月夜裏 野々香 小説の部屋

    

錬成系 維新戦記 『1kg級魔法使いで』

 

  

 第46話 1896年 『冬眠と。絶縁と。後悔と。』

 

 ユダヤ暦5656年  皇紀2556年  安政42年

 第121代孝明天皇(65)   第15代将軍前田利嗣(37)

 

 おれ、死んだんだけど、

 電音を聴いてると、すげぇ〜 探してるっぽい、

 あと、おれの業績を話してる電音も多いかな。

 そんなに好かれてたっけ、みたいな。

 ちょっと、涙ぐんでます、的な。

 ていうか、お前が、無二の親友みたいに喋る政敵がたくさんいるので笑った。

 しかも、政敵に限って、感動的なこと言うんだよね。

 おれに刺客を放ったくせに (笑

 

 

 

 1月

  アメリカのユタでインディアン戦が行われる。

 

 

 おれが住んでるのは、農業用建物で、床下面積は、敷地面積の10倍くらいあって、

 むかしの口分田の5倍くらいあるかな。

 それとは別に、居住区画が最上階と、その下の階。

 下の階は、農業用カラクリが進んでるので、人手はいらない、

 12階は、搬出入用スペースとか。テナントとか、工場みたいな。

 農家が好む建物だ。

 ていうか、この時代、国民のほとんどが農民上がりなので、

 こういう家は、多くなってる。

 作物以外にも、楮、三椏、綿・マニラ麻も植えて、紙幣を錬成している。

 やっぱり、紙幣は、錬成しないとね。

 地熱スターリング発電は、居住するだけならそれほどいらない、

 だけど、発電機を大きめに作ってるのは、建物全体の保温とか照明とか、

 農業用水の揚水とか、作物を育てるカラクリ機械で電力を使うからで、

 水力発電とか、風力発電とかの補助電源で、ようやく足りてる。

 どうしても足りない時は、瀝青炭、準瀝青炭、褐炭を燃やして暖を取るけど、

 そういうことは、あまりないかな、

 

 

 

 電音

  “北イスラエル王国は、サウル王、ダビデ王、ソロモン王と続いていた”

  “イスラエル王国は、タルムード(レビ司祭)思想に支えられていた”

  “ソロモンの栄光と言われながらも”

  “内情は、ユダ支族優越な中央集権王国で、12支族の自立性が失われ”

  “重税と賦役で国民を苦しめ、世俗化と教義の対立などで、王族と部族の乖離が広がっていた”

  “ソロモン王の後継者レハブアム王に至って、王朝と、主要部族の乖離は、決定的となり”

  “イスラエル王国から10部族が分離し、北イスラエル王国を独立させてしまう”

  “北イスラエル王国と、南ユダ王国の対立は、その後も続き”

  “南ユダのタルムード勢力は、北イスラエル王国に謀略戦を仕掛けた”

  “北イスラエル王国は、謀略を繰り返すレビ族を排しながらも権勢が荒れ続け”

  “19人の王の内、7人の王が殺害され”

  “ついには、北イスラエル王国を滅亡へと追いやった・・・”

 北イスラエル系王朝の日本の古代イスラエル観は、南ユダ諸派の歴史観と違っていて、

 南ユダ諸派タルムード系史観が入り込む前に、

 北イスラエル王国に都合のいい、歴史観を日本国民に埋め込む必要があった。

 歴史観は、材料が同じでも、視点を変えるだけで、全く違う印象を人に与えるものだ。

 

 

 冬の扶桑で、電音を聴きつつ、日本刀を錬成中、

 日本刀は、硬、中軟、軟を組み合わせて作る。

 刃の部分は、硬なのだけど、

 刀鍛冶の流派によって、硬、中軟、軟の組み合わせ変わり、

 構造の種類だけでも20種類以上になる、

 安政維新以降、人口と需要が増え、刀鍛冶も増えている、

 家臣の出向のせいか、のれん分けも進んでるのか、種類が増えているらしい、

 あと、瑞穂系列社で、工業的に理想的な日本刀も製造している。

 もっとも、鋼の材料は、海外に頼ることになるのだけど、

 出来は、10人以上斬れそうな日本刀もあれば、

 2、3人斬ると刃毀れするものまであるわけで、ピンキリと言える。

 ちなみにおれの錬成する日本刀は凄いよ。

 構造もそうだけど、材質も鋼だけに頼っていない。

 ていうか、硬、中軟、軟の構造で考えるなら、鉄に頼らなくてもいいんじゃね的な。

 てなわけで、おれが錬成するのは、日本刀と似てるけど、異質の何か、って感じだ。

 しかし、気合を入れて錬成した日本刀は、迫力あるよ。

 もっとも、腕は、それほどでもないらしいけどね。

 ていうか、電音で、おれが知ってる中堅剣士が若手の剣士に負けてる、

 子供が増えると、新陳代謝が早くなるというか。

 おれも、10代の子供に負ける気がしてくる。

 馬鹿が権力者に就くと、少子化したくなる気持ちもわかるわ、

 そうそう、

 おれ、一応、綾波藩主の隠し子なのだけど、遺産配分で、分祠も行われてるし、

 庶子として申し出るだけの証拠もあるので、一応、武士階級で帯刀権がある。

 まぁ 郷士と、隠し子の関係をあげつらうのも無粋な気もするけど、

 武士と農民の中間なんて、ワケありでしょ

 藩主の隠し子だと、郷士以上の扱いになるというか、

 そこそこの身分に当たるんじゃないかな。

 鏡を見ながら型を訓練していると、なんとなく、いい感じになってきてるから不思議、

 冬でも家の中は、暖かいし、

 穀物栽培室があるので、作物を育ててる。

 あとは、食っちゃ寝の繰り返し、

 日本は、というと、おれの教示が、守られてる気がするけど、

 なんとなく、おれの政治的影響が薄れているような気がするかな。

 困ったものだ。

 なんとなく、剣術の極意みたいなものに目覚めてきそうなんだけど、

 銃剣術も少し習ってたので取り入れてる。

 うん、若返ったら、おれ、武闘派になれるかもね。

 ていうか、いつになったら、若返られるのだろうね。

 

 

 

 

 

 2月

  プッチーニ「ラ・ボエーム」初演

  オスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」初演

 

 電音を聴いてると、おれの捜索は、もはや絶望らしい、

 そりゃそうだ。

 真冬の扶桑で、二重遭難されたら、こっちが申し訳ないわ。

 もう、探さなくていいよ。

 あと、暇潰しに架空戦記書いてる (笑

 この戦記の未来をどうするか、みたいな。

 理想は欲しいからね。

 理想があると、戦略を考えられるし、戦術も生まれる。

 理想がないと、利害だけの操り人形になるし、木偶になってしまう。

 おれ、そんな人生は嫌だ。

 

 

 金融で高額紙幣が不足してると、騒ぎになり始めている。

 なるべく、作り置きしていたのだけど、元々 不足がちだったからね。

 額に小さな紙幣を大量印刷してるけど、

 見劣りする紙幣は、国民が好まず、

 額面以上の差額が生まれているらしい、

 世界水準の紙幣で見ても最高峰なんだけどな。

 それでも、年代別の錬成紙幣を重ねると、綺麗に重なるから現代以上に脅威。

 なんとか、錬成して、郵送するつもりだけど、

 ここが知られると、困るしな。

  

 

 

 

 

 

 3月

  第一次エチオピア戦争: アドワの戦い

 

 少し、暇なので、フライ・フィッシング用の疑似餌作り、

 釣りはいいねぇ

 まぁ あれだよ。

 自然の中で生きてる的な (笑

 

 だけど、狩りとか、釣りとか、菜園とか、

 銃剣術の鍛錬とか、

 健康的な生活を送ってるな。おれ、

 このまま、扶桑で農家も悪くないかもね。

 

 なんか、電音で、家族の声が・・・・

 やべぇ〜 情愛ってやつに引っ張られる、家に戻りたくなるし、

 孫の声とか、思わず涙ぐんじまうよ、

 3日ほど、何もしないで飲んでた。

 

 

 4月

  イタリアのスポーツ新聞「ガゼッタ・デロ・スポルト」創刊

  第1回夏季オリンピックがアテネで開催(〜4月15日)

 

 電音を聴きながら銃剣術の訓練。

 録音したオリンピックを電音で流している。

 ちなみに1900年第2回オリンピックは、パリで、

 1904年第3回オリンピックは、長崎で、やることになったよ。

 まぁ なんだかんだで、

 既に世界大会の原型は、長崎で続けられていたからね。

 オリンピックを世界大会にしていくのに、日本の賛同が必要だったってことなのかね。

 もちろん、柔道、剣道、相撲も種目だよ。

 綾波が考えたってことになってる篭球(バスケット)、庭球(バレーボール)、庭球(テニス)、卓球、

 綾波の方が早かったんじゃねっていう蹴球(サッカー)、

 あと、水泳のクロールとバタフライは、おれだ (笑

 まぁ ルールはうる覚えでだったけど、なんとか、幕府大会、藩大会まで、こぎつけたし、

 長崎で国際大会もやれたし、

 あと、七里飛脚伝大会と、七里駕籠伝大会の様子も伝わってくる。

 七里なので、一区間27.4909091kmだけど、

 42.195kmのマラソンと少し違う趣があるね。

 よくよく考えると、未来情報を知ってるって、すげぇ〜

 そう思える。

 

 

 冬季明けになったら、新聞、雑誌、書籍が届くだろうけど、

 いまの情報源は、電音と、株を持つ企業からの報告だけ、

 引き籠った途端、外に出たくなる。

 しかし、少し痩せてるけど、綾波と似てる人間が出歩いてるとか、目立つし、

 見分けがつかなくなるまで、出歩かない方が良さげ、

 おれの行方不明は、大騒ぎになってるけど、

 電音の論調が少しずつ変わってきてるような気もする。

 朝鮮人に我田引水なことをさせて、立身出世したがる役人は多い、

 逆に、未来の日本で立身出世してる官僚のほとんどが、

 在日に自作自演で不正腐敗な仕事をさせている。

 世知辛い世の中で、権力層と富裕層が不正腐敗を積み重ねるほど、

 日本は、国民国家から、利権国家となっていくわけで、

 この負スパイラルを繰り返すほど、

 政治家、官僚、資本家、教授は、利権を守るための秘密と申し送りが増え、

 格差を広げて身を守るしかなくなり、

 嘘と、盗み、殺人などの犯罪が蔓延し、自殺と、行方不明が増えてしまう、

 そして、善意が失われるほど、くじ引きか、ジャンケンで議員を決める方がマシになっていく、

 そういう日本にしないためにも、朝鮮人の流入を減らしたいのだけど、

 おれの居ぬ間に、朝鮮系日本人が在日を引き込んで、何やら悪さをしようと、画策している。

 困ったものだ。

 

 

 天候が良くなったので、変装して街で犬と猫を買ったよ。

 まぁ 用心深いとか言われそうだけど、扶桑での捜索は続いているからさ、

 でも、癒されるよね。

 犬と猫。

 特に子供や孫の声とか聴いた日に、一人で引き籠もりじゃ寂しくてさ

 

 

 

 5月

  ブダペスト地下鉄初の区間が開通

  イギリスのタブロイド紙「デイリー・メール」創刊

  チャールズ・ダウがダウ平均株価を初めて発表

 

 

 この世界の日本は、まだ平和だよ。

 だけど、我田引水な利権戦争みたいなことは、日常的に行われてる。

 例えば、扶桑警察は、各藩の人口比で選出されるけど、

 扶桑生まれが増えるほど、出自藩や出向藩からの圧力が弱くなる。

 なぜ、警察かというと、

 警察は、表向き、政治的に中立になってるけど、

 ヤクザと自作自演な犯罪劇をやらかしたり、

 政敵と、政敵の身内の犯罪を捕らえ、

 味方の政治家の犯罪を見逃すとか、常習的に行われてるからで、

 最悪になると政敵の冤罪をデッチ上げ刑務所に入れる程度、政治的なわけ、

 未来だと、そんな感じかね。

 そして、そういう奴ほど、検察で出世して上層部入りする。

 この時代も、やや似ているわけで、

 各藩は、比較的、若い入植者を10人長選挙で勝たせようと後押しして、

 自藩の影響力を扶桑で行使しようとする。

 おれが、公文書偽造と私文書偽造で、用心深く、必死になってるのも、

 そういった権謀術数というか、利権政争が原因かな。

 仮におれが抑えてるマスメディアを黙らせても、ほかが騒ぐと、

 飛び火しちゃうし、おれの権力基盤が崩れたりするからね。

 綾波の権力基盤が強かったのは、利権の巨大さとか、紙幣の錬成とかもあるけど、

 治療で恩義を着せたことが大きいかな。

 ぶっちゃけ、大大名の10倍くらい親衛隊がいたからね。

 そんなわけで、綾波の支援だけでなく、

 それなりに公的な地位に付いて、おれ独自の親衛隊を増やさないといけないわけ、

 

 

 てなわけで、今日は、扶桑の街を偵察、

 扶桑の温泉は、いいよね。

 偽名を使って、温泉にきちゃったよ (笑

 ていうか、日本人なら温泉だよな。

 エスキモー人やアサバスカ人と少し交流した。

 彼らは、スー族やアパッチ族に武器弾薬を運んだり、

 アメリカ国内の写真を撮ったり、映像を撮ったりしてくれるので、意外に仲良くやってる。

 日本語を話せるインディアンも増えてるし、

 病人がいるので治してやったら、いろいろ、持ってきてくれる。

 ああ、インディアンと、一緒にボーリングやったかな。

 場所柄、卓球、ダーツ、ビリヤードとか室内ゲームは、多いよ。

 かれらは、日本人と、打ち解けた感じで、少し日本語を話したりもする。

 でも、基本、隠遁生活だし、おれの一日は、人との交流が少ないので、変化が少ないかな。

 時々 配送人や代理人と会うけど、電話のやりとりがほとんどだ。

 そうそう、新刊漫画、雑誌、書籍が届いた。

 まぁ 電音もいいけど、あれだ。

 活字も好きかな。割と。

 あ、そうだ。エアホッケーとか、クレーンゲームとかゲーム会社を作ろうかな。

 おれ、ゲームとか、わりかし、好きだしね。

 だけど、この時代の日本人は、未来の日本人より視点が高いし、視野が広いし、

 多視点で人を思いやる力もあるし、ムラ社会を大事にしている。

 当然、志も高い気がする。

 おかげで、身の置き所のない疎外感というか、足場のない孤立感は、在日気分だよな。

 次に若返るときは、もっと、上手くやらないとな。

 

 

 

 6月

  ヘンリー・フォードが初の四輪自動車の試作に成功

  明治三陸大津波(死者2万名)

 

 津波があるとわかっていても、どうしようもないことが起こる。

 もちろん、堤防は、造らせたけど、

 波高38mとか、冗談みたいな津波対策費を捻出できるはずもないわけ、

 でも、写真とか撮れるよう手配してたし、

 まぁ 何枚か写真を撮れたらしい、

 瑞穂社が建設した建物は、攫われずに残ってる。

 そういう風に作ったからだけどね。

 

 

 今年の扶桑人口90330人なので、少しばかり賑わう感じ、

 ていうか、西布哇諸島から期間工で働きに来る労働者が多い、

 おかげで、西布哇諸島は、近代的な高層建築が建ち並んでる。

 

 夏至は、外に出ることが増える。

 日の出がAM04:20。日没がPM23:43かな。

 太陽は、南の低い位置を19時間ほどかけて移動してる感じかな。

 少し、寒いけど、フライ・フィッシング。

 釣れなかったけど (涙

 でも、鮭が遡上してくるので、仕掛けさえ作れば、簡単に捕まえられるよ。

 いいよね。

 鮭。

 一人で食べきれない鮭は、現地のハイダ族と分けたり、開いて干して塩漬け、

 ちなみに日本語のわかるハイダ族が多いよ。

 灰田とか、灰太とか、日本語名を名乗るハイダ人も増えてるし、

 いやぁ 扶桑は、いいねぇ

 でも、熊がいるので、すげぇ〜 怖いわ

 

 

 電音によると、

 カナダ国境で、白人との接触が増えてるらしい、

 ていうか、白人が扶桑に潜入したがってる節があるね。

 目立つので、見つけたら、すぐ追い出してるけど、

 インディアンを潜入させてくる時もある。

 もっとも、こっちもインディアンをカナダ側に潜入させてるのでお互い様だけど、

 扶桑は、インディアンにゲリラ戦を教え、武器弾薬を供給してる本拠地だから、

 怒ってもしょうがないか

 

 

 

 7月

  10288t級インディアナ型戦艦オレゴン

    全長106m×全幅21.11m×吃水7.32m

    最大速16kt

    330mm砲4門   203mm砲8門

    152mm砲4門    57mm砲20門

    37mm砲6門

    456mm魚雷発射管6門

 

 

 史実だと、信濃川の堤防が決壊して、被災面積18000ha。家屋流出25000戸に及ぶ(横田切れ)

 おれ、土砂2880万立方メートルを採掘する大河津分水を計画していたけど、

 後回しにされていたので、史実に近い被害かな。

 

 なんか、日本が恋しいかな。

 でも、若返るまで、引き篭もっていないと、

 銃剣術と、剣術の訓練は、辛いかな。それに、一人は寂しい、

 

 

 昼間、鮭を取って、散策しながら、武術の鍛錬をし、作物の世話をして、

 夜、少し、退屈なので、日本酒と、焼き塩ジャケで、本を読んでる、

 あ、ロッキングチェアは、気分がいいよね。

 この世界の日本文学は、明治の文学と少し違う気がする。

 江戸時代の文学と、明治時代の文学を比較検証した者は、どれくらいいるだろう。

 その文化的差異に気づいた者は、どれくらいいるだろう。

 安政維新後の日本は、自国で近代化と、文明開化と、富国強兵を推し進められ、

 幕末明治維新を経験していないせいか、金の流失がなく、

 銅本位制に移行し、14歳以上の男子にバラマキをしている。

 薩長閥の横暴もなければ、我田引水な利益誘導もない、

 もちろん、封建的な武士社会ではあるけど、

 明治、金銀を流出させ、金もないのに金本位制で資本不足に陥った日本社会とまるで違う。

 なんていうか、夏目漱石的な。刹那感がすくなく、

 21の藩も庶民も紙幣だけでなく、少なからず金や銀を保有し、

 それぞれ、江戸時代を引き摺ったまま、ユーモラス化している。

 そして、電話・電音。新聞。雑誌。諸本によって、国民の多くが知性を共有しつつ、融和している気がする。

 21藩は、独自の文学大系を模索し、

 瑞樹文学、扶桑文学、ナミビア文学、インド洋文学も、独自の進化を見せている、

 国民の多くは、そういった知性と、異教の景色を感じるため、

 電音、新聞、雑誌、書籍と、触れ合おうとしている。

 おれは、文学ヲタじゃないけど、

 引き篭もって本を読んでると、まぁ 文学ヲタも悪くない気がするね。

 ていうか、おれが書く文章って、未来の日本文学が強くて、すげぇ〜 浮いてる (笑

 

 

 

 8月

  フランスがマダガスカルから撤収

  カナダ・クロンダイクで金脈が発見される。クロンダイク・ゴールドラッシュの幕開け。

  陸羽地震発生、209名の死者出る

 

 電音を聴いてる。

 推理物、恋愛物、SF物、ファンタジー物、歴史・時代物・・・

 電音は、人から時間と、聴覚と意識を奪うものの、まだ想像性に頼る余地がある、

 そして、電映は、人から時間と、視覚と聴覚と意識を人から奪ってしまう。

 電映用のアニメは、流れているけど、

 まだ、質が今ひとつなのか、視聴率が上がりにくいようだ。

 人間に “刷り込み” するには、いい機械なのだけど、

 五感すべてが奪われるわけではないかな。

 未来だと “刷り込み効果” を “洗脳” と言い換えるところに、不審を抱くね。

 しかし、いずれ、VRMMOの方向に至るかもしれない、

 ファンタジー物語が終わると、

 報道が始まる

 フランスがマダガスカルから撤収したらしい、

 銃撃で虐殺したり、結核菌や天然痘をばら撒いたりの殲滅戦を仕掛けたらしいけど、

 大枚叩いて、武器弾薬をマガがスカルの原住民に送っただけは、あるよ。

 アフリカ大陸もオーマン、ザンジバル、エチオピア帝国が存続し、欧州列強に抵抗している。

 これらの国々が欧州に抵抗するほど、日本が安泰になる。

 でも、この時代の日本人は、綾波が何をしたかなんて、わからないだろうな。

 それどころか、死の商人みたく思ってるだろうし、

 悲哀が漂うぜ、ちくしょー (笑

 

 そういえば、未来の日本は、どうなったかな。

 中国と韓国は、結核菌入りや天然痘入りの食材を輸入しそうだし、

 アメリカは、TPPで日本に発癌性食品を輸出して、保険で儲けようとしてたし、

 日本人の工作員は、頭悪すぎて、

 いざという時、一網打尽にされるとか思わないだろうし、

 インディアンの生き残りが裏切り者じゃなく、

 何も知らない被害者のインディアンの子孫だって、知らないんだよな。

 プラザ合意を破棄して、好きなだけ紙幣を印刷しろよって、

 国民を殺すなって、思うわけなのだけどね。

 

 

 

 9月

 なんか、清国艦隊が日本を挑発しているらしい。

 まぁ 大砲は、撃ってこないけど、軍艦を商船に近づけたり、大砲を向けたり、

 マジでウザイ国だけど、

 イギリス、フランス、アメリカには、やらない、

 何なんだよ。みたいな。話しを電音から聞こえる。

 おれがいないのを確認すると、こういう挑発をするんだよな。

 まったく・・・

 未来の日本は、中国で取材して中国に媚びて、嘘の情報を流すマスメディアの構図があった。

 でも、戦前も似たような感じかな。

 清国で取材しなくても、嘘と泥棒と殺しの最悪の社会を想像して書くと、

 現実に近い清国になるけど、実は、想像の10倍の悪党国家。

 いや、マジで (笑

 しかし、日本と中華と朝鮮の違いって、何なんだろうなと思うけど、

 島国と、大陸と、半島の違いというのもあるけど、

 日本は、政治を権威の天皇と、権力の征夷大将軍に分け

 中華は皇帝一極支配で。朝鮮は中華の傀儡王権にあったと思うね。

 まぁ 確かに、天皇と将軍の二重構造によるデメリットもあるけど、

 中華や朝鮮に比べたら、日本の庶民は、幸せだったと思うね。

 

 

 

 10月

  川崎造船所(後の川崎重工業)設立

 

 冬季だよ。

 なんていうか、若返っていくと、

 筋肉がついてきたというか、体が精悍になっていたというか、

 アキレス腱を自由に伸ばせるというか。

 腕を精一杯伸ばせるというか。

 体の節々というか、関節が軽く動くというか。

 動体視力の反応がいいぜとか。

 武術とかやって、身体年齢を下げていたけどさ、随分と違うね。

 どうせなら、体重じゃなくて、お金で若さを買いたいぜ (笑

 鏡って、人を気落ちさせるためにあるのかねって、思ってたけど、

 若返っていくだけで、ちょっとカッコいいかもみたいな。

 現実は、きちんと、認識しないとな (笑

 

 

 行方不明になって、1年。

 今日は、おれのお葬式らしい、

 休暇とって海釣りで遭難だけど、

 一応、国防参謀の職務期間に亡くなったので、国葬にしてくれた (笑

 ちなみ殉職扱いだから、靖国行きだと、

 建造に関わりの深い艦命神社と、取り合いになったらしいけど、

 とりあえず、若返ったおれの代理人を行かせて、こっそり、出てもらいました。

 まぁ 隠し子が顔を見せたって、事を荒立てるだけだしね。

 葬儀の参列が尽きなくて、

 おれの家族は、出ずっぱりで交代制を敷いても大変だったらしく、

 もう、勘弁してください、だったらしい、

 なんか、前代未聞の記録が映像に撮られたそうだ。

 

 

 11月

  アメリカ大統領選挙でウィリアム・マッキンリーが勝利

  「古事類苑」の刊行はじまる

 

 冬か、真っ暗な冬は、寂しいよ。

 ていうか、子熊みたいに大きな狼とか彷徨いてるし、

 農業用建物じゃないと、危険だよね。

 まぁ 危険なのは、狼より、冬眠前の熊だけどさ。

 

 日本の様子は、そうねぇ・・・

 電音を聞く限り、

 金を国民にばら撒くほど優性遺伝で国力が増大し、

 利権に金をばら撒くほど利権が先鋭化して、下がバカの振りをしなくてはならなくなる。

 という綾波学派を払拭しようとしている。

 利権屋が、理屈をひっくり返すため手順を繰り返したり、ミスリードさせたり、

 別の方に意識を追いやろうとしてる感じかな。

 おれの弟子たちが必死に防戦してるけど、

 贈収賄攻勢は、結構、あくどい感じかな。

 ていうか、マスメディアを使って、偽善というか、人道主義を引っ張り出して、

 下ネタで脅迫するようなやり口を使うんだよね

 平成ならともかく、江戸時代の延長でそれをやろうとか、

 ちょっと、気長かな。

 まだ、社会不安を煽って、クーデターをやる計画かも、

 

 

 

 12月

  アルフレッド・ジャリの戯曲「ユビュ王」初演

  グラスゴー地下鉄が開業

  ジョン・フィリップ・スーザが行進曲「星条旗よ永遠なれ」を作曲

  

 

 今日は、ラム酒と、塩ジャケと、熊肉とトナカイの燻製

 ラム酒は、サトウキビの蒸留酒で、海賊の味、大航海の香りがする。

 熊肉とトナカイの燻製と塩ジャケで、弱肉強食というか。食物連鎖というか。

 夜のひと時を微睡むには、いい組み合わせかもしれない、

 こうして、越冬してみると、扶桑の厳しさと、寂しさがよくわかる。

 樺太とか、比じゃない的な辛さかね。

 おかげで、もう少し扶桑を発展させられるかもしれない、

 ていうか、冬でも地下鉄と地下道建設とか、地下街の建設は、進んでるわけで、

 地下空間が増えるほど、冬でも動き回れるわけで、

 地下開発は、扶桑住人の総意というか、中心産業になってる。

 しかし、一人は寂しいよ。

 最近、人と話してないよな

 独り言が増えちゃうよな。

 夜が長いと、電音を聴いたり、本を読んだり、

 そうそう、暇潰しに買った漫画は、上手くなっていて、

 絵とストーリーが上手い人間に下手な人間が淘汰されている。

 いろんな方向に向かって発達している気がするけど、

 おれがいた頃は、馴れ合うな。

 上手い奴は、藩外からでも引っ張ってきて、作らせろ、

 下手っぴは、取捨選択しろと厳命していたっけ、

 まぁ おれが平成の漫画を知ってたので、下手な漫画に我慢できなかったせいだけどね。

 ちなみに瑞穂系だと、上質な紙で100冊ほど印刷し、

 瑞穂系図書館、国立図書館、藩立図書館に保管している。

 

 

 

 

 

 第十三の議定

  彼ら事情をさとらせないために、我々はマスコミさらにマス・レジャーを盛んにする。

  やがて我々の新聞で芸能、スポーツがもてはやされクイズも現われるだろう。

  これらの娯楽は、我々と政治闘争しなければならない人民の関心を、

  すっかり方向転換させてしまう。

  こうして人間は次第に独立して自ら思索する能力を失い、

  すべて我々の考える通りにしか考えられないようになる。

  そのとき表面的には我々と関わりのないようなものによって、彼らに新しい思想を提供する。

  我々の権力が確定されれば、自由主義的空想家の役割りは終りを告げる。

  だがそれまで彼らは大層我々の役に立つ。

  我々は、彼らが進歩的だと思い込んでいる空想論へ人民の考えを導いてきた。

  つまり、我々は〈進歩〉という言葉を用い、お粗末な非ユダヤ人の頭脳を狂わせたのである。

  物質上の発明にあてはめる以外、進歩という言葉は真理を覆うものだ、

  と非ユダヤ人の誰一人として気付いていない。

  もっとも真理は、唯一ひとつあるだけで、この世に進歩の余地などあろうはずがないのだ。

  神の選民である我々にしか認めない真理を、

  この誤った思想の〈進歩〉が覆い隠すのに役立っているわけである。

  我々の時代が来たとき、今まで世界を擾乱に陥れ、

  ついに神聖な法律に服させた大問題を、我々の雄弁家が説明するだろう。

  すべてのことが、幾世紀にもわたって我々の計画で謀られたことを誰も気付かなかったが、

  そのときこそはっきりするに違いない。

 

 

 第十四の議定

  数世紀にわたる擾乱の後、

  ようやく得た平和であってみればなおのこと、我々の支配の恩恵がわかろうというものである。

  非ユダヤ人の政治の欠点を余すところなく描き出し、悪政への強い嫌悪の情をそそる。

  それで人民は名目だけの自由の権利より、安楽に暮らせる奴隷の方がましだと思うようになる。

  まったくの自由の権利は、長い年月、人民を苦しめ、生活の道を奪い、

  自らの罪を知らぬペテン師どもの搾取をほしいままにさせた。

  我々が非ユダヤ人国家を覆すために、

  幾度となく彼らをそそのかして起こした無意味な革命に、

  彼らはもううんざりしているので、彼らは何でも我慢する。

  そこで我々にどんなに奴隷のように扱われても、

  闘争や暴動の残虐さだけは真っ平と考えるわけだ。

 

  我々は、いわゆる先進諸国において不道徳な、劣悪な偽文字を創っておいたが、

  我々の世界支配後も、しばらくこれを放っておくだろう。

  それは、我々の崇高は理想と、この醜悪のコントラストを際立たせるためだ。

  非ユダヤ人の指導のために教育しておいた我々の賢者たちは、演説、計画、回想録などを書く。

  それで民心に勢力を扶植し、我々に学問と思想の方向へ導くのである。

 

 

 

 

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  おれ   妻 千代 (55)   総司(39)  慶司(37)  佐奈(35)  晃司(32)

 

 おれ、 綾波 源司(あやなみ げんじ)  ⇒⇒⇒  時司史朗(ときつかさ しろう) 21

 

 

雁皮   高額手形・高額紙幣・株券    “鳳凰   ×××××   青龍”

紙幣

楮    “雉  10000文  松”

三椏    “竹  5000文  鶏”

綿・マニラ麻    “鶯  1000文  梅”

綿・マニラ麻    “桜  500文  雲雀”

綿・マニラ麻    “燕  100文  菊”

硬貨

 銅・ニッケル 50文

 銅・錫    10文

 銅・亜鉛   5文

 アルミニウム 1文

 

 

 史実4199万人

 戦記1億0280万人

 

 

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第45話 1895年 『おれ、死にますた (笑』
第46話 1896年 『冬眠と。絶縁と。後悔と。』
第47話 1897年 『マクロ経済と、ミクロ経済』