月夜裏 野々香 小説の部屋

    

錬成系 維新戦記 『1kg級魔法使いで』

 

  

 第17話 1867年 『とある禁書録公開かしら』

 

 太平天国と、南北戦争が終わったし、

 清国は、近代化を目論むだろうし、

 欧米列強も東アジアに来そうな予感がする、

 日本は、幕藩連合の主導権争いで、ちょっと、ばかり舵取りが必要かな。

 

  

 1月

  アメリカ。コロンビア特別区で黒人が選挙権を獲得

 

 史実だと、徳川慶喜が第15代征夷大将軍に就任し、孝明天皇崩御したけど、

 この世界の日本は、第14代征夷大将軍徳川家茂(21)と、孝明天皇(36)は健在。

 おれは、警戒されてるけど、

 おれしか高額紙幣、有価証券。10000文紙幣、5000文紙幣、1000文紙幣を作れないし、

 日本経済の牽引役だし、

 幕藩連合は、攘夷政策継続のため、いまの地位にいる、

 結局、上にいる人間がふんぞり返って受身だと、物事が動かない、

 ていうか、老中、若年寄、大名ってさ、許可して欲しければ金持ってこいとか。

 邪魔されるのが嫌なら金持ってこいとか。

 そういう態度なんだよね。

 自分から何をしようとか全然ないから、

 想像力がないと、危機感がなく、

 危機感がないと、行動を起こす動機さえ、失うのかね。

 おれは、幕藩連合議会で、扶桑開発と、瑞樹開発の状況を地図とか、写真とか使って、説明していた。

 未来風に言うと、プレゼンテーションってやつ、

 これを乗り切ると予算がつくからさ、

 おれに反発してる諸藩は、説明に厳しい追求をしてくるけど、なんとか、踏ん張りました。

 まぁ 扶桑が守れるのか、っていうのが強いけどね。

 

 

 

 

 2月

  ヨハン・シュトラウス2世ワルツ「美しく青きドナウ」初演(ウィーン)

  徳川昭武・渋沢栄一ら幕府代表としてパリ万博視察のため渡仏

  最初の船がスエズ運河を通過

 

 

 瑞穂系サナトリウム

 結核=老害も多いけど、

 58年頃からコレラも流行している。

 コレラ患者に芳香酸と芥子泥(からしでい)を飲ませていく、

 おれは、結核菌やコレラ菌を見つけると一ヶ所に集めて焼いてしまう。

 おれのサナトリウムは、生還率が高いことから、名医と呼ばれ、

 幕藩連合もおれを謀殺しにくい感じだ。

 「おかげさまで助かりました。先生は、命の恩人です」

 「君は、人受けしそうな気がするな」

 「え、ええ、友人は多いですよ」

 「ぼくも友人ということでいいかな」

 「そ、そんな、先生は、命の恩人ですよ」

 「どうだろう。君は声がいいし、電音の話し手とか、やってみないか」

 「それは、先生のためにですか」

 「まぁ そんなに気負うことはない。6対4の割合で味方してくれればいいから」

 「まるで、工作員みたいな感じですね」

 「あはははは」

 おれ、こんな感じで味方を作ってる。

 なんとなく味方の人間が多いのが、狂信的な仲間一人より効果的な気がする。

 そして、死ぬはずの人間が蘇ると、困る人間がいたけど、

 より、おれの利権が強まったよ。

 

 

 

 スエズ運河が開通したらしい、

 これで、イギリスとフランスの艦隊が東アジアに来るよ。怖いよ。

 ぶっちゃけ、まともに白人諸国と戦争したくないので、オスマン帝国と国交を強めてる。

 ていうか、アラビア語、トルコ語を話せる日本人が増えたし、

 スエズ運河に対抗できるような牽制的な交易を増やせそう。

 ぶっちゃけオスマン帝国が近代化していてくれた方が好都合なんで (笑

 そうそう、オスマン帝国から機帆船を受注したよ。

  4687t級アーサール・テヴフィク

   全長83m×全幅16m×吃水6.6m

   3560馬力  13kt

   24口径75mm砲8基

 少しばかり品質を落として建造するけど、それでも、立派な装甲艦だと思う。

 

 

 あと、アメリカ船が長崎で南北戦争で余った武器弾薬を売りに来た。

 おれ、いらんかった。

 というより幕藩連合軍が使いたくない規格外の武器弾薬だ。

 もう、なんか、気の毒になるほど、安くされたけど、いらないものはいらない、

 ちなみに大砲とか、ガトリング機関砲とか売りに来たけど、

 それもいらない (笑

 なので、日本の武器弾薬を買いたいと言ってきた。

 結局、日本製の武器は、売らなかったけどね。

 不安になったんで、横流しがないか、全部隊を調べさせたよ。

  

 

 

 3月

  南北戦争: ジョンソン大統領が終結を公式に宣言

  アメリカでネブラスカが37番目に州となる

  ジョゼフ・リスターが消毒手術法を発表

  イギリス自治領カナダ成立を承認

  アメリカ議会がリンカーン記念碑協会を承認

 

 史実だと、アメリカがロシア帝国よりアラスカを購入した年だけど、

 アラスカは、既に日本が購入している。

 まぁ よしよしな感じなんだけど、

 大統領が南北戦争終結を宣言したし、そろそろ、対日政策来るかな。怖いよ。

 その気になれば、欧米の軍艦より強い軍艦は建造できるけどさ、

 そんなもの建造したら兵器インフレが起きるだろうし、

 少ない鉄を社会基盤を大きくするために使わないといけないんだよね。

 

 

 薩摩藩

 鹿児島城は、簡素な作りで、名城とは言えない、

 たぶん、江戸幕府に対する遠慮があったのかもしれないし、

 薩摩兵が強いから、城なんて飾りです、

 偉い人には、わからんのです的な事かもしれない、

 しかし、その版図は、大隅全域、日向の大部分、

 さらに琉球も押さえ、九州の3分の1を押さえて、半独立した気風を保ってる。

 幕藩連合議会でも不遜な態度で有名な大藩だし、

 瑞樹入植も積極的だ。

 77万石と言われているけど、実は90万石らしい、

 シラス台地で他国の半分以下の米しか取れない土壌で徒労感も大きいだろうに、

 よくやるものだ、と思う。

 幕藩連合になると、幕藩連合議会が石高で採決されるため、農地の開墾が行われている。

 もっとも、開墾し過ぎると、自然の循環を狂わせるし、

 面積あたりの収穫を増やす、農業用建築が増えている。 

 薩摩兵が強いのは、事実のようで、

 洋風装備も訓練も馴染んでる気がする。

 「こうして見ると、薩摩師団が日本で一番強そうですな」

 「そうゆていただけうと嬉しか限い。そいどん、ちょっと、弱くなってう気もしもんで・・・・」

 「薩摩家臣が他藩に出向してるということは、日本全体が強くなってるということですよ」

 「薩摩の望むような攘夷ができるわけです」

 「そいどん。尊王があとまわしじゃ」

 「薩摩は、将軍に任命されたいわけですね」

 「まぁ・・・」

 なんとなく、殺意混じりの緊張感が漂ってくるから怖いわ、

 「幕藩連合議会で多数票を取れるなら、そういうのもあるかもしれませんがね」

 「一番候補は、国防参謀の綾波殿では?」

 「あははは、樺太藩は、石票が全く足りませんよ」

 「将軍任命は、朝廷にあっとであって、石票にあうわけほいならん」

 「議会は力を増してますからね」

 「将軍が何かを決めても、議会で否決されたら進まない」

 「石票のない、わたしがなっても長続きしないでしょう」

 

 

 

 

 4月

  パリ万国博覧会開幕(10月31日まで): 日本が初展示

  シンガポール等海峡植民地がイギリス植民地省の直轄となる

  横須賀製鉄所200m級ドック起工(1871年竣工)

  シャルル・グノーオペラ「ロメオとジュリエット」初演(パリ)

 

 

 幕藩連合議会は、金融で14歳以上の男子の口座に幾ら振り込むかで、まず荒れ、

 その後、国家予算240億文(600万両)から幾ら口座負担するかで、荒れる。

 逆算すると、いま、14歳以上男子2000万人くらいだから、200文×12ヶ月で、

 14歳以上の男子に年48億文(120万両)が口座に振り込まれる。

 地租税で集めた国家予算を国民の口座に入れて負担するのは損なのだけど、

 全額48億文を新札で口座に入れる方が怖い、

 そこで、税金の一部を再配分の形で口座に振り込むことで調整している。

 今回は、金融48億文のうち、3分の2の32億文(80万両)が財政から振り込まれ、

 金融は、16億文(40万両)の振り込みになった。

 その金がどこに流れるかわからないのだから藩主や既得権は不安になる。

 それでも幕府が金融で底上げした社会資本を欲するのは理由があった。

 金のなる木になる公共事業と設備投資だ。

 

 電話電音網が日本全国に伸びていた。

 聴者数が増えるほど、入札価格が高くなって、おれ、お金持ちになってる、

 儲けてるけど、地租税も大きくなって、支払う税金も大きくなっている、

 幕藩連合が財政で使えるのは、7割5分の208億文(520万両)だけど、

 公共投資と設備投資がほとんどで、一部、軍事力かな。

 表層面経済の銅本位制紙幣と、別の金貨と銀貨が動いて不足分を補っている。

 それでも教育、軍事、公共投資すると、すっからかんになって、もっとくれって言ってくる、

 どこの国の財政も底無しの金食い虫だから、そうなるけどね。

 よく、口座に振り込まれた48億文を切り崩せって言われることがあるけど、

 通貨流通保証が必要と突っぱねた。

 ていうか、銀行口座に財源を貯めて、瑞穂銅行が優良企業投資で使いたいってわけ、

 ほら、預け入れるとき、元金保証金を取られるから、

 困ったときとか、老後でもなければ、なかなか引き出さないでしょ

 口座から口座への移動は、少しの手数料しか取らないから、

 銀行が投資先を探しやすいってわけ、

 ちなみに口座から降ろさなかった場合、1ヶ月200文×12ヶ月×50年間と仮定すると、

 64歳で口座に120万文が入ってることになる。

 これが多いか少ないかは、所得と預金額によるけど、貯蓄分と合わせれば、相当な金額になる。

 

 

 “芹沢鴨(38)の電音談話〜♪”

 “淀。電音放送。維新チャンネルです”

 “幕藩連合移行でも、武士階級の世襲が続く日の本ですが、如何お過ごしでしょうか”

 “今日は、奇兵隊の高杉晋作(27)さんにおいでいただいています”

 “宜しくお願いいたします”

 “よろしくお願いいたします”

 “高杉さんは、攘夷運動をされてるとか”

 “はい、その通りです”

 “新選組と不仲と聞いてますよ”

 “もう、口も聞きません、私闘なら、いつでも、応じる所存です”

 “強気ですね”

 “日の本は、天皇を中心に政治勢力を結集すべきです”

 “戦国武将を継承する古い体質では、文明も強兵も立ち行かん”

 “なるほど、しかし、最近は、随分と、国力がついてるように思いますが”

 “ですが、幕藩連合の党利党略と、離合集散は、酷すぎる”

 “なるほど。時に綾波殿と交渉したそうですが”

 “なかなか、悪くない人物だった”

 “いまの幕藩連合は、綾波殿で、持っているようなもの”

 “わたしの労咳も、彼の薬を飲んで治ったよ”

 “しかし、人に頼っていては、幕藩連合。いずれ、空中分解を起こしますぞ”

 “なるほど、どのような薬でした?”

 “ん、野菜を煎じた飲み物で、目の前で作ってくれたぞ”

 “まぁ ありふれたものだったが、何が効いたのか、よくわからなかったわ”

 “しかし、争いごとを好まぬお人のようで。恩人でもあるし、なるべく、穏便策を取るよう心がけてます”

 

 

 

 5月

  アルフレッド・ノーベルがダイナマイトの初特許をイギリスで取得(1866年発明)

  ロンドン条約締結: ルクセンブルクが独立を獲得

  イギリス議会がジョン・スチュアート・ミル提議の婦人参政権案を否決

  ロイヤル・アルバート・ホール起工式(ヴィクトリア女王)

  オーストリア=ハンガリー帝国成立(アウスグライヒ)

 

 

 インド洋に送った船団が戻ってきた。

 まぁ なんとかインド洋の島々に足場を築いたらしい、

  クリスマス島(143ku) ケルゲレン諸島(7215ku) サンポール島(6ku)

  グロリオソ諸島(5ku)  ニコバル諸島(1841ku)  バサス・ダ・インディア環礁

  フアン・デ・ノヴァ島(4.4ku)  プリンス・エドワード諸島(335ku)  ユローパ島(28ku)

 ちなみにニコバル諸島からイギリスが撤退したのは、風土病に負けたから、

 ケルゲレン諸島にフランスが足場を作れなかったのは、寒かったから、

 ほかは、小さかったので見逃した感じ、

 そして、船は積荷を積んで、今度は扶桑に向かう予定、

 乗員は、ほとんどが入れ替わるので、この頃から船と地上の2交代制が確立される。

 まぁ 忙しいからさ、

 

 

 

 6月

  オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世がハンガリー王としても戴冠

  メキシコ帝国皇帝マクシミリアンが銃殺刑に処される

 

 

 日本で武器弾薬が売れないと思ったアメリカ船が出港していく、

 おれは、武器を輸出した国で、戦争か、内戦が起こると知ってる。

 どうやら、清国に行くらしいけど、

 清国は、太平天国の乱が終わって間がないし、戦争なんてしたくないだろうし、

 ひょっとして、対日噛ませ犬?

 そういうのやめてくれない、

 瑞樹と扶桑の開発で忙しいんで、戦争したくないんだけど (笑

 

 今年も扶桑開発船団が出航していく、

 日の本と扶桑は、海底電線が結ばれ、いつ出航したらいいかも、だいたいわかっている、

 もっとも、気象が変わりやすいので、あまり当てにならない、

 船が沈むと、扶桑開発が頓挫しかねないので、慎重にやってる、

 今のところ、沈没未満だけど、場所柄、座礁しやすいし、二重遭難の危険もある、

 欧米があまり手出ししにくく、ロシアが売りに出したくなるわけだ。

 今年は、征夷型輸送機帆船130隻が往復して

 20000人が行って開発して、越冬組は、2929人に増えるはず。

 

 

 

 7月

  自治領カナダ成立

  ベニート・フアレスがメキシコの共和制への復帰を宣言

  ジョゼフ・モニエールが鉄筋コンクリートの特許を取得

  ハーバード大学歯学部創立(アメリカ初の歯学部)

  ルシアン・スミスが有刺鉄線のアメリカ特許を取得

 

 

 史実で起きたキリスト教弾圧の “浦上四番崩れ” は、起きなかった。

 というより、和親条約は、相互条約で、互いに宗教迫害をしないことが決まった。

 仮に、日本人が神道や仏教を欧米に広めたとしても弾圧しないってこと、

 その危惧があるので欧米側も警戒して、宗教布教を制限する記述もある。

 

 

 藩史を中心に歴史教科書を作りたい藩とか、

 寺子屋系の先生方との交渉で、図書館を作った。

 写生本も多いけど、印刷本も増えている、

 あと、瓦版とかも残して年代ごとに重ねて瓦版本にしている、

 ていうか、原本探しして、活字にして、印刷本にしているので、

 未来で言うところの、国宝本を数十冊復刻させてる、

 おれ、偉い? おれ、偉い?

 一般人たちは、知識を得ようとして来てるけど、

 その筋の者たちが見ると、

 いくつもの利権団体が利益誘導するため、仕様書を作って、作家や記者に調理させた本が多い、

 公平公正に見せかけ、娯楽と思わせつつ、

 政治的なベクトルと、メッセージが含まれている、

 そうでなくても、ちょっとした文節の位置と、接続詞の違いで我田引水する文章が並んでいる、

 主流、反主流、中道、右派、左派が行ってきた大衆印象操作の結実にも感じる、

 まぁ 目に見えない情報戦と、思想戦が行われてるのだけど、

 少しずつ娯楽物も増えているし、仕様書沿いに創作性の強い本も増えている、

 実のところ、庶民の志向を知る上で、図書館の貸し出し本の傾向は、役に立った。

 おれとしては、国内で内輪揉めしてる段階じゃないのだけど、

 幕藩連合議会は、それぞれの藩主が主導権を握ろうと躍起になってる、

 未来だと中央集権が強いので、省庁利権同士の確執だけど、

 この時代は、幕藩地域利権と、商業利権の半々という感じ、

 書籍で気になるのは、出自不明のおれが仙人だとか、書いてる暴露本。

 もう一つは、寺子屋上がりの先生連中が連盟で書いてる本で、

 中央集権が進むと、幕藩連合間の競合がなくなり、地域の特性が失われやすくなるし、

 画一的な飼い犬を育てるが如き、教育へ移行し、国家全体が弱体化するだろう、

 という内容の本で、どちらも、人気があるらしい、

 仙人とか。おれ、ピンチ。

 あと、おれが中央集権教育を受けてきたから下克上的な気質が低いのだけど、

 諸藩は、倒幕的な気質を失わせたくないわけだ。

 また、権力構造の集中と分散は、歴史の流れみたいなもので、

 国民国家を形成するのに、共有する部分も必要だと思うわけよ。

 その辺は、妥協したほうがいいかもしれない、

 そして、禁書だった聖書が棚に並んでいる、

 印刷数量の一部の利益が長崎キリスト教国家群に流れるので、ちょっとした利権と情報になるし、

 逆に日本の作った仏書、儒教、神道の本が印刷されると、日本側にお金が入る相互利権になってる、

 興味を持つ侍とか庶民が少なからずいるのか、

 恐る恐る、キョロキョロしながら聖書を借りて読んでるようだ。

 あーー この世界の日本は、クリスマスのバカ騒ぎが流行らないかもしれない、

 おれのクリスマスデートが・・・・って、嘘。

 そんなことやったことねぇよ。ちくしょめぇえええ!

 

 

 

 8月

  中岡慎太郎が陸援隊を組織

  “ええじゃないか” が始まる

 

 

 木製合板と、ジオポリマーの組立キットはよく売れた。

 整地して、基礎工事したあと、

 運び込んだ薄い板状のモノと角材状のモノ組み立てると、ツーバイフォー建築が出来上がる、

 ちなみにジオポリマーは、いくら薄くしても花崗岩の如く重く

 たいてい、台車に乗せて運び、起重機を使って組み立てていく、

 そして、景気が良くなるほど、

 長屋は、高層化し、部屋も2軒、3軒をぶち抜いて広く堅牢になった。

 問題は、堅牢な家屋が増えるほど、長屋暮らしの人間が減り、

 銅行に金を預ける人間が減少し、瑞穂銅行は、公共金庫の役割を終えてしまい、

 入金は、送金する時だけという現象になってしまう、

 そうなってしまうと、14歳以上の男子へのバラマキ分が、銀行の運営資金となってしまうわけで、収入減になる。

 いずれ、預金に利息を付けることになるかもしれない、

 しかし、銅行で利息をつけると、架空の貨幣のために、紙幣増産しなければならなくなるわけで、

 これがまた財政分で支払うか、金融増資分で支払うか、という

 金融と財政で殺意を向け合う的な問題を引き起こしてしまう、

 実のところ、老後になって口座から引き落とす資本は、銅行を窮地に追い込みかねない、

 まぁ 一斉に老後を迎え、一斉に引き落とすわけではないけど、悩ましい問題でもある。

 

 

 

 

  9月

 最近、家賃地代、水道電気光熱代、通信代、取引の銅行振込が増えている。

 割損しても第三者に記録が残るためで “支払った” “支払ってない” という争いが減るし、

 堅気でない人たちも瑞穂銅行を敵に回すのが面白くないことから、素直に支払うらしい、

 法人契約すると、本人の名前を出さず口座取引できることから起業も増えている、

 そうそう、身分に拘らない企業を認める藩が少しずつ増えている、

 しかし、侍階級を組織的に守ろうとする藩もあって、

 身分フリー企業が圧力を受ける藩が多いらしい、

 やれやれ、

 

 

 

 

 10月

  カール・マルクス『資本論』第1部刊行

  アルフレッド・ノーベルがダイナマイトの特許をスウェーデンでも取得(イギリス特許取得は5月7日)

 

 いよいよ。ダイナマイトの時代になっちゃったよ。

 人がたくさん死ぬよな。

 この時代だと、核爆薬みたいな感じに受け止められるのかね。

 そうそう、日本は、既にダイナマイトを作っていたから、

 特許料は支払わないよ、って宣言して、長崎で爆発させたけど、

 うぇええ〜 近すぎた。耳鳴りがする〜 土被った〜

 白人たちは、呆然としてたっけ、

 

 

 

 

 11月

 史実の今頃だと、大政奉還があったけど。長州は既に1月に孝明天皇を暗殺してるので、

 今更、三頭体制とか、共和制は無理、後に引けない、みたいな。

 発覚して逆賊として汚名を浴びながら廃藩の憂き目に遭うか、

 逆らうもの、口封じしていくかで、

 腹立ち紛れに坂本龍馬を暗殺したんだけど、

 その後も国権簒奪藩が保身と利権で漏洩を恐れ、

 朝鮮人を引き込んで外患誘致しながら、要人暗殺するわ、

 権力掌握と日本人の弱体化のため戊辰戦争、西南戦争、

 日清戦争、日露戦争、日中戦争、太平洋戦争して、

 国を壊せるわ、国民を殺せるわ、と、狂気の権力執着は血筋かね。

 

 この世界の日本だと、孝明天皇は生きてるし、家茂も生きてる、

 弱い中央集権だけど、幕藩連合軍は攘夷する力があるし、未開地開拓地もある、

 構造改革と、文明開化と、富国強兵も進んで、ソフトランディングに成功している気がする。

 

 

 

 

 12月

 史実だと、偽装脱藩の坂本龍馬と中岡慎太郎が暗殺されたけど、

 この世界の日本だと、二人とも無事、

 でも、伊東甲子太郎は、粛清されたみたい、

 

 

 動物園に海外の動物が入れられていく、

 ちなみに動物園は、ロンドン動物園(1828年)が世界初らしい、

 和親条約を結んで得た “ゆったり空間” ってやつかな。

 いいよね。動物園。

 ささくれだった殺意が薄れていくよね。

 きっと、癒し効果で、戊辰戦争も防いでくれるはず、たぶん、

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  おれ   妻 千代 (26)   総司(10)  慶司(8)  佐奈(6)  晃司(3)

 

 

 

 

 一軒家 100両 (1000万〜2000万円)

 間口9尺奥行3間長屋家賃 500文

 1日  居職350文  出職410文

 かけ蕎麦 10文   風呂代  8文

 米一升〜二升 100文   味噌醤油 50文

 酒1合 20文〜24文

 1文 30円〜40円    1両   12〜16万円(4000文)

 一分銀 3〜4万円(1000文)    二分金 6〜8万円(2000文)

 1朱   約1万円

 

 史実3383万人

 戦記4501万人

 

 

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第16話 1866年 『有価証券=領地。紙幣=兵力。』
第17話 1867年 『とある禁書録公開かしら』
第18話 1868年 『国歌は、やっぱり “君が代”』