月夜裏 野々香 小説の部屋

    

After Midway

   

第30話 1944/11 『核兵器』

 1944/11/26 空母ボンノムリチャード 建造

 

 ドイツ帝国は、米英ソ連合国の攻勢で、

 その国力を次第に削がれていく、

 

 

 日本は、米英海軍の攻勢を防ぎ、

 インド・太平洋戦線の維持に成功していた。

 アッツ攻防戦は、冬季に移行すると自動的に休戦状態となっていく、

 アメリカの対日戦略は、パナマ運河が破壊されたことで根底から見直さなければならなず。

 日本海軍は、連合軍の喜望峰経由、豪州向け輸送船団を監視するため先手を打った。

 インド洋南半球側のケルゲレン島、クローゼ諸島、プリンスエドワード諸島を占領していく。

 

  

 赤レンガの住人たち

 「戦局は?」

 「トラック攻防戦は、悪くない」

 「むしろ、ムスタング相手に良くやっているといえる」

 「ムスタングでも数が少ないなら、なんとかなるよ」

 「どちらかというと、日本が捕獲したムスタングの方が多いかもしれないな」

 「ムスタング同士の戦闘は、見ものだそうだ」

 「ムスタングの機体もだが、パッカードエンジンも大量に手を入れただろう」

 「飛燕2型に装備して、高高度の迎撃で優位に立てるのではないか」

 「十分に役に立つがね。整備士が水冷エンジンに慣れていないよ」

 「単純に掃除して部品交換するだけなら問題ないが、それ以上になると・・・」

 「水冷エンジンの調整をまともに出来ない整備士が多い」

 「水冷エンジンは、複雑だからな」

 「工芸技術の差は、恐ろしいね」

 「日本じゃ 製造不可だってよ」

 「というより、エンジンを見たこともない農村の息子を徴兵するからね」

 「訓練課程を計算すると気を失いかけるよ」

 「たしか、それで、水冷エンジンを投げたんだっけ?」

 「800馬力ぐらいだったら国産でもいけるけどね」

 「それ以上になると、国産の工作機械じゃ駄目だよ」

 「はぁ〜 ドイツは、負けそうだな」

 「日本は、大国の支援無しで物量作戦に対応できる国じゃないよ」

 「ドイツは、制空権を失っているそうだ」

 「Uボートは、建造するたびに南アフリカに移動して、補給と整備は日本がしている」

 「戦略的な観点だと、訓練に使う弾薬も惜しいから戦局は厳しいよな」

 「そういえばアメリカ太平洋艦隊の増強は、マゼラン海峡経由で太平洋に回航されているらしい」

 「ケープタウンに潜水艦を配備できるのなら捕捉出来るのでは?」

 「ケープタウンの基地機能は、これからだよ・・・・」

 「北大西洋で捕獲した輸送船を日本に回航させる為、40隻以上をケープタウンで空にしている」

 「南アフリカの防衛は、それなりだよ」

 「パナマ運河の再建は?」

 「全幅33mを全幅100mまで広げるそうだ」

 「モンタナ型戦艦も、大型空母も、楽に通過できる」

 「噂では、運河拡張工事のため、新型爆弾を使う話しもあるようだ」

 「日本に向かって、爆弾を使わないのなら、かまわないがね」

 「ところでドイツが負けた場合。Uボートの移籍は出来るのだろうか」

 「Uボートの艦長との交渉次第だな」

 「日頃から協力関係があれば、Uボート引渡しも障害なく進むだろう」

 「ハインケル社の移籍と東北のドイツ人町は?」

 「建設は進んでいる」

 「ドイツ要人の日本移民は急増して20万に達してる」

 「ドイツ風の家屋が建設されているよ」

 「白神山地、出羽山地に挟まれた地域は、ドイツ風になっていくだろうな」

 「それと問題は朝鮮人だな。ドイツ人に手を出す者がいるようだ」

 「ナンバー2を脅かされると思っているらしい」

 「恥ずかしいな、それは、朝鮮人を知らないドイツ人の方が多いのに・・・」

 「事情がわかる前に反日意識を持たれるではないか」

 「ドイツ人は、さらに増えるはずだ。議会で問題になるだろう」

 「戦争が終わって帰還できるようになるまで、あの地域は、ドイツ人に貸している土地だ」

 「東北も、少しは、雅になるだろうな」

 「そうだな。しかし、寒すぎないか」

 「土地を貸し出すといっても人口が少ない場所じゃないとな」

 「北海道は、戦場になりそうだし」

 「ドイツが寒い地域だから、あそこにした」

 「アガッツ島にアメリカ航空基地が建設されたんだろう」

 「ああ、食い止める術はなかった」

 「ベーリング海でアメリカ機動部隊が見張っていたからね」

 「まぁ お陰で北大西洋にまで第2機動部隊を進出させることができたけど」

 「代わりに大和、武蔵は、ボロボロだそうだ」

 「次は、どうかな」

 「アメリカ機動部隊がコルセアを艦上戦闘機として採用するそうだ」

 「ヘルキャットよりも強力だぞ」

 「敵の艦上戦闘機が強いという事は、敵の爆撃機を撃墜する暇がないという事か」

 「1機で1機を撃墜したとしても、これまでの経験からすると負ける」

 「1機で2機・・・」

 「それも艦隊の弾幕に入る前に戦闘機と爆撃機の2機を撃墜できなければ空母が撃沈されるね」

 「次もディエゴガルシアに来るだろうか」

 「第4次か・・・」

 「どうかな。ドイツの敗北は決定的だ」

 「インド洋を防衛することに意味があるかどうか」

 「ドイツが負けた後は、南アフリカを保有する価値自体低い」

 「当然、ディエゴガルシア島もそうだ」

 「そういえば、イギリスが機動部隊を再建させているぞ」

 「インプラカブルとインデファティガブル。コロッサス型が5隻だったな」

 「フリータウンに配備されるだろうな」

 「対日戦に回航させるだろうか」

 「どうかな。イギリスにしたらドイツさえ降だせば、日本は、どうでも良いと思っているだろう」

 「客観的には、憎い相手であっても既に植民地は独立して回復不可能」

 「ようやく再建した空母を危険にさらすほどではないよ」

 「日本にとって、怖いのは、やはり、アメリカ機動部隊だな」

 「空母は、戦艦の艦砲射撃のような対地制圧力はない」

 「しかし、先制攻撃を許せば、こちらの航空戦力は、一気にやられてしまう」

 「あ・・・ノルマンディー上陸作戦が終わったから旧式戦艦部隊を太平洋に回航する可能性も高い」

 「しかし、最低限の機動部隊は、フリータウンに配備すると思うが?」

 「そうだな・・・」

 「もう一度、第2機動部隊にやられたら、アメリカ上層部も何人クビが飛ぶかわからないだろう」

 「イギリスの機動部隊とアメリカの新規機動部隊が配備されるだろうな」

 「それで、第2機動部隊は、抑えられるわけか」

 「同等の戦力であれば十分だろう」

 「勝ち負けに関係なく相殺されれば、北大西洋には出て行けない」

 「睨み合わせて、ほかで帳尻を合わせるか・・・」

 「フリータウンで厄介なのが護衛空母部隊だ」

 「Uボートの日本回航も、ここで防ごうとしている」

 「第2機動部隊もラインを突破するときは、気を使った」

 「やはり、黒人独立勢力に武器弾薬を供給するべきだな」

 「小銃、拳銃、手榴弾なら南アフリカの黒人が量産しているよ」

 「彼らは、黒人の独立のため使命感に燃えている」

 「いずれはフリータウンにまで届くだろう」

 「そういえば、武器弾薬の供給がモザンビークにまでのびているそうじゃないか」

 「ポルトガルがつむじを曲げているそうだ」

 「連中を怒らせると日独連絡が困難になる」

 「南アフリカ政府には伝えているよ。中立国の黒人に武器弾薬を渡すなとね」

 「理性的な人間じゃないから、簡単にいかないだろう」

 「しかし、ドイツ艦隊は役に立つな。航続力の長さだけは良い」

 「まあ、不都合は、徐々に改装していくとして、通商破壊作戦で言うと素晴らしい」

 「アメリカの新型爆弾の情報を、どう思う?」

 「さぁ〜 仁科博士の話しを聞いても、ピンとこんな」

 「そんな大きな爆発を起こせるものなのか」

 「都市を消滅させるのだろう」

 「SFか?」

 「いや、作家じゃなくて、本物の学者だぞ」

 「信じたくないな」

 「一応、予算だけは、ソコソコ。入れたが疑わしいな」

 「まだ。風船爆弾でアメリカを爆撃したほうが良いな」

 「効果がないようだが」

 「スペインの諜報機関やアメリカに逃がしたユダヤ人の報告だとな」

 「風船爆弾の費用対効果は、トントンらしい」

 「ユダヤ人の信憑性は、わからんな」

 「レーダーや赤外線に反応して、爆弾を落とすような装置は、開発できる」

 「しかし、効果を考えると組み込んで良いものか、どうか」

 「費用対効果を考えると、期待薄だな」

 「風任せだからね。運良く都市の上空を通過できるかも怪しい」

 「しかし、都市に落とすより、山火事を起こさせるほうが打撃が大きいらしいぞ」

 「細菌兵器は、止めたんだろう」

 「まぁ〜 医療薬なんて、ほとんどアメリカ製、ドイツ製、イギリス製だろう」

 「細菌兵器もアメリカの方が進んでいるから、止めた方が無難だよ」

 

 

 

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