月夜裏 野々香 小説の部屋

    

仮想戦記 『DNA731』

 

 第16話 1951年 『だってしょうがないじゃない』

 膨大な資源、

 土地の強制収用、

 安価な人海戦術、

 固定費と変動費を足した損益分岐点は日本よりはるかに低く、

 大規模な奴隷経済に不可能はないと思われた。

 当然、日本に投資するより利益は大きなものになり、

 日本政府の懸念をよそに、大陸投資は必然的に過熱していく、

 働くことを美徳とする日本人と

 成功することを美徳とする漢民族の間で性格の不一致があるものの、

 区画が作られ、ドイツ製の建設機械が造成したのち、

 人海戦術で整地され、

 学校、病院、道路、港湾、工業用地、公営住宅、

 橋梁、鉄道路線、バス路線、上水道、下水道、電気、ガス、電話などの建設が始まる。

 大陸の設備投資が進み、社会基盤が拡大する。

 日本人の大陸移民が増加するほど、日本人と漢民族の摩擦が増していく、

 和漢貴族は日本軍の威を借って反政府軍を淘汰し、権力を維持する。

 同時に己が封建体制の確立のため日本人と漢民族の摩擦も利用し、

 二枚舌的に日本勢力を排斥する。

 矛盾するようでも己が保身と権力を優先するための工作であり、

 その幾つかは成功し、幾つかは失敗し、成功が己が首を絞めることもあった。

 日本側も和漢貴族と協力しつつも、和漢貴族への警戒を怠らず、

 大陸の行政権と基幹産業と和漢学校を中心とした既得権益の拡大を推し進め、

 大和連邦全体を日本の統制下に組み入れていく、

 日本側は、和漢貴族の面従腹背を知っており、

 手足となる権限を可能な限り制限しようとし、和漢貴族側も抵抗する、

 双方は、表面上、和漢友好を装いならがらも水面下は、摩擦と亀裂が大きくなっていく、

 こういった現象は、日本人の大陸移民が増えたから起きたことなのかというと、

 日本人がいなくても漢民族だけでも起こることであり、

 漢民族が優位なら軋轢の皺寄せは、少数民族に向けられるだけのことでしかない。

 この時代、大陸記事は、急速に拡大し、大陸各地の様子が日本中に知れ渡っていく、

 ある新聞社は、ことさら和漢の摩擦を取り上げ、

 ある新聞社は、ことさら和漢友好を取り上げるものの、

 まず主義ありきの記事の多くは、特定の地域を針小棒大しつつ大陸全体に広げようとし、

 虚飾と隠匿で事実を捻じ曲げた扇動的なものになった。

 そして、読めば読むほど実態から外れ、

 読者は、馬鹿を見る現象が起こりがちとなった。

 各新聞社同士は保身のため、

 事実を隠蔽し、誹謗し、中傷し合うといった現象も起こった。

 実のところ、大和大陸は、あまりにも広大で、

 日本以上の地域格差が激しく細分化されており、その気質も均一でなく、

 一つの地域の常識が大陸の常識となりえない、

 そういった、当たり前の事に日本人が気付かされていく時代でもあった。

 どちらにせよ、日本の大陸投資は増大し、

 大和連邦経済と生産の中心は、列島から大陸へと移っていく、

 上海の喫茶店 

 日本人たちは茹だるような熱気から逃れるように店内に入ると

 チャイナドレスの中国人ウェイトレスにシャーベットを注文した。

 「今日も暑いな」

 「まったく・・・」

 「上海に底辺直径10000m、上辺直径1000mで2500m級の避暑台地を作る計画があるらしいよ」

 「また、和漢貴族か」

 「たぶんね」

 「漢民族を酷使して?」

 「同じ漢民族なのに・・・」

 「帝王学で自分の権力を保つ方法は、自分より愚かな人間を重用することだからな」

 「下層階級に力をつけさせたり、知恵をつけさせたりしない」

 「世襲で努力しないやつが上に立つと碌なことにならないし」

 「特に封建社会はその傾向が強くなる」

 「中国人の場合、そういうことが多くなる」

 「まぁ 組織を大きくする時も仕事を細分化させて部品化。全体を社員に把握させないからな」

 「それに和漢貴族にとって、旧反政府勢力との戦いは殺すか殺されるかのヒエラルキー戦だからね」

 「権力基盤は強固になるけど最終的に組織や国を弱体化させるし、外国に負けさせてしまう」

 「大和連邦で、そういう人種を抱え込んで大丈夫なのかね」

 「日本だってそういうやつはいるよ」

 「無能で度量の小さい人間ほど組織に依存して攻撃的になるかな」

 「あははは・・・」

 「ただ避暑地建設は、防衛に利用できそうだから、日本側も乗り気らしい」

 「不幸なのは漢民族の労働者か・・・」

 「異民族から同族を守ると称して、同族を苦しめるのが歴史のほとんどだと思うよ」

 「外威を利用すれば内政の失敗も不正腐敗も誤魔化せるし、無理も効くからね」

 「政治手腕として使いやすい」

 「少なくとも日本と中国の歴史の大半はそれだね」

 「しかし、避暑地は欲しいけど、もっと生産的なことに金を使えばいいと思うけど」

 「人件費やすいから・・・」

 「人件費を抑えるのはいいけど、同じ大和連邦国民なんだがな」

 「鉄道くらい敷くだろう」

 「土砂はどこから持ってくるんだろう」

 「揚子江を浚渫するんじゃないのか。大型船を上流に乗り入れさせたがってる」

 「足りなさそうだ」

 「運河をもっと作るんじゃないのか、どの道、運河があると輸送が楽だし」

 「まぁ 漢民族を働かせて金を配る方法としては悪くないと思うね」

 「大盤振る舞いすると、換鉄紙幣でも足りなくならないか」

 「換鉄は最低限、紙くずにならない気休めだろう」

 「大和の円紙幣はドルと並んで強いし、交易上も信頼されてる」

 「とはいってもな、内地は閑古鳥だというのに、みんな大陸投資だと、列島が寂れるだろう」

 「和漢貴族が金持って内地に行ってるらしいから、笑うしかないよ」

 「それに、そのうち、漢民族の方が金持ちになってしまうよ」

 「だけど、上に立つ人間は一定以上の品格を求められる」

 「日本人だから人格者と決まってないし」

 「漢民族だからって腹黒とは限らないだろう」

 「まぁ 要は、地域に貢献できる社会基盤を作ってくれるなら日本人でも漢民族でも・・・」

 「公共の福祉に沿って地域を発展させてくれるのなら白猫でも黒猫でも構わないってか」

 「突き詰めればそういうことだろう」

 「ふっ 民族主義者が青くなったり赤くなったりだな」

 「軍国主義で挙国一致なんてするからだ」

 「大和連邦は陛下も怒ってたし。反対も多かったからな」

 「まぁ やっちまったものはしょうがないだろう」

 

 

 

 満州

 大陸防衛の中心は人海戦術と装甲列車だった。

 無論、戦車は存在するものの少数配備で攻防の中心とはなりえず、

 人海戦術でソビエト軍戦車戦力を殺いでからの投入となっていた。

 とはいえ、ソビエト陸軍の35.5t級T54戦車は56口径100mm砲を装備。

 最大速度50km/h、航続距離460kmと侵攻力が強く、

 日本陸軍も機動力を持つ迎撃戦力を必要としていた。

 

 パンターJ戦車

   重量44.8t

   全長8.66m(車体長6.87m)×全幅3.27m×全高2.85m

   馬力830hp 行動距離250km  速度63km/h(整地) 40km/h(不整地)

   70口径75mm砲(79発)  6.5mm機銃2丁  乗員5名

 パンターJ型戦車は、ドイツの新型ディーゼルエンジンを装備し、

 強力なエンジンと生存性の高い重装甲を有したバランスの良い戦車となっていた。

 日本軍将校たち

 「性能は悪くないが火力がな・・・」

 「71口径88mm・・・いや、60口径105mm砲が欲しいものだな」

 「パンターJ2は、装甲を薄くして60口径105mm砲を搭載する予定だよ」

 「戦車も防弾より、火力が勝負になったかな」

 「ソビエト陸軍がそう決めたのならそうなるだろう。ソビエト規格が戦車の基準だし」

 「防弾が薄くなるのも不安だがな」

 「機動防御なんだから、上手く隠して土嚢の分だけ、防弾を稼げるんじゃないか」

 「だといいけど」

 「シグマキャリアなら、夜戦を仕掛けて司令部をズタズタにできるし、押し返せるよ」

 「ただ、シグマキャリアが足りない」

 「割り当て折衝は?」

 「大陸権益が広がっていてな」

 「そっちに回された」

 「どうして、そんなに大陸権益にのめり込むかな」

 「上層部は、定年後の天下り先しかないんだろう」

 「頭の中は、満州防衛のパンターJより治安維持用のプーマだし」

 「下手をすると木炭バスの沿線権益を考えてるかもな」

 「魚は頭から腐り始めるとはいうけど、大陸の悪癖に染まるのは害悪だな」

 「いや、日本も昔からあるでしょう。そういうの・・・」

 「まぁ そうだけどね」

 「ところで97式自動砲の後継は?」

 「やったのは不具合を直したのと軽量化だけらしい」

 「威力は変わらず、59.1kgを52kgまで落とせた」

 「自動砲による狙撃は、ソビエト軍もノモンハンで懲りてるはず」

 「大隊以上の司令部は、戦車を盾代わりに並べさせるんじゃないのか」

 「前線から戦車を割り引けるなら得だろう」

 「ソビエトの場合、それでも戦車が余りそうな気がするな」

 「まさか、東部戦線じゃあるまいし、極東にそれだけの戦車を回せるとは思えないが」

 「どちらにしろ、そんときは夜間爆撃するしかないだろう」

 「対空砲にも金をかけてそうだな」

 「ちっ 戦力比で勝てねぇ」

 「主導的な民族が多数派の国が羨ましいよ」

 「大和連邦は治安維持に精力を使い果たしてる」

 

 大和連邦成立後、利権構造が変わり、対米臥薪嘗胆も喉元過ぎてしまう。

 軍と軍属がいくら煽っても、笛吹けど踊らず、

 内務省と建設省を中心に幾つもの省が結託し、

 世相を大陸投資へと追いやり、

 第二次昭和モダンニズムといった風潮を高めていた。

 生活物資と鉄製品が店頭に並び、

 購買力のある人々を寄せ集めていた。

 経済は右肩上がりに成長し、

 ハルピンは、香港か上海と思えるような活気を帯びていく、

 都市景観は、同盟国ドイツの影響を受けた行政官や建築家も少なくないのか、

 区画ごと景観が統一され、

 洋6+和3+華1が混ざった近代的な建築物が並び立ち、

 街路樹に挟まれた広い石畳の上を木炭車が行き交ってた。

 看板と標識は、日本語と中国語が併記され、

 大通りの人々の7割は、漢民族が占め、3割は日本人といえた。

 英語表記の案内板の前に白人観光客が集まり、

 満州の国際的化は急速に進んでいく、

 カフェテラス

 チャイナドレスを着たウェイトレスが満州ビールと地鶏ウィンナーをテーブルに並べていく、

 「ビールは少し癖が弱いが美味いじゃないか」

 「ウィンナーは悪くない」

 「チーズは、いまいちだな」

 「それより、日本食にも口をつけろよ」

 「生魚に手を出すのは、誰かが毒見してからだな」

 「俺が食べただろう」

 「いや、毒見は、ドイツ人じゃないとな・・・」

 「たっくぅ〜」

 「それで、我々の依頼は?」

 「トレインハウス9両を購入したよ」

 「ハルピン第230車庫、上海第321車庫、重慶64車庫だ」

 「9両をそれぞれ同時に巡回させれば、車庫を借りることなく、回せるわけだ」

 「そういうことになるね」

 「それはそうと、日中戦争に詳しい反政府軍側の将兵のリストは?」

 「取り敢えず65人ほどリストアップした」

 「約束の金と交換に戦場の様子を話してくれるそうだ」

 「面白い記事が書ければいいがね」

 「言っとくが殺される覚悟を決めて、金を欲しがってる連中だ」

 「警戒してるから注意してくれ」

 「わかってるよ」

 「ところで、ジーンリッチというのは、すごいのかい?」

 「さぁ 風魔部隊といい勝負らしいよ」

 「ふっ あの部隊は眉唾ものだよ」

 「そうなのか、信憑性が高いと思ったが」

 「夜中に飛行機に乗ったことがあるけどね」

 「地上に向かって急降下する奴は馬鹿だと思うね」

 「あははは・・・しかし、現に日本軍は夜襲で侵攻してるだろう」

 「国民軍と共産軍の寝返りも相次いだし、中国人同士で疑心暗鬼になっていたんだろう」

 「司令部の爆破を土産に夜中に逃亡したくなったと思うな」

 そういった現象は、日中戦争末期に増え、大勢が決したといえた。

 「それなら、それで新発見だ。裏が取れたら記事も売れるんだがな」

 「それはそうと、チベットとウィグル方面にも路線は伸びるんだろうな」

 「そう聞いてる」

 「観光地を中心に整備していくよう誘導するから、相当な含み権益になるだろうな」

 「もう、4、5両買っておくか」

 「まぁ ある程度、軌道に乗ってからの方がいいだろう」

 「しかし、蒸気機関車はいいとしてもだ」

 「木炭バスは交通手段として弱い気がするな」

 「人口が多いからね」

 「一旦、経済成長に弾みがつくと一気に石油が不足して、経済が破綻する」

 「電気自動車か、人力の自転車も発達するかもしれないね」

 「石油に依存し過ぎるとアメリカに命綱を握られるようなものか・・・」

 「そういうこと」

 「それより、亡命が増えてるようだが」

 「旧反政府勢力は、連邦にいると和漢貴族に殺されるからね」

 「連中が武器を持って返り咲いてくることはないだろうな」

 「バックにいるのはアメリカとソビエトかな。華僑経由で逆襲してくるかもしれない」

 「大丈夫なのかな」

 「まぁ 和漢貴族の方が信用できないし。連中への牽制になるかも」

 「ふっ いつから日本人は、そういう風な考え方をするようになったんだ」

 「内務省が国の主導権を取ってからだろう」

 「あれで日本も雰囲気が変わっちまったからな」

 「へぇ 世論の評判は?」

 「んん・・・どうかな・・・軍と軍属はΓ憶宛技れてるけど、それ以外はホッとしてるな」

 

 

 ヴィシーフランス共和国 (27万ku)

 フランスは北の3分の2の領土をドイツに奪われ、

 フランス人は、失意の中で生きていた。

 ヴィシー陸軍将兵は、第一次世界大戦の意趣返しなのか、10万に制限され、

 ドイツ製の兵器と武器を購入しなければならず、

 さらにドイツ駐留軍将兵30万の費用も負担させられる。 

 南米ギアナの自由フランスと停戦しており、表向き国交を断絶していたものの、

 水面下では、時に敵対し、時に協調する関係にあった。

 敵対の理由は、傀儡政権と反乱軍の関係であり、

 協調の理由は、同じ祖国、同じフランス人だったことに他ならない、

 ヴィシーフランス領マルセイユ港

 フランス最大の産業海洋都市は、徐々に海外取引を増やしていた。

 交易物資の半分はドイツ製で占められ、

 国内産業は、ドイツ産業に依存しなければ成り立たなくなっていた。

 そう、ヴィシーフランスは、ドイツの属国だった。

 カフェテラスのフランス人たち

 「駐留軍か・・・」

 駐留ドイツ軍30万は、ヴィシーフランス軍10万より多く、

 市街地で見かけるドイツ軍将兵は必然的に多くなった。

 「これでは、占領されているのと変わらない」

 「北の占領地と違って、南の行政はフランス人だ」

 「第1次大戦後のドイツより酷いな」

 「少なくとも賠償金はないよ。かわりに駐留費を支払わされている」

 「けっ フランス人がドイツ陸軍を養っているだけじゃないか」

 「まぁ そういうことになるな」

 「しかし、人材が防衛から生産に回されて、国民総生産は上向きだ」

 「ふん、牙も爪も抜かれて去勢されたようなものだ」

 「それは言える」

 「パリはどうなってる」

 「ドイツ兵は、マルセイユの20倍はいるよ」

 「行政は完全にドイツ人が仕切り、ドイツ人の入植も多いしドイツ語教育も進んでいる」

 「はっきり言うと全体主義で非人間的な社会といえるね」

 「・・・このまま、屈辱の歴史を続ける気か」

 「フランスは負けてしまった。今更、どうにもなるまい」

 「せめて、ヴィシーフランスの駐留ドイツ軍は追い出すべきだ」

 「難しいな」

 「せめて、アメリカが対独参戦していたら・・・」

 「他力本願で国防を語ってもな」

 「同盟戦略も国防のうちだよ」

 「フランスが再起を図るとしたら、海外フランス領か。渡米するしかない」

 「ドイツは、海外領を寄越せとは?」

 「東欧支配でで四苦八苦で、それどころじゃないらしい」

 「今のところ、インドシナのダナン港にドイツ租界が一つあるだけだ」

 「対外的な反発が怖いのもあるかな」

 「パルチザン?」

 「動きは目立っていないが、ストとボイコットが増えてる」

 「ドイツ人は、監視と監督するより、自分で作った方が早く、出来もいいと思うだろうな」

 「職人気質だからな・・・」

 港の方を見るとドイツ製500t級コルベットが出航しつつあった。

 青白赤の三色旗は、はためくこともなく、しな垂れている。

 「・・・これが利己主義と快楽に走り、公共の利益を踏みにじり続けた結果か・・・」

 「ま、子供を産んで育てるより、その金で遊んで暮らす方がいいさ」

 「フランス人に必要だったのは、自己犠牲と公益性だったのかもしれないな」

 「全体主義みたいにか?」

 「まさか、自発的なものだよ」

 「それは無理そうだ」

 「これからどうする」

 「統一派としては、ドイツ駐留軍を追い出すための工作を考えるしかないね」

 

 

 

 雲南省

 北は寒く、南は暑い、

 とはいえ、海抜1891mの標高の高原になると話しは変わり、

 昆明は、重慶、武漢、上海よりはるかに涼しく、過ごし易い気候だった。

 少数民族は、イ族、ペー族、ハニ族、チワン族、

 タイ族、ミャオ族、回族、その他で、人口の半数を占めていた。

 人海戦術で鉄道と飛行場が作られ、水力発電所の建設も進む、

 道路が拡張され、建設機械が行き来し、

 交通、通信、物流が確保されると近代化が進んでいく、

 イ族の若者は、働いてもらった円札を日本の商店にもっていき、

 恐る恐る買い物をし、成功すると、仲間に知らせ、日本商店は賑わい、

 そして、労働力は増えていった。

 日本人たち

 「木炭車は高低差がありすぎて駄目だろう」

 「水力発電が得られやすいから、電気自動車が使いやすいな」

 「和漢学校は?」

 「少数部族は、日本と手を組むそうだ。協力的だよ」

 「最近、日本人の移民が鈍化してるからな」

 「大陸と列島の引っ張り合い?」

 「大陸支配に必要な就業人口を列島から引き抜くと列島の経済は破綻する」

 「問屋は、大陸に商品を取られて品揃えが不足しがちだし」

 「個人商店は、集客が減って潰れると騒いでるし」

 「単純な足し算、引き算、掛け算、割り算だからね」

 「でも列島の日本人を引き抜かないと、日本の大陸支配は穴だらけだし、列強に付け込まれやすくなる」

 「いったいどこの馬鹿が・・・」

 「それをいまさら言ってもねぇ」

 「雲南省は、資源が多そうだな」

 「問題は、昆明が対英印、対仏印の拠点なことだろう」

 「仏印は、どうすると?」

 「ヴィシー政府側に付くらしいが、ダナンにドイツ租界ができると沈黙したな」

 「ふっ 自由フランス側に寝返りそうだな」

 「どちらにしても、インドシナの紛争に巻き込まれたくないな」

 「大陸の地慣らし中だからね」

 

 

 南鳥島沖

神州型強襲母艦
排水量 全長×全幅×吃水 馬力 速度 航続距離 武装 艦載機 艦載艇
25675t 257.5m×29.0m×8.87m 80000 28kt 18kt/97000 120mm×4 25mm×40 〜36 〜40
神州、鳳州

 神州と鳳州の艦尾ドック格納庫からJボートの戦隊が出撃していく、

 外洋に出ると波のうねりは大きくなり、

 小型艇が速度を上げ過ぎると転覆という事態にもなりかねない。

 Jボート

  排水量100t 全長32.76×全幅5.06×吃水1.47

  5000馬力×3  航続距離32kt/800海里  最大速度47kt

  533mm魚雷×6  71口径40mm×2  機雷/爆雷10

 Jボートは、Sボートを日本で改良したものだった。

 特徴的なのは両舷の船腹から伸ばされた小さな翼にジェットエンジンが装備されていることだった。

 深いV型船底は、耐波性が良く、

 2基の推力2700kgエンジンは、Jボートを54ktまで加速させ、

 波を切り裂き、両舷に十数メートル高さに及ぶ水幕を作った。

 日本軍将兵たち

 「いいけど、微妙な速度だな」

 「加速だけならジェットの方が・・・」

 「でも、一時使用だ。ガスタービンエンジンは、軌道に乗らないの」

 「予算不足で・・・」

 「どちらにしても、この速度だと回避運動が転覆に繋がりそうだ」

 「翼を大きくして飛ばしたりとかできるの?」

 「むしろ、船体を海面側に押さえつけるための翼です」

 「そして、回避運動で転覆しないように船体を抑える役目も果たしてます」

 「そう・・・」

 「しかし、軍事技術が高度になっていくからな」

 「突然、シグマキャリアを振り分けても使えるかどうか」

 「操艦と火器管制を任せれば・・・」

 「おいしい役職だから大変だな」

 「一応、B型を要職に付けてるだろう」

 「まぁ 献血を嫌がらなければ・・・」

 「戦争が始まったら、嫌がってもやるしかないね」

 「乗員は、列強と比べて半分か」

 「居住空間が小さく、戦闘に特化した船です」

 「哨戒と巡回に使いにくいな」

 「魚雷艇というより、海を走る雷撃機と考えてもらった方がいいでしょう」

 「船の持ち味を殺してる気もするが、仕方ないか」

 「どうせなら、対艦ミサイルを装備してもらった方が生存性が高くなると思います」

 「対艦ミサイルか・・・」

 「正面装備を削らないとな」

 「しかし、大艦隊を揃えていたのが夢のようだよ」

 「大陸軍と大海軍は両立させられない。マハンのテーゼだよ」

 「そして、嘆かわしいことに日本は大陸国家になってしまったからね」

 「せめて、空軍に予算が流れているのが救いか・・・」

 「しかし、陸軍の全通ドック格納庫の神州型強襲母艦の方が使いやすくなるとはな」

 「長門、扶桑、伊勢も艦尾だけですから。中途半端ですよ」

 「どちらにしろ、空母も強襲母艦も予算不足で建造不可なのが嘆かわしい」

 「大陸投資か・・・」

 「あいつら、どうせ箱モノ作って左団扇で予算を浪費するに決まってる。屑どもが」

 「向こうもそう言ってるだろうよ」

 「国防は国体や国土防衛だけじゃない」

 「公共の利益と個人の財産生命の全体を守るものなんだよ」

 「最近はどこもかしこも軍縮気味だし、通用しにくい決め台詞だな」

 「一番邪魔なのが内務省だな」

 「戻ったら内務省に大砲を向けとけ」

 「あははは・・・」

 

 

 名古屋

 東南海地震(44年/12)の痕跡は薄れつつあったものの寂れた風景が広がっていた。

 早い話し、日本列島は人口減で悩まされ、

 産業を興しても採算が取れないという恐るべき状況になっていた。

 無論、対米、対中、対独向けの産業は、右肩上がりに伸び、

 リターンの収益で公共設備が建設され、雇用が生まれ、

 大陸で巨万の利益を上げた関係者が大御殿を建設するなど、

 羽振りがいい側面があったものの一部の階層でしかなく、

 国内需要全体は、お話にならないくらい低迷していた。

 子供たちが配給切符を持って店に行くと日用品を分けてもらう。

 戦後、大陸移民による人口減と高収入取得層を中心とした経済により、

 庶民産業の空洞化が進み、

 貧富の人口ピラミッドが逆三角形へ近付くという異常事態となり、

 配給制度をやめたくてもやめられない状況になっていた。

 日本人たち

 「日本の予算を大陸に注ぎ込まされて、日本人が働かされて」

 「生産品も大陸にもっていかれて、問屋と小売店はあまりモノじゃないか」

 「大陸でもやっていない配給を続けてるなんて、俺たち本当に中国に勝ったのかな」

 「でも1500万人以上が大陸に行って喜んで働いてるんだろう」

 「いやだねぇ 地位と名誉と財産に目が眩んじゃってさ」

 「もう、愛国心ないよね。本性丸出しだよね」

 「ていうか、愛国心は錦の御旗で建前なんだろう」

 「しかし、もう少し何とかならないかね」

 「金もあるし燃料も資源も社会基盤ある」

 「漢民族労働者を日本に移民させたら消費経済が膨らんで産業が一気に活性化するってよ」

 「当然、配給制もやめられる」

 「ぜ・っ・た・い・に・い・や・だ!」

 

 

 

 オランダはドイツ軍将兵の軍靴によって蹂躙され、占領され、消滅していた。

 しかし、オランダ領インドネシアには、世界初の三色旗(トリコロール)

 赤・白・青の水平三色旗が翻っていた。

 戦後、

 オランダ人は、己が国家を望む民と、欧州に住まう民に分かれ、

 己が国家を望む民は、インドネシアへ入植していく、

 しかし、インドネシアは、オランダ人が150年に渡り搾取するだけの島々でしかなく、

 近代的な生活を送るべくもない未開地が広がっているだけだった。

 入植したオランダ人は、不安と後悔と失望を噛み締め、

 与えられた区画に家を建て、生活を営んでいく、

 大和商船がバタビア入港すると生活物資と建設機材と労働者の漢民族を降ろし、

 インドネシアの資源を積み込むと出航していく、

 アメリカ商船が入港すると武器弾薬を降ろし、利権を得ていく、

 何が起きているかは、明白だった。

 地政学的に不安な国ほど軍事力を必要とし、

 国家基盤が脆弱な国ほど近代化を欲する。

 インドネシアは、地政学的な利点を生かせないほど脆弱な植民地に過ぎず。

 近代化のため大和、アメリカと交易を推し進めるしかなかった。

 大和連邦は石油を欲し、格安の労働資源と生活物資を供給できた。

 そのため、大和連邦とインドネシアの取引量は毎年のように増えていた。

 6642t級軽巡洋艦デ・ロイテル 艦橋

 オランダ将校たちが双眼鏡を覗いていた。

 「大和連邦海軍の14000t級巡洋艦、羽黒か・・・」

 「今のオランダ海軍は、あれ一隻でも脅威ですよ」

 「ノーザンプトン型重巡洋艦7隻を購入するまで太刀打ち不能だな」

 「政府は、本当にアメリカ中古巡洋艦7隻を買うので?」

 「利権と交換じゃやり切れんよ」

 「大和連邦は物資と交換ですから日本の方がいいのでは?」

 「インドネシアは脆弱だ」

 「大和連邦だけに依存し過ぎるのは危険だから、軍事関連はアメリカだよ」

 「危険といっても巡洋艦で砲艦外交ですからね」

 「大和連邦に野心があるとは思えませんが」

 「大和連邦は大陸を併合したばかりだ」

 「インドネシア侵略できるほど内政が安定していないからバランスの問題だけだろうな」

 「どちらかというと中国人労働者が増える方が不安だよ」

 「華僑と中国人労働者が結束すると一大勢力ですからね」

 「経済は小売単体でなされるものじゃない」

 「生産、流通、販売のネットワーク組み立て」

 「集客のためのサービスを演出し、持続的に収益を上げなければならない」

 「それは才能と蓄積されたノウハウだ」

 「華僑がいないとインドネシア経済は、ガタガタだろうな」

 「そういえば、来月から新ギルダー紙幣が支払われるそうです」

 「新紙幣の印刷で、いよいよ。インドネシアが祖国になるわけか」

 「欧州人を捨てるのは辛いですが・・・ドイツの生活も辛過ぎますからね」

 「ま、ドイツ帝国に残る者もいるからな」

 「とはいえ、ドイツの同盟国、大和連邦の手を借りないと近代化が難しいのが癪ですがね」

 「大和の方がアメリカより人件費が安く、採算ベースに乗りやすいからしょうがないよ」

 

 

 14000t級巡洋艦 羽黒

 戦後、改装により、大型レーダーが装備され、

  50口径203mm連装砲4基、71口径40mm機関砲20基、

  魚雷4連装2基、爆雷投射機2基、水上偵察機4機となっていた。

 羽黒 艦橋

 「設備投資は本格的だな」

 「オランダは、本気でインドネシア遷都のようですね」

 「人口比は、オランダが不利なはずだ。どうするのか、興味あるな」

 「現地民を餓死と毒殺してるという噂です」

 「まぁ 和漢貴族がやってることを思うと大和連邦も何も言えないか」

 「イギリスはインド。ベルギーもコンゴでかなりやってるようで」

 「白人か。赤道に住めば日本人より褐色になるだろうに・・・」

 「人種を見分けるときは、太陽に手をかざすそうですよ」

 「褐色に焼けていても白人の肌は白だそうです」

 「じゃ 日本人の肌の色は色白でも黄色き見えるのか?」

 「そのようです」

 「なるほど、人種差別は、深刻に続くと考えてもいいかもしれないな」

 「ブラジル型になる可能性もあります」

 「そういえば、外交武官jが東欧の人間をインドネシア、コンゴに移民させる話しを聞いたらしいな」

 「じゃ ドイツ帝国も邪魔者を・・・」

 「まぁ どこの国も似たようなことを考えるものだ」

 

 

 

 大和大陸

 経済的な競争原理。

 識字率などの社会的な要求から好むと好まざるとにかかわらず、

 日本・和漢貴族 > 漢民族 の労奴社会が作られていた。

 日本人は、企業ノウハウを持ち難い安穏とした地主・家主といった立場に追いやられ、

 安く大量の労働力は、日本人の職を奪い、

 近代産業の担い手たる高度な専門職も漢民族が進出させ、委ねさせられていた。

 それは、日本人の既得権崩壊の序曲といえた。

 

 満州

 石井731機関

 エウェンクの血族が増えるに従い中央域の楽園$O3HD%$5$l!"

 マルタを使った研究施設は、外壁の外へ押し出されていく、

 外壁は、二重、三重と広げられ、

 機関上層部の地位、名誉、財産が増えるに従い、聖域が形成され、保身が芽生え、

 発覚した時の責任を取らされたくないと思う派閥が主流を占め始める、

 そして、非人道的ともいえる研究は、重犯罪者に限定され、

 いつの間にか人体実験は縮小させられていく、

 医者たち

 「子供は、多かれ少なかれエウェンクの能力を継承してる」

 「B型だけでなく。A型、AB型、O型にも使えそうだな」

 「まぁ まだ子供だから輸血とはいかないが・・・」

 「どうせなら対処能力より想像力を啓発させる血統が良かったがね」

 「権力者は頭のいい人間を警戒するし、従順で能力の高い人材が好きなのさ」

 「ま、頭がいいとおれたちがお払い箱にされるかもな」

 「ふっ それは困る」

 「国益より保身というわけね」

 「生存本能でしょう」

 「とはいえ、どうしたものかな・・・」

 子供たちは、血に垂らした糸を蛇のように操り、空中に造形を作りだした。

 能力によって数十センチから数メートルまで格差があり、

 血が乾ききると効力を失って糸はしな垂れる。

 つまりパワーはあるが酷く弱々しく、制約があるものだった。

 「血縁者は、やはり違うな」

 「戦場では使えない程度の力だ」

 「体外的に能力を使わせるより、直観力を高めさせた方がいいと思うけどな」

 「神経という形で体外に伸ばせば、機械的にエネルギーを補足できるのでは?」

 「貧血で倒れられたら、能力を発揮する前にやられちゃうよ」

 「血ならたくさん食べさせて作らせればいいじゃないか」

 「しかし、糸を空中に固定させる力は、どういう現象なんだ」

 「彼らに聞くと、糸は思い描いた形になるらしい」

 「ほお・・・血球成分(細胞性成分)は45パーセント」

 「赤血球は酸素の運び屋。白血球は免疫。血小板は細胞の修復屋」

 「血漿成分(液性成分)は55パーセント」

 「水分、血漿蛋白質、微量の脂肪、糖、無機塩類・・・」

 「いったいどれが糸を空中に浮かばせ、操作してるんだ」

 「血液を分離させると力を失うから、まだわからんがね」

 「シグマキャリアは血液の浸透圧を変えられる」

 「つまり、ビーカーの中に入れて均一になるはずの水圧が均等にならず」

 「水圧を一方向に数パーセント偏らせる」

 「その力を利用して、魚雷など機械的に遠隔操作してるわけだ」

 「もっといい、電子顕微鏡を作ればいいのに。わけがわからん」

 「ドイツに頼んでも、医療関係は警戒して、なかなか輸出してくれないらしい」

 「気付かれたのか」

 「風魔部隊が石井731機関の隷下部隊なのは、知られているからね」

 「当然、アメリカもあれこれ言いながら電子顕微鏡の輸出を引き延ばしてる」

 「あいつら・・・意地悪しやがって」

 「エウェンクの血液は、防衛本能が強い」

 「ある種のカンフル剤とか、精力剤でもあるし。血栓塞栓を直したりもする」

 「治安維持と軍に限定してるが、医療関係に転用したら大きな成果になるだろう」

 「今のところ、輸血という手段しないのが問題だがね」

 「どちらにしろ、大規模に使うとしたら、子供たちが大きくなってからだろうな」

 「しかし、新人類の選択肢が、これでいいのか、不安だね」

 「おれたちの希望と保険でもあるし。国益なら、しょうがないよ」

 

 

 

 大陸の某新聞社

 日本語と中国語の新聞が印刷されていく、

 新聞は、和漢学校と並んで日本語文化圏拡大の一翼を担っていた。

 中国歴代王朝は、権力側が特権を維持するため、

 わざと難しい漢字を多用していた節があり、識字率は18パーセントと低くかった。

 そのため、中国語新聞の発行部数は、日本新聞と比べ、それほど多くなかった。

 日本語は、表意文字の漢字だけでなく、

 ひらがな、カタカナが混在し、文字体系が複雑だったものの、

 教育の現場で一文字一音の表音文字は、即自的に覚えやすい優位性として現れ、

 さらに馴染みある漢字を使用できる利点も加味された。

 結果、日本語の定着は拡大していく傾向にあった。

 とはいえ、学校教育はともかく、

 大和連邦のマスメディアは、国家権力に支配されており、

 紙面が国家高揚と扇動とミスリードと虚偽に満ちた内容だったことは否めない。

 人は自己防衛と権益侵害で嘘をつく、

 それは、組織と国家においても当てはまる。

 新聞で大陸支配を正当化する文章がそれであり、

 大陸史の誹謗中傷と列島史の美辞麗句が繰り返された。

 捏造の正当化は、自己防衛と表裏一体で真実を歪めさせ、

 扇動された大衆は、格差を公認されたと思い込み、社会的な摩擦を増大させる、

 さらに朝鮮半島出身者は必要以上に大陸文化を罵倒し、

 日朝共同の大陸支配であるかのように振舞っていた。

 新聞記者たちが刷ったばかりの紙面を批評する。

 「コラムは、秦の始皇帝の生涯か・・・」

 「やれやれ、民族主義の自己防衛の嘘が大陸の誇りを傷付けてるし」

 「漢民族の自尊心を捻じ曲げさせてるのがわからんのかね」

 「一応、文献を漁って作ったものだから間違っちゃいないよ」

 「そんなの表現の仕方でいくらでもダーティイメージを与えられるよ」

 「あっちの新聞社のは?」

 一人が腕時計を見る。

 「・・・まだ届いてないな」

 「向こうは、国家主義寄りで和漢融和主義だし、どうなっていくかね」

 「俺らも民族主義側に加担してるとはいえ、どっちも扇動的でいやだね」

 「主義者は、自己正当化のため平気で嘘を付かせるから」

 「そのうち、国家主義者と民族主義者を巻き込んで、派閥の誹謗中傷になっていきそうだな」

 「その上、大陸の誹謗中傷は、朝鮮人も便乗してる」

 「あいつら、本当に姑息で卑劣な生き物だな」

 「結局、国家にメディアが支配されてる限り、こういう、嘘を付き続けなきゃならんのかね」

 「それはどうかな」

 「例え、マスコミが権力から独立して、民間がスポンサーに代わってもだ」

 「スポンサーの利益を守るため嘘をつかなきゃならない」

 「屑のようなA社の商品を褒め千切って。本当にいいB社の商品を貶すのか」

 「そして、新聞社も、一旦、嘘をつくと面子を守るために嘘を付き続けるし」

 「本当のことを言われると、嘘がばれないようにA社の味方をし、B社を貶し続けなければならない」

 「まぁ 世の中、弱肉強食で派閥争いと金がモノを言うし」

 「こっちは風見鶏で媚らないと駄目だし」

 「嘘で社会が作られているようなところもあるからね」

 「ほとんどの場合、強者が傷付かないで、弱者を傷付けるからな」

 「本当は、真実の報道がしたいのに金と派閥力学が絡んで、できなくなるジレンマがあるよね」

 「いい加減、事実だけを公表して、読者に選択させりゃいいのに」

 「人心掌握じゃ 一緒に悪行を働いた仲の方が結束しやすいし」

 「読者も現実から目を背けたがるし、自分の嗜好と賛同的な新聞を読みたいのさ」

 「だから紙面の内容は偏ってしまうか」

 「毒にも薬にもならない内容の乏しい話題ばかりになっていくよね」

 「「「「・・・・」」」」 ため息

 

 

 

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 月夜裏 野々香です

 特にありませんが、史実と違う世界史が流れていきます。

 一番、荒れてそうなのが漢民族を抱え込んだ。大和連邦でしょうか。

 二番目は、東欧を抱え込んで英ソに挟撃されたままの、ドイツ帝国、

 三番目は、東部を奪われ、復讐に燃えるソビエト連邦。一番、結束してそうです。

 四番目は、荒れるとは無縁の、安穏と権益生活を送れるアメリカですね。

        モンロー主義が強まる可能性がありそうです (笑

 イギリス、オランダ、ベルギー、フランスは、植民地確保で、それぞれ大変だと思います。

 

 

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第15話 1950年 『日本の本性は 倭 ある』

第16話 1951年 『だってしょうがないじゃない』

第17話 1952年 『罪を憎んで人種を憎まず』