月夜裏 野々香 小説の部屋

    

錬成系 維新戦記 『1kg級魔法使いで』

 

  

 第15話 1865年 『なんちゃって偽装脱藩の・・・』

 いま、気になるのが南北戦争と太平天国の延長戦

 内戦が伸びてくれると、瑞樹(ニューギニア)と扶桑(アラスカ)の開発が軌道に乗りやすい、

 アラスカは、3ヶ月から4ヶ月の間しか土木建設の時期がないし、

 足場になる城塞都市を作っても簡単に成長しない、

 逆に成長が早いのは、瑞樹かな。昼間暑いけど、12ヶ月間働けますか、みたいな感じ、

 今の幕藩連合に干渉しそうなのは、イギリスとフランスとロシアだけど、放置されてる感じかな。

 そうそう、リョコウバトは、増えてるよ。

 ニワトリみたいな飼い方もあるけど、

 巨大鳥籠で半野生化したリョコウバトが美味しいよね。

 採算が合わなけどさ、

 

 

 

 1月

  功山寺挙兵

  南北戦争:モービル湾の海戦。

    北軍 木造船14隻 モニター艦4隻 5500人

              VS 南軍 砲艦3隻 装甲艦1隻 モーガン砦600人 ケインズ砦818人

 

 

 長崎にサーキット会場を作って、自動車で競争させてみた。

 まぁ 半分は、白人連中に見せてやるためだけど、

 全員が絶句してたね。

 来年は、各国とも自動車を運び込んで、競争させると息巻いたので、そうなりそうな気がする。

 あと、サッカー大会もしたいと言って来たので、国際サッカー大会と国際自動車競争を開くことにしました。

 あと、長崎の各国商館の噂によると、アメリカ南部連合はゲリラ戦に移行して、

 南部連合国内の都市と町を焦土化させつつ抵抗している、

 一部の精鋭部隊が分散して北部合衆国に潜入し、通信と道路と鉄道を寸断しているらしい、

 アメリカ合衆国軍は、南部連合を攻撃しながら、

 北軍内の潜入部隊を捜索するため、

 数十倍の戦力を前線から引き抜いてるので、苦戦しているそうだ。

 

 

 幕府瑞穂軍工廠で、魚雷を研究開発中、

 これがあるのとないのでは、戦艦の相対価値がガラリと変わる、

 開発するのは、電池式。

 なんといっても南鳥島に希土類があるから強力な磁石で、強いモーターを作れるものね。

 本当は、鉄道とか、モーターとか、発電で使いたいのだけど、

 まぁ 国防も大事ってこと、

 早く、潜水艦と魚雷の組み合わせで、無双したいよ。

 ちなみに600t級潜水艦を4隻建造したよ

  全長50m×全幅4.7m×吃水4.5m

  水上600馬力  4000海里/6kt

  水中200馬力  100海里/3kt

  533mm魚雷4本

  20人

 

 

 

 2月

  アメリカ大統領リンカーンが憲法修正第13条に署名

  メンデルが遺伝の法則を発表(ブルノ自然協会で口頭発表)

  マサチューセッツ工科大学開学(設立1861年)

  南北戦争:ナッシュビルの戦い

      北軍55000  VS  南軍30000

 

 太平天国の乱は鎮圧されそうな感じ、

 利益誘導で、太平天国の支援をしていたけど、内部がうまくいっていないのか、

 結束が崩れたみたい、

 内戦後は、清国と、ロシア、イギリス、フランスが揉めそうな気がするな。

 日本は、資源が欲しいだけだし、

 あと、生産品を捌ける市場があれば、割損を考えず生産できていいんだけど、

 そうそう、民間交流は、させないぞ (笑

 

 

 日本10省庁の創設が検討されている、

  国防省 大蔵省 法務省 文部省 総務省 外務省

  通商産業省 農林水産省 国土開発省 幕藩政調省

 省庁が創設されると、

 諸藩の力が弱体化するので、諸藩の省庁出向の割合率が問題になった。

 これと、小中藩統合と絡んでいる。

 日本の総石高は、瑞樹や東北が伸びたのか、3400万石ほど、

 仮に100万石を目安に統廃合すると、石高が拮抗する34藩の連邦制となる。

 おれは、歴史的な趨勢と、面積比と、人口比で統廃合したほうがいいような気がするけど、

 この時期は、まだ、米が大きいらしい。

 小中藩統合が省庁創設より先になると、大藩の省庁出向の割合が低下して不利になるし、

 逆に省庁創設が小中藩統合より早いと、旧12大藩が既得権を保持できて有利だ。

 幕藩連合議会の多数派工作は、壮絶かな。

 幕府は、先延ばしするほど、行政を仕切れるから嬉しいか。

 樺太藩は、年月が先になるほど、藩力が増すので難しいところ、

 ちなみに、おれの閨閥の田安徳川家の省庁入りを目指して、おれに接触してくるけど、

 封建社会は、藩主を守る私兵の家臣団に俸禄が与えられる構造だからさ、

 おれと、意識が違いすぎて、あんまり仲良くないんだよね。

 ていうか、理想がないのに、権力が欲しいだけじゃん、みたいな。

 国家観とか理想がないとか、外国人のいい餌だよ。どうにかしてください、

 一番、手っ取り早く国家意識を植え付けるなら、戦争だけど、

 どこか日本に攻めてこないかな。

 

 

 西ハワイ領への船便が増えてる。

 西ハワイ領と扶桑は、4500kmほどで、

 日本と扶桑は、8000kmほど。

 往復させるなら、冬の間に西ハワイ領に物資を運び込み、

 西ハワイ領から扶桑に物資を送る方が楽なのだけど、

 西ハワイ諸島に適当な港湾がないのが困りもの、

 まぁ ハワイ王国に物資を置かせてもらうのも悪くないけど、

 アメリカ人がウジャウジャいるので、やめた方が無難かな。

 

 

 

 3月

  香港上海銀行設立

  リンカーンがアメリカ大統領の2期目に就任

  大浦天主堂で隠れキリシタンが発見さる(信徒発見記念日)

 

 

 俸禄が削減された士族連中が憤ってる節がある。

 主におれに対して (笑

 特定利権の保護をやめ、

 バラ撒きで総合底上げすると、国民から稼げるやつが強くなるわけで、

 剣術だけの士族は、才覚のある農工商に追い抜かれ没落していく、

 でもねぇ 大名や旗本に媚びて生きるより、

 不特定多数と礼儀正しく付き合って稼ぐ方が健全じゃん、

 尊王攘夷とか、倒幕とか、危ない橋を渡って、革命まがいのことしなくてもいいじゃん

 剣術やめて、連合軍で、小銃持てばいいじゃん、みたいな。

 そうそう、武士階級は、意外に軍隊生活が嫌いらしい、

 基本的に精神論じゃなくて、画一的な生活だし、

 物量とか行程とか、合理性とか機能性の追求だし、

 実戦形式だと泥臭いし、

 例えば1日5リットルな。って、水管理させると、侍階級が真っ先にドロップアウトするんだわ、

 これは生活水準の差もあるけど、

 刀と小銃の二刀流の武士と、小銃だけの庶民との意識差だと思うね。

 武器弾薬の目録を確認してると、

 なんとなく気になる三十代の侍を見つけた。

 そう、人相描きによく似た顔・・・

 「あ、そこの、なんちゃって偽装脱藩の桂くん」

 男は、びくりとして振り向いた。

 「綾波殿・・・ わたしは、れっきとした長州藩士ですよ。彼らと一緒にしないでください」

 「そうだった。そうだった。君は長州攘夷派の頭目だったな」

 「い、いやだな。綾波殿。しがないただの長州藩士ですよ」

 「そのしがない、ただの長州藩士が京都で何してるの?」

 「い、いやぁ 綾波殿が作った兵舎を見学させてもらってるのですよ」

 「そう、何か、参考になった?」

 「参考になることばかりで、じゃ これで失礼します」

 男は、護衛の兵士たちに囲まれる前にそそくさと去っていく、

 油断も隙もないな。

 実のところ、桂小五郎は剣豪なので、容易に手を出しにくく、

 殺すに惜しい人物と言えた。

 

 

 

 4月

  BASF設立

  南軍潜入部隊によるニューヨーク銀行襲撃事件

 

 瑞樹と扶桑と西布哇が海底電線で連結され、電音放送が始まる、

 当然、聴率が高くて、幕藩連合や大商人が支局を置くみたい。

 まぁ 瑞穂も置くけどね。

 電音だと、60チャンネルしかないので、主要都市を覗くと全国や離島に散らばる感じ、

 そうそう、大藩で、藩内ケーブル電話電音会社が設立が検討されてる、

 藩内回線のみで、通話相手が少ない人は、通話料が安くなるみたいな感じらしい、

 こっちは、過疎地までケーブル伸ばしてるんで、赤字覚悟なんだけど、

 そんなことされると、困るんですよね。

 そんなわけで、50年間凍結してもらいました。

 ヤバいヤバい、

 そうそう、南北戦争は、4月9日で終わるはずでしたけど、延長 (笑 

 パチパチ パチパチ パチパチ

 ゲリラ戦が効果を現したのかも、

 戦争で一番儲けるのは、銀行屋だって南軍に教えてあげたせいか、

 テロ攻撃も明確みたい、

 

 

 日本国内の古代ユダヤ関連資料を集めてる、

 仁徳天皇陵も暴きたいんだけど、ダメでした。

 なので、それ以外の証拠を集めまくり、

 パレスチナの相続権は、日本人にあるぞ的な。

 パレスチナは、いらんけど

 でも、真のユダヤ人は、白人じゃない、っていう宣伝だけはしておこう。

 さすが戦前というか、証拠品が残ってるので、博物館を作れそうだ。

 

 

 

 5月

  万国電信連合(後の国際電気通信連合)設立

 

 

 孝明天皇(34)

   五摂家。近衛家、九条家、二条家、一条家、鷹司家、

 将軍 徳川家茂(19)

   大老 井伊直弼(50)

 将軍は、来年、病死するけど、その兆候はない、

 やっぱし、動乱のドサクサで暗殺だったのかね。

 ちなみに、孝明天皇も67年に死ぬらしいけど、おれ、死なせるつもりはないよ、

 史実だと、元治から慶應に元号が改元されるんだけど、まだ、安政が続いてる、

 安政というより、改政と言っていい時代なんだけど、

 日本の社会情勢が、元号の意味と、逆を行くことは、よくあること、

 そうそう、おれの実権が大きくなるほど、天皇と将軍は、暗殺対象から徐々に外れて、

 おれを亡き者にして、実権を奪うとか、そんな事を考える輩が増えるようだ。

 てなわけで、馬車で移動中に、3人に拳銃で狙われたわけなんだけど、不発。

 護衛の警察たちに取り押さえられたよ。

 魔法を残してなかったら、殺されてたわ。

 でも、こいつら、おれが死んだら10000文、5000文、1000文が作れなくなるし、

 瑞穂紙幣がピンチになるんだけど、知らないんだろうな。

 

 

 長崎の欧米公使館で演劇を見た者たちが影響を受け、洋風演劇をやり始めた。

 能楽、狂言、歌舞伎、人形浄瑠璃も悪くないけど、

 おれは、伝統的な和劇より、洋劇が慣れてるし、

 将来的に映画製作につながるし、

 スポンサーになって、流行らしてみようと思ったわけ、

 攘夷と開国の政争に庶民を巻き込ませて争いを大きくされるより、

 いろんな選択肢を増やしたい気分、

 始まってすぐは、普通な感じがしたけど、

 少しずつ練度が増して、金を取れるくらいになったようだ。

 劇場の弁当は、焼肉とナポリタンが入っていたよ。

 北海道の牧畜が成功してるからだけど、輸送と冷凍技術のおかげでもある。

 焼肉は、ひっそり続いていたら禁忌食らしい、

 坊さんでもないのに殊勝なことだ。

 肉食は、家畜を育てるため余計に水や飼料を必要とするし、

 人間側が割を食うので避けられた嫌いはあるけど、

 捕らえた野獣とか。

 牛や馬など、役目が終えようとする頃になるとエタが屠って、焼肉にしてきた歴史らしい、

 使わないと、勿体無いしね。

 ちなみに北海道の牧畜、加工、流通、弁当、販売は、ほとんど、おれの系列企業だよ。

  

 

 

 

 6月

  ワーグナー 楽劇「トリスタンとイゾルデ」初演(ミュンヘン)

  南北戦争: ファイブフォークスの戦い

 

 今年も扶桑開発船団が出港していく、

 瑞樹と違って、開発効率が悪いけど、将来的に買いな地域だ。

 今年は、一部、西ハワイ領と扶桑を往復する船が増えるけど、

 5000t級征夷型輸送機帆船80隻が出港していく、

 残留屯田兵1000人のいる樹野(ジュノー)開発は、既に始まっているはずだから、

 本格的な城塞都市を形成出来そう。

 今回は、士渡河(シトカ)島(4103ku)を20000人で開発して、800人が残留することになるけど、

 この船団の他にも、藩船団20隻が出航する。

 この時代、これだけの規模で開発できる国はイギリスくらいのものだ。

 ていうか、イギリスでも難しいはず、

 

 

 

 

 

 7月

  ルイス・キャロル「不思議の国のアリス」出版

  イギリスでシークレットサービス設立

  イギリスで赤旗法施行

  ハインリッヒ・シュリーマンが訪日

  ハリー・パークスが駐日英国公使として着任

  ホレス・グリーリーが「西部に行け、若者よ」を掲載

  マッターホルン初登頂(エドワード・ウィンパーら)

 

 今回は、おれも扶桑(アラスカ)に来たよ。

 おれが外地に来るのは、紙幣を散蒔いて、経済を潤わせるためでもある、

 なので、船に高額紙幣の原料を載せて、毎日毎日製造している。

 まぁ 日本資本も、貧乏な島に行きたがらない、

 逆に言うと、外地に高額紙幣があるなら、商品を運んで必死に利益を上げるからね。

 最新の輸送機帆船は、ディーゼルで、1000馬力で小型の割に性能が良かった。

 機関の信頼性とか、稼働率が高くなれば、帆走でなく、純粋な輸送艦を建造できた。

 「綾波殿。到着しました」

 「そうか」

 「また、機関室に来て居られるのですか」

 「機関は、船の心臓だ。コイツが動いている限り安心だからね」

 「随分と静かになったものです」

 「防音材で機関を覆ったし、振動しないようゴムシートの上に載せた」

 「材質が良くなれば、もっと静かになる」

 「それに一番劣悪な機関室を改善するほど、船の航洋性が高くなるからね」

 『ていうか、転移系が羨ましいぜ、あいつときたら、1日で移動できるんだから・・・・』

 

 

 港湾に降りると、クレーンが動き、積み降ろしが始まっていた。

 ガントリークレーンは、小さいものが4基だけで、

 クレーンを載せていない船から積荷を降ろしている、

 集積所に積荷を降ろすと、船は、日本へ帰還し、もう一度、積荷を載せて、扶桑に戻る、

 これを可能な限り繰り返すと、集積所は、物資の山になる。

 土木建設は、積荷を所定の場所へ運び、

 資材を組み上げ、城塞都市を完成させていく、

 電力は、地熱スターリング発電だけ、

 水力発電も小さなものが数基あるだけらしい、

 城塞都市を一回りすると、トーテンポールとかあるし、

 働いているトリンギット族に出会う、

 言葉は、まだ理解し得ていないけど、ロシア人を通訳に使ってるし、

 トリンギット族も少しずつ言葉を覚え始めている、

 まぁ 日本の商品が欲しくて言葉を覚え、働くらいているらしいけどね。

 特に砂糖菓子は、人気があるようだ。

 そうそう、600t級スクーナー機帆船と、450t級スクーナー機帆船が増えていて、

 そのまま、居残って漁業や連絡船で使われることが増えている。

 おかげで、トリンギット族と食料を巡っての争いは起こらず、

 むしろ、トリンギット族に恩恵さえ与えている、

 

 注目すべきは、ジオポリマーで作った5階建て、保温農作場、

 地熱スターリング発電で、照明と保温が見込めるし、水もある。

 少ない土地と人員で、数倍の収穫が見込めるし、

 田植えも稲刈りも楽だった。

 なにより冷害や旱魃を恐る必要もないし、害虫の侵入も防げた。

 樺太藩で既に作って成果を上げてるし、応用するのは、難しくなかった。

 この建物をたくさん建設するほど、自給率が増して、食料輸送の負担が減る。

 

 

 

 8月

  南北戦争: 南部連合の首都リッチモンドが陥落

  アメリカ合衆国憲法修正第13条が提案される(批准成立12月6日)

 

 この時期の扶桑(アラスカ)は過ごしやすい、

 日の本では、瑞穂発や扶桑発の電音に耳をか傾けることが多く、

 扶桑や瑞穂では、日の本発の電音に耳を傾けることが多かった。

 “芹沢鴨(37)の電音談話〜♪”

 “淀。電音放送。維新チャンネルです”

 “幕藩連合移行でも、武士階級の世襲が続く日の本ですが、如何お過ごしでしょうか”

 “今日は、征夷型輸送機帆船朝陽。艦長の甲賀源吾においでいただいています”

 “宜しくお願いいたします”

 “よろしくお願いいたします

 “甲賀艦長は、扶桑に行かれたとか”

 “はい、積荷を載せたら、もう一度、出航します”

 “航海は、たいへん、ご苦労されているようですが安全なのですか?”

 “荒海と、濃霧の多い海域で。冬季明けと、夏季の終わりは、特に危険ですね”

 “危険にもかかわらず、航海が多いのは、なぜでしょうか?”

 “欧米列強か日本近海に接近していますので、少しでも外地に足場を作って国防したいからでしょう”

 “外地で、列強と衝突する可能性は、あるのでしょうか?”

 “今のところ、欧米船は、礼儀正しく無害航行してますし、衝突の危険は、無いようですよ”

 “欧米船と撃ち合うことになったら、どうなるのか、気になるので、教えていただけますか”

 “これまでと同じように物資を運び、敵船を見つけたら撃破します”

 “撃破できるのですか?”

 “撃破したいと思ってます”

 “な、なにか、確証できるようなものがないと・・・”

 “そう言われても、軍機がありますからね”

 “はっきり言えるのは、同じ大きさの船が撃ち合えば互いに無事で済まないはずです”

 “それは怖いですね”

 “船に乗ってると、特にそう思いますね。沈んでも歩いて逃げ出すわけにいかないですから”

 “あはははは、確かに”

 扶桑の城塞都市建設は、これからで、小さな防衛力と社会基盤しかない、

 にも関わらず、ラジオを聴いていると、

 まぁ 大丈夫だろう、みたいな、現実離れした感覚に陥る、

 もっとも、ラジオの内容次第で、楽観論を広めたり、不安を煽ったり、世論操作できた。

 

 

 越冬組が仕事の合間に夏祭りみたいなことをしている。

 ロシア人に教えてもらって作ったらしいウォッカは、ちょっと、人気あるようだ。

 和製トーテンポールを見上げると、家紋が記されている。

 なんとなく、流行っているらしい、

 綾波家の家紋は、円に三本線を斜めに交差したもので、

 13代将軍徳川家定様に作ってもらった。

 別にありがたがるわけじゃないけど、

 一応、家として認められて良かった的なものはあるね。

 そういえば、樺太藩とか、千島藩でもお祭りみたいなことが増えてる。

 まぁ 憂さ晴らししたいのかもしれないけど、

 おれを担ぎ上げようというのは、ちょっと、疲れるかな。

 

 

 

 9月

  ジョゼフ・リスターが手術で初めて消毒を行う

  ジュール・ヴェルヌ「地球から月へ」連載開始

 

 扶桑(アラスカ)の巡回視察を終えると、一足先に帰還する。

 というより、西布哇諸島領に立ち寄って、そのまま、南下、

 瑞樹開発の様子を見るつもり、

 いずれ、パルプ材、鮭缶、原油を満載して帰還することになるかもしれないけど、

 とりあえず、まだ、投資だし、重り分を除くと、片道輸送だね。

 随行船は2隻で、おれが要人だから足並みを揃えた感じ、

 おれ、酔わないタイプだけど、許容範囲を超えて揺れたんで、ちょっと、酔ったわ、

 

 

 扶桑の屯田兵たちにアメリカ軍の危険性に付いて、聞かれた。

 「彼らの国土を見てわかるように欧州大陸を合わせたより広く、

  物量で攻められると、とても危険で、日本にとって命取りなほどだ。

  反面、彼らの忠誠心は、利己主義と拝金主義で形成されている

  日本軍より、利己的で、打算的で、拝金主義で、背徳的だと思う」

 「もう一つ、日本は、金融民主制で14歳以上の男子に、ばら蒔いているが、

  欧米は、金融独裁なので、戦争するほど、紙幣が権力者と富裕層に集まっていく、

  仮にアメリカが世界最強の艦隊を整備できたとしてもだ。

  軍人たちは、地位と給与さえ、安泰なら、

  祖国がユダヤ人に乗っ取られ、

  アメリカ人が人体実験で殺されていたとしてもヘラヘラしているだろう」

 って応えた。

 『まぁ 未来の日本人も似てるけどな』

 

 

 

 

 10月

 日本の入植は、現地民との衝突を避けるため、過疎な場所から始められることが多い、

 土地が痩せて狭い場所とかだけど、大規模な土木建設で何とかしてしまう。

  サモア諸島(2831ku)

   サバイイ島(1700ku)とウポル島(1115ku)は、城塞都市が建設され

 2万人近い日本人が移民している、

 瑞穂だと、小中藩統廃合で、小中藩主が城塞都市に転付されることが多いけど。

 島礁は、10人長民主主義が多いようだ。

 なんとなく、出来上がった城塞都市を見ると、RPGのラスボス城みたいな感じだ。

 RPGと違うのは、自給自足性が高くて、

 現地民に迷惑をかけていないことかな。

 アビア港は、アメリカ捕鯨船がいたけど、

 日本船と日本人が急増すると、現地に反日勢力を形成しようと、武器を売ったり、

 反日宣伝したりする。

 でも、おれが現地民の病気とか怪我を直すと、面子を失って、寄港が減少し、

 いまでは、日本人圏が形成されている、

 今のところ、現地人と仲良くしているし、

 日本語教育が進んでるので、たぶん、内地化出来ると思う、

 現地司令と話すと、3日前、

 1457t級ワイオミングらしき、アメリカ船が撃ってきたので撃沈したらしい、

 なんだよそりゃ!

 この時期は、日本の大型船が来ないと知っていて、

 450t級と思って簡単に撃沈できると思っていたらしい、

 沖合いで沈めたので砲声は聞こえても、何があったのか、誰も知らないという。 

 こういうのは、徹底しておかないとね、

 撃沈に関わった乗員船員を集めて、改めて箝口令を敷いた。

 商品が並ぶと、魚と交換する現地民が増えるし、

 とりあえず、魚を売って、日本の紙幣と交換する現地民も増えている、

 金の価値がわかるようになると、土地が増えるので、ちょっと嬉しいかな。

 

 

 

 11月

  南北戦争: ロバート・リーが南部連合陸軍総司令官に就任

 

 フィジー諸島(18270ku)

    ビティレブ島(10388ku) バヌアレブ島(5587ku)

 火山島で、地熱発電が得られるし、水力発電も期待できそう。

 フィジーの入植もほかと同じ、過疎地から始まって、

 土木建設力に任せて、城塞都市を建設してる、

 地政学的に、やや不利だけど、

 組織力と生産力と工業力で、鉄道と道路を作って、フィジー人を資本統制下に置いていく、

 少なくとも、やり方は、欧米より穏便な気がする。

 いま、建設してる時計塔は、日本入植地の象徴になってるかな。

 でも、欧米諸国が反日フィジー人を育ててる気がする。

 フィジー人を日本文化圏に引き込めたら、勝ちかな。

 あと、瑞樹本土にたくさんの空きアパートを作って、

 フィジー人を高給で雇用して瑞樹に移動させる計画も進んでる、

 

 

 

 

 

 12月

  アメリカで憲法修正第13条批准成立

  レオポルド2世がベルギー王に即位

  フランツ・シューベルト交響曲第7番「未完成」初演(ウィーン)

  テンペル・タットル彗星発見

  南北戦争: 第二次フィッシャー砦の戦い

 

 

 バヌアツ(12200ku)

    エスピリトゥサント島(3947ku)

 飛行船は、現地民を畏敬させるので5隻を就航させ、新領土上空を飛ばしている。

 小銃で脅すよりスマートだし、穏健だものね。

 稼働率は、それほど高くないけど、空に浮いていることが大事だから、

 バヌアツにも城塞都市を建設していて、おれが来ると、名主みたいな感じ、

 一応、樺太藩なんだけど、投資が大きいからさ、

 あと、来た時だけだから気にならないのかもしれないけど、

 民権藩主と会談するけど、瑞穂系社員で、まともな感じがした。

 

 

 

  

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  おれ   妻 千代 (24)   総司(8)  慶司(6)  佐奈(4)  晃司(1)

 

 

 

 一軒家 100両 (1000万〜2000万円)

 間口9尺奥行3間長屋家賃 500文

 1日  居職350文  出職410文

 かけ蕎麦 10文   風呂代  8文

 米一升〜二升 100文   味噌醤油 50文

 酒1合 20文〜24文

 1文 30円〜40円    1両   12〜16万円(4000文)

 一分銀 3〜4万円(1000文)    二分金 6〜8万円(2000文)

 1朱   約1万円

 

 史実3325万人

 戦記4120万人

 

 

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第14話 1864年 『ペンは剣先を決める』
第15話 1865年 『なんちゃって偽装脱藩の・・・』
第16話 1866年 『有価証券=領地。紙幣=兵力。』