が出港していく、

 米が北に移動すると、人夫も北に移動する。

 まぁ 当たり前だけどね。

 機帆船に改装してやるから積荷を運んで協力しろって、条件が気に入られたらしい、

 風に左右されず運行できる機帆船は、やきもきせずに済むと、商人たちから好まれた。

 

 

 そうそう、飛脚って、凄いよね。

 人間離れしてるというか。人間じゃないというか。

 これから郵便制度が変わって、飛脚が鉄道、自転車、自動車に取って代わられるからさ、

 おれ、飛脚の伝統を残すために

 毎月、江戸 ― 京都間の片道70時間で、七里飛脚伝大会をやろう。

 だいたい、1人27.4909091kmだけど、

 コースは、残ってるし、保護育成って名目で、データーを残しながら存続させようかな

 あと、駕籠伝大会も残そうかな。

 駕籠の重さとか、乗せる人間の重さとか規定してさ。

 銅行が賞金を出して、広告の相乗効果なら、たぶん、維持できるはずだから。

 

 

 5月

  プチャーチン艦隊シンガポール到着。

     バルラダ号 ヴォストーク号 オリヴァツア号 メンシコフ公爵号

 

  ペリー那覇来航。(26日:嘉永6年4月19日)

  ペリー艦隊、小笠原到着。

  ペリー艦隊、那覇出立

 

 きっと来る きっと来る 夏の海に〜♪

 限りある 幕末 を終わらせるために

 きっと来る きっと来る 江戸の海〜♪

 限りある 徳川 を終わらせるために

 きっと来る きっと来る 四杯で眠れない〜♪

 260年の歴史を終わらせるために

 きっと来る きっと来る アメリカ蒸気船〜♪

 そんな感じ、

 

 

 老中(中将)とか、若年寄(少将)が製鉄所と造船所を見て回る。

 あと、紡績工場とか。

 庶民たちが中心で、侍階級も混ざっている。

 邪魔な太刀は、私箱に入れられ、士農工商の別なく同じ、作業服を着ていた。

 とうぜん、目ざとい老中や若年寄は、城外にも有望な役職があることを知るし、

 人脈は、利権に繋がると気づき始めていた。

 

 

 

 6月

 江戸城

 将兵の行軍を見て、その国の軍隊の強い弱いがわかるという。

 やべぇ〜

 幕藩連合軍とか、

 武士階級に農民・工民・商人を組ませてる。

 瑞穂系企業もみんなそう。

 でも、武士階級は、嫌悪感が沸くくらい特権意識が強い、

 表面的に仲良く出来てもさ、

 温厚そうな侍みたくみえてもさ、

 地位とか、賃金とか。農民・工民・商人が武士の上に行くと、もうダメ、

 ご先祖様に申し訳ないと泣くというか、

 無礼打ちするぞ的な気概があるというか。

 だって、能力とか、才能とか、人間性とか、実力で選びたいじゃん、

 まぁ だから、武士で階級を作って、補完する形にしてるけどさ、

 やっぱし、直接じゃなくても上が農民とか商人とかになると、険悪かな。

 ていうか、いい加減にせいよ的な。

 明治維新のあと、士族が反乱を起こすわけだぜ、

 ああ〜

 自由に一等兵と二等兵を将校と交換してぇ

 老中、若年寄とも、やる気あんのかよ。

 平和ボケしてんじゃねぇよ。

 日本を滅ぼす気か。

 まぁ 未来の自×党より益しなくらいだけどな。

 将校は、くじ引きだな。

 ていうか、なんで白兵戦を中心に訓練してるんだよ。

 もう、侍やめろ、日本刀を捨てろ、この馬鹿ども!

 と、心の中で叫んでます (笑

 でも、騎兵旅団は、自転車部隊より、カッコいいかもね。

 大砲が弾を打ち出すと、勢いよく、標的の山に命中して小さな爆発を見せた。

 問題は威力でなく、射程距離で、軽く7000mは飛んでる。

 この時代の大砲の射程は、せいぜい4000m。

 勝てそうだな。

 「綾波殿。大丈夫であろうな」

  この、保身だけのクソ侍が攘夷がしたきゃ 下関戦争や薩英戦争みたいに気概を見せてみろ、

  それで、江戸が燃えたとしても、町民は結束するし、幕府を信任する。

  長州や薩摩のような気概も度胸もない徳川幕府に日本人がつくわけねぇだろう。

  ていうか、名ばかりの中将の老中とか、名ばかりの少将の若年寄とか。

  砲弾に当たって死んでくれ、

  江戸は、おれの作った艦隊と大砲で守ってやるわ、

  それで、老害の代わりに、おれが文明開化を進めてやるぜ、このボケが!

  もう死ねよ。クソ侍が死んでくれ!

 「も、もちろんですとも、阿部様、久世様」

 「作戦が成功すれば、ペリーは、驚いて、引き上げることでしょう」

 さぁ おれの誇りと、生き様を見よ。

 へこへこ 揉みて

 へこへこ 揉み手

 『ペリー。江戸に向けて、大砲をぶっぱなせよ。ていうか。こいつらを吹き飛ばしてくれ』

 『おれが、デギンザビみたく、お前らの後を引き継いでやるからさ』

 「そうか。それならいいの・・・」

 

 

 今日は、ジョン万次郎(26)と会いました。

 幕府は、何度か、おれと、ジョン万次郎を合わせようとしていたらしいのですけど、

 おれが、行ったり来たりしてました。

 幕府は、ジョン万次郎をどう扱っていいのか、わからないみたい、

 まぁ 幕府が、おれをどう扱っていいのか、わからないのと似てるよね。

 イレギュラー同士の出会いがどうなるのか、気になるらしい、

 周りは、幕府の役人達がたくさんいた。

 聞いてきたのは、アメリカの間諜じゃないのかってこと、

 そんな膠着した発想でどうするんだよ。

 封建社会なら主従関係を結べばいいじゃん

 人材を無駄に使うなよ。

 英語が分かるなら通訳させればいいし、

 操船能力が高いのなら船に乗せればいいだろう。

 世襲とか家柄とかじゃなくて、人を活かす人事をしろよ。

 

 

 

 

 7月

  ペリー提督らの黒船、浦賀へ来航 (8日:嘉永6年6月3日)

     2450t級蒸気外輪船サスケハナ

        全長78.3m×全幅13.7m×吃水6.25m

        420馬力  10kt

        203mmライフル砲2基  229mm砲滑空砲12基  76.2mmライフル砲1基

 

     3230t級蒸気外輪船ミシシッピ

        全長70m×全幅12m×吃水5.8m

        434馬力  8kt

        250mm砲2基  200mm砲8基

 

     882t級スループ帆船サラトガ

        全長44.6m×全幅10.74m×吃水4.966m

        203mm砲4基  15kg砲18門

 

     882t級スループ帆船プリマス

        全長45m×全幅11.61m×吃水5.23m

        203mm砲4基  15kg砲18門

 

    浦賀奉行与力中島三郎助と通詞堀達之助が交渉に当たるが、長崎回航は受け入れられず。

    夜の時砲で、沿岸が騒然とする。

 

  久里浜櫓

  「松明に灯を点けよ」

  おれが錬成した大型の反射鏡で倍増された光が4隻の黒船に当たり、

  それを合図に港湾から花火1000発が打ち上げられた。

  ちょっとしたソーラーシステムだな。

  ガ×ダム見たく、焼ければ面白いのに (笑

  発電も電球も間に合わなかったけど、反射鏡で増幅された光は滅多にお目にかからないはず、

 

    浦賀奉行与力香山栄左衛門と中島三郎助が、再度長崎回航を求めるが、失敗。

       ミシシッピ号が示威行動のため、江戸湾奥に向かう。(9日:嘉永6年6月4日)

 

 

  佐久間象山、米艦隊を視察するため浦賀へ行き、吉田松陰らと会見する。

  蒸気船ミシシッピーが江戸湾深部に進航したため、

  日章旗を揚げた450t級千歳型 蒸気機関 3本マスト スクーナー艦 千歳 笠置 和泉が航路を塞ぐ、

  ペリーら久里浜に上陸、親書・信任状などを手交(14日:嘉永6年6月9日)

  ペリー率いるアメリカ艦隊が江戸幕府の国書回答猶予要請を受けて浦賀を出港した。(17日:嘉永6年6月12日)

 将軍家慶死去。(陰暦6月22日)

 プチャーチン艦隊長崎に来航する

 

 

 江戸城

 老中たちにペリー提督の手応えを聞いてみると、

 探照灯と花火。

 そして、蒸気スクリュー船に驚いていたらしい、

 「それで、老中。首尾は?」

 「相互主義に基づかなければ、開国しないと伝えてある」

 「それは良かった」

 「しかし、肝を冷やした」

 「4万を指揮する中将がそれでは困りますね」

 「まぁ そうかもしれんが」

 「本当にあの小さな大砲で、黒船を撃沈できたのかね」

 「ええ、こちらの大砲の方が射程が長いですからね」

 「あの大砲なら黒船の船体を突き破って、船内で爆発し、余勢をかって反対に抜けますよ」

 「そうかそうか」

 「しかし、向こうの大砲の方が大きかったように思ったが」

 「弾が大きいだけで、ションベン玉ですよ」

 「だといいが・・・」

 「諸藩に開国か鎖国かの意見を求めては?」

 「そんなことをすれば、幕府の威信が失墜しますよ」

 「しかし、このままでは・・・」

 「幕府。譜代。外様の間で疑心暗鬼があるのはよろしくない」

 「いっそ、家臣団を交換して幕藩連合で連隊なり、旅団なり、編成してはどうでしょう」

 「外様同士でも家臣団を交換させれば、身動きが取れますまい」

 「家臣団を・・・交換・・・」

 「し、しかし、それでは、幕府が半分無防備になるようなものだ」

 「それは、諸藩にも言えることです。手足の半分を失うのですから」

 「江戸の守りに、隙を作ることになるのでは?」

 「外国に諸藩をバラバラにされて、天皇を人質にでも取られれば、日の本は、窮地ですよ」

 「それに諸藩も居場所を守りたいはず」

 「んん・・・」

 「あと、外国から物を買わないようにしていただきたい」

 「国内の金と銀が減少すると、銅行業が苦しくなるので」

 「諸藩には、幕府が建造する船を買うようにと」

 「「「「んんん・・・・」」」」

 

 

 8月

  プチャーチンが軍艦四隻を率いて長崎に入港(22日:嘉永6年7月18日)

  オランダ商館長クルチウス、幕府に「別段風説書」を提出。

  阿部正弘、全国の大名に幕藩連合軍創設の意見を求める。

  幕府、1609年より続いた「大船製造の禁」を撤廃。

  勝麟太郎、老中の幕臣への要請に応え、

  貿易論、人材論、兵制改革論の海防意見書を提出する。

  阿部正弘、外様大名の幕政参与を決定。

  幕府、ロシア帝国の国書を受け取る。

  ロシア軍艦が樺太のクシュンコタンに来航し兵舎を建てる。

  

 なんか、幕末は、正念場って感じ、

 幕府は、預金を欲しがるけどさ、

 とてもじゃないけど、一定の残高を銅行に残しておかないと、引き降ろしもあるから

 あと、国内に流通してる金銀が不足すると、焦げ付く店が増えて、倒産。

 犯罪が急増するし

 ていうか、おれの紙幣の増刷というか、錬成が間に合わないよ。

 まぁ それでも、おれの錬成してる紙幣が日本経済を活性化させているんだよな。

 

 

 

 9月

 一等兵と二等兵を連れて、江戸の街を歩いてると、

 外様の家臣と会うことがありますよ。

 知った仲だし、酒を飲みました。

 一等兵と二等兵は、会席を守るように歩哨している。

 「綾波参謀殿の手腕は、聞き及んでごわず」

 「なかなか、上手く進みません」

 「いやいや、幕藩連合は、面白いでごわす」

 「日の本を守るためですよ」

 「なるほど、我々外様が幕政に参席できるよう取り計らっていただきたいでごわす」

 「ええ、そのほうが国がひとつになりますからね」

 「ときに瑞穂銅行券。あれは、どのように製造してるでごわす?」

 「秘密ですよ。秘密」

 「オランダ商館長ヤン・ドンケル・クルティウスは」

 「あれほど、見事な印刷を見たことも聞いたこともないと言ったでごわす」

 「そういえば、紡績機を買ったんでしたな」

 「紡績機も作っているのでごわすか」

 「ええ、同じものか。もっと性能のいいものを」

 「大したものでごわす」

 「いやいや、侍より、平民に任せたほうが上手くいく」

 「なるほど・・・」

 「しかし、やりすぎると、家臣団の反発を喰らう。困ってるんですよ。実は」

 「薩摩でも、武士階級より、庶民の地位と俸給が良くなる。そんなことされたら怒るでごわず」

 「では、薩摩より、幕府の方が発展しますよ」

 「「「・・・・」」」 苦笑い

 「ときに、薩摩は、幕府の軍船を買ってもよろしいのでしょうか」

 「ええ、幕藩連合で幾つかの協定が守られるなら」

 「なるほど・・・」

 「ときに参謀殿。歴史と社会の教科書を見せていただきましたが、事実と違う部分があるようにごわす」

 「そういう社会にしたいと思いまして。協力していただいきたいですな」

 「「「・・・・」」」 苦笑い

 

 

 この時期の学校は、寺子屋の延長で、大学方式に似ている。

 幕藩連合が校舎を建設し、教材を準備するが、器だけ

 弟子が師匠を選び、師匠が教材を作るか、教科書を選んだ。

 弟子は、師匠が選んだ教材を写生し、

 写本を売ることで、授業料としていた。

 庶民は、黒船に感化されたのか、瑞穂系企業の成功に刺激されたのか、

 新しい時代に追いつこうと、知識を求めたせいか、

 いい写本は、売れやすく、

 そうでない写本は、売れ残った。

 未来では、やる気のなさそうな教師が気だるそうに授業をしている、

 そして、名ばかりの教授の書いた本が何万部も印刷されて図書館に並び、

 見向きもされず、読まれもしないまま、棚で朽ちて行く、

 そういった現象は、今のところなく、

 若者は貪るように知識を求めている。

 おれが作らせた教科書は、中の上程度の人気だ。

 やれやれ、プロパガンダが過ぎたか (笑

 でも、本当なんだよな。

 まぁ 瑞穂塾の弟子たちは、信じてくれたよ。

 だけど、こいつら熱いな。

 こいつら侍の子孫たちが戦争に負けて、

 アメリカに媚び、ロシアに媚び、中国に媚び、朝鮮に媚び、

 現実逃避でオタクになってくと知ったら泣くだろうな

 

 

 

 10月

  オスマン帝国がロシアに宣戦布告

  プチャーチンがペリーに同盟を打診、ペリーは拒絶

  徳川斉昭、ロシアとの和親不可を建議。一方大槻磐渓は、幕府に親露を献策する。

  徳川家定、13代将軍となる。

  ロシア艦隊、長崎を出港。

 

 

 「良いではないか。良いではないか」

 「国防参謀さま、お許しを」

 「えい〜!」

 あれ〜!

 クル クル クル クル クル

 ぺたん!

 「えへへへへぇ・・・」

 「さ、参謀様。これになんの意味が」

 「いや、男心が萌える儀式みたいなものだから」

 「そうですか・・・あっ・・・」

 諸藩から450t級千歳型 蒸気機関 3本マスト スクーナー艦の発注が舞い込んできた。

 この時代の450t級スクーナー機帆船なら、最高峰の部類に入るし、

 地方艦隊の中核になる船だ。

 金が入ってくれば、さらに船を建造できるし、産業を大きくできる。

 あと、建築も大きくできる。

 

 

   “900gの物を100km/h (27.7m/s) 〜 100gの物を900km/h (250m/s) で飛ばせる”

 よし、おれ、水魔法やっちゃうぞ

 500mmLを500km/h (138.8m/s)で飛ばしてみた。

 手のひらサイズの水が勢いよく樹木に当たって砕け散った。

 んん・・・・・

 いいんだけど・・・・

 いいんだけど・・・・

 微妙

 じゃ

   “900gの物をマイナス27度 〜 100gの物をマイナス270度にできる”

 400mmLの氷(マイナス27)で凍らせて、500km/h (138.8m/s)で飛ばしてみた。

 氷が木に刺さった。

 すげぇ〜

 ちょっとかっこいい、

 でも、20gの釘25本を500km/h (138.8m/s)で飛ばすほうがいいよな

 

 

 11月

  プチャーチンが長崎を出港(翌1月3日再入港)

  幕府、中浜万次郎(ジョン万次郎)を登用し普請役格とする。

  シノープの海戦

 

 

 銀行紙幣が統制する金本位制であれば、一定数の金は、必ず銀行に預け入れるため、

 一定の金が銀行にストックされている。

 しかも金と紙幣が一致してなくても何とかなったりする。

 まぁ 紙幣の水増し、

 だけど、江戸時代は、そんなものはなく、

 金本位制より、現ナマ貨幣が経済を動かす、

 その上、自分のケツを自分で拭かないような侍階級が

 生産に寄与しないのに社会資本を吸い上げる高収入で足引っ張る存在なんだよね。

 そんな江戸時代でも

 幕府が上意下達で、外様大名に治水、新田、干拓とかやらせている。

 公共事業というより外様の弱体化みたいな。

 そして、公共事業してもうまみが少ない権力構造で

 代表的な公共事業は、1755年宝暦治水があって40万両。

 天保の改革で新川・花見川治水工事45万両が失敗。

 新田開発とかもやっているけど、

 辛いばかりで益が少ないわけだ。

 なので、この金額で、この公共事業という形の入札式でやると、

 もう少し請負いやすいというかゼネコンが形成されやすくなる、

 まぁ 金は余計にかかるけどね、

 おれは、24時間で瑞穂紙幣と、銅貨5000両分を交換しているので、

 お金持ち、

 なので、東海道  日光街道  奥州街道  中山道  甲州街道の五街道拡張と、

 主に日本海側と東北側だけど、新五街道の整備を請け負ってたりする。

 なんでかというと、生産利益と、販売利益があるのだけど、

 その二つより大きいのが問屋利益とか、郵便・輸送利益だからさ、

 あと、上下水道代、通信代とかそういうのね、

 そして、未来の日用品で、江戸時代にないものはたくさんある。

 その日用品を作ろうとすると、ちょっとした産業になるけど、

 鉄道がないと工場を作っても生産したものを消費しきれない、

 広軌1600mm鉄道を敷くつもりだよ。

 株仲間で配当金が入る構造にして、自動的にお金が入ってくる、

 そして、装甲列車の設計図を見せたら、

 老中と若年寄は、にやりとして認めました。

 政治改革とかやると血をみそうだからさ、

 省庁機構と、官営企業を中心に、なし崩し幕藩連合していくよ。

 一番の弊害が封建思考で仕事を押し付ける幕藩重臣連中かな。

 おれ、リングの一角で、髪が真っ白になる感じで、疲れたよ。

 あいつら死ねばいいのに

 そうそう、北海道、樺太、千島に行ってた弁財船が戻ってきたよ。

 

 

 

 欧米の銅が日本の出島に流れ、

 薩摩と長州で銅貨に鋳造され、

 江戸で銅貨が瑞穂銅行券と交換され、

 瑞穂銅行券が出島から欧米諸国へ流れた。

 瑞穂銅行券は、それほど出来が良く、

 重たい銅貨を運ばずに済むのならと喜んで紙幣と交換してしまう。

 

 

 

 

 12月

  米墨間で国境条約調印

  坂本竜馬、橋本佐内、河井継之助ら佐久間象山に入門

  幕府、ロシア側と交渉を開始。

  

 

 江戸城に幕藩連合議会が建設されていく、

 行政は徳川が行うが、

 立法は、10万石以上の幕藩連合53議席の石票決で行う。

  幕府徳川家400票             加賀藩前田家120票       薩摩藩島津家72票

  仙台藩伊達家62票            三家尾張家61票          三家紀伊家55票

  肥後藩細川家54票            福岡藩黒田家47票         安芸藩浅野家42票

  長門藩毛利家36票            佐賀藩鍋島家35票         三家水戸家35票

  津藩藤堂家32票              福井藩結城家32票         鳥取藩池田家32票

  岡山藩池田家31票            会津藩保科家28票         徳島藩蜂須賀家25票

  高知藩山内家24票            彦根藩井伊家23票         久留米藩有馬家21票

 

  久保田(秋田)藩20票           高知(土佐)藩山内家20票     盛岡 (南部)藩南部家20票

  彦根藩井伊家20票            松江(出雲)藩松平家18票      米沢藩上杉家18票 

  厩橋(前橋)藩松平家17票        鶴岡 (庄内・大泉)藩酒井家17票  郡山藩柳沢家15票

  香春(小倉・豊津)藩小笠原家15票   姫路藩酒井家15票          伊予松山藩松平家15票

  高田藩榊原家15票            高松藩松平家12票          小田原藩大久保11票

  桑名藩松平家11票            佐倉藩堀田家11票          備後福山藩阿部家11票

 

  柳河藩立花家10票            小浜藩酒井家10票          淀藩稲葉家10票

  二本松藩丹羽家10票           弘前 (津軽)藩津軽家10票     富山藩前田家10票

  忍藩松平家10票              新発田藩溝口家10票        大垣藩戸田家10票

  松代藩真田家10票            中津藩奥平家10票          棚倉藩阿部家10票

  津山藩松平家10票            宇和島藩伊達家10票         明石藩松平家10票

  大聖寺藩前田家10票           対馬府中藩宗家10票

 

 最強票は徳川400票。旗本御家人票を足すと700票程になる、

 しかし、御三家、親藩は結束していないし、

 譜代、外様も結束していない、

 むしろ、御三家が足を引っ張りかねない、

 そして、10万石10票の藩が17家あって、

 そこが結束するだけで、170票となり、加賀藩120票を超えてしまう。

 もちろん、徳川縁の縛りがあるのだけど、

 弱者が連合して、有利な法律を要求する可能性は、常にある。

 とうぜん、離合集散と足の引っ張り合いが行われているのだが、

 ここで金が物を言う。

 彼らが欲しいのが銅札だった。

 銅を交換するたびに、交換比率で損をするのだが、

 誰もが金庫に入れるなら銅貨より、銅札がいいと思っていた。

 そして、かさばる小判は使わず、銅札を使う者も増える、

 もっとも、おれが、一日に錬成できる量が限られているし、

 銅札は、海外にも流れている。

 正直、おれの銅札は、20世紀の紙幣レベルだから、

 岡本秋暉の絵図だけで、名目上の評価額を超えてるわけ、

 なので、表に出ないけど、裏で俺が仕切っていたりもする。

 そうそう、おれは、お歴々に餌を与えた。

 官営株式会社の創設と、

 公共事業投資を石票高に応じて徴収し、収益を票高に応じて分配するということで、

 上下水道代、電気代、ガス代、鉄道運賃、通信代、行政印紙代、海外地収益を上げていく、

 配分効率のいい優先順位を書いた報告書を配っていく、

 それまで、コメだけが利権だった侍たちは、少しばかり、考え始めていた。

 何しろ、銅札の出現で社会資本が増え、インフレ気味、

 金の成る木は大きい方が良かった。

 あと、幕府で完成したばかりの教科書を配った。

 教科書検定は、幕藩連合議会で審議して、決定する。

 不意打ちを食らった諸藩は、すぐに返答できず、

 三々五々帰っていく、

 「参謀殿。上手くいくでしょうか」

 「外様が反旗を翻さないよう。うまみを与えておけばいい」

 「あとは、徳川の利権が大きくなりますから」

 「なるほど・・・」

 大嘘。

 利権の分母が大きくなるほど、相対的に民衆の力大きくなっていく、

 配当が大きくても利権で集まった札束と金庫の中にいるのと変わらない、

 むしろ、下級武士と町人で社会を動かしたと思ってるし、

 上手いこと、下克上して、立場を入れ替えてやるつもり、

 もっとも、不意打ちを続けて、法律を通せれば、なんだけど、

 

 

 

 

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 一軒家 100両 (1000万〜2000万円)

 間口9尺奥行3間長屋家賃 500文

 1日  居職350文  出職410文

 かけ蕎麦 10文   風呂代  8文

 米一升〜二升 100文   味噌醤油 50文

 酒1合 20文〜24文

 1文 30円〜40円    1両   12〜16万円

 一分銀 3〜4万円    二分金 6〜8万円

 1朱   約1万円

 

 

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第02話 1852年 『国防参謀役と。瑞穂銅行と。』
第03話 1853年 『開国しなくても、おれが文明開化してやんよ』
第04話 1854年 『幕藩連合軍は、連邦軍のことだから (笑』