月夜裏 野々香 小説の部屋

    

錬成系 維新戦記 『1kg級魔法使いで』

 

  

 

 第06話 1856年 『星型荘園都市と、箝口令』

 “民富めば国の富む理”

 この時代、まだ、国賊右翼はいても、売国左翼は育っていない、

 少なくとも国内資産は、日本国内にプールされている。

 いい時代だね。

 もっとも、欧米貴族・バチカンの中には、サタニストが育ち、

 生き血の湯船で、生き血を飲む輩が増えている。

 こいつらドラキュラ級マイノリティが政治、金融を支配すると大変で、

 マジョリティを殺すほど相対的に強くなっていくためか、

 大量の人の生き血を得るための悪政か、

 植民地支配とか、戦争とか、内戦の画策と工作ばかりやり始める、

 そういや、未来の財務省とか、日銀とか、著名人とか、

 在日サタニストに占領されてんじゃないかっていうくらいの

 格差拡大政策と、金融規制政策をしてたっけ、

 あいつら、生き血の湯船に浸って、生き血を貪ってるんだな、と思うと、

 こっちに来て正解だよ。マジで、

 

 

 そうそう、30口径75mm砲と、6.5mm×50弾小銃を量産している。

 米英の大砲より射程距離が長いし、

 ターンテーブルの上に置けば、射線をすぐに変更できる

 外地の星型荘園都市は、大砲10門と、小銃500丁もあれば守れそうだった。

 機関銃の開発は、もう少しかかりそう。

 こういう時、金任せで資料と工作機械を買える召喚系が羨ましいわ、

 あと、5000t級征夷型輸送機帆船は、輸送力があるので建造してる。

 ぶっちゃけ、海外地に船を派遣できないと、幕藩連合の希望が失せ、離反が生じやすくなりそう。

 なので、造艦計画は重要なんだろうね。

 あと、移民に使いたいし、

 

 

 

 1月

 ニューギニア島

 城塞都市 南都(ポートモレスビー)

 幕藩連合は、海外地荘園の建設を急がせていた。

 銅山を得れば、銅山から銅貨を作って、銅札に変える。

 もう一つ城塞都市から上がるであろう、

 上下水道代、電気代、ガス代、鉄道運賃、通信代、行政印紙代が目的で、

 これを繰り返せば、金庫の中は、銅札で一杯になるからだ。

 とはいえ、今のところ、銅札の錬成が間に合っていない、

 それ以上に鉄道、港湾、製鉄所、上下水道、通信社の高額株券の錬成が間に合っていない、

 いや、行政印紙すらおれのところに作ってくれというわけ、

 ていうか、こいつらに紙幣を渡しても、金庫に溜め込むばかりで、

 社会資本が回らない気がする。

 つうか、冒険して投資しろよ。

 損したっていいじゃんか、そのほうが社会資本が回って、皆が豊かになるんだし、

 ていうか、富って、やつは、大不況の時ほど格差が広がる。

 そして、好景気の時ほど、格差が狭まる。

 利権で自動的に金が入ってる利権持ちが、ケチになって、どうするんだよ。

 1月7日

 区役所で20歳以上10人の連名で10人長を選出し、

 10人長10人の連名で100人長を選出し、

 100人長10人の連名で1000人長を選出し、

 1000人長10人の連名で10000人長を選出する。

 6年間、10000人長(1人)、1000人長(10人)、100人長(100人)、10人長(1000人)で、

 1111人が城塞都市の公職に付く、

 しかし、頻繁に公職者を変えると、相続不良を起こして業務が滞る。

 なので、2年ごと3分の1の人員の選挙を行い、業務が継続できるようしていく、

 実質3333人が公職人員になった。

 トップダウンの封建社会では起こりえない、ボトムアップの選挙制度なのだけど、新天地だと行えそうだった。

 この実験を管理してるのが、おれとか、一部の老中とか、若年寄で、

 不足分の公職を幕藩連合の役人が代行している。

 自由主義と民主主義が成功するのか、失敗するのか興味津々なわけだ。

 といっても、アメリカ型民主制とは、似てないけどね。

 10人長が選ばれると、くじ引きを引いて、酒場に行く、

 酒場は、10人が集まり、話し合って誰か1人を選ぶか、選挙で決める。

 公開されてるし、

 席の数の範囲で、誰でも入れることになっている。

 ほとんどが初顔合わせだ。

 まさか、皆が見てる前で金の受け渡しが出来る訳もなく、

 この仕事に就いたらどうするのかとか、2、3の確認をし、

 誰を選ぶか値踏みしていく、

 「綾波国防長官。あなたがこの制度だったら、どの程度まで上り詰められますか?」

 「わたしの店は、従業員が10000人を超えてますからね」

 「誰が1000人長になっても、わたしが10000人長になりますよ」

 「もっとも、連続再選が無理なので、6年ごとでしょうけど、残りの6年でもわたしの代理人が選ばれるでしょう」

 「なるほど、しかし、10000人の人口で3333人の公職者は、多すぎるような気がしますな」

 「それなら10人長を公職から外せばよろしいでしょう」

 「いや、防衛も含めると妥当な数字ではあるが、金が足りぬであろうな」

 「この島は、いずれ、10万人。100万人を超えることになるでしょうな」

 「日本から農民がいなくなるではないか」

 「それは、ニューギニアがいい藩になるかどうかでは?」

 「6年ごとに変わる藩主では、話しが通じなくなるのでは?」

 「まぁ 話すことなんて、戦争でも起こさない限り、そうそうないですよ・・・」

 「どうやら決まったらしいですな」

 テーブルで飲んでいた10人は、目の前にある名札の一つを選んで箱に入れ、

 1人が選ばれる。

 「一度で、決まらなかったらどうするので?」

 「決まるまで、酒場に閉じ込めればいいでしょう」

 「誰でもいいからやってくれ、ってなりますよ」

 「ふっ まぁ そんなもんだろうな」

 「しかし、民主主義を管理するのが、非民主主義の幕藩連合とは皮肉だ」

 「ですが、選挙ですし。アメリカは、日本を非民主的な国だと非難しにくくなりますよ」

 「どこの世界であれ、世襲はある。民主主義にみせて、そのためのインチキが行われているはず」

 「アメリカが最初に日本に来て、提示した開国条件は、不平等でしたし」

 「幕府が、機帆船や花火で、国威を証明できなければ、黒船に砲撃されたかもしれません」

 「まぁ そうかもしれない」

 「なんにしても、アメリカ民主主義で民衆が騒ぎ出すでしょうからね」

 「そいつらを瑞樹州に流してやれば、日の本は安泰ですよ」

 「だといいがな」

 

 

 

 2月 

 まだ、ニューギニアにいる。

 転移と違って不便なのは、簡単に日本とニューギニアを行き来できないことだ。

 おれのできることは、小賢しいほど器用で小粒な魔法でしかない、

 そうそう、みんなで名前を決めた。

 ニューギニアじゃ愛着わかないからね。

 瑞樹州にしたよ。

 必要なのは、港湾、製鉄所、電力、鉄道、行政機関なんだけど、

 水〜

 日本と違って水が合わねぇ みたいな。

 蒸留機を開発してて良かったよ。

 そうそう、神社仏閣もないと淋しいらしい、

 ほとんどが囚人やら無宿にんやら非人なので、

 士農工商階層は、夢だったらしい、

 まぁ おれだって、こっちに来たときは、無宿人だったからね。

 気持ちはわかるわ。

 

 

 

 3月 

 瑞樹に工場を建設するから責任者になりたかったらきやがれ、

 そういって、付いてきた旗本、御家人は、少なからずいた。

 侍衆で残ったのは、10人に1人。

 町人衆で残ったのは、10人に7人。

 無宿人衆で残ったのは、10人に10人だった。

 まぁ 金の問題じゃないのかもしれない、

 だけど、郷愁に負けていたら、日本は、欧米列強に負けるよ。

 そんな気がするね。

 

 

 

 4月  

 日本に帰還した。

 450t級スクーナー機帆船100隻

 4000t級青葉型機帆船8隻

 5000t級征夷型輸送機帆船5隻

 が完成しているそうな。

 スクーナー機帆船は、まぁ 船大工と、鍛冶屋が頑張ればなんとかなるレベル、

 青葉型と征夷型の機帆船は、鋼船なので、瑞穂系列じゃないと無理かな。

 一応、幕藩連合会議で作戦行動を決めて、連合艦隊を編成して出航させている。

 今度、出航させてるのは、ハワイ諸島で、

 ハワイの王様と話して、相互安全保障を結ぶとか、

 島を買い取るとか、

 最悪でもミッドウェー諸島を取るつもり、

 

   

 幕藩連合議会が荒れてる。

 まぁ 実利とか、最大公約数的な妥協で形成したもんで、しょうがない的な。

 なので、憲法論議の前に五箇条の御誓文を手直しして、出すことにしました (笑

  安政の五箇条の御誓文

   1) 幕藩上下官民の草案をわけ隔てなく万機公論し、政策を決すべし、

   2) 民の総意に反さず、民と国土と国富を守るべし、

   3) 国民の公平な機会と、練達向上と、最大多数の衣食住を優先すべし、

   4) 既得権を保守するために、国益と国民の自由と利益を損なってはならない、

   5) 民の良心と、公共利益ためのの思想、研究、開発、結社を自由とすべし、

 

 

 

 5月

 ハワイの王様から利権を手に入れるのに、

 ピアノとか、大砲とか、小銃とか、買収道具をたくさん持っていきましたよ。

 ニイハウ島(180ku)を購入したあと、

 ニイハウ島の西の島

  日本領西布哇諸島(198.8ku)

    クレ環礁 ミッドウェー環礁 パールアンドハーミーズ環礁 リシアンスキー島

      レイサン島 マロ環礁 ガードナー尖礁 フレンチフリゲート瀬 ネッカー島 ニホア島 ニイハウ島

 を全て手に入れてしまいました。

 やったね。

 あとは、金が続く限り、気合で要塞化するつもり、

 でも無人島だし、自給自足できねぇ島ばっかりだな。

 スターリング地熱発電を作らないとダメだなこりゃ

 ていうか、幕藩連合議会で赤字確実の島の防衛予算が降りるんだろうかね。

 

 

 あと、南鳥島

 みんな、なんで、こんな小さな島にって言うけど、

 魔法でレアアースを集めた。

 高品質のモーターが作れると後々が楽だからな。

 だけど、とりあえず、1kg。

 手のひらサイズしか集められないのが、ちょっとねって、感じ、

 

  

 

 6月 

 首都 京都

 都市計画が作られると、区画整理が行われ、

 ジオポリマーで作られた道路が広がり、

 上水道と通信ケーブルが埋められ、

 地下鉄が建設され

 最下層に下水道が整備されていく、

 

 造船所

 船大工と、刀鍛冶から引き抜いた作業員たちが設計図を見ながら部品を組み合わせていた。

 マスプロの概念は工業で通用しても、

 木工だと少しばかり調整しなければならない、

 合板はマスプロ化しやすいけど、嫌う人間も少なくない、

 まぁ それでも、ジャンクヲタの本領を発揮しやすい分野だろう、

 この時期、日本の造船技術は、イギリス、アメリカの造船技術より優れている。

 史実なら幕府と諸藩が争って外国から船を買うけど、

 おれのいる世界の日本は違う、瑞穂造船所で製造した船が買われ、

 欧米に流れ込むはずだった金銀は、瑞穂銅行に流れた。

 この時期、資本をすべて合わせると、

 幕府より、おれが金を持っていた。

 幕藩連合が、おれを殺して利権や金を奪わないのは、

 おれが公共事業や設備投資を続けざまに行っていて、

 それをやめさせると、誰が仕切っていいかわからず、

 民衆が暴動を起こしかねない、

 だって、工員が旋盤で削ってる鉄棒が何に使われるのかさえわからない、無知っぷり、

 で、おれの代理ができそうなのって、町民と下級武士ばっかり (笑

 こうなると、剣術と兵学は相対的な価値を落とし、権威すら薄れている、

 体面を気にする侍階級は、苦々しそうな視線をおれに送る。

 あと、肝心の瑞穂紙幣がどこで作られているのか、皆目見当がつかないことも挙げられる、

 

 

 

 “おはよございます。芹沢鴨(29)です”

 ”淀。電音放送。維新チャンネルです”

 “幕藩連合移行でも、武士階級の世襲が続く、日の本ですが”

 “五箇条の御誓文から2ヶ月が経ちましたが、皆様、如何お過ごしでしょうか”

 “今日は、松下村塾長吉田松陰(26)先生をお呼びしました”

 “宜しくお願いいたします”

 “うむ”

 “黒船来航移行の世相は、どうでしょう”

 “・・は、話しても大丈夫なのかね”

 “ええ、みなさん聞いてますよ”

 “そ、そうですか・・・”

 “幕臣は、保身に走って、民の声から耳を塞いでるようで、あまりよくないですな”

 “それは、よく感じますよ。でも、幕臣の皆様が、聞き耳を立ててるかもしれませんよ”

 “幕府は、国民国家を作って、外国に備えよ!!!”

 ”わ、びっくりしました”

 ”す、すみません”

 ”いえいえ、では、後ほど、詳しい話しを聞くとして”

 ”手紙が来てるので、先にそちらから読ませていただきますね”

 “では、烏丸五条小町さんから”

 “何日か前、質草の日本刀を取りに来たお侍さんが、鞘に傷があると、難癖をつけ・・・・”

 目に見えて、わかりやすい文明開化は、音楽とか、絵画だと思うわけ、

 とにかく、持ってきた歌詞で使えそうなのは、使って、ラジオで流したし、

 漫画雑誌とか、描かせました。

 いやぁ 優れたスピーカーとアンプとレコード。

 あと、印刷技術を育てるのに金と、時間をかけましたよ。

 紙幣はまだ無理だけど、新聞と、漫画くらいいけそう。

 あ、でも、おれも戦後生まれのせいか、

 政戦略型日の丸漫画より、

 頭を空っぽにして読める無知無策突撃型無国籍漫画が好きなんだよね (笑

 きっと、無駄に他国への挑発を繰り返して日本の国力を消耗させ、

 戦争させて日本人を殺したがってる在日系バカ軍属と、

 パチンコ軍艦マーチと、脳足りんの日教組のせいだよな。

 未来史で、殲滅決定。

 あと、国家戦略なしの国賊バカ利権に外患誘致させないよう、

 子飼いの小説家に嫌朝・嫌中プロパガンダ小説を書かせました。

 まぁ 日本人が半島や大陸で火傷しないようにですけどね。

 そうそう、未来世界とかを架空未来小説みたいに書かせて、発行してあげました (笑

 少しは、牽制になるでしょう。

 あと、電音・・・

 あ、ラジオのことですけど、反日でなければ、反政府な内容でも入札を許可するようにしました。

 ガス抜きですし、

 反体制側の資金を使ってでも、通信網を広げていきたいわけですよ。

 

 

 

 

 7月 

 北樺太

 おれの魔法を使うと、半径900mにある物質100gを検索できるわけだが、

 当然地下も含まれていて、各地を歩き回って希少資源を集めてる。

 あと、油田がどこにあるのかもわかるし、

 どこを掘ったらいいかもよくわかる。

 目星をつけるとジオポリマーで蓋をして、

 ボーリングを掘って、油田を採掘するつもり、

 幕藩連合は “燃える水がなに?” って感じで投資を渋ってるけどさ、

 おれだけでも油田を掘って採掘してやるよ。

 

 そうそう、樺太の屯田兵がロシア帝国コサック部隊と戦闘になったけど駆逐できたそうです。

 大砲と、銃の差は、大きいね。

 

 

 

 この時代、インドシナは、まだ、カンボジア。安南。コーチシナ。トンキン。ラオスが独立している。

 それどころか、インドネシアのアチェ王国も独立していた。

 南沙群礁太平島(0.43ku)に基地を建設しさせた。

 これらの国との交易のためで中継になりそうだからかな。

 

 

 

 佐賀藩製の450t級スクーナー機帆船 順勢丸に試乗してみた。

    450t級千歳型 蒸気機関 3本マスト スクーナー艦 

     全長50m×全幅7m

     30口径75mm連装砲3基

     200馬力 10kt

 基本的におれが設計させた450t級千歳型スクーナー船の真似したもので出来は良さそうだ。

 機関と大砲は、瑞穂製だから、あまり不安はないよ。

 だけど、沖に出るとなぜか、逆風に向かって、外国の蒸気船に追われてる気がする。

 スクーナーは逆風に強いといっても蒸気機関の力比べになるし、

 船の大きさと耐波性の差になる。

 「国防参謀。なんか、嫌な予感がしますね」

 「そういや、時機が合い過ぎるな」

 「相手の船は、わかるか?」

 「アメリカの蒸気船に似てます」

     2415t級蒸気外輪船ポーハタン

        全長77.32m×全幅14m×吃水5.64m

        1500馬力  11kt

        279.2mm滑空砲1基  229mm砲滑空砲10基  76.2mmライフル砲5基

 「追いつかれそうな気がするな」

 「今のところは、互角ですよ」

 「外洋に出ると波が大きくなるだろう。こっちが先に波に負けるよ」

 「だとしたら、拿捕されるかもしれません」

 「条約を結んだ後に拿捕はないだろう」

 「秘密を守るために1隻だけのようだし」

 「完全に沈める気なんじゃないか」

 「なぜ、そんなことを?」

 「国防参謀がいるからかもね」

 「「「「・・・・・」」」」

 「とにかく、射程に入らないよう航路をずらして、やり過ごしましょう」

 「そうだな」

 しかし、どんなに航路を左右にずらそうとしても黒船は航路を外させない、

 そして、射程内へと寄せてくる、

 まずいな。

 おれの射程は、最大900mだからな。

 おれ、殺されるじゃん、

 黒船の舷側から轟音と共に黒煙が吐き出され、

 順勢丸に砲弾が飛んでくる、

 「反撃しろ!」

 おれは、可能な限り砲弾を逸らしたけど、順勢丸の周囲は、水柱に包まれた。

 一方、こちらの30口径75mm砲は、確実に黒船に命中した。

 射程が3倍以上も違うし、使ってる爆薬も違う、

 「船長。黒船の吃水線を狙え、確実に沈めろ」

 「あの大型黒船を沈めるのですか」

 「ああ、黒船の射程外から一方的に砲撃を繰り返して沈めろ」

 「一人も生かすな」

 「外交的に使わないので?」

 「時期を合わせたということは、幕藩連合内に手引きした連中がいる」

 「白人すべてと、国内の敵に回すこともできまい」

 「黒船を沈めて、箝口令を敷く方がいい」

 船の大きさだけなら負ける海戦だった。

 しかし、黒船の外輪の一つが破壊されると、黒船は、同じ場所を回るか、

 帆走に切り替えるよりなく、機動力は、順勢丸が勝る。

 そして、黒船の射程外から75mm砲弾を吃水線に撃ち込み続け、

 外輪は止まり、巨船は徐々に沈み、

 ついに、沈没した。

 外洋で起きた海戦の証人は、佐賀藩と幕藩連合の乗員しかおらず、

 白人国家全てと戦争するのが嫌なら黙っとけと、箝口令を敷いた。

 たぶん、アメリカは日本の軍艦の力を知ることと、

 内部犯は、おれの謀殺も兼ねての犯行だろう。

 

 

 

 

 

 

 8月  

 農民層の知識水準が向上し、

 新しい仕事を覚えて収入が増えると自信を持ち始めた。

 例えば、自分が作ったモノが電気を起こし、

 紡績機を動かすとなったら、それがなんであれ、意識が変わる、

 武家の一部は、農民の媚びた表情が薄れてると怒るが、

 武士の多くは、邪魔な日本刀を床の間に置きっぱなしで、

 蘭学本の知識を頭に叩き込もうとするし、

 瑞穂の工場に足を運び、時代の流れと妥協する。

 思ったとおり、無礼打ちなんていうのは、滅多に起こるものでなく、

 士農工商だった階級制度は、次第に薄れているようだ。

 

  

 とはいえ、武士道を捨てない勢力が根強いよ。

 まぁ おれも一応、武士階級だし、武士のたしなみもあるから、護身用で剣術を習ってるけどね。

 最近、ちょっと剣術が上手くなったよ。

 道場で、下から8番目くらい (笑

 工場で、旋盤、ボール盤、フライス盤が並び始めると、ジャンクヲタの血が騒ぐ、

 といっても出来合いの物を調べたり、解体したり、改造したり、別のものと組み合わせたりなんで、

 一から作るとなると、ちょっと、感覚が違う、

 まず、工作機械で、工作機械を作るのが順当だろうな。

 そして、蒸気機関とか、ディーゼル機関とか。

 ソース配分で、ガソリンエンジンは、後回しでもいいかな。

 でもアメリカより先に飛行機を飛ばしたい、

 まぁ 1902年までに飛ばせばいいや、

 まずは、ハードルの低い、自動車だよね。

 

 

 

 

 9月

 おれ、改帳で、26歳ということになってる。

 魔法で、長生きできそうだからサバ読んだけど、

 いずれ、年齢相応になって、年齢より若くなって、

 見た目と年齢が、そぐわなくなる。

 辻褄を合わせるため、公文書偽装しなければならないし、

 人脈的な保障とかもあるし、

 それだけじゃ足りないこともある。

 ぶっちゃけ、突然、出てきた身元不明の男じゃ

 こっちは知ってるけど、向こうは、赤の他人ってこと、

 これは、まずいので、隠し子がいるということにしている。

 隠し子なので、おれが死ぬまで、出てこなくてもいいだろう的な。

 まぁ おれの子供だっていう証明書みたいなものを持たせとかないとな。

 それとも、おれなら病気とか直せそうだし、長寿教とかいう宗教組織でも作るかな。

 

 

 そうそう、政敵の性癖を調べてる。

 ロリコンは、時代的に問題なけど、

 ホモは、ちょっと違う。

 戦国時代だと主従の確立でポピュラーらしいけど、

 天下泰平の時代だと、

 主従目的じゃなく、性癖と思われて、打撃になる。

 ちなみに、入れる方じゃなくて、入れられる方ね。

 特にナニが9cmくらいに小さいと、

 表面積の関係で、入れるより、デカイのを入れられる刺激に酔いしれるらしい、

 てなわけで、半島人は、女も男も実益だけでなく

 性癖でも、日本が好きで来たがるみたいな。

 特に戦国や戦争中だと、入れられて、なお美味しい的な (笑

 まぁ それで、こいつは、半島系なんじゃないかって、目星がつくわけ、

 

 

 

 

 10月 

 清でアロー号事件が起こった。

 このあと、アヘン戦争が起きる。

 どうしたものかな。

 まだ、イギリスと戦争したくないな。

 イギリスと清国が戦争してるあいだに海外地を広げよう。

 

 

 雁皮   高額手形・高額紙幣・株券    “鳳凰   ×××××   青龍”

 100000文(25両相当)の証書は、額に入れて飾っておきたい絵図なのだけど、

 銅行と寺院と本人に控えがあって、3枚一組みで5g

 金銀黒青赤気の5色刷りと薬剤で、10分の1になる。

 魔法1回1000gなので、1回の魔法で錬成できるのは、20枚ほどになる、

 まぁ 1回で500両分の有価証券を生み出してるようなもので、

 24時間に10回なので、100枚錬成したら5000両分になる。

 たとえ、盗んだとしても本人、銅行、寺院が揃って、名義を変更しない限り用をなさない、

 主に株式と使われ、配当金が持ち主の銅行口座に払い込まれることになっている。

 もっとも1枚作るのに120000文が必要になるわけで、

 銅貨で持ってくるか。金貨や銀貨で持ってくるか。瑞穂紙幣で持ってくるか。

 富裕層は、金の価値が下がると困るので、

 よく、金本位制にしろよって言われるが嫌だと言ってる。

 

 

 瑞穂紙幣が足りないので、贋作が増えてるらしい、

 目先のことしか考えていない某藩が、足が付かないよう朝鮮系を使ってる、

 画家の先生が絵図を描き、

 数十人の弟子に写生させた贋作紙幣を作ったらしい、

 でも、水や油につけるとアッサリと滲む、

 ダメじゃん、みたいなことになったらしいけど、あの人たちは諦めない、

 滲む方が本物と言い張り、

 おれが錬成してる瑞穂紙幣の方が贋作と、自演と数に任せての大騒ぎ

 黒いカラスを白いカラスと言い張るところが、未来のあの人たちと同じなんだな的な。

 どうせ作るなら、せめて、油絵にしないとな。

 そして、油にも滲まないようにするには、さらに特殊な製紙と印刷をしないとね。

 ていうか、贋作見せびらかせて、

 瑞穂紙幣なんて、こんな出来損ないみたいな言い草で貶める気らしい、

 ていうか、自分で作った出来損ないと本物と、交換しろ的な

 頭の悪い日本人が何人か騙されてるみたいだけど、

 おれと、瑞穂系列企業を潰したい藩閥利権とも結託している。

 ああ〜

 こいつらが日本国内に蔓延ると、悪貨良貨を駆逐するというか、

 産業が潰されるというか、

 日本が劣化するというか。民度が低下する。

 どうしたものかね。まったく (笑

 

 

 

 

 11月  

 北樺太

 石油を採掘できると石油精製所を作った。

 なるべく最小限の燃料で最大限の石油精製ができればいいんだけど、

 石油精製所を作れば化学コンビナートも作れるし、火力発電所を建設できるし、

 石炭系蒸気機関から、ガソリン・ディーゼル機関へ移行できる。

 精製は、蒸留と似てるので、

 まぁ なんとかなるでしょう。

 なんとか10馬力ガソリンエンジンと、10馬力ディーゼル機関を試作した。

 バイクぐらいの重さなら走らせられる。

 ていうか、農業機械を作らないとな。

 あと、馬力を大きくして、土木建設機械。

 人海戦術なんてやってらんねぇよ。

 

 

 海洋に出るには、三半規管を鍛える必要があるよ。

 まぁ 魔法でやれないこともないけど、

 そんなことやってらんない、

 その手の遊園地を作ったりとか、

 海運学校を作ったりとか、大変。

 「国防参謀。アメリカの2415t級蒸気外輪船ポーハタンが行方不明だそうですよ」

 「台風にでもあって、沈んだのだろう」

 「そうなのですか?」

 「日本の近くは、波が高いらしいからな」

 「日本が船を作るときは、波に耐える船を建造しないといかんな」

 「なるほど・・・」

 

 

 

 ジョンストン島(2.8ku)

 パルミラ島(6.56ku)

 二つの島に施設隊を上陸させて基地を建設した。

 未来は、燃料効率の向上と、航続距離の増大で価値が低下したけど、

 この時代は、違う。

 無理しても島を確保しておいたほうがいいような気がする。

 アメリカと紛争になりかねないけどさ、

 ジオポリマーで要塞作って、大砲と鉄砲を配備しとく、

 早いもん勝ちだぜ、

 

 

 

 

 

  

 12月 

 水力発電所の建設を急がせている。

 やっぱり工業力は、電力に比例するよね。

 おれ、幕藩との根回し、金集め、設計、開発、

 組織、工程管理、人事管理、賃金管理の殆どに関わってるよ。

 まぁ 金の力もあるけどさ、

 とりあえず、マニュアル書いてやらせてるよ。

 度々修正しないといけないけどさ、

 

 

 クリミア戦争のパリ講和条約会議

 

  

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  おれ   妻 千代 (15) 

 

 一軒家 100両 (1000万〜2000万円)

 間口9尺奥行3間長屋家賃 500文

 1日  居職350文  出職410文

 かけ蕎麦 10文   風呂代  8文

 米一升〜二升 100文   味噌醤油 50文

 酒1合 20文〜24文

 1文 30円〜40円    1両   12〜16万円(4000文)

 一分銀 3〜4万円(1000文)    二分金 6〜8万円(2000文)

 1朱   約1万円

 

 

誤字脱字・感想があれば掲示板へ

第05話 1855年 『安政の大雄飛と。ロリ婚』
第06話 1856年 『星型荘園都市と、箝口令』
第07話 1857年 『封建のための攘夷と、月下の切っ先』