月夜裏 野々香 小説の部屋

   

After Midway

   

第10話 1943/03 『ディエゴガルシア島沖海戦と喜望峰沖海戦』

 1943/03/31 軽空母ベローウッド、建造

 

 ドイツ、イタリアは、日本の捕虜返還を利敵行為と反発し、

 日本は、捕虜一人とガソリン1ガロンを交換することで妥協する、

 ダーウィン日本捕虜返還事務局で協議が行われていた。

 一旦、得てしまった既得権が釣り挙げられても、

 アメリカ国内事情の圧力は本物であり、

 “隣の息子トーマスが帰還できて、なぜ、うちの息子が帰還できない”

 と、アメリカ国民はご立腹。

 米英とも選挙対策なのか、

 アメリカ政府は利敵行為と知りつつも、渋々、交換に応じてしまう。

 

 

 ドイツ帝国 ヴィルヘルムスハーフェン港

 ヒットラーは、イギリス海軍の動きを掴むと、ドイツ海軍に出撃命令を出してしまう。

 軽巡ライプチヒ 艦橋

 艦長は、憮然と海を見詰める。

 3月は、最悪でないものの時期は悪い。

 米英航空部隊の警戒ライン越えは、集団自殺を試みるようなものだった。

 右舷側から出港していくUボート2隻を羨ましげに見る。

 Uボートなら哨戒圏を抜け、北大西洋に出られるだろう。

 しかし、水上艦隊は、無理だ。

 ドイツ艦隊が幸運で、米英哨戒部隊が不運でなければ発見される。

 日本艦隊がベンガル湾でイギリスの空母2隻と旧式戦艦艦隊5隻を殲滅したのは知られていた。

 日本海軍が戦艦部隊と上陸部隊をケープタウンに派遣し、

 黒人に武器弾薬を渡し、南アフリカ連邦を滅ぼしたことも知っている。

 しかし、ドイツ艦隊は、史上最大規模の米英航空部隊が配備されたイギリス本島を迂回し、

 突破しなければならず・・・

 「チクショウ・・・」 艦長が呟く、

 「訓練不足が痛いですな」 副艦長

 艦長は、いまの呟きを聞かれていたと知って、あきらめる。

 副艦長は、艦長のそばにいても、おかしくなかった。

 「練習艦に格下げされていたからな。乗員が船酔いしなければ良いが・・・」

 艦長が自嘲気味に呟く、

 「時化に当たると、そういう乗員が出るかもしれませんね」

 副艦長が平然と答える。

 「合流は期待しない方がいいかもしれないな」

 「日本海軍のお陰で集団自殺を強要されるとは、迷惑だ」

 「イタリア海軍が地中海で動いてくれるそうです」

 「チュニジアのドイツ・イタリア軍は虫の息だ」

 「今大戦で確信したよ。イタリア海軍は期待できない」

 「イタリア軍は、敵であれ、味方であれ、信用できませんからね」

 「イタリアと組んだ方が負ける」

 「どんなに大穴狙いでもイタリア海軍に掛け金を乗せんよ」

 「ですが、日本海軍のインド洋作戦で、モンゴメリー軍の追撃が不発に終わっているようです」

 「ドイツ・イタリア軍の撤退作戦は、意外と上手く行くかもしれないな」

 「30万ですからね・・・」

 「兵力は、大きいかもしれないが、イタリア軍が大陸に戻ったところで勝てると思えない・・・」

 「陽動が上手くいけば、成功するのでは?」

 「んん・・・ジブラルタルの米英艦隊をイタリア海軍が引き付けられるかだな」

 「イタリア陸軍がいない方が総統にとって都合が良いかもしれませんね・・・」

 「滅多なことを言うものじゃない。思うくらいならかまわんがね・・・・ふっ」

 当直士官から出航作業が終わったと報告を受ける。

 「・・・とにかく、決まったものは仕方がない」

 「そういえば、Uボート艦隊の連中が燃料のことでぼやいていたな」

 「ぼやきたくもなるでしょう」

 「いい気味だ」

 戦艦ティルピッツ、シャルンホルスト、グナイゼナウ 3隻

 装甲艦リュッツォウ、アドミラル・シェーア 2隻

 重巡プリンツ・オイゲン、アドミラル・ヒッパー 2隻、

 軽巡ライプチヒ、ニューインベルグ 2隻が出撃。

 

 

  

 喜望峰沖

 戦艦部隊

 長門、陸奥、

 最上、鈴谷、熊野

 駆逐艦、朝霧、夕霧、天霧、朧、曙、漣、潮、暁、響、雷、電

 輸送船8隻、タンカー12隻

 Uボート34隻

 

 

 イギリス海軍、

 空母フューリアス、38機。

 戦艦ネルソン、ロドネー、クィーンエリザベス、マレーヤ、バリアント 5隻。

 軽巡コロンボ、ダイドー、ユーリアラス、フィービー、

 軽巡シリウス、クレオパトラ、シーラ、アーゴノート 8隻。

 駆逐艦10隻、タンカー12隻がケープタウンに迫ろうとしていた。

 

 

 

 南アフリカ

 ケープタウン 喜望峰沖

 戦艦 長門

 Uボート艦隊の艦長たちが長門の作戦室を出て行く。

 「・・・勅命は、守れぬかも知れぬな」 提督が呟いた。

 「勅命どおり、退きたいところです」 副官

 「ドイツ海軍は、日英海軍を磨り潰させようとしているのだろう」

 「お付き合いします。提督」

 「イギリス艦隊は戦艦5隻。Uボートの艦長達は戦うつもりだ」

 「ネルソンとロドネーは、望むところですが、ほかの戦艦3隻は厳しいです」

 「かといって逃げればイギリス艦隊は、ケープタウンを攻撃するだろう」

 「一式陸攻が配備されていないことは知られていますから」

 「零戦と、航続力の短い艦爆しか配備されていないのなら問題は夜襲では?」

 「夜襲と艦砲射撃で、飛行場ごと破壊するだろうな」

 「せめて、艦攻をもっと配備していてくれたら戦艦を撃沈できたかもしれないのですが」

 「そういうな。陛下は、雷撃機の損失が多過ぎるからと艦爆を増やされたのだ」

 「艦爆は戦艦を撃沈できないから、巡洋艦、駆逐艦、輸送船を狙うべきだな」

 「陛下は “米英どちらでもいい、たくさん殺せるように戦え” ですから」

 「戦い自体は、かまわないのでしょうが・・・」

 「勝てば官軍だが2対5か・・・」

 「どちらにしろ進退極まったな。日本海軍が逃げ出せるわけがない」

 「Uボート艦隊に期待するしかないのでは?」

 「そうなるな」

  

 

 

 オーストラリア

 インド洋側のパース港

 アメリカ機動部隊は、ディエゴガルシアを攻撃しようとしていた。

 空母エンタープライズ、サラトガ、

 戦艦ワシントン、ノースカロライナ、サウスダコタ、インディアナ、

 重巡チェスター、ルイスビル、ペンサコラ、

 重巡ソルトレークシティー、ポートランド、インディアナポリス、

 軽巡ブルックリン、サンディアゴ、サンジュアン、

 駆逐艦15隻。護衛艦8隻、輸送船22隻、タンカー6隻

  

 ディエゴガルシア島沖海戦と喜望峰沖海戦は、ほぼ同時に行なわれ、

 両海戦とも密接に絡まっていた。

  

 ディエゴガルシア島沖

 

 第1機動部隊、(瑞鶴、翔鶴、瑞鳳)、174機

    巡洋艦、利根、妙高、那智、足柄、羽黒

     駆逐艦、陽炎、不知火、黒潮、親潮、早潮、初風、雪風、天津風、時津風

     駆逐艦、夕雲、巻雲、長風、秋雲、風雲

     駆逐艦、秋月、照月

   

  

巡洋艦 利根

   

 巡洋艦利根の艦橋

 「次の索敵を出せ」

 艦長の命令が伝えられると、蒸気の音とともに水上偵察機が打ち出される

 「潜水艦の報告なら、そろそろだが」

 「3号機、4号機は、雲ばかりで視界が悪いと」

 「くそっ 間が悪い・・・・敵機だ」 艦長は、青くなっていく。

 艦隊上空で、ゼロ戦2機が偵察機を追いかけていく。

 「ちっ 先に発見されたな」

 「ミッドウェーの敵討ちとは、いかないようですね」

 「攻撃を受けるぞ。なんとしても敵空母艦隊を発見せねば・・・」

  

  

 

 

 青空が広がる喜望峰沖

陸奥

 ケープタウンから出撃したゼロ戦が日本戦艦部隊上空を交替で防空し、

 日本戦艦部隊は、タンカーや輸送船を護衛し、

 接近してくるイギリス戦艦部隊に背を向け、逃げ出していた。

 “敵艦隊が戦艦と空母の数で勝っていた時は、逃げよ”

 という勅命書に従う。

 長門に近付こうとするソードフィッシュを喜望峰から飛んできていたゼロ戦が追い掛け回し、

 撃墜してしまう。

 ゼロ戦が翼を振って帰っていく。

長門

 長門艦橋

 「・・・イギリス戦艦部隊に発見されたな」

 提督は覚悟を決めたかのように、ため息をつく

 「無線輻射を追ってきたようです」

 「艦長。これ以上、離れるとゼロ戦の支援も期待できなくなります」

 「それも、作戦のうちだよ」

 「これで、ケープタウンへの砲撃がなければいいのですが」

 「長門、陸奥が近くの海域にいる間は背中を見せないよ」

 「ネルソン型は、艦尾砲がないのだからな」

 「索敵は?」

 「まだ、イギリス艦隊を発見できていません」

 「戦艦5隻か、こっちは2隻」

 「まさか、喜望峰で艦隊戦になるとは、夢にも思わなかった」

 「それも、こんな小規模な艦隊に守られてだと・・・・・」

 「“敵が優勢なら撤退せよ” ですから」

 「勅命か、泣けてくるな」

 「退くのも悪くないですがね・・・」

 「ソロモン・ビスマルク諸島から退いた後、進撃してきたアメリカ軍に大損害を与えましたし」

 「イギリス軍も、ケープタウンの回復は困難なはずだ」

 「戦略的に退くときは、南アフリカ黒人連邦と黒人軍がある程度、形になってからだろうな」

 「ベンガルで捕獲した武器が使えます」

 「しかし、あの国旗。黒地に赤は、いただけませんがね」

 「まったくだ。白地に赤の日章旗が白人の国旗みたいだな」

 「黄色地に赤は、かっこ悪いですからね」

 「むかし、白人に日章旗の権利を売ってくれと言われたことがあるそうだ」

 「聞いたことありますね。売りたくなるほどの値段だったとか」

 「ほかの旗が思いつかなくて、売らなかったようだ」

 「確かに日章旗は、良い旗ですよ」

 「よく見ておけよ。見納めだ」

 「・・・縁起でもない」

 「提督。ディエゴガルシア沖で、第1機動部隊がアメリカ機動部隊と交戦に入りました」 士官

 「・・・第1機動部隊が負ければ、退路を絶たれて負けだな」

 「・・・第2機動部隊も、アメリカ機動部隊にあわせて、インド洋に向かっているはずです」

 「負けませんよ」

 「・・・だと良いがな」

 「戦う意味があるとすれば、Uボート艦長の心意気次第です」

 「この戦い、戦術的に不利で、戦略的に無意味だ」

 「しかし、日独海軍の共同戦線は政略的な意味があるよ。たぶんね」

  

  

  

 ネルソン艦橋

 「提督。日本艦隊は、長門、陸奥、巡洋艦4隻、駆逐艦10隻程度だそうです」 副官

 「程度では、はっきりせんな。もっと、正確な戦力を知りたい」 提督

 「撃墜されました。どうやら、ケープタウンのゼロ戦か、観測機が護衛しているようです」

 「日本艦隊の進行方向からすると、ケープタウンに引き込むつもりは、ないのかもしれないな」

 「厄介でしたね。空襲されるのは」

 「それでも行くさ。長距離を飛べる、一式陸攻は配備されていないはず」

 「頃合いを見計らって夜襲をかけ、飛行場ごと破壊してやる」

 「しかし、日本艦隊がケープタウンを守る気がないとすると・・・」

 「陸戦隊を連れてきていないことを知られたかもしれないな」

 「ディエゴガルシアで日本機動部隊が負ける可能性を考えて後退しているのでは?」

 「ディエゴガルシア海戦で、日本戦艦部隊の運命が決まる」

 「そういうことなら戦術的にも戦略的にも撤退だろうな・・・・」

 「提督!」

 「索敵部隊からの報告です」

 「日本の戦艦部隊は、南緯35度24分、東経17度31分を13ノット東進しているようです」 士官

 「・・・近いな」

 提督が海図に張り付く

 「98km先です。13ノットというのは、タンカーに合わせているのでしょう」 副官

 「最大戦速!! 追撃戦だ」

 「提督。フューリアスからです」

 士官が電文を提督に渡す

 「どうした・・・・」

 「空母艦載機が水上観測機に撃墜されただと!」 提督

 イギリス艦隊は、日本艦隊を殲滅することを目的にしていた。

 陸戦隊を持っておらず、艦砲射撃で南アフリカを回復できないのなら艦隊の遠征は徒労に近い、

 そして、いま、ケープタウンに向かえば、長門と陸奥に背後を突かれる可能性があり、

 かといって、日本戦艦部隊に逃げられては、作戦そのものが成り立たなくなる。

 イギリス艦隊は、日本人の性向から日本戦艦部隊が逃げ出す可能性を低いと考え、焦っていた。

 そして、日本艦隊を誘致しようとケープタウンに近付き、

 わずかに99艦爆の航続距離圏内に入ってしまった。

 イギリス艦隊は、空襲を受け、

 22000t級空母フューリアスは、爆弾3発が命中し中破してしまう、

 イギリスの旧式戦艦部隊は、低速ながらも日本戦艦部隊の追撃を再開し、

 長門、陸奥の方が高速だったものの、

  低速のタンカーを護衛しているせいで距離が縮まっていた。

 

 

 

  

  

 ディエゴガルシア島沖海戦、または、インド洋中央海戦

 日本側の索敵失敗。アメリカ側の索敵成功によって始まった。

 日本機動部隊上空は、雲ひとつなく澄み渡っており。

 アメリカ機動部隊は雲の下に隠れていた。

 日本機動部隊は、アメリカ機動部隊の索敵機によって捕捉されたのを知ると、戦闘機を次々と出撃させる。

 日本機動部隊上空は、ゼロ戦5型40機、ゼロ戦21型40機が滞空することになった。

 そこにアメリカ機動部隊の攻撃部隊ワイルドキャット68機、ドーントレス65機、アベンジャー17機が襲い掛かる。

 ゼロ戦5型40機とワイルドキャット68機が乱舞し。

 ゼロ戦21型40機が、ドーントレス65機、アベンジャー17機に襲い掛かる。

 金星装備の新型ゼロ戦5型40機は、数の劣勢を補う戦闘能力を発揮し、

 無線により、空域のゾーンディフェンスは守られていた。

 

 F4Fワイルドキャット編隊。

 「くそっ なんて、数だ。多すぎる」 隊長

 「ざっと見たところ、100機は、いないようですが。70機から80機でしょうか」 パイロットA

 「大型空母2隻、軽空母1隻のはずだ」

 「ミッドウェーの時より迎撃機が多い。ディエゴガルシアの航空部隊か」 隊長

 「ブリーフィングだと、飛行場は、まだ、完成していないということでした」 パイロットA

 「・・・不味いな」 隊長

 「トラック爆撃で日本の戦闘機は、無線で見事な編隊運用をしたそうです」 パイロットA

 「どうせ、拿捕した輸送船から手に入れた無線機に決まっている」 隊長

 「でしょうね」 パイロットA

 「・・・・切り込め爆撃部隊に近付けさせるな」 隊長

 ゼロ戦5型と21型は、圧倒的な戦闘能力でワイルドキャット57機を追い詰め、

 ドーントレス38機とアベンジャー13機を撃墜していく。

 ゼロ戦部隊は、ゼロ戦21型18機を失ったものの、無線で交信し合い、

 日本機動部隊上空に穴はなく。

 ミッドウェーの再来は起きなかった。

 アメリカ爆撃隊は、遮二無二、ゼロ戦を振り切りながら、

 日本機動部隊の輪形陣に突入していくしかなかった。

 

雪風

 翔鶴 艦橋

 「いまのところ回避に成功しているな」

 「ええ・・・」

 ゼロ戦に追われ被弾してるドーントレスが艦橋に向かってくる。

 「!? まさか・・・」

 「回避! 両舷全速。取舵一杯〜!」

 押し迫る重厚な爆撃機は、日本軍将兵に恐怖心を与え、

 衝撃と爆音が爆炎が立ち昇っていく。

 「消火急げ!」

 ドーントレスの体当たりだった。

 翔鶴の艦体側舷が破損し中破してしまう。

 その後、攻撃力を失ったアメリカ機動部隊は、戦艦部隊を分派。

 日本機動部隊へ突撃しようとしていた。

 日本機動部隊は、索敵を繰り出し、

 夕闇を利用して接近してくるアメリカの戦艦部隊と後退する機動部隊の索敵に成功。

 直ちに北上して、退避する。

  

  

 巡洋艦利根の艦橋

 「次の索敵を出せ。空母機動部隊と戦艦部隊だ。絶対に見失うな!」 艦長

 「どうやら敵の戦艦部隊は、ディエゴガルシアを砲撃するようです」 副長

 「ディエゴガルシア島には、知らせているのか・・・瑞鶴に連絡してみろ」

 「はい」

 「ディエゴガルシアには工兵と捕獲した土木工作機械が相当数、降ろされていたはず」

 「やられたら、ことだぞ」

 「提督が、どっちを空襲するかですね」

 「翔鶴は、大丈夫か?」

 副長が双眼鏡で確認する。

 「火災の消化に成功しているようです」

 「側舷に大穴が開いているようですが、吃水より上で航行に支障がないようです」

 「戦略的には、空母部隊だが。戦術的には戦艦部隊だな」

 「どっちつかずの攻撃は、一番、不味いのでは?」

 「その通りだ。両方に攻撃は、やめて欲しいな」

 日本機動部隊は、アメリカの戦艦部隊と機動部隊の索敵に成功。

 攻撃部隊(ゼロ戦5型30機、99艦爆56機、97艦攻18機)を出撃させた。

  

 

 アメリカ機動部隊上空

 日本の爆撃部隊は、ワイルドキャット41機の迎撃を突破し、

 激しい弾幕を切り抜け、アメリカ機動部隊に突入していく。

 エンタープライズに爆弾6発、サラトガに魚雷2本、爆弾5発を命中させて大破。

 結果的に先制攻撃を受けた日本機動部隊が迎撃に成功。

 後手に回った日本機動部隊がアメリカ機動部隊に大打撃を与える横綱相撲だった。

 そして、無線機が優秀であり、

 十分な数の直営戦闘機と強力な弾幕があれば、先制攻撃が必ずしも優位でないという経験をする。

 しかし、アメリカ戦艦4隻によるディエゴガルシア島への艦砲射撃は成功した。

 ディエゴガルシアの守備隊は、塹壕に隠れて難を逃れたものの、

 建設していた飛行場や施設。機材が壊滅させられた。

  

  

 

 喜望峰沖

戦艦 ネルソン

 

 ネルソン 艦橋

 「全艦、戦闘準備。隔壁を閉め忘れるな」

 「提督。フューリアスは爆撃で、まだ艦載機を発艦できないそうです」

 「まぁいい、戦艦部隊同士でも戦えるだろう」

 提督は、有視界に納めた日本戦艦部隊を睨み付けた。

 サディズムに似た高揚感が艦橋を包み込んでいた。

 水雷戦隊が前進し、日本戦艦部隊に向かっていく、

 「・・3時方向。雷跡!!」

 突然、見張りが叫ぶ。

 瞬間、まったく逆の左舷から衝撃を受け、水柱が吹き上がる。

 戦艦は装甲が厚く、

 魚雷が命中しても爆発のエネルギーは艦内より、艦外にが向かいやすく、

 水柱は派手に立ち昇る。

 これが駆逐艦になると艦舷を撃ち破った魚雷は、艦内に飛び込んで爆発する。

 水柱そのものは小さくても、

 爆発の衝撃で隔壁を引き裂き、内部を爆破するため、悲惨極まりなく、

 その衝撃は、艦の全周にも波紋を広げる。

 今度は、右舷から衝撃を受け、水柱が立ち昇り・・・

 「ちっ 罠だ!」

 「Uボートに囲まれたぞ!! 対潜哨戒急げ」 提督

 さらに衝撃が伝わり、被雷したことを悟る。

 「提督! 後方のロドネーも、左舷に水柱2本! 雷撃されています」 見張り員

 「回避だ。全艦隊へ通達。雷撃を回避しろ!」

 「駆逐艦部隊を対潜哨戒に戻せ。水上機を戻して艦隊上空に付かせろ」 提督

 「被害状況を報告しろ!!」 艦長

 「医療班に救急処置の連絡だ。消化班を現場に向かわせろ!」 副艦長

 「1時方向に雷跡4!!」 見張り員

 「面舵5度、魚雷に艦首を向けてかわせ」 艦長

 雷跡がじりじりと迫り、艦体がノロノロと回頭を始める。

 そして、連続した衝撃と金属がネジ切れる悲鳴が伝わる、

 「右舷に2本、左舷に1本が命中。機関室に浸水しています。戦速12ノットに低下!」 士官A

 「ロドネーから報告、右舷に被雷2! 第3砲塔が破損」 士官B

 「マレーヤから、左舷に被雷2です!」 士官C

 「くそっ 撤退する・・・・」

 「全艦隊に対潜作戦を遂行させろ」 提督

 駆逐艦部隊が爆雷を投下し始める。

 戦艦クィーンエリザゼベスから右舷に2本魚雷が命中したと報告が入る。

 「提督! 日本戦艦部隊が回頭!」 見張り員

 「おのれ!!」

 「戦艦部隊と巡洋艦は対艦戦闘」

 「駆逐艦は、対潜戦闘だ」

 「水上機に潜水艦を発見させ、駆逐艦を誘導させろ」 提督

 「隊形が完全に崩れましたね」

 「各艦、各個に砲撃するしかない」

 「綺麗に並んで統制砲撃が近代の艦隊戦なんですがね」

 「まったくだ・・・」

 「艦長。残念だが、この艦を、よろしく頼むよ」

 「はい、提督。お任せください」 艦長が敬礼する

 「艦隊を再編成する!」 提督

  

  

 ディエゴガルシア島沖

 その頃、ディエゴガルシア島沖海戦は、日本機動部隊の追撃戦が行なわれていた。

 日本機動部隊は、アメリカ戦艦部隊の接近を巧みに避け、

 アメリカ機動部隊への空襲を続行。

 エンタープライズとサラトガを撃沈する、

 しかし、第1機動部隊の艦載機も激減。

 第1機動部隊は、アメリカ戦艦部隊から逃亡した。

  

 そこに第2機動部隊が登場する。

 準鷹 艦橋

 「提督。納得できません」 攻撃隊長

 「納得してもらう」 提督

 提督は、窓から飛行甲板に並ぶ攻撃部隊を見つめたまま、

 後ろ向きに勅命書と書かれた封筒を見せた。

 攻撃隊長は、忌々しそうに “勅命” と書かれた封筒を見つめる。

 「・・・本当に戦艦を攻撃するなと書いてあるのでしょうか?」 攻撃隊長

 「無礼であろう。逸見大佐!!」 副官

 副官と攻撃隊長が睨み合う。

 「後で見せてやる! 命令通りに・・・いや、勅命通りに攻撃してもらう」

 提督は、憮然と飛行甲板に並べられた攻撃部隊を見ていた。

 既に勅命書は主要な部署に渡されており、

 将官、士官、下士官も勝手に勅命を出せなくなっていた。

 逸見大佐は大きく深呼吸し、

 部下になんと説明するか迷い、

 提督と副官も叩き上げで、現場の事情を知っていた。

 「・・・“勅命” とさえ言えば良い」

 「・・・勅命通り、遂行します」

 攻撃隊長は敬礼して、艦橋を降りて行く

 「しかし、ディエゴガルシアを砲撃した戦艦部隊を無視して、損傷した空母部隊を攻撃させるのは・・・」

 「士気にかかわりますな」

 「こちらの損害を最小限にして、相手に最大の損害を与える。そういうことだ」

 「陛下との面談で、言われたのでしたね」

 「ああ、“貴官は、連合軍将兵の死傷者が何人になれば、講和を求めてくると思う” と質問された」

 「よくよく聞かないとわかりにくい戦略ですね」

 「わたしも、そう思って “連合軍は、死傷者ごときで講和を求めると思えません” と答えた」 提督

 「・・・・・・」 副官

 「陛下は、100万人から始めて、200万人、300万人、400万人、500万人と増やしていかれたが、さすがに青くなった」

 「アメリカも、イギリスも、民主主義。そんなに殺されてしまえば、政権を失ってしまいます」

 「日本でさえ・・・」

 「そういうことだ」

 「それなら、対空火器が少なく。沈めやすくて死傷者を出しやすい艦船を撃沈すべきだ」

 「提督、敵艦隊との距離260kmです」

 「風上に向けて、全速前進。出撃だ!!」

 「旗を振れ。全機発艦!」

 第2機動部隊からゼロ戦30機、99艦爆62機、97艦攻20機が出撃し、

 空母を失ったアメリカ艦隊を襲う、

 激しい対空砲火を切り抜け、

 チェスター、ルイスビル、ペンサコラ、ソルトレークシティーを撃沈。

 その後も、波状攻撃を繰り返し、軽巡ブルックリン、駆逐艦12隻を撃沈。

 アメリカ戦艦部隊は、第二機動部隊を追撃しようとする。

 しかし、一定の距離を保って、近付かない。

 そして、第二機動部隊も艦載機の大半を失い、アメリカ戦艦部隊を恐れて逃亡する。

 これは、対空火器の優れたアメリカ戦艦を相手にせず。

 巡洋艦、駆逐艦を狙う、との勅命が守られたためだった。

 アメリカ海軍は、航空支援を受けられない状況でディエゴガルシア島攻略を不可と判断し、

 艦砲射撃で基地を壊滅させただけで撤退し、攻略部隊も後退させてしまう、

 しかし、これは、アメリカ艦隊にとって正しい戦略的判断といえた。

 シンガポールで、金剛型4隻を含む高速戦艦部隊と巡洋艦部隊が準備しており。

 アメリカ上陸作戦部隊に夜襲をかける計画だったからだ。

 さらにアメリカが上陸作戦を開始すれば、日本機動部隊はシンガポールで補給し、

 再度出撃させる勅命が出されていた。

  

  

 喜望峰沖海戦

 そして、ほぼ同時刻。

 イギリス艦隊は、逃亡した日本戦艦部隊を追撃中、

 Uボート20隻から合計80本の雷撃を受けていた。

 ネルソンに4本、ロドネー4本。

 クィーンエリザベス2本、マレーヤ2本、バリアント2本が命中して被害は甚大。

 日本戦艦部隊は、イギリス戦艦部隊の被雷と隊形の乱れと対潜哨戒の混乱を確認すると反転。

 「距離25000で、T字戦に移行する。突入!!」

 日本戦艦部隊は、提督の号令に合わせて回頭していく。

 長門艦橋

 イギリス戦艦の砲撃で、長門の周囲は十数本の水柱が立ち昇る。

 素人が見れば恐慌ものでも、玄人が見ると各個砲撃であり、弾着はバラバラだった。

 まともな統制射撃が出来なければ、補正砲撃が困難となり、

 どの戦艦が撃ったのか、わからない。

 長門、陸奥の撃つ砲弾は、統制が執れ、しかも色つきだった。

 計算機の弾道計算に合せて、砲塔が旋回し、砲身が上下に動いて行く。

 「・・・距離、20000です」

 「面舵70!!」

 長門、陸奥の主砲塔4基が全て、イギリス戦艦部隊に対し向けられていく。

 「てっ!!」

 長門と陸奥は、砲術長の命令で、一斉に砲撃を加える。

 イギリス戦艦部隊は、Uボートの雷撃を恐れて蛇行しなければならず、

 艦隊戦運動ができないでいた。

 長門 艦橋

 「・・・手前から1隻ずつ片付けて行くぞ」 提督

 「右舷方向からイギリス巡洋艦隊です」 見張り員

 「わかっている。こちらの巡洋艦隊は?」 提督

 「・・・いま、交戦に入りました」 見張り員

 「提督。ネルソン型に命中!!」 見張り員

 ネルソンの上甲板が爆発して赤黒い爆炎が上がる。

 艦橋で、歓声が上がる。

 「・・・悪くないな」 提督

 「イギリス戦艦は、雷撃で傾いている状況で砲弾を命中させるのは、困難なはずです」 艦長

 「そうだな。これで戦力差は互角というところだ」 提督

 「互角ですか?」 副官

 「戦力差で5対2は、そういうものだ」

 「計算違いはしていないはずだが・・・そうだな、艦長」 提督

 「はい、水柱の数。圧倒的に負けています」

 「砲弾の命中率。確率論でいうと概算で互角かと」 艦長

 次の瞬間、長門の艦首右側舷に水柱が上がる。

 「・・・気持ちで優勢なだけだろうな」

 「イギリス海軍の幸運。日本海軍の実力。どっちに傾くかな」 提督

 さらに左側舷に至近弾で水柱が吹き上がる。

 戦艦の主砲弾が作る水柱は大きく高い。長門全体が海水で濡れていく。

 「・・・ネルソン型は、3番砲塔を分けて撃っているようだ」

 「一度に撃つと衝撃で破損する噂は、本当だったのか」 提督

 ネルソン型に相次いで砲弾が命中して、一番艦が沈黙。

 見るも無残に漂う。

 「取舵15度、ネルソン型2番艦を狙え」 艦長

 日本艦隊が微妙に回頭すると回頭以前に進んでいた海域に砲弾が集中し、水柱が上がる。

 そのまま進んでいたらと。 ぞっ! とする。

 戦場での勘だろうか。

 しかし、勘が働いても、それを生かせる指揮官と生かせない指揮官がいる。

 仮にいやな予感がしても魚雷が命中し機関が損傷すれば、満足に速度を出せない。

 イギリス戦艦部隊が、まさに、それだった。

 ほとんど、とまっているイギリス戦艦部隊と高速で移動している長門、陸奥の砲撃戦。

 イギリス巡洋艦隊が迫ってくる。

 副艦長が副砲を指揮して敵巡洋艦を近づけさせない。

  

  

 ネルソンの艦橋

 ボロボロの上甲板と艦橋は、無残に破壊され黒煙を上げていた。

 機関と電気系統は、ともに破壊され、

 火器管制ができなくなったネルソンは、傾き、静かに沈みかけていた。

 「提督、ロドネー。沈黙しました」 副長

 提督は、副官と艦長の遺体に十字を切って、ヨロヨロと立ち上がる。

 「副官と艦長は、残念だった。総員退艦だ。副長」 提督

 「はい。残念です」

 「君も退艦して、戦訓を本国に伝えてくれ」

 「・・・しかし。提督」

 「ネルソンが撃沈された経緯を報告をしてくれ」

 「そして、必ず、戦訓を活かせるイギリス海軍を再建して欲しい。無駄にしないでくれ」

 次の瞬間、戦艦バリアントが大爆発。黒煙を上げて沈んでいく。

 撃ち合っていた戦艦陸奥も爆発を起こして炎上。黒煙を上げさせる。

 そして、イギリス戦艦部隊の恨みを晴らすように陸奥は、誘爆を起こしていく。

 どうやら、火薬庫を撃ち抜いたらしい。

 ネルソンの火炎は弱く、黒煙も減っていた。

 壁と一緒に窓ガラスが全て割られ、海戦の様子が見える。

 「・・・2番艦・・・たぶん・・・“ムツ” です」

 副長が少し溜飲を下げたのか、墨色に煤けた顔がほころぶ。

 「大破というところか・・・」

 「日本海軍も、それくらいの損害を出していいだろう」

 「ネルソンは、戦場に取り残されて、特等席になったようですね」

 ネルソンとロドネーは、戦闘も航行も不可能になり、戦場に取り残され、沈みかけていた。

 マレーヤが横倒しになって、静かに沈んでいく。

 もう一度、陸奥に砲弾が命中して爆発。

 水柱が減り、逆に自艦の砲撃の補正がしやすくなったらしい。

 そして、長門も爆炎に包まれ、黒煙が立ち昇り・・・

 癪な事に黒煙に包まれた中から砲撃が続いていた。

 「・・・・副長・・・行きたまえ。命令だ」

 「提督」

 副長は、敬礼すると艦橋から降りていく。

 機関室を破壊されたイギリス戦艦は、逃げ出すことも出来ず、

 長門の砲撃とUボートの雷撃を受け。

 さらに日本水雷戦隊の魚雷攻撃で、次々に撃破され沈んでいく。

 日英戦艦とも互いの戦場が近付き、

 Uボートも浮上して充電しながら雷撃。

 マレーヤが撃沈され。ネルソン、ロドネーが沈み。

 クィーンエリザベス、バリアントが後を追って沈んでいく。

 そして、軽巡8隻

  コロンボ、ダイドー、ユーリアラス、フィービー、

  シリウス、クレオパトラ、シーラ、アーゴノート、

 駆逐艦10隻も撃沈し、

 イギリス戦艦部隊は全滅。

 日本戦艦部隊も戦艦、陸奥。重巡、熊野。駆逐艦、朝霧、夕霧、天霧、朧、曙が撃沈。

 そして、Uボート6隻が撃沈していた。

 生き残った日本の残存艦隊も多くが損傷し、

 内地への帰還を余儀なくされていた。

 喜望峰沖海戦、ディエゴガルシア島沖海戦の二つの海戦は、ほぼ、同時刻に起こった。

 互いにもう一つの海戦を支援する戦略的な意図もあり、

 アメリカ機動部隊がディエゴガルシア島沖海戦で勝利すれば、喜望峰の日本戦艦部隊の命運は尽きた。

 その戦略的な要因が米英海軍をして、無理攻めさせた結果となり、損失を増やしたと言える、

 同時期でなければ、起こりえない海戦ともいえた。

 結果的に日本艦隊は辛勝し、

 米英両艦隊は敗北してしまう。

   

 

 海戦後。

 日本第2機動部隊がイギリス潜水艦に襲撃され。

 龍嬢が魚雷2本で撃沈される。

  

  

 日本、赤レンガの住人

 「・・・インド洋の海戦は、勝ったんだろう」

 「戦績表は、作成中だが、エンタープライズとサラトガを撃沈してるらしい」

 「しかし、陸奥が撃沈され。長門も大破している」

 「国民に与える影響は、大きいだろうな」

 「イギリス海軍と戦っても仕方がなかろう。敵はアメリカ海軍だ」

 「そうだな」

 「しかし、今後、イギリスが弱腰になれば、アメリカも戦意を喪失するかもしれない」

 「喜望峰は、逃げ切るはずだろう?」

 「イギリス戦艦部隊をUボートの作戦海域に誘導する事は決めていたらしいな」

 「そして、戦力が優勢になれば反撃しても良いと」

 「戦艦部隊の司令は、優勢になったと勘違いしたのではないか・・・・」

 「陛下は “まあ、良いだろう” と言われたらしい」

 「本当に?」

 「結局、戦死者の比率だそうだ」

 「連合国がこれ以上、死傷者を出したくない程度の損害を与えることができれば、戦争は終わる」

 「それに、帝国海軍にプライドがある」

 「Uボートに襲撃させて、そのまま逃げ出せるわけに行かないだろう」

 「・・・それに戦死者の数は、イギリス側の方が多い」

 「つまり、戦局良しの判断だそうだ」

 「概算で・・・軽空母1隻、戦艦5隻、軽巡8隻、駆逐艦10隻も撃沈なら・・・」

 「死傷者は15000人程度か」

 「日本は戦艦1隻、重巡1隻、駆逐艦5隻で3600人」

 「生き残った方が救出されるから、もう少し、少なくなる。悪くないな」

 「今後は、どうするんだ」

 「ケープタウンとディエゴガルシア島の基地再建だろう」

 「少なくとも脅威となる艦隊は、イギリスの機動部隊とアメリカの戦艦部隊だけだ」

 「エセックス、インディペンデントが出てくる可能性もあるがね」

 「そうだな」

 「しかし、戦果の査定が軍艦でなく、殺した敵兵の数を加味するとなると・・・」

 「駆逐艦や巡洋艦、輸送船狙いが楽で効率が良くなるな」

 「特に上陸作戦部隊を満載した輸送船は、戦艦と等価になる」

 「しかし、イギリス海軍に同情を禁じ得ないね」

 「フッドに始まって、プリンスオブウェールズ、レパルス」

 「そして、クィーンエリザベス型5隻、リベンジ型5隻、ネルソン型2隻が沈んだ」

 「残っているのはキングジョージ5世型4隻とレナウンだけ」

 「戦績でいうと、喜望峰沖海戦は、Uボートと分け合うんだよな」

 「まあ、しょうがないだろう」

 「なんか納得いかないな」

 「まさか2対5の戦艦戦で勝てるわけないだろう」

 「確かにな・・・新聞でも日独共同作戦の勝利になっている」

 

 第1機動部隊、(瑞鶴、翔鶴、瑞鳳)、174機

   利根、妙高、那智、足柄、羽黒

     駆逐艦、陽炎、不知火、黒潮、親潮、早潮、初風、雪風、天津風、時津風、

     駆逐艦、夕雲、巻雲、長風、秋雲、風雲、

     駆逐艦、秋月、照月、涼月、初月、新月、

 

 

 

 第2機動部隊、(飛鷹、準鷹、龍鳳)、145機

   筑摩、高雄、愛宕、摩耶、鳥海、

     駆逐艦、浦風、磯風、浜風、谷風、野分、嵐、萩風、舞風

     駆逐艦、巻波、高波、大波、清波、玉波

  

  

 高速戦艦部隊

   金剛、榛名、比叡、霧島、

    古鷹、加古、衣笠、青葉、

      駆逐艦、朝潮、大潮、満潮、荒潮、朝雲、山雲、夏雲、峯雲、霞。

 

 

 

 

 戦艦部隊

 大和、武蔵、長門、伊勢、日向、

   最上、鈴谷、大淀、阿賀野、

     駆逐艦、曙、漣、潮、暁、響、雷、電

 

 

 

 

 巡洋艦部隊

 天龍、龍田、

 球磨、多摩、

 北上、大井、木曾、長良、五十鈴、名取、由良、阿武隈

 那珂、川内、神通、夕張

   駆逐艦、吹雪、白雪、初雪、むら雲、薄雲、白雲、磯波、浦波、綾波、敷波、

   駆逐艦、初春、子ノ日、若葉、初霜、有明、夕暮

   駆逐艦、白露、時雨、村雨、夕立、春雨、五月雨、海風、江風、涼風

  

 

 

  

 対潜部隊

 (大鷹、雲鷹、冲鷹、鳳翔)、香取、鹿島、香椎

 峯風、澤風、沖風、灘風、羽風、汐風、秋風、夕風、太刀風、帆風、野風、沼風、波風

 神風、朝風、春風、松風、旗風、朝凪、夕凪、

 睦月、弥生、卯月、皐月、水無月、文月、長月、三日月、望月、夕月

 

 

 未完成艦

 (神鷹、海鷹)

 (千歳、千代田、大鳳、雲龍、天城、葛城)

 (能代、矢矧、酒匂)

 (涼波、藤波、早波、浜波、沖波、岸波、朝霜、早霜、秋霜、清霜)

 (島風)

 (若月、霜月、冬月、春月、宵月、花月、夏月)

 

 

 ジブラルタル港

 イギリス海軍は、ドイツ戦艦部隊を追撃するための機動部隊を編成していた。

 イギリス戦艦ハウ 艦橋

 「チュニジアのドイツ軍とイタリア軍が撤退しようとしているときにドイツ艦隊が出撃とは、確信犯だな」 艦長

 「艦長。各輸送船団から振り分けられそうな艦と」

 「出撃するH艦隊(ジブラルタル艦隊)のリストです」 副艦長

 艦長がメモを受け取って、殴り書きされたリストを見る

 「アンソンとレナウンか」

 「それとイラストリアスとヴィクトリアス・・・」

 「合流点は、各艦ともに確認しているんだろうな」

 「足並みを揃えるのが大変ですね。護送船団の護衛艦ですから」

 「長門、陸奥にネルソンとロドニーが沈められるとは、クソッ!」

 「Uボートの待ち伏せを受けたのと。陸奥撃沈の報告を受けています」

 「リベンジ型もクィーンエリザベス型もUボートに撃沈された」

 「イギリス海軍の旧式戦艦は、ロイヤル・オークとバラームを除くと・・・」

 「日本艦隊のお陰で軒並み全滅です」

 「高速のプリンスオブウェールズとレパルスも撃沈されている」

 艦長は、思わずメモを海に捨てそうになって、慌てて思いとどまる。

 「北海の哨戒圏を越えられなければ、なんとかなりそうなのですが」

 「航空部隊で地中海と北海を押さえてもらうしかなかろう。護送船団の護衛もギリギリだ」

 「航空部隊のボヤキが聞こえてきそうですね」

 「ふっ!」 艦長が苦笑する、

 どこの国も陸海空軍の確執はあった。

   

  

 空母イラストリアス、ヴィクトリアス、

 戦艦アンソン、ハウ、

 巡洋戦艦レナウン、

 軽巡ダーバン、デスパッチ、ダイオミード、カレドン、カラドッグ、

 軽巡カーディフ、セレス、ケープタウン、カーライル 9隻。

 駆逐艦12隻が出撃した。

 連合国軍は、この作戦のために輸送船団の出航を一時、停止させていた。

   

 イギリス海軍の減少、北アフリカ戦線へ補給不足。

 これらが、相まって、連合軍のローテーション封鎖が崩れる。

 その間隙を利用し、チュニジアの独伊軍の主力がイタリアへと帰還していく。

   

   

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

HONなびランキング

Wandering Networkランキング

NEWVEL ランキング

よろしくです。

誤字脱字・感想があれば掲示板へ

第09話 1943/02 『ゼロ戦5型と飛燕2型』
第10話 1943/03 『ディエゴガルシア島沖海戦と喜望峰沖海戦』
第11話 1943/04 『ナミビア沖海戦』