月夜裏 野々香 小説の部屋

    

錬成系 維新戦記 『1kg級魔法使いで』

 

  

  

 第80話 1930年 『キリスト教の神は、貧乏神・疫病神・死神』

 

 ユダヤ暦5690年  皇紀2590年  明治29年

 第122代明治天皇(51)   第17代将軍 島津忠重(44)

 

 ロシア帝国、ドイツ帝国、オーストリア=ハンガリー帝国、オスマン帝国は、

 封建的な制度を保持している代表国で。

 アメリカ、イギリス、フランスは、民主化へ移行することで政治を高級娼婦化させ、

 金融産業支配という形に権力を移行し、世襲させつつあった。

 日本は、天皇の権威を世襲させ、将軍以下の権力を新陳代謝させることで、皇朝を延命させ、

 政治は、幕藩連合体制という名の藩連邦制で石票が意思決定に使われ。

 民主化は、10人長制を取り入れていた。

 

 階級格差と、貧富格差と、地域格差と、民族格差の拡大は、

 国家の新陳代謝を阻害する老化現象なので、是正していけば、成長は足せる。

 むろん、封建的な国で、階級格差がはっきりしているものの、

 貧富、地域、民族の格差が小さく、新陳代謝激しければ、善政といえるかもしれない。

 民主的な国で、階級格差が目立たなくても、

 貧富と地域の格差が大きく、それが固定であると、悪政となる。

 民主化は、表向き、政治権力の新陳代謝があるように見えて、

 権力基盤が金融・産業へ権力の世襲が移行しているだけなので、

 民主化=善政という関連があるとはいえない。

 早い話し、国民は、政治権力の新陳代謝より、経済の新陳代謝が重要であると言える。

 

 

 清国がロシア、ドイツ、イギリス、フランス、アメリカの租借地と租界を攻撃している。

 広東省の蒋介石の経国軍が清国軍を攻撃しているけど、

 清国は、南の反乱軍の防衛線を維持しつつ、北で外患軍を駆逐しようとしてる。

 さて、内患の経国と、外患の英仏米独露は、清国の内政における自業自得だし、

 どちらの味方をするつもりはないけど、

 大陸資源だけは、咽喉から手が出そうなほど欲しいし、貿易だけはしてる

 その際、携行兵器や武器弾薬は、多少売られるようになったかな。

 

 この世界の、この時代の、日本にも、戦争で日本人を殺したがっている在日右翼と、

 人権で日本国を滅ぼしたがってる在日左翼の勢力がいる。

 どちらも、同根で繋がっていて、片方に寄れば、一気に押し切るつもりでいるので、

 右翼・左翼の力を見誤ったとか、

 いきなり右翼や左翼が強くなったような気がするけど、

 在日のほとんどが右翼に転向したり、左翼に転向しているだけだったりする。

 最初から愛国利権と人権利権で稼いでるだけの利権屋なので、

 こいつらの口車に乗ると、絶望に追い込まれ、

 日本人が何百万人も殺されることになるだろうし、日本国が存亡の危機に晒されるのだけど、

 このグローバル右翼、グローバル左翼の資金源を辿ると、国際金融マフィアたちなのだけど、

 どうしても、日本を清国に侵攻させたいらしい、

 未来人のおれは、歴史を知ってるので、やめさせようとしてるのだけど、

 片翼の愛国馬鹿とか、人権馬鹿って、いるんだよね。

 バランスを崩して、くるくる回りながら上がっていくのか。落ちていくのか。わからんけど、

 ほんと、馬鹿みたいな連中だ。もう、死ねばいいのに、

 

 

 藩主たちが次期将軍候補を選任し始めていて、石票が動き出している。

 この世界の将軍は、幕藩連合議会の石票で決まるので一々解散しない、

 藩主も、藩議会の石票で決まる。

 将軍と藩主が決まると、人事が起こるけど、

 10人長制には、及ばない、

 しかし、既得権を持つ者にしたら一気に政治力を失いかねない、

 だから余剰資金があると、誰も彼も農業用高層建築を建設し、

 政治力を得ようとするのだけど、

 石票を動かす方法は、地位を約束したり、利権を売ったり、

 金銀貨を使ったり、株を使ったり、紙幣を使ったりするのだけど、

 おれが海外を回っている間に、あれこれ画策しているようだ。

 将軍職も藩主職も権力が制限されているので、投資の割にうまみがないし、

 10人長制が、蔓延っているので、人死にが、少ないらしいけど、

 聞いた話しだと、

 将軍に支配されたくないので、

 それなりに聡明そうで、持ち石票が、それほど、多くない、

 上瀬藩15代当主の池田 徳真(いけだ のりざね:26)が次期将軍になりそうな雰囲気らしい、

 どうやら集権化の逆で、分権化が進んでるのか。

 公家衆の陰謀で、将軍を抑え込んで、公家衆と藩主・10人長制の関係が進んでるのか。

 そんな気がする。

 

 

 

 

 1月

  梅蘭芳来日

  ロシア帝国 血の日曜日事件

  連合軍がペロポネソス半島を制圧

  ソビエトパブロフスクにラジオゾンデ設置

  アメリカ3M社がスコッチテープ(セロハンテープ)発売開始

 

 

 鉄道網沿いの探査をしたけど、

 ナミビアは広い、

 ホバークラフトで行ける地域は、一部しか調べていない、

 それでも、幾つかの資源帯を見つけたので、数十万人規模の街を幾つか作れるかもしれない、

 しかし、なんで、こんなに広いんだろう。

 空を見ると、カモメ機だけでなく、全長250m級飛行船も浮かんでいる。

 船体の周囲にレーダーを配置した索敵用飛行船で、

 飛行船の格納庫は、安全そうな内陸にある。

 ちなみにヘリウムは、南関東ガス油田から抽出するか、アメリカから買っている。

 最近、ウラン精製をやってるので、そっちからも得られる。

 アメリカが日本に気前よくヘリウムを売ってるのは、国際情勢的に日本と敵対したくないだけのようだ。

 もっとも、ニカラグア運河が開通したし、いつまでヘリウムを輸出してくれるのか不明かな。

 

 

 

 欧米列強で所得税が増えたらしい、

 たぶん、ペロポネソス半島の戦費回収だろうね。

 支配を強める手法として、強者をさらに強者にし、弱者をさらに弱者にする強者原理がる。

 強者に購買力があり、弱者に購買力が亡くなると、不況が進むのだけど、

 購買力のある富裕権力層の支配力が強まる。

 民衆が政府に離反し、人口が減少し、国家が弱体化し滅んだとしてもだ。

 利権のマイノリティ率世襲天下り率が増大すると、自動的にそうなるのだけど、

 マジョリティが、世襲天下り利権、閨閥、外患内患に無知で、

 利権保守に媚びたり信じるほど、利権保守に殺される現象が加速する。

 どうやら欧米列強で厭戦気運が進んで、中間層の突き上げを抑え込むための所得税増税とわかる。

 中間層を抑え込んだら、消費税に移行するのだけど、

 未来人のおれからしたら、手の内バレバレの手順って思える。

 しかし、この世界の日本も、富国強兵を叫んで、国民を弱体化させる在日系利権保守がいる。

 それで、人権左翼が結束して強くなれば、右翼と左翼が憎み合って相立つことになるので

 日本打倒が自動的に進むのだから、

 

 

 タバコ、マリファナは、敵味方・民間人の識別が怪しくなるので、

 地下施設に遠心力を使った大規模な1.3G居住区画を建設中で、強化兵士計画がある。

 どのくらい変わるかというと、区画内だと、60kgの兵士は、78kgになる。

 体重78kgで生活し軍事訓練を受けていた人間が体重60kgで戦う肉体強化策なのだけど、

 骨格と筋肉が強くなる可能性があって、少しばかり有利になるかもしれない、

 

 

 

 ロシア共産化は、全ユダヤ会議で賛否がわかれていたけど、

 南ユダ諸派ハザール系タルムードは、ロシアの共産化を推し進め、

 北イスラエル王国親衛隊は、革命を妨害していた。

 おれも、綾波時代からニコライ二世との関係を強めていたし、

 アレクセイ・ニコラエヴィチ(26)の血友病治療で、関わっていて、

 貴族を弱体化させ、領民を優遇しないと、共産革命が起きると警告していた。

 しかし、ロシア貴族社会の政治腐敗は、酷く、

 十字軍戦争は、国家財政を悪化させ、ユダヤ資本に資金を借りたことで、致命的になった。

 貧富の格差は、拡大し、国民の我慢も限界を超えている。

 首都サンクトペテルブルクで起きたストライキは11万人に達し、

 冬宮に至る道路は、デモ6万人で埋まったらしい、

 平和的な行進だったにもかかわらず、

 警官隊は、民衆に銃撃を命じた。

 25年遅れの血の日曜日事件なのだけど、

 このストライキとデモへの資金流入と、銃撃事件、

 皇帝ニコライ2世(62)への報告は、正確だったのか。悪意で歪められてなかったか。

 もう一つ、皇帝は、本当に民衆に銃撃を命じたのだろうか。

 途中で命令が変えられた可能性はないのだろうか。

 というのも、十字軍戦争で、ユダヤ資本に戦費を借りるため、

 帝国の幾つもの要職をユダヤ系に与えられていたわけで、起こるべくして起こした事件なのかもしれない。

 

 

 

 

  2月

  香港でベトナム共産党結成

  宮城道雄が東京音楽学校講師に就任(盲人で初めて)

  パナマ運河開通

  クライド・トンボーが冥王星を発見

  鹿島組設立

 

 電音によると、

 “コロンビアがパナマ運河を完成させようです”

 “アメリカが妨害すると思っていましたよ”

 “アメリカの上手くいかなかったのは、十字軍世界大戦がはじまっていたからでしょう”

 “イスラム圏、清国と戦争しているのに、スペイン・ポルトガル語圏と戦争できるわけないだろうと”

 “連合軍全体から物言いが入ったんじゃないですか”

 “今後、ニカラグア運河の赤字転落と、パナマ運河の黒字経営が予測されるそうですね”

 “通行料は、同じなのでは?”

 “世界的にアメリカが嫌い、ただそれだけの理由だと思われますよ”

 “嫌われっぷりが、悪魔の帝国ですね”

 “インディアン・ジェノサイドは、国際的に有名な行為ですからね”

 “最近は、アメリカでも、カナダでも、抑え気味だと聞いてますよ”

 “いえ、たぶん嘘でしょう、新兵訓練でインディアン狩りをしてるのは、写真と映像が証明していますからね”

 “民主主義や資本主義。自由主義を標榜する割に、残忍すぎますね”

 “日本海外地の少数民族は、増加傾向にあるのに。随分な違いです”

 “神の選民だからじゃないですか?”

 “キリスト教の神は、貧乏神・疫病神・死神なんですよ”

 “そういえば、植民地にとってキリスト教は、貧乏・疫病・死が付きまといますね”

 “この戦争で、キリスト教は、白い絹を来た悪魔の代表宗教になってしまうのでしょうか”

 “しかし、旧約で、もっとも人を殺したのは、悪魔でなく、神ですからね”

 “大洪水で人類を滅亡に追い込んだこともあるそうですけど?”

 “聖書が事実なら、大洪水は、自業自得な現象という見方もできますけどね”

 “大洪水でも、普通に舟に乗っていたら助かるような気がするのですが、その辺は、どうなんでいょう”

 “大洪水が40日だとしたら準備していないと、当時の船だと、食糧が持たないかもしれませんよ”

 “なるほど。しかし、そこまで、モラル破壊が起きるものなのでしょうか”

 “きっと、大陸とか、朝鮮半島のような世界だったのでは?”

 “それは、ちょっと、滅ぼしたくなりますね”

 “資本主義が進みすぎた世界や、共産主義が進みすぎた世界も滅ぼしたくなりますがね”

 “日本人が滅びた世界とかね”

 “あははははは”

 

 

 

 電映を見てると、

 リニアモーターの実験の様子が映っていた。

 電映は、教育、歴史、政治、経済、軍事、科学技術、武術、音楽、物語、漫画が多く、

 スポーツ・芸能・クイズ・バラエティは、100分の1もない、

 朝鮮系日本人や在日が、頭を空っぽにして、電音電映を楽しめるものと、言うけど、

 いまのところ、その目的は、達成していないようだ。

 おれとしては、あまり戦争したくないので、

 ある程度の、娯楽が、あってもいいような気がするけどね。

 特に アニメ だよ

 

 

 イタリアは、社会基盤が小さく、電話回線自体が少ない、

 イタリアがスペイン・ポルトガルの中継通信回線を通したのは、

 イタリアの富裕層が映像情報を知りたかったからに他ならない。

 国民向けじゃないので、配信能力があっても、採算性が悪いからだけど、

 戦争当事国になると、日本での視聴率が上がる。

 十字軍連合国で戦争終結の話し合いが行われてるらしく、バチカンの映像が流れていた。

 特にロシアは、革命前夜らしく、オスマン帝国から手を引きたいようだ。

 未来人のおれとしては、ベトナム戦争の事例もあるし、

 欧米列強が戦争をやめやすいよう、反戦運動をさせてやろうとかという気にもなる。

 ああ、でも、あれは、帰還兵だけじゃなくて、映像効果も大きかったんだよな。

 反戦モノ映画映像を作って、欧米で流せればいいけど、欧米は、日本の電映網がほとんどないからな。

 

 

 

 

 

 

  3月

  谷口雅春が宗教右派に属する新興宗教生長の家を開教。右派政治団体日本会議等で、右翼活動を行っている。

  インドで、マハトマ・ガンディーが、宗主国イギリスが任命したインド総督に対し市民的不服従による抗議運動開始を通達。

  日本・タイ王国・ベトナム帝国海軍合同演習

  アメリカマサチューセッツ州で冷凍食品が販売

  インドで、マハトマ・ガンディーと支持者により、イギリスによる塩の専売に抗議する塩の行進開始。4月6日まで続く。

 

 

 実は、航空参謀の仕事もあって、一応、確認しないといけないことがあって、南米諸国に行く、

  12000t級妙高型巡洋艦 那智

    全長203m×全幅20m×吃水6m

     120000馬力  32kt  15000海里/16kt

       60口径150mm連装砲4基    70口径40mm6束砲8基   対潜ロケット4基60発

       水上機4機

 新型巡洋艦で出かけるのは、安全のためかな。

 新型巡洋艦は、艦齢30年で計算して、60隻を計画しているので、

 年間2隻を建造している。

 巡洋艦60隻だけで720万tに達するけど、

 日本は、建造し配備するだけの国力があるのだろう。

 

 スペイン・ポルトガル国境 カディス 200ku

 ベネゼエラ トルトゥガ島 156ku

 コロンビア・ペルー・ブラジル国境 4500ku

 ボリビア・パラグアイ・アルゼンチン国境 4500ku

 ウルグアイ バラ デル シュイ 100ku

 メキシコ・グアテマラ国境 200ku

 チリ ファン・フェルナンデス諸島 182ku

 スペイン・ポルトガル語圏は、日本から戦艦・巡洋艦・潜水艦・航空機・戦車を購入するため、

 国土の一部を日本に譲渡している。

 譲渡地は、軍事基地であると同時に、通商拠点であるし、

 日本が輸出物資を搬入する地域で、

 食い扶持減らしの戦災孤児で、美少女が日本に売られる港でもあった。

 その原因が、十字軍世界大戦で、

 連れてくるのが、ほとんどの場合、

 世界大戦の発起人のユダヤ商人なんで、なんだかなって気がする。

 

 

 

 

  4月

  銀座三越開店

  鉄道省が国際観光局を開設

  統帥権干犯問題が発生

  日本・チリ・ペルー・ボリビア海軍合同演習

  ローマで日本美術展開催

  天長節祝典: 宮城平河門内覆馬場で370年ぶりの天覧相撲開催

 

 犬の球転がし

 武術系重鎮に、そう呼ばれる一連のスポーツは、欧米列強で人気があり、

 日本でも国際試合が行われる。

 スペイン・ポルトガル国境 カディス 200ku に来ると、

 欧米諸国とサッカーの国際親善試合が行われていた。

 国際試合を通じて、日本と欧米列強の絆を強め、

 国際情勢に影響を与えようというものだけど、

 未来の日本と違って、スポーツが一面に載ることはなく、

 国際試合だとしても、四面記事で小さくかかれる程度で、

 まだ、国技の相撲や、他流試合用柔術の柔道や、剣術の流れを組む剣道の方が大きく扱われる。

 この世界の柔道は、他流試合用共通ルールとしての認識しか持たれていない、

 なので、独自の流派を持ちながら、他流試合用に柔道を学ぶ道場が8割を占め

 柔道のみは、1割に過ぎないと言われている。

 そして、柔道に成り代わり他流試合用共通ルールに上り詰めようとしてるのが、空手で、

 中国拳法と合気道とエスクリマも少しずつ増加してる感じだ。

 なぜ、そうなってしまったのかわからないけど、

 分権の強い幕藩体制のせいかもしれない、

 あと、普通の格闘技でも、剣術、槍術、棒術などの対処を倣うし、

 剣道でも、対格闘術を倣うことがあるので、必然的に剣道人口が一番多いと言われている。

 もっとも球転がしと馬鹿にされながらも、組織力と、足腰を鍛える球技は、武術にも影響を与え、

 徒走訓練を増やしたり、合理的な陣立てが考えられたりしている。

 それはそれとして、サッカー発祥は、イギリスと言われているのに、

 庭球として国際ルールを確立させたのは、綾波で、日本が早い、

 そんなわけで、国際試合でも、日本人が有利なルールがところどころ組み込まれ、

 何とか戦えてる気がする。

 ていうか、賞金を出すからと、なんらかの武術をやってる人間を集めて、国際試合をやらせることが多く、

 そういう意味では、アマチュア対プロの構図なのかもしれない、

 

 カディスを中心にした欧州航空路線は、確立しそうな気がする。

 場所柄、大西洋空路と地中海空路も可能だし、

 北アメリカ大陸、欧州、アフリカ大陸、南アメリカ、中東にもいけそうだった。

 そう、戦争が終わったら、

 戦争が終わったら、そういう国際空路に乗り出すのもいいし、

 日本の宅配運送サービスも産業になる気がする。

 戦災がないので、再建産業は、いま一つだけど、自動車は、売れるかもしれない、

 いやぁ なんか、いいよね。

 黒字貿易で資源がっぽりで万歳。

 そうだ。戦後、暴動とか、起こりそうだし、ゴム弾式の機関銃を開発して売ってやろうかな。

 それとも、反政府運動や暴動を起こさせないほどの男手を戦場で殺す気かもしれない。

  

 

 

 ベネゼエラ トルトゥガ島 156ku

 ベネズエラ連邦保護領の内海ある島で、高くても海抜40mほどの平坦な島だった。

 それでも、アメリカ合衆国に対する足場で、欧州のカディスと空路を結べそうだった。

 たぶん、アメリカが戦争している間に手に入れたようなもので、

 アメリカにしたらオスマン帝国を降さない限り、元が取れないんじゃないだろうか。

 そんな気がする小島だ。

 とはいえ、開発は、かなり手間取りそうだ。

 相当な予算を注ぎ込む覚悟が必要な気もするけど、カリブ海の拠点だし、

 ある程度の経済基盤は必要な気がする。

 でも、島には、何にもない、

 

 

 コロンビア・ペルー・ブラジル国境 4500ku

 海岸線に外国の領地を執られるのが嫌いで、アマゾンの上流の奥地になったって感じだ。

 その代り、内陸は、保険料が高く、その分、広く取れる。そんな感じだ。

 ていうか、蒸し暑すぎるぜ。

 ていうか、内陸の河川なのに幅1kmの川があって、大型船が接舷できるとか。

 ていうか、どんだけ、デカい川なんだよ。

 でもまぁ 資源探してみるわ。

 しかし、南アメリカ新幹線網を引き込まないと、ちょっと辛い、

 ちなみに高層建築の建設が始まっている。

 

 

 

 

 

 電話

 “時司殿”

 “長崎にイギリス、フランス、ドイツ、ロシア、アメリカの代表団がやってきて”

 “オスマン帝国の悪口を言ってるのだけど、どう思うかね”

 「どんな風な悪口です?」

 “まぁ バルカン半島を支配してるとか。カフカスの民を虐げてるとか”

 “アラブ人が可哀そうなので、独立させたいとか”

 “あと、ピエロ男の襲撃とか。オスマン風邪とか。ローマ法王暗殺とか”

 「それ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、アメリカも、侵略国だろう」

 “ですよねぇ”

 “それで、アメリカは、ニカラグア運河を建設て、太平洋に艦隊を配備できるんだ。とか”

 「なんか、弱いものイジメをしてる集団が、お前も一緒に苛めろとか」

 「言うことを聞かないと、お前も苛めるぞ、みたいな。そんな感じだな」

 “そんな卑劣なの、日本じゃ少ないですよ”

 「あはははは」

 そういや、日本は、義務教育制じゃなかったっけ、

 

 

 

 

  5月

  第1回日本一健康優良児表彰式開催

  アメリカでスチュワーデス就任

  共産党シンパ事件で三木清らが検挙

  田辺元、論文「西田先生の教を仰ぐ」(「哲学研究」)。西田幾多郎の西田哲学を、厳しく批判した。

 

 ボリビア・パラグアイ・アルゼンチン国境 4500ku

 内陸の譲渡地は、海岸の譲渡地より広かった。

 西はボリビア、東はパラグアイ。

 南は、パラナ川水系パラグアイ川支流ピルコマジョ川を挟んでアルゼンチンが広がっている。

 南米諸国は、アメリカ合衆国から独立を保つため、

 国土の一部を日本の近代的な兵器・武器弾薬と交換した。

 その価値があるのかは別にして、南アメリカでアメリカ資本の圧力は急速に低下したし、

 日本の利権は、大きくなって、今では、数百棟の高層建築の建設を計画している。

 

 

 ウルグアイ バラ デル シュイ 100ku

 バラ デル シュイは、クアライ川を挟んでブラジルの国境に接した小さな海岸域で田舎の風景が続いている。

 何はともあれ、ナミビアと6600kmほど離れてるけど、直通の空路ができてよかった気がする。

 

 

 

  6月

  浅間山爆発

  日本・ブラジル・アルゼンチン海軍合同演習

  アメリカ大統領フーバーがスムート・ホーリー法に署名

  折口信夫「古代研究」第U巻 民俗学篇

  劇団新東京第1回公演(東京劇場、「フィガロの結婚」)

 

 

 チリ ファン・フェルナンデス諸島 182ku

 火山性の島で地熱スターリング発電に困らない、

 緑があるし、開発はしやすいかもしれないけど、

 イースター島(163.6ku)から3000km離れてるし、

 大陸から600kmほど離れ孤立した島だし、

 まぁ 南米大陸に対する足場にはなりそう。

 

 

 メキシコ・グアテマラ国境 200ku

 マゼラン海峡から、回って太平洋に入って、チリ沖を北上し、

 メキシコとグアテマラ国境の譲渡地、

 既に開発が始まっていたけど、メキシコは、イングリッシュ圏と、スパニッシュ圏の最前線になるので、

 本格的に戦争する準備をしているらしい、

 日本にしたら、アメリカ合衆国と、まともに戦争する気ないし、

 

 

 

 

 

  7月

  アメリカでフーバーダム建設開始

  明治神宮プール公開

  第1回FIFAワールドカップ開催( - 7月30日)

  列国の砲艦が清国を砲撃

 

 扶桑に帰還、

 地球を一周しちまったじゃねぇか。

 久しぶりの故郷だよ。

 短い夏の間に開発をやっちまおう。

 ていうか。おれ、50過ぎのはずなのに、休まる暇ねぇよ。

 まぁ 中身は、30代なんだけどさ、

 でも流石に、堪えたぜ、

 3、4日は、鮭飯でも食べながら、寝て過ごすつもり、

 

 

 電音によると、

 ロシアは、ニコライ二世の権力を失墜しつつあって、深刻なようだ。

 オスマン戦争で苦戦中になにやってるんだろうか。

 第一次がそうだったようにドイツ敗北がほぼ決まってからの革命のはず、

 まず、オスマン帝国を潰す見込みが立ってからの共産化ではないのか、

 それともオスマンに中欧に侵攻して欲しいのか。

 それとも日本の影響を受けてるアレクセイ・ニコラエヴィチ(26)が気に入らず、革命を急がせてるのか、

 単に十字軍戦争で金貸しのユダヤ資本が、紙幣を集め、

 さらに物価を上げて、民衆を困窮させ、革命勢力に紙幣を流しているだけだし、

 こっちは、本物に近い偽札があるので、ロシア民衆の窮状を支え、革命を遅らせることはできるけど、

 それをしたからと言って、ロシア帝国が再生できるのかというと、

 貴族全体が腐ってるので、アレクセイが善政を敷こうとしても無理がある気がする。

 となると・・・

 

 

 

 

 

 税制は、古代より、味方権力基盤を優遇し、政敵を弱体化させ、支配権を確立させるために存在するが、

 同時に労働を強いるために使った紙幣を強制的に回収し、

 味方利権にもう一度、再分配するための機能を持っている。

 内政が権力基盤優遇に偏るほど、格差が拡大して権力が先鋭化し、

 利権からはぐれた勢力は、弱体化し、貧困層を中心に反政府勢力が広がるのが歴史の常で、

 通常、まともな国は、国権と民権のバランスを保ちながら税制を決めるわけで、

 安定した権力基盤であれば、緩やかな人口増加が進む、

 このバランスが狂うと、特定利権のみが強くなり、国家の政策が歪められ、

 貧富と地域の格差が広がり、経済が停滞し、人口が減少していく、

 欧米列強は、十字軍世界大戦により、金本位制の危機に達していた。

 というより、金本位制での乗数効果と利息増大が、産業基盤の足枷で、

 紙幣を印刷して産業を大きくするためが、十字軍世界大戦主要な原因なのだけど、

 欧米列強は、想定以上に苦戦を強いられ、想定以上に紙幣をばら撒かなければならず、

 既に、金本位制は、復帰不能なほど、破綻している。

 現在、欧米露列強現状は、不換紙幣で印刷している状態で、

 イスラム圏とスペイン・ポルトガル語圏は、日本と同じ、銅本位制に移行している。

 

 貨幣は、金融の基本単位で、

 貨幣の希少価値が高いほど、利権と結びついた富裕層が有利になるし、国民を奴隷化できた。

 そして、貨幣の希少価値が低いほど、所得を得やすく、生産層が有利になった。

 もちろん、税制と財政の有り方を根底から変えなければならないわけで、

 欧米列強は、賃貸のみの資本主義が破綻したにもかかわらず、

 金融マフィアは、信用創造と乗数効果なる似非経済学を生み出し、

 銀行が信任する者、借金を対し紙幣を貸す方式に切り替え、金融支配を継続している。

 銅行が国民に均等にばら撒く人頭創造とは、相いれない。

 あくまでも、金本位制での金融、資本主義な思想のまま、不換紙幣に移行した。

 まぁ それでも、紙幣が増えたことで生産層と労働層が有利になり、競争が激化した。

 普通は、貧富の格差、地域の格差、人種の格差、宗教の格差が縮まるのだけど、

 欧米露列強の死傷者は、800万人、戦傷者1600万人、行方不明700万。

 イスラム諸国の死傷者は、200万人、戦傷者400万人、行方不明100万人に達し、

 戦線は、連合軍側の厭戦気運で、膠着状態に陥っていたし、

 清国軍の参戦で、欧米露列強は、兵力不足となり苦境に陥っていた。

 

 

 

 扶桑の夏は、体育関係の大会が目白押し、

 あと、夏祭りとか、春夏秋のお祭りを全部合わせたくらいに派手、

 そして、祭りが大きくなるほど、自分本位で声が大きく、ドスの効く人間が中心になり、良識が失われていく、

 日本人が長老格を占めている間は、統制がとれているのだけど、

 単細胞が、ひたすら、組織を強く、デカくしていこうと考えるほど、

 朝鮮系日本人と在日が強くなっていくわけで、

 祭りだけでなく、

 新興宗教とか、軍とか、警察とか、行政にも朝鮮系日本人や在日が浸透し、組織や運営を乗っ取られてしまう。

 おれは、善悪に関係なく媚びて来る人間、

 そして、声の大きな人間に気を付けろと、口が酸っぱくなるほど、言い続けているのだけど、

 まぁ 外資の後ろ盾があるのだろうか、

 いつの間にか、入り込んで、分断工作を繰り返し、組織をバラバラにしながら中核に居座ってしまう、

 おれは、対立組織のところに行って、分断工作されているよ。

 敢えて言おう、媚びて諂って、仕切りたがりは、99.9パーセント朝鮮系日本人と在日であると、

 あいつら利権の味方をするけど、反日で、

 あんたたちが、憎み合わされているのは、あいつらが憎み合わせるよう仕組んだんだよ。

 乗っ取られたら、分派を作って、格差を広げて、私腹を肥やして、日本人を殺すよ。

 そこに、大陸系日本人が絡んでくると、滅茶苦茶にされて、地獄だよ。

 そんな感じで言い含めていくと、空気が変わって、和解。

 まったく、次男坊・三男坊ばかりの海外地に目を付けてきたのは、いいけど、

 いい加減にして欲しいと思うわけ、

 やれやれ・・・・

 

 

 

 

  8月

  ニューヨーク州最高裁判所判事ジョセフ・クレーターが失踪

  逓信省が東京・大阪間で写真電送開始

  北極探検家アンドレーの遺体が33年目にして発見

 

 

 

 おれ、扶桑の資源探索を一通り済ませると、

 創巧社の最大株主なんで、工作機械の精度と、歩合率と、人事に異常がないかを確認する。

 創巧社は、採算性のいいカモメ機と貨客機を中心に事業を展開していて、

 税制に依存する戦闘機、爆撃機、攻撃機、哨戒機は、新陳代謝が激しいし、

 ほかの企業に任せている。

 おかげで、乗用車のようにカモメ機を買い、飛行機を飛ばしてる中間層が多い、

 ヘリコプターは、同軸反転式ローターで開発させている。

 扶桑は、濃霧と、吹雪が多く、天候の変化の激しいから、

 狭い場所に短い時間で離着陸できる機体は、便利だからね。

 

 

 

 あと、ロゼ・ティーナ(46)の長男、露瀬 統司(28)の結婚式、

 ハーフなので、職業制約があるけど、

 日本人と結婚すれば、次の子供は、緩和されるし、

 武家衆のイケメン好きな娘と結婚したらしい。

 今後、息子たちの結婚が相次ぐかな。

 この時代、家と家を繋ぐ政略結婚観が強いので、闇閨閥とはいえ、軽視できない人脈になるかな。

 でも業種が急速に増加しているし、一族だからと言って、利害が一致するとは限らないのが、悩ましいところ、

 そうそう、結婚式は、おれが、55歳にもなって、最前線にいるせいか。壮大でした。

 たぶん、ほとんどが、恩義に感じている人たち、

 あと、政敵。

 おれがどのくらいの人脈があるのか見に来た人たちかな。

 

 

 

 

 新聞によると、

 どうやら、十字軍世界大戦の戦局を引っくり返しかねない戦いが行われたらしい、

 オスマン帝国海軍は黒海に潜み、

 艦隊戦が行われる可能性は低く、主要国は、旧式化した軍艦を派遣していた。

 そして、連合艦隊は、旧式戦艦でも十分に勝てると踏んでいた。

 その日、

 日本から購入した戦闘機、艦爆、艦攻970機が飛び立ち、

 エーゲ海のキクラデス諸島を基地にするアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア艦隊を空襲した。

  イギリス艦隊 戦艦13隻 巡洋艦10隻 駆逐艦40隻 輸送船34隻

    オライオン  モナーク  コンカラー  サンダラー

    キング・ジョージ5世  センチュリオン  オーディシャス  エイジャックス

    アイアン・デューク  マールバラ  ベンボウ  エンペラー・オブ・インディア  カナダ

  フランス艦隊 戦艦7隻 巡洋艦5隻 駆逐艦15隻 輸送船16隻

    クールベ  ジャン・バール  パリ  フランス

    プロヴァンス  ブルターニュ  ロレーヌ

  イタリア艦隊 戦艦4隻 巡洋艦2隻 駆逐艦10隻 輸送船10隻

    ダンテ・アリギエーリ

    コンテ・ディ・カブール  ジュリオ・チェザーレ  レオナルド・ダ・ヴィンチ

  ドイツ艦隊 戦艦8隻  巡洋艦5隻 駆逐艦26隻 輸送船10隻

    ナッサウ  ヴェスト・ファーレン  ラインラント  ポーゼン

    ヘルゴランド  オストフリースラント  テューリンゲン  オルデンブルク

  オーストリア=ハンガリー帝国艦隊 戦艦4隻 巡洋艦3隻 駆逐艦14隻 輸送船7隻

    フィリブス・ウニティス  テゲトフ  プリンツ・オイゲン  シュツェント・イストファン

  アメリカ艦隊 戦艦10隻 巡洋艦12隻 駆逐艦80隻 輸送船40隻

    サウスカロライナ  ミシガン  デラウェア  ノースダコタ

    ワイオミング  アーカンソー   ニューヨーク  テキサス

    ネバダ オクラホマ

 それまで地上支援に徹していたオスマン帝国空軍に渡洋能力の心配はないと思っていたのが、

 日本から購入した新型機は、渡洋爆撃性能があった。

 97式戦闘機に似た戦闘機200機は、キクラデス諸島から迎撃した旧式戦闘機113機を撃退し、

 艦攻360機、艦爆300機に連合国艦隊を攻撃させるだけの時間的余裕を与えた。

 オスマン帝国空軍に空襲された連合艦隊は、戦艦25隻、巡洋艦10隻、駆逐艦2隻を失った。

 

 

 連合国軍は、空軍機2000機の支援のもと、

 ガリポリからの撤退作戦を開始することになった。

 対し、オスマン帝国空軍1500機が出撃して、連合軍の撤退戦を妨害し、

 この撤退戦で、連合軍は、戦艦7隻、

   バーラム  ヴァリアント  マレーヤ

   カイザー  フリードリヒ・デア・グローセ

   ペンシルベニア  アリゾナ

 巡洋艦12隻、駆逐艦22隻、輸送船45隻(230000人)を失って惨敗し、

 ガリポリの連合国軍32万人は、オスマン帝国軍降伏し、

 エーゲ海連合国空軍は、制空権を失い、

 地中海での連合国軍は ペロポネソス半島−クレタ島の戦線 まで、後退してしまう。

 もっとも、オスマン帝国空軍のキクラデス諸島空爆とガリポリ撤退戦で作戦機の半数を失う無茶ぶりで、

 オスマン帝国軍も、せっかくの戦勝を生かすことができず、

 戦線は、膠着状態に陥った。

 

 

 日本でも、オスマン帝国空軍のキクラデス諸島空爆と、

 連合軍ガリポリ撤退戦の一連の戦いの調査がなされ、戦訓を取り入れようとした結果、

 キクラデス諸島海上航空戦は、停船状態の戦艦を沈めたので、それほど評価されなかったものの、

 ガリポリ撤退戦で沈めた戦艦7隻は、戦闘航行中であり、

 おれ、時司航空参謀の海上戦における戦場形態が、正しいと証明されてしまう。

 これで、あと、10年くらい航空参謀で行けるな (笑

 ていうか、産業利権の都合で、現代戦を戦えるわけないじゃん (笑

 そうそう、キクラデス諸島海上航空戦とガリポリ撤退戦は、空撮してるんだよな。早く、観たいな

 

 

 

 

 

 

  9月

  震災記念堂落成式

  日本・メキシコ・コロンビア・ベネゼエラ海軍合同演習

  浅間山爆発 (東京まで降灰)

 

 

 電音

 “今回は、オスマン戦線帰りの伊藤整一中佐にお越しいただきました”

 “よろしくお願いします”

 “戦場は、どんな状況なのでしょうか”

 “今回の戦勝で。オスマン将兵と、イスラム派遣軍は、士気が大きいですね”

 “もちろん、士気が大きいと、勝てるわけじゃないですが、攻勢をかけやすい状況にあります”

 “近々 攻勢があるのですか?”

 “いえ、それほどの余裕はないようです”

 “キクラデス諸島海上航空戦と、ガリポリ撤退作戦ですが”

 “欧米連合艦隊と、欧米連合軍将兵に膨大な損失を出したそうですね”

 “はい、正確な損失艦、損傷艦が伝わってきていますが”

 “欧米列強は、手駒の多くを失いましたし”

 “艦隊の稼働率計算で逆算するなら、戦線の縮小は、致し方ないようです”

 “あと、航空攻撃によって、戦艦の海洋支配は喪失し”

 “連合軍の厭戦気運を一気に増大したと思いましたが、まだ戦えているのが不思議です”

 “軍の進撃は、裏方さえ、しっかりしていれば、掛け声だけですからね。誰でも出来るのですよ”

 “ただ、軍の撤退は、兵站を失った将兵を最前線に取り溢してしまいますからね”

 “全将兵に信頼された将校しかできません”

 “そういう意味では、欧米列強の指揮官は、まだ、信頼され、統制を保ってるようです”

 “あれだけの損失を出してもですか”

 “不利な戦況で、救出作戦を決行したことが、全軍の士気を保つコツなんです”

 “浪花節かもしれませんが”

 “仮に損失を最小限に抑えたとしても、全軍の戦意を喪失させてしまうと、戦線が崩壊しますからね”

 “困ったことに、というか。残念なことに、というか”

 “これは、歴史的な戦訓であって、損失比の問題ではないわけです”

 “わかるような気がします”

 “今回の戦勝は、なにが原因でしょうか?”

 “それは、航空機の進歩が、この海域なら大丈夫という常識を覆したことにあります”

 “もちろん、欧米列強も用心し、艦隊防空のための迎撃機を近くの島々に配置していましたが”

 “新鋭機でなく、旧式化した訓練機で、訓練中の新人パイロットでした”

 “そこに新鋭機に搭乗したベテランパイロットが大挙として、押し寄せたのですから”

 “あの事態ですし、防潜網を外して、脱出する前に2回から3回は、空襲されたわけです”

 “つまり、航空機産業が成し遂げた戦果ということですか”

 “はい。もちろん、オスマン帝国空軍将兵の練度もありますけどね”

 

 

 

 50000t級客船 花咲じじい で、フィリピンに移動するよ。

 いいよね。客船。

 軍艦と違って、客室が広いし、

 ウェイターが飲み物を持ってきてくれるし、

 ベットで手足を伸ばしてゆっくりできるのが最高だよ。

 この時期の日本の客船って、省エネ型のディーゼル機関で、現代風の客船に近付いてることかな。

 ちなみに日本の客船は、朝鮮半島と、大陸にはいかないように工作している。

 資源は必要だけど。金の問題じゃないんだよね。

 でも、チワン族の性格は、わからないので検討中かな。

 

 

 途中、西布哇諸島に立ち寄る。

 島と言わず、環礁と言わず、洋上に高層建築が建ち並んでいるので、標的になりそうだけど、

 開発が進んで、要塞と海軍基地と航空基地があるし、

 地対艦ロケットを配備する気なので、たぶん、自衛は、できそう。

 ていうか、航空戦力は、勝っているはず、

 まぁ 戦える。たぶん、

 ハワイ王国も緩衝地帯として、独立を保っているので、

 日米戦争が起きたとしても、日本まで遠いはず、

 

 

 

 

 20日ほどで、フィリピンに到着すると、先に来ていた子供たちと合流する。

 日照を考えず、地盤と治水だけで高層建築が建ってるのは、赤道に近い地域特有かな。

 農業用高層建築1棟は、むかしでいうと、農村一つ分以上の生産力があって、

 酒造だけでなく、加工用缶詰を製造したりと、かなり手広い、

 フィリピンで、石票を稼いでる富裕層は多く、

 おれも、その一人。

 ていうか、十字軍世界大戦が起きなかったら、おれ、フィリピンで100万人長になっていたかも、

 そして、多少、農業用高層建築を建設し過ぎても、生産調整で、価格を維持できるし、

 農業用高層建築で生産した食糧缶詰がオスマン帝国の戦線を支えてるし、

 東アジアに輸出されている。

 そんなわけで、穀物価格を維持できて、回収した資金で、次の高層建築を建設できた。

 

 

 “時司先生。有馬です”

 「どうした?」

 “嵌められました。殺人の冤罪で、犯罪者にさせられました”

 「誰に嵌められた?」

 “主戦派だと思いますが”

 “わたしの持っていた小太刀を盗み、現場に置いてわたしを犯人にしてる者たちがいるようです”

 「誰か。殺されたのか?」

 “××会の吉本です”

 「あいつは、こっちに情報を流していたじゃないか」

 “だから、見せしめで殺して。近くにいて、アリバイのない私を犯罪者に仕立てたのでしょう”

 「組織犯罪だな。まぁ あの連中だと思うが・・・」

 「わかった。知り合いの警察に頼んでみよう」

 「日本に帰ったら、会いに行く」

 “よろしくお願いします。時司先生”

 政敵の幹部を直接、標的として殺さず、犯罪者にでっちあげる方が、政敵の組織に大打撃を与えられる。

 この時代、組織幹部は、剣術や武術の心得がある場合が多く、

 警護の人間が何人かいることもあるわけで、弱いやつを殺して、冤罪を掛けた方が、得と言えば得なんだろうね。

 あと、事故を引き起こして、政敵にせいにして、陥れるとか。

 刺客を送り込んで、パクって自画自賛で、敵を貶めて、誹謗中傷を繰り返すとか。

 半島系が政敵を貶めるときの自作自演とマッチポンプは、キチガイ染みてるというか。常軌逸してるからね。

 この業界にいると、組織犯罪は、しょっちゅうではないけど、たまにではないけど、まぁ 起こる。

 こういう時、アウトローを抱え込んでると、同じ報復ができるのだけど、

 好景気で、人殺しができる人間は、少ないし、

 公になると、おれだって、ヤバい、

 潰しの効く、日本人に似た外国人をたくさん抱え込んでる組織は、有利かな。

 ていうか、未来の日本は、冤罪で手足をもぎ取られた政官財関係者は、多いよ。

 ちなみに、おれの組織は、そういう外患が少ないので、ちょっと不利、

 魔法を使えば、完全犯罪はやれるけど、おれの人生は長いし、直接的な荒事は避けたいかな。

 なので、経済的に追い詰めたり、詐欺で陥れたり、兵糧攻めしたりするのだけど、

 好景気過ぎて通じないときがある。

 それでも、資金力で、貧富逆転されたら、ヤバいと思うし、交渉の席は作れるので、

 その時、けじめを付けさせたりするかな。

 まぁ 堅気の世界じゃないので、きっちりやらないと、舐められる。

 ていうか、主戦派って、軍需産業複合体なんで、同僚も含むなんだけどね (笑

 こういう時、転移系が羨ましいわ。

 まぁ 助けるのは、資源を見つけるほど味方が増えるし。恩人になるほど、味方が増える寸法な。

 

 

 そんなこんなで、フィリピン巡りを続けている。

 最近、フィリピン人乗客が増えていて、普通に日本語を話せてるフィリピン人もいる、

 フィリピンだと、民権派の下剋上が自己矛盾に陥る。

 まぁ 早い話し、フィリピン人を公平に扱うのは、ちょっと待て、的な。

 国権派は、権力基盤さえ守ればいい国粋主義に陥りやすく、

 民権派は、公平で選民的な民族主義に陥りやすいらしい、

 ちなみに、おれは、利権屋で反日じゃなければ、少しくらいは、妥協するんだけど、

 なかなかうまくいかないものだ。

 地元の日本人に聞くと、

 フィリピンは、外資の影響か、公家と武家を戦わせて、疲弊させ、

 利権社会を強めさせて、貧富の格差を広げて、領民を離反させ、

 外資が御しやすい民主革命を起こそうとしてるらしい、

 そして、既得権に対する領民の離反に対し、外資と組むように根回ししている。

 マッチポンプなんだけど、常套手段でよくやる手だし、

 たぶん、外資は、フィリピン人がいるので、やりやすいと、思われてるらしい、

 でもまぁ 朝鮮人みたいな毒性はないので、たぶん、大丈夫だろうということだ。

 フィリピンは、タバコ葉が最盛期っぽい、

 日本は、タバコは人口当たりの定量販売しか認められていないので、

 食管法みたいな扱いで、チケット制になってる。

 タバコを吸わないならチケット制を利用し、店に売ることができるので、小遣い稼ぎになるし、

 自分で買って人脈作りに利用する。

 余計に吸いたい人間は、タバコを時価で買わされるか、

 貰い物に期待する羽目になるのだけど、

 闇たばこ産業が育つには、飲まない人間の方が多過ぎるらしい、

 しかし、輸出用は、別枠で生産して専管輸出タバコ会社が取り扱っていて、強力な輸出商品になっている。

 ていうか、戦争は、タバコがないと続けられない、

 そして、キクラデス諸島空爆以降、欧米からのタバコ受注が倍に増え、

 国内販売に魅力のない日本のタバコ生産は、戦争で一気に業績を伸ばしたらしい、

 そうそう、タバコで病気が増えるはずなので、治療で恩を着せて、味方にできるかなって感じ、

 正常な人間は、わかるので、有害そうな分子を無害な分子に錬成するか、

 飛ばしちゃうだけなんだけどね。

 

 

 そうそう、ダニエルズ・プランは、

   43200t級サウスダコタ型戦艦6隻

     全長208m (684 ft)×全幅32m×吃水10.1m

     60000馬力  23kt

       50口径406mm3連装砲4基  53口径152mm砲16基  50口径76mm対空砲8門

       533mm魚雷発射管2基

       サウスダコタ  インディアナ  モンタナ  ノースカロライナ

       アイオワ  マサチューセッツ

 

 

  43500tレキシントン型巡洋戦艦6隻

   全長266.5m×全幅32.2m×吃水9.1m

   180000馬力  33.3kt   12000海里/10kt

      50口径406mm連装砲4基  152mm砲16基   50口径76mm高角砲6基

      533mm魚雷発射管8門

       レキシントン  コンステレーション  サラトガ   レンジャー

       コンスティテューション  ユナイテッド・ステーツ

 戦艦10隻・巡洋戦艦6隻ほか、艦艇155隻を3年間で建造するのだけど、

 欧米列強がイスラム諸国相手に同盟して、地上戦と航空戦が中心で、

 艦隊の必要性が低下しているのにもかかわらず、

 史実より2年遅れた1919年に議会で承認され、

 ほぼ、計画通り整備されている。

 大方の予想では、対日戦と対スペイン・ポルトガル戦を踏まえ、

 欧州諸国の牽制も兼ねての計画だろうと言われていた。

 アメリカ海軍の皮算用が狂ったのは、オスマン帝国が粘り勝ちしそうな戦況で、

 今回の航空優勢の海戦だった。

 戦艦を中心に建艦計画を立てたアメリカ、イギリス、ドイツは、戦う前に戦略的に敗北し、

 長門型空母4隻と巡洋艦と潜水艦を建造した日本海軍は、戦略的に、勝利していた。

 それどころか、アメリカは、1926年から1930年まで、

  80000t級ティルマン型戦艦4隻

   全長297m×全幅33m×吃水9.98m

   180000馬力   25.2kt

     50口径457mm3連装砲4基  152mm砲21基   50口径76mm高角砲12基

      コネチカット  ルイジアナ  バーモント  カンザス

 戦艦4隻、艦艇24隻を建造していた。

 恐るべき、無駄な投資で、対オスマン戦で無駄な戦力なのだけど、

 対清戦を予想していたとしても、既に橋頭堡があるので、まだ過剰で、

 対日戦を見据えていたとしたら、艦砲射撃するのに、ありなのかもしれない。

 でも、そんなの建造せず、予算を陸軍と空軍に集中してたら、対オスマン戦に勝てたんじゃね。

 

 そうそう、この海戦で、対ティルマン型戦艦を建造しなくてよくなってホッとしている。

 でも、軍属系利権保守が対抗して戦艦を建造しようと、音頭を取ってるんで、

 酒を飲むたびに、どうやって、あのアホ共を絞め殺してやろうかって、思うわ。

 

 

 

 

  10月

  醍醐天皇千年式年祭挙行

 

 鉄道網に沿って移動し、海底トンネルへと入っていく、

 海底トンネルの採算性は、どうかなって感じだけど、

 基幹産業は、安全保障上、必要なんであって、私利私欲なミクロ経済で考えていい問題じゃない、

 とはいえ、親方日の丸利権というのもあれだし・・・・

 もう少し何とかしてもらいたいものだ。

 

 

 久しぶりに射撃場で、拳銃撃ち、

 廃刀令は出せなかったけど、拳銃所持を禁止させることができた。

 まぁ 予備役は、小銃や拳銃の講習を受けるし、

 一般でも、射撃場で、金次第で、拳銃を撃つことができる。

 ちなみに遊園地より、射撃場にいる人間が多い統計があるね。

 おれの射撃の腕は?

 まぁ まぁ 上手いんじゃないかな。たぶん。

 でも、拳銃ってさ、近くじゃないと当たらないのが当たり前なんだよね。

 

 

 今日は、フィリピンのお祭り。

 ユダヤ神社が建立している。

 たまに神社に行くのは、日本刀の奉納のため。

 未来の日本だと、想像しにくいかもしれないけど、

 この時代の神社仏閣は、コミュニティの中心で、何かあると、ここに集まって、話し合うわけで、

 神社仏閣を味方につけると、その村の印象が良くなるわけで、いろいろ、便宜を図ってくれる。

 例えば、隠し子がいるんで、よろしく、みたいな。

 例えば、隠し子がいるんで、よろしく、みたいな (笑

 大事なことなので二回言いました。

 フィリピンは、元々キリスト教に絡んだお祭りが多かったけど、

 日本人発祥のお祭りは、まだ少ない、

 神事の祭を利用し、

 子供たちを藩主・武家衆・公家衆などの閨閥に引き合わせたり、

 金融、土建、農業、水道、軍需、法曹、通信、

 鉄道、造船、文閥・理閥・武閥に連れて行ったり、

 師弟人脈で基幹産業の伝手を作らせたりするのは、時司家が最悪の事態を避けるため、

 まぁ おれは、魔法があるんで、どうということはなくても、子供たちは、魔法が使えるわけじゃないし、

 時司家が成り上がりの新興一族なのは、変わらないし、

 綾波家とか、播磨藩の妻方の一族に吸収されてしまう可能性はあるね。

 自立するには、ある程度の

 天(権威・権力)  人(閨閥・師弟)  地(利権・基盤) 

 を押さえておかないと、

 

 

 

 “もしもし、時司先生。結城です”

 「あ、どうした?」

 “長崎で、オスマン帝国商館職員と、イギリス商館職員の非公式交渉の場を準備しました”

 「いよいよ、か」

 “オリンピックでは、どっちも、なにも言いませんでしたけど”

 “今回の釣りでは、出だしで、天気の話しをしてましたよ”

 「ふっ 我慢大会だな」

 「調整案は、出してるんだろう?」

 “ええ、本国と連絡を取ってるので、意外にその気かもしれませんね”

 「そうか。上手くもてなしてやってくれ」

 “はい”

 

 

 

 

  11月

  ハイレ・セラシエがエチオピア国王に即位

  大原美術館開

  牧口常三郎と戸田城聖が、創価学会の母体である創価教育学会を設立。

  最初の国立癩療養所長島愛生園開設

  伊豆地方大地震(死者行方不明者331名、全壊4317戸)

  九鬼周造「「いき」の構造」

 

 

 出たよ。創×学会。

 おれ、宗教迫害は、なるだけ避けたいけど、

 宗教の皮を被った共産革命というか、人災というか。

 もう少し、共産色を減らしたい。

 ていうか、一つの宗教を母体にした思想統制は、勘弁して欲しい、

 

 

 フィリピン パナイ島 ロハス造船所

 フィリピンも本土並みの基幹産業を形成する気があって、中規模ながら海軍工廠もある。

 その気になれば、巡洋艦くらい建造できるのだけど、建造しているのは、潜水艦。

 ルソン島と、ダバオ島を避けたのは、分離独立を避けるためかな。

 パナイ島を選んだのは、まぁ 守りやすそうだったから。

 

 

 

 

  12月

  講談社レコード部発足

 

 史実の日本は、外患誘致クーデターと、媚米追随から始まった明治維新だったけど、

 この世界の日本は、宗教、金融、選挙形式、軍事で、アメリカと対立している。

 水と油の政治経済システムは、非関税障壁の塊で、ユダヤ国際金融マフィアの反日工作が半端ない、

 それは、それとして、世界十字軍戦争と、清国御乱心で、宗教戦争と、人種戦争に移行したことが明確になり、

 金融マフィアの戦争計画が狂って、苦慮しているのかもしれない、

 それか、キリスト信仰崩壊の方が好都合と判断するかもしれない、

 どちらにしろ、白人・キリスト教国家群は、戦後、

 国際社会で侵略戦争の母体であると認識されるわけで、深刻な事態を迎える。

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  綾波 総司(73)  慶司(71)  佐奈(69)  晃司(65)

 

 おれ、 綾波 源司(あやなみ げんじ)  ⇒⇒⇒  時司史朗(ときつかさ しろう) 55

 ロゼ・ティーナ(46)   露瀬 統司(28)  露瀬 千夏(26)  露瀬 陽介(23)

 智子(44歳)  時司 頼経(25)  直衛(23)  美智(21)  雪妃(19)

 

 

  

 

 史実    6387万人

 戦記    2億5586万人

   日本  1億2255万人

   瑞樹     7907万人

   扶桑      152万7842人

   ナミビア・インド洋諸島・パレスチナ   2885万人

   フィリピン  3286万人

 

 

 

 

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第79話 1929年 『なにを着ていても金吊りマリオネット』
第80話 1930年 『キリスト教の神は、貧乏神・疫病神・死神』
第81話 1931年 『白・赤・黒・青の四騎士の世紀』