月夜裏 野々香 小説の部屋

    

錬成系 維新戦記 『1kg級魔法使いで』

 

  

 第51話 1901年 『ヲタ受難の文武大国日本』

 

 ユダヤ暦5661年  皇紀2561年  安政47年

 第121代孝明天皇(70)   第15代将軍前田利嗣(42)

 

 幕藩連合議会で、次期将軍(摂関)が決まりそうらしい、

 あと、天皇の崩御が近いらしい、

 日本に戻って治療して、味方を増やすのが賢明か。

 いや、まず、扶桑で、自分の足場を作ってからかな。

 

 あと、清国がどこと戦争するかで日本の今後も変わる。

 ちなみに、おれは、清国と戦争したいなんて、これっぽっちも思っていないのだけど、

 清国艦隊の指揮官は、幾ら貰ってるのかしらないけど、挑発してくるんだよね。

 それと、朝鮮人の日本潜入が続いてるらしい、

 そして、朝鮮系日本人が、安く使える朝鮮人を引き込み、利権を拡大する手駒にして、立身出世を狙う、

 困ったものだ。

 でも、余剰資金を握っている人間が我田引水に、情報を広げ、人を動かし、

 物を動かし、社会を動かすんだよね。

 お金を持っていない人間は、情報を伝達できないし、人を動かせないし、

 物を動かせないし、社会を動かせない。

 社会構造は、単純なのだけど、

 そうじゃないという偽善や浪花節を流し

 戦争の原因を見当違いの権力者や、マスメディアや、馬鹿な国民のせいにし

 現実から目を逸らせる。

 しかし、現実は、金の力で動かされた権力と、マスメディアが台本のある論争を形成し、

 自作自演の紛争で、国民が扇動され、踊らされるわけだ。

 安政維新で、幕藩連合議会と藩議会を隻票で決めるようにしても、

 紙幣の力は、まだ大きいわけで、

 やはり余剰資本を持つ勢力は、我田引水に、情報を作り上げ、人を動かし、物を動かし、

 政敵の誹謗中傷を繰り返し、自勢力を広げようと社会を動かそうとする。

 

 

 

 1月

   イギリス自治領のオーストラリア連邦が成立

   イギリスがナイジェリアから撤収する。

   イギリスヴィクトリア女王死去。長男エドワード王子がエドワード7世として即位

 

 イギリスがナイジェリアから撤収した。

 武器弾薬を送っただけは、あるよね。

 でも、人口気薄な地域は取られてるし、清国の浸透は継続している。

 ていうか、国賊と売国奴が多いと、人口とか、国力に関係なく、やられてるっぽい、

 

 

 電音を聴いてると、

 なんか、タイ王国は、ムエタイをオリンピック競技にしたいらしく、

 長崎にムエタイ道場を作ってるらしい、

 あと、清朝も刺激されたのか、義和拳の一団を日本に派遣するらしい、

 ていうか、清国は、日本に敵対行動してる割に、図々しいぜ、

 でもまぁ 日本側も中国から石炭、鉄鉱石、希少金属を買ってるし、

 少数部族に武器を輸出してるし、

 まぁ 中国拳法は、真っ当に評価した方がいいかな。

 

 

 

 日本の首都、京都の情報収集は、欠かせない、

 ばら撒きのせいで、食い詰め者は、少ないのだけど、

 景気が良いからと、借金して事業に失敗して破産するとか、よくある話し、

 そうなると、いくら働いて返し、ばら撒き分があっても足りない、

 規模が大きくなると、

 大企業に生殺与奪権を握られた中小企業とか、

 逆らった瞬間に倒産するので言いなりみたいな、構造と、よく似ている。

 さらに規模を大きくすると、

 大国に隷属してる中小国とか、主権と、国権と、生殺与奪権を握られ

 国民を大国の奴隷にせざるを得なくなって、政府も官僚も傀儡で生きる屍とか、

 この主従構造は、大なり小なり、むかしからあって、

 組織は、権謀術数で負けたりとか、処世術に失敗したり、

 大人の事情で、理不尽にドロップアウトさせられたりするわけで、

 皺寄せが弱者に行くのは、いつの時代も変わらない、

 そんなわけで、まぁ この世界のこの時代にも、不逞浪士はいる。

 未来だと、不逞ネトウヨ浪士みたいな感じなのかもしれないけど、

 幕藩連合議会を構成する21の藩が雇って、我田引水工作させてる子飼いは、不逞浪士といえるし、

 藩議会を構成する反主流旧藩主が雇って、我田引水工作させてる子飼いも、その類で、

 死して屍拾う者無しの雇われ不逞浪士に組み込まれる。

 そして、京都は、需要があるのか、そういった不逞浪士が集まりやすい場所になっているらしい、

 まぁ 政治中枢の京都は、需要があるので、雇用されやすいのだけど、

 おれみたいに訳ありな素性の人間にしたら、そういう不逞浪士は、雇いやすいかな。

 あと、孤児院から子飼いを育てる方法もありかな。

 

 そんなわけで、今日は、孤児院で脚長おじさんをしている。

 おれ、時司の母親は、孤児院出身で、病持ちの薄幸の少女にしているわけ、

 おれだって、治せる病気と、治せない病気があるわい、みたいな。

 頃合いの時期、先が長くなさそうな、薄幸少女と、産婆さんがいて、

 子飼いの銀行員と、役人がいてくれたら、出自は、なんとかなりそうなわけ、

 それには、孤児院の情報を知っておかないといけないわけで、

 綾波から孤児院利権をたくさん相続しているし、おれ自身、孤児院を作って、増やしている。

 まぁ 事件やら事故やら、いろんな理由があって、孤児が増えるのだけど、

 理由なんてどうでもいいわけで、

 治療したり、応援したりで、将来、時司の子飼いというか、私兵にしていくのだけど、

 最大の理由は、若返りで利用するためかな。

 でも、恩義が利き過ぎてあれだ。

 綾波本家に忠誠を尽くすあまり、おれを本家に組み込ませようとする元孤児院もいるかな。

 そういうのは、ほどほどでいいんだよ。

 困ったもんだ (笑

 

 

 

  2月

   国家主義団体・黒龍会が内田良平らによって創立される。

   奥村五百子らにより愛国婦人会が結成される。

   J・P・モルガンがUSスチールを設立。

   第1回日米野球

 

 

 米西戦争の報告が少しずつ入ってくるかな。

 アメリカは戦艦を多数就役させてカリブ海のスペイン領を制圧しようとしてるし、

 カナリア諸島を攻撃してるけど、

 スペインは、支援国が増えて、なんとか、戦ってる。

 それとは別に、清国紛争が気になるところ、

 清国海軍がどの国を仮想的にしているのかで、日清関係は、変わるし、未来も変わる。

 そうそう、史実だと、官営八幡製鉄所が操業を開始したけど、

 この世界は、30年前に軌道に乗ってる。

 数人の藩主が、日清戦争を画策してるけど、樺太藩と、綾波派閥が上手く、邪魔しているらしい、

 清国と戦争して勝てなくはないけど、金融政策は、需要と供給で成り立っている。

 戦争で、無理やりというか、

 人工的に供給を増やし需要を作るような金融政策は、既得権を握る国権派好みの経済政策だけど、

 事前に軍需株を買い占めるだろうし、

 そうなると、利権構造を不自然に変えてしまうし、紙幣を特定勢力に偏らせてしまい、

 彼らは、利権も紙幣も手放さないだろうし、

 邪魔すると、殺しにきそうだし、今のうちに芽を潰しておこう。

 どうしても、戦争したいのなら、自分自身と、子弟を最前線に出してもらいたいものだ。

 そんな、内容の電音、新聞、雑誌を増やした。

 この時代って、未来の日本みたいに戦略、国家観、政治、経済、軍事に無関心じゃないし、

 歴史的な経験で、独裁が強くなるほど、庶民が苦しくなると直感してるのか、判官贔屓も強い、

 おかげで、主戦派は、少しばかり低迷していくかな。

 

 

 電音は、いろんなことを伝えてくれる。

 長崎の日米野球大会は、日米親善試合と、日西離反交渉を兼ねている、

 もっとも、長崎でもスペイン闘牛が行われているのだから、お互い様。

 外交戦略戦は、国や国民の利益重視なのだけど、

 日本人は、利権視点で、視野も狭い、保身に走ると、対面や私財を守ることしか考えなくなる

 犠牲になるのは国民だし、

 その上、マジックチョイスというか、マッチポンプに引っ掛かり、

 味方の不利をしてる敵に騙される。

 そうならない様、情報操作してきたのだけど、

 不安が尽きない、

 まぁ 綾波派の弟子たちが頑張ってくれるのならいいけど、各個撃破されつつあるようだし、分裂気味だ。

 

 

 

 

 

 11565t級イリノイ型戦艦ウィスコンシン

  全長112.17m×全幅22.02m×吃水7.14 m

   17kt

    330mm連装砲4門   152mm砲14門

    57mm)砲16門      37mm砲6門

    457mm魚雷発射管4門

 

 

 

 

  3月

 今日は、銃剣術の練習。

 武術の鍛錬が必要なのは、武家社会を残したまま日本が文明開化に移行し近代化したためで、

 政治的な決着をつけるため、民間でも営業を勝ち取るため

 互いに子飼いの武術家を戦わせて決めることがあるらしい、

 早い話し、武術に疎いと、取引の機会さえ与えられない、

 まぁ 子飼いの武術家も雇わないといけないけどさ、

 武術を嗜んでいないと、最初から馬鹿にされてしまう。

 やれやれ、

 ヲタ出身のおれには、辛い日本だぜ・・・

 “ええ、歌謡曲の途中ですけど、外務省からの発表です”

 “本日未明、アメリカ軍がニカラグアに上陸したそうです”

 “本当ですか? ニカラグアは、米西戦争に関係ないのでは?”

 “米西戦争でスペインに協力したから、だそうです”

 “それでは、日本も? 日本も、スペインに船を輸出してますよ”

 “アメリカが怒って、日本に攻めてきませんかね”

 “また嬉しそうに”

 “来る者拒まずですよ”

 “遠いですからね。まだ、大丈夫ないですよ”

 “扶桑は、アメリカに近いですよ”

 “扶桑は、寒いので、攻めてこないんじゃないですか”

 “だといいですけどね・・・”

 “消息筋によりますと。アメリカのニカラグア上陸は、スペイン戦争と関係なく、運河建設が目的だそうです”

 “なるほど、米西戦争の次いでに運河を・・・ ということですか”

 “ば、幕府は、どうすると?”

 “ニカラグア沖は、アメリカ艦隊に封鎖されてるそうです”

 “ですが、貿易相手国のアメリカとの対決は、避けるそうです”

 “エルサルバドル、ホンジュラス、コスタリカ経由で武器弾薬を輸出する計画を進めていますが”

 “アメリカが中南米諸国に圧力をかけてるので、正規ルートは、難しいかもしれませんね”

 “アメリカは、戦争辞さずの構えなんでしょうか?”

 “どちらにしろ、中南米は、アメリカが有利ですよ”

 “ですが、アメリカ軍がキューバで苦戦している噂も広がってます”

 “それ、長崎の外国人繁華街で広がってる噂ですね。事実でしょうか?”

 “かもしれません。そうじゃないかもしれませんけどね”

 “そういえば、幕府が来年以降、時期を見て北極圏のスヴァールバル諸島に調査船を派遣するらしいですよ”

 “北大西洋側の?”

 “火山がないので、地熱は得られませんから、純粋に調査だけのようです”

 “大西洋側に欧米の意識を向けさせることと”

 “アメリカと欧州諸国の反目がどんなものか、一石を投じるつもりかもしれません”

 “米西戦争中に? 藪蛇にならなきゃいいのですが”

 “消息筋によると、派遣は、来年以降の予定ですし”

 “欧米の東アジア利権があるので、大きな反応はないと、高をくくってるようです”

 “外交を単純な引き算と足し算でやられるのも不安ですね・・・”

 と、電音報道が流れていた。

   

 

 

 

 

 電音によると、

 瑞穂で、行政、学校、農業、商業、工業、居住、共有など、

 10000人が居住する自己完結型都市複合高層建築の研究が進んでるらしい、

 巨大なジオポリマーと鉄骨で土台と支柱を構成し、

 軽量なガラス繊維と軽量素材でモジュールを組み上げていく方式で、

 1000人が居住する自己完結型複合建築は、日本で建設されているけど、

 太陽光が十分な南方や、最初から太陽光を頼りにできない極地なら、

 10000人が居住できる複合高層建築を建設できるとなったらしい、

 ダムみたいな巨大な土台と支柱で、都市型高層建築を作るのだろうか。

 欧米が挙って戦艦を建造しているというのに、何をしてるのだろうか、

 なのだけど、死ぬ前に、おれが指示しておいたんだよね。

 どの道、いまの戦艦群は旧式化するし、

 国際情勢で日本が戦争に巻き込まれる兆候がなく、

 必要最小限の戦艦があるなら、張り合わなくてもいいからね。

 

 

 

  4月

   幸徳秋水「二十世紀之怪物 帝国主義」。序文は内村鑑三。

 

 

 

 扶桑で人脈を繋ぐため、百数十枚の名刺をばら撒いたりする。

 まったく、利権も金もあるのに、飛び込み営業とかやりたくねぇよ (笑

 しかし、人脈を繋がないことには、何もできないし、

 紹介されることで、信頼されやすくなるし、人脈が増える。

 生まれ変わるたびにこれをやるとか、鬱だぜ・・・・

 ああ、そうそう、健闘もむなしく、

 行政で不当なんじゃね。みたいな圧力がかって、3人の仲間が去っていく、

 おれが、飛行機を飛ばそうとしていると、邪魔する連中がよく呟く言葉で、

  “燕雀(えんじゃく)いづくんぞ鴻鵠之志(こうこくのこころざし)を知らん”

 という言葉を使う。

 意味は、

  燕や雀のような小鳥(小人物)には、大鳥(大人物)の大志はわからない。

 なのだけど、

 おれが、綾波だった頃、

 理不尽を押し付ける権力層が自分を擁護する時によく使ってたな。

 利権屋が既得権を守ろうとするときも、多用するし、

 このままだと、下剋上で、立場が入れ替わりそうで、それを防ぐ時にも使う、

 久しぶりに耳にしたよ。

 まぁ 相手は、どこぞの成り金が夢を追ってるので、潰して、成果を横取りしよう的な (笑

 言っとくけど、仲間がいなくても、おれひとりでも飛行機を作って、飛ばせるし、

 切り崩し工作は、おれも、得意なんだけど、

 ていうか、そいつの周囲を切り崩して、

 綾波時代に握った弱みを電音、新聞、雑誌で、流しちゃったよ (笑

 ほどなく、どこかの館に御用御用と、同心が入って、数人の御仁が役を解かれ、更迭された。

 行政上の不当な使いは、解除されたし、

 古参人の序列を変えて、新しい人材を入れて、組織を強化したかな。

 多少、金は使ったし、紙幣も使ったけど、

 まったく、既得権を守ろうとする連中は、碌な事しやがらない。

 

 

 

 

  5月

   オーストラリアのメルボルンで最初の国会が開かれる。

   アルゼンチンでサッカークラブ・CAリーベル・プレート設立

 

 今年も移民がやって来る。

 扶桑人口138592人

 

 息抜きで、ロシアから密輸したクロテンを飼育してる業者があって、見学している、

 毛皮産業だね。

 あと、毛皮と言ったら、アザラシ、セイウチ、ラッコ、キツネ、カワウソが獲れる、

 年間の狩猟頭数を決めて、入札させてるので、絶滅はなさそう。

 だけど、ガラス繊維の衣服が増えてるし、毛皮じゃなくてもよさそうなものだけど、

 人気あるんだよね。毛皮。

 おれも持ってるけど、

 だけど、小銃の性能が良くなって圧倒的だから、狩猟は、かわいそうに思えてくるかな。

 逆に、弓なら天秤の傾きが変わるし、いいんじゃねって気がする、

 飼育してる家畜ならいいけど・・・

 見学先で、トナカイ肉と、熊肉を振る舞われた。

 たまには、熊肉もいいぜ、

 いや、一頭で、社員全員分あるどころか、余っちまう

 狩猟制限があって、

 トナカイとか、ヘラジカを狩ってるけど、たまに、熊肉が出回る。

 熊料理の研究も進んで、肉は硬いので、薄切りにしてるかな。

 あと、臭みをとって、味噌とか、香辛料とかで味付けしたりで、

 美味しく食べてる。

 なんか、人脈作りで、飛行機を作ってる感じかね。

 若返ったばかりで人脈のない、おれに、一番必要なのは、人脈だしね。

 

 

 

 

 

  6月

   登張竹風、論文「フリイドリッヒ・ニーチェを論ず」(「帝国文学」)。

      日本に於けるフリードリヒ・ニーチェの紹介が盛んになる。

 

 

 飛行機の形がなんとなく、作られていくけど、

 複座で、セスナとか、三式指揮連絡機みたいな機体を研究開発製造しているよ。

 エンジン回りを除くと、ハードルが低そうだしね。

 そうそう、今日は面接かな。

 噂を聞きつけた者たちが日本から手伝わせてくれとやってくるし、

 どうやら、ほかにも飛行機を作ろうという動きが出てる。

 まぁ あまり、ゆっくりもしてられないかな。

 

 

 電音を聴いていると、

 日本で、綾波時代の知人が何人か死んでいる、

 年齢もあるけど、不自然な年齢もあるし、要人暗殺が行われている気配がある。

 半島は、両班に搾取され、真っ当に生きる術がなく、

 事大や暗殺を生業とする組織があって、日本の幾つかの藩と結託している。

 

 未来だと、明治維新で明治政府と、その事大人と暗殺隊との絆が強まり、

 日清戦争と日韓併合と共に権力闘争で暗殺が常習化し、

 軍属と連携しながら影で暗躍し、日露戦争と日中戦争を引き起こし、

 日本を滅ぼす、太平洋戦争に至らせた。

 

 戦後も、政界、金融、法曹、警察、大学、愛国右翼、人権左翼など、

 日本の権力中枢へと上り詰めたからね、

 朝鮮人を日本に引き込むと碌なことがないのだけど、

 目先の利益を追う利権は、利権拡大で朝鮮人を引き込もうとするわけ、

 例え、戦争で日本が滅ぼされ、

 日本人と朝鮮人の主従が入れ替わり、自分と子孫が殺されるとしても、

 権力基盤を構築するために朝鮮人の引き込みは、やめられない、

 いまのところ、徳川幕府体制のまま幕藩連合体制に移行し、朝鮮との交流を減らさせ、

 将軍交替も順調に行われているので、藩と、朝鮮人との関係は薄いはずなのだけど、

 日本の有力者で行方不明とか、不審死があると、どうしても、疑ってしまう。

 

 

 

 

  7月

   フランスが結社法を制定し、宗教団体などを許可制にする。

   カナダのハートランドで世界一長い屋根付橋が開通。

 

 新聞を読むと、数人の藩主が入れ替わっている。

 小中藩統廃合で藩が大きくなって、藩主の支持基盤が薄まり、

 幕府から改易させられなくなっても、

 藩主が家臣団の信任を失うと、藩主の座を追われてしまうようだ。

 特に徳川のやり方が悪いというわけじゃないけど、

 下手に改易で脅しをかけ、圧力をかけてしまう方が、藩を結束させ、

 反徳川の意思を固めてしまう。

 しかし、家臣の出向制度が確立し、

 電話・電音。鉄道網。藩外産業利権で近代化すると、

 そういった支配体制は、有害になってしまうわけで、

 狭い地域で強い支持基盤を集め、他者を弱体化せるより、

 広い地域で、弱い支持基盤を集めて、総合支配し、

 権力交代を容認する方が効果的に思えた。

 石票の離合集散で、権力者が変わるけど、まぁ いいんじゃね。

 

 

 今日は、図書館で、情報収集

 幕藩連合議会は、21人の藩主が予算案を提出権利があるけど、

 単独で議会を制する藩はなく、

 我田引水で離合集散しつつ隻票を集め、予算案を一つに集束させていく、

 予算の比重が大きな藩は、やはり景気が良くなるわけで、

 事前に、その藩内企業の株を買うと、高い確率で、儲けやすくなる。

 余剰資本で余裕のある人間は、関心を持ちやすいのかもしれない、

 21藩が予算案を提出すると、印刷されて、図書館に配布されるので、

 その筋の人たちが、それを閲覧しにくる。

 株で堅実に儲けようとするなら、各藩の予算案の動きを追跡して、

 次の予算で、どの藩と、どの藩が共闘するのかの手掛かりにしている、

 あと、各藩とも、少しでも藩の石票を増やすため、藩内に農業用高層建築を建てるのは定石だし、

 海外地に農業用高層建築を建て、その分の石票を引き込むことも、

 他藩の旧藩主勢力と結託し、農業用高層建築を建てることも少なくないわけで、

 そちらの足し算と引き算もする。

 あとは、どれだけインサイダー情報を集められるかだけど、

 噂だけとか、ガセネタもあるらしいね、

 それは、それとして、自己資金だけじゃ足りないし、

 おれの会社は、どこの藩と、どの企業と組んだものか・・・・

 

 

 

 

 

  8月

 民主主義は、国益や民益でなく、利害関係で成り立つ、

 権力基盤を特定利権と連携することで維持しようとするほど、

 特定利権への我田引水が強まり、権力が先鋭化していく、

 イギリスが世襲の上院(貴族院)と、選挙の下院(庶民院)で成り立つのも、

 特定利権の先鋭化が国政のバランスを崩してしまうと考えているからで、

 考え方としてはありかもしれない、

 まぁ バランスで考えるなら、世襲藩主と、10人長選挙もありかもしれないけど、

 やはり特定利権との結託と、先鋭化は、あり得るわけ、

 世襲藩主と、不特定の抽選制議員の方が

 特定利権の暴走を防ぎやすいし、バランスが取れてる気がするけど、

 イギリスで下院が作られたのだって未来の1911年のことだし、時代的に無理かな。

 江戸時代からそれだと、不確定要素が強すぎるし、非常識って、突っ撥ねられやすいわけ、

 第一、若返るおれが公文書偽造しないといけないんで、無理だったわ (笑

 

 

 とはいえ、おれがこの時代を好きなのは、おれとお前だけで儲けよう的な、ギブ・アンド・テイクより、

 社会道徳や倫理観が強く残っていることかな。

 確かにムラ社会的な抱え込みの通念は、あるけどね。

 無尽蔵なまでの貪欲さは、未来の日本よりはるかに小さくて、

 話せばわかる的な素養が残っているわけ、

 これが、利己主義と拝金主義が蔓延し、格差が広がりすぎたりすると、

 そんな悠長なことも言ってられなくなるわけで、

 おれが、朝鮮人の入国を拒むのは、日本の美徳が破壊されると困るからかね。

 てなわけで、政官財の支持がある程度えられたので、

 来年は、扶桑の10人長選挙に出てみるかな。

 

 

 

 

  9月

   アメリカ副大統領ルーズベルトが棍棒外交を示唆

   アメリカ大統領ウィリアム・マッキンリーが無政府主義者レオン・チョルゴシュに狙撃され、9月14日に死亡。

   W・マッキンリーの死去に伴い、

 

 電音が聞こえてくる

 “アメリカで、無政府主義者のレオン・チョルゴシュによって、ウィリアム・マッキンリー大統領が暗殺され”

 “副大統領セオドア・ルーズベルトがアメリカ大統領に就任したそうです”

 “無政府主義者ですか?”

 “反政府ならわかりやすいのですけどね”

 “無政府主義が成り立つと、本気で考えてる人間がいるのは、妙ではないですか”

 “そうですね。アメリカを部族社会に戻したいのでしょうか”

 “それは・・・ なんとなく安心しますけど”

 “あはははは・・・ 誰が得をするかで、考えるべきかもしれません”

 “誰が得をするのでしょう”

 “無法者ですよ。あと、政府という存在を疎ましく思ってる者たちとか。外国勢力でしょうか”

 “では、スペインの可能性もあるわけですか”

 “まぁ そうですが、もう一つありますよ”

 “もう一つ、といいますと”

 “巨大利権にとっての脅威は、利権を切り刻める、政府と議会と民衆なわけです”

 “ほう・・・”

 “利権主導の国家を永続するために国家首脳を傀儡化し、国民を奴隷化するのは、夢ですかね”

 “しかも、利権なので、不良国民を抱え込まなくていいわけです”

 “それは恐ろしいですね”

 “これは、単一民族思想ではなく。少数民族思想だと言われていますよ”

 “そういえば、そういう思想を聞いた事がありますね”

 “半島で白人に訓練された朝鮮人が日本に入り込み”

 “日本を利権中心の政治に企ててる話しもありますから。今後も注意が必要です”

 

  14658級フォーミダブル型戦艦インプラカブル  フォーミダブル

    全長126 m×全幅23m×吃水8.2m

    15500馬力  18kt   5500海里/10kt

     連装305mm砲2基   152mm砲12基

     76mm砲16基     47mm砲6基

     457mm魚雷発射管×4

 

 

  10月

   アメリカ大統領セオドア・ルーズベルトがアフリカ系アメリカ人指導者ブッカー・T・ワシントンをホワイトハウスに招待する。

   清英同盟交渉開始

   オランダのハーグに国際仲裁裁判所設立

 

 げげぇえええええ〜 清英同盟交渉とか (笑

 犬猿の仲のくせに、ワロタ。

 まじ、笑わせてくれるわ。

 じゃ 戦争相手は、日清? それとも、露清?

 と思ってたら、

 げげぇえええええ〜 日本の新聞の3分の1が動揺してる、

 なんで動揺するんだよ。

 馬鹿なの、未来の日本を彷彿とさせんじゃねぇよ。

 犬猿の仲のくせに必死に日本に揺さぶりをかけてるだけじゃん、

 ここは、生暖かく笑うところだろうが、世界情勢の勉強くらいしろよ。

 いったい、幾ら貰ったら、動揺するんだよ。

 ていうか、国民の不安を煽ってまで、新聞を売ろうとかするな (笑

 でもまぁ ユダヤにしたらロシアと清国を戦争させ

 ロシアに武器を売りつけて、弱体化させ、共産革命の切っ掛けにしたいのかもしれない、

 史実だと、日本が引っ掛かったけど、そんなことさせないぞ (笑

 

 

 電音

 “外務省によると、イギリス艦隊がパレスチナ沖で、オスマン帝国艦隊と睨み合ってるそうですよ”

 “戦争になるのですか?”

 “わかりませんけど、日本のパレスチナへの軍需工場増設が気に入らないようですね”

 “日本は、地中海に増援艦隊を送るのでしょうかね”

 “消息筋によると、今回は、増援を見送るそうです”

 “では、戦争は、起きないと?”

 “イギリスも豪州を守るのに海軍戦力が足りず、日本との敵対はない、と考えてるようです”

 “それに、パレスチナ軍需工場て一番困るのは、イギリスより、ロシア帝国ですから”

 “なるほど・・・”

 

 

 

  11月

   カール・ラントシュタイナーがABO式血液型を発表(発見は前年)、

   この時点では血液型がA型、B型、C型の3つであるとされた。

   波多野精一「西洋哲学史要」。

 

 なんとなく、飛行機らしい形になっていくと、嬉しくなるねぇ

 ていうか、飛びそう。

 とりあえず。飛ばせればいい的な発想で、飛行機を発明する勢力もいれば、

 長期的な営利企業体として成り立つよう組織を形成している、勢力もある。

 おれは、後者。

 後出しジャンケンする企業に負けるつもりはない、

 たとえ、瑞穂社相手でも (笑

 

 

 

 

  12月

   グリエルモ・マルコーニが大西洋を横断した無線通信に成功

   ロシアでエスエル(社会革命党)結成

   豪州が白豪主義政策にもとづく移民制限法を制定

 

 ロンドンで情報収集している日本人から、

 イギリスの対日戦略情報機関の機密報告書が届いたらしい。

 内容は・・・・ (笑

  “日本の金融は、男子14歳以上の口座のみに権利として振り込む”

  “金融額は、均一で、幕藩連合議会の採決で決める”

  “このことにより、国家は累積するであろう天文学的な赤字国債から免れる”

  “財源は、銅で、日本経済が必要とする資本の総量を満たしている”

  “仮に銅が不足したとしても”

  “会計上、銅=紙幣交換を繰り返すだけで、好きなだけ紙幣を印刷できる”

  “これは、我々が金本位制でもやっていることで、格差を広げさえすれば数百倍に水増しできるだろう”

  “もっとも、だれも軽量な紙幣を、不便で重たい銅のインゴットに変えたりはしないだろうが”

  “仮に緊急の天災などで、日本の幕府と議会が赤字国債を発行しても”

  “紙幣の貸借上のバランスシートは、黒字であるため増税で償還されてしまう”

  “日本の権力層に不愉快な問題があるとするなら”

  “資本の流れが、権力や富裕層と無関係な流れを作り”

  “格差が是正され、成り金が増加し、権力基盤を脅かしてしまうことにある”

  “また、民需を中心とした産業が強くなり”

  “国民は、戦争を望まなくなるため”

  “日本と開戦するとしたら、日本が守勢な戦況から開始できるだろう”

  “この金融政策に至った原因は、我々が望む、維新革命が失敗したことにあるが”

  “日本の瑞穂銅行が、我々のユダヤ式金融。中央銀行制度を拒んだことにもある”

  “今後とも、日本の瑞穂銅行に圧力をかけるが”

  “日本人は、我々の手口を知っており、乗らない可能性がある”

 

  “朝鮮半島の近似日本人は、資質が悪く”

  “日本に入国させれば、日本の政策を都合のいいように変えてくれそうであるし”

  “日本民族を劣化させられそうでもある”

  “しかし、日本人は、防波堤を建設し、朝鮮人の潜入を固くなに拒んでいる”

 

  “日本を失速させるのに、戦争という、対処が必要である”

  “しかし、それは、イギリスと日本の直接対決を意味するのではない”

  “日本との直接交戦は、避けるべき、が、日本を探索した我々の見解である”

  “もちろん、制限された開国で、見て回る場所は、限られていた”

  “しかし、見聞してきた内容が全てでないにしても”

  “日本の科学力、技術力、工業力、産業力は、イギリスに優っている可能性が十分ある”

  “日本が不足しているのは、石油、石炭、鉄鉱石、希少金属であるが”

  “それらは、日本の軍事力の及ぶ範囲に存在し、購入する力がある”

  “そして、日本国の全容がわからないためでもあるが”

  “軍の戦力比で、拮抗していると、考えるべきである”

  “故に、現状、イギリスは、日本と戦わず”

  “日本の戦争力を確認するのに清国、ロシア、アメリカ、フランスと戦争させるべきである”

  “しかし、我々が望む戦争シナリオになるのならともかく、そうならない戦後になる可能性が常にある”

  “例えていうなら、南北戦争、植民地化戦争、インディアン戦争、アボリジニー戦争、土露戦争”

  “そして、米西戦争も、我々が望んでいない形が作られ”

  “フィリピンと、マリアナ諸島は、日本の植民地に売られてしまったのである”

  “その不愉快な戦争の結果に日本が、表と裏で関わっていること大である”

 

  “そもそも、皇族の北イスラエル王国継承に関する経緯は”

  “客観的に事実と言えなくもないが、日本文化らしい決断と言えない”

  “亡くなった前綾波藩主の資本が動いていたとしても不明な点が多い”

  “噂の治癒能力の確認は、できなかったものの、いまは、過ぎたことである”

  “この事態を修正できるとしたら、綾波家を篭絡させることであると考えられるが”

  “前綾波藩主がなくなると、議会勢力が強くなり”

  “篭絡できたとしても、直ちに影響を及ぼせない”

  “そして、現綾波藩主は、樺太藩の領主でしかなく”

  “日本最大の石票を持つ陸奥藩が、全石票の9分の1であるのに対し”

  “樺太藩の石票は、全議会票の58分の1である”

  “この東アジアの情勢が、変わるとしたら、清国に戦艦部隊を引き渡した後になるかと思われる”

  “その結果が、好むと、好まざるとにかかわらずである”

 

 

 

  第二十三の議定

   繰り返し述べるが、

   人民は、隔絶した強大な権力にだけ、絶対服従するものである。

   この強い力こそ社会的混乱から彼らを守ってくれると信じるのだ。

   彼らは、王に天使のような優しさなど望んではいない。

   彼らが求めているのは、不屈の権力の化身である。

   現在の非ユダヤ人政府を取り巻く社会は、我々によって頽廃させられ〈神〉までも喪失し、

   至るところにアナーキーの炎が燃え盛っている。

 

 

 

  第二十四の議定

   我々は、シオン賢者たちが、いままであらゆる障害を乗りこえて、世界の問題を処理し、

   人類の思想を導いてきた故智に学ぶだろう。

   それは、我々が望む方向に人間を教育するということである。

   ダビデの裔の何人の賢者が、王とその後継者の教育をする。

   王権の相続は、世襲でなく、個人の素質、能力に基づくようにする。

   選ばれた者たちに政治の要諦を教えるのだが、

   その際、他の誰にも、その秘密が洩れないようにしなければならない。

   こうして、政治は、その秘訣を知った唯一人の者によってのみ行われる、という原則が保たれる。

 

 

  

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  おれ   妻 千代 (60)   総司(44)  慶司(42)  佐奈(40)  晃司(37)

 

 おれ、 綾波 源司(あやなみ げんじ)  ⇒⇒⇒  時司史朗(ときつかさ しろう) 26 

 ロゼ・ティーナ(17)

 

 

雁皮   高額手形・高額紙幣・株券    “鳳凰   ×××××   青龍”

紙幣

楮    “雉  10000文  松”

三椏    “竹  5000文  鶏”

綿・マニラ麻    “鶯  1000文  梅”

綿・マニラ麻    “桜  500文  雲雀”

綿・マニラ麻    “燕  100文  菊”

硬貨

 銅・ニッケル 50文

 銅・錫    10文

 銅・亜鉛   5文

 アルミニウム 1文

 

 

 史実4435万人

 戦記1億1915万人

 

 

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第50話 1900年 『世紀末ニーター復活』
第51話 1901年 『ヲタ受難の文武大国日本』
第52話 1902年 『34年遅れた明治。将軍交代。カモメ初号機。』