月夜裏 野々香 小説の部屋

   

After Midway

    

第35話 1945/04 『帝都侵攻』

1945/04/16 空母 ボクサー 建造

  

 

 第1機動部隊、(大鳳、瑞鶴、翔鶴)、220機

  利根、妙高、那智、足柄、羽黒

   駆逐艦、夕雲、巻雲、長風、秋雲、風雲、巻波、高波、大波、清波、玉波、

 

 第2機動部隊、(シャルンホルスト、グナイゼナウ)160機

  筑摩、高雄、愛宕、摩耶、鳥海、大淀、

   駆逐艦、秋月、照月、涼月、初月、新月、若月、霜月、冬月、春月、宵月、花月、夏月

 

 

 

 第3機動部隊、(雲龍、天城、葛城)195機

  最上、鈴谷、

   駆逐艦、早波、浜波、沖波、岸波、朝霜、早霜、秋霜、清霜、藤波、涼波、

 

 第4機動部隊、(千歳、千代田、日進、瑞鳳)、120機

  能代、矢矧、酒匂

   駆逐艦、陽炎、不知火、黒潮、親潮、早潮、雪風、天津風、時津風、

  

  

 高速戦艦部隊、  ティルピッツ、伊勢、日向、

  川内、神通、那珂、

   駆逐艦、浦風、磯風、浜風、谷風、野分、萩風、舞風

   駆逐艦、朝潮、大潮、満潮、荒潮、朝雲、

   駆逐艦、曙、漣、潮

 

 

 長門と巡洋艦部隊

  長門、

  五十鈴、名取、由良、阿武隈、夕張

   駆逐艦、吹雪、白雪、初雪、むら雲、薄雲、白雲、磯波、浦波、綾波、敷波、

   駆逐艦、白露、時雨、村雨、夕立

  

  

 特務艦隊

  装甲艦リュッツォウ、アドミラル・シェーア。

  重巡プリンツ・オイゲン、アドミラル・ヒッパー。軽巡ライプチヒ、ニューインベルグ

  

 対潜部隊

 (大鷹、冲鷹、神鷹、海鷹)、

 香取、鹿島、香椎

 神風、朝風、春風、松風、旗風、朝凪、夕凪、

 睦月、弥生、卯月、皐月、水無月、文月、長月、三日月、望月、夕月

  

  

 アメリカ海軍

 第1任務艦隊

  空母エセックス、ヨークタウンU、プリンストン、カウペンス、290機)、

  戦艦ウィスコンシン

  軽巡サンディアゴ、クリーブランド、デンバー、

  軽巡コロンビア、フリント、ダラス、アムステルダム、

  駆逐艦15隻

  

 第2任務艦隊

  空母バンカーヒル、レキシントンU、インディペンデント、ベローウッド、(290機)、

  小型戦艦グアム

  軽巡サンジュアン、モントピーア、バーミンガム、ツーソン、

  駆逐艦15隻

  

 第3任務艦隊

   空母イントレビット、ホーネットU、キャボット、ラングレーU、(290機)

   重巡バルチモア、キャンベラU、

   軽巡オークランド、スプリングフィールド、アストリアU、駆逐艦15隻。

  

 第4任務艦隊

  空母フランクリン、ワスプU、モントレー、バターン、(290機)

   重巡シカゴU、

   軽巡リノ、ビンセンス、マイアミ、ヒューストン、トベカ、オクラホマシティー、

   駆逐艦15隻

  

 第5任務艦隊

  空母ハンコック、エンタープライズU、ランドルフ、サンジェント、(345機)

   重巡ボストン、

   軽巡サンタフェ、モービル、ビロクシー、ビッグスバーグ、リトルロック、

   駆逐艦15隻

  

 上陸作戦部隊  

 フランス戦艦リシュリュー、

 イタリア戦艦ヴィクトリオ・ベネト、リットリオ。コンテ・ディ・カブール、ジュリオ・チュザーレ、

 アメリカ戦艦アーカンソー、ニューヨーク、テキサス。

 アメリカ戦艦ネバダ、ペンシルバニア、ニューメキシコ、ミシシッピー、アイダホ。

 軽巡ウィルクスバレ、アトランタU、デイトン、

 軽巡オマハ、ミルキーウォー、シンシナティ、ローリー、デトロイト、リッチモンド、コンコード、

 軽巡トレント、マーブルヘッド、メンフィス

 軽巡アブルッチ、G・ガリバルディ2隻

 護衛空母60隻、護衛艦300隻

 リバティー型7200t、2770隻、ビクトリー型7600t、531隻、パスケル型80隻ほか、20000隻

   

 フリータウン所属艦隊

 空母ベニントン、ボンノムリチャード、アンティータム、

 空母インブラカブル、インデファティガブル、

 重巡サセックス、カンバーラント、ロンドン、ノーフォーク。

 軽巡デスパッチ、ダイオミード、カレドン、カラドッグ、カーディフ、セレス、ケープタウン、

 軽巡カーライル。セイロン、ガンビア、ニューファンドランド、スイフトシャー、

 軽巡ブラックプリンス、ロイヤリスト、

 駆逐艦12隻

  

 

 アメリカ太平洋艦隊

 戦艦1隻、小型戦艦1隻、空母11隻、軽空母9隻、重巡4隻、軽巡39隻、駆逐艦240隻、

 旧戦艦12隻、護衛空母60隻、護衛艦300隻、輸送船5000隻、潜水艦120隻、

 アメリカ上陸作戦艦隊は、ミッドウェー、クレ環礁から直接、日本本土に向かう。

 

 アメリカ機動部隊から夜間訓練を受けた艦載機が発艦していく、

 ヘルキャット2機がレーダーで誘導され、

 雲の中から飛び出すと、雲の上を黒い水上機が飛んでいた。

 「アルファよりベーター。発見した。黒塗りの水上機だ」

 『ベーターよりアルファ。機動部隊が発見される前に撃墜してくれ』

 「了解」

 ヘルキャット2機は、雲に隠れて、後方側に回り込み、

 背後から機銃掃射を浴びせると、

 黒塗りの機体は火達磨になって海上に落ちていく。

 

 

 駆逐艦ウェダバーンが逃亡する日本潜水艦を砲撃する。

 至近弾が潜水艦の周りで水柱を上げる。

 艦橋

 「潜水艦は潜らないのか?」

 「どうやら、最後まで日本に通報を続けるようです」

 爆音が近付いてくる

 「ちっ! 余計なことを・・・」

 艦長のセリフは、敵にも味方にも向けられていた。

 夜間戦闘機が潜水艦に機銃掃射を繰り返し、

 潜水艦をハチの巣にしていく。

 「さすがに夜間では、爆装しないようです」

 「・・・次で当てろ。とどめをさしてやれ」

 潜水艦に127mm砲弾命中すると爆炎が暗闇を照らし、潜水艦は沈んでいく、

 

 

 “アメリカ大艦隊が日本本土へ向けて西進中”

 ミッドウェー島の前方に配置していた伊号が日本本土に通報。

 とある場所

 「・・・アメリカ太平洋艦隊が日本本土へ?」

 「潜水艦の通報ですと。大艦隊との事です」

 「・・・直接、日本に上陸するつもりだろうか?」

 「直接上陸ですと、休息、整備など兵站を維持できなくなるかと・・・」

 「艦船が多いのなら可能なのでは?」

 「艦船が多ければ可能では、ありますが大博打かと・・・・」

 「真珠湾は博打だ」

 「アメリカが博打を打っても、おかしくはない」

 「日本本土への直接上陸の噂は、ユダヤ人からも聞き及んでいます」

 「しかし、兵站を考えれば、やはり、困難かと・・・」

 「では、もっと、困難にしてやらねばな」

 陛下は、勅命で関東圏の主要部隊に民間人、工作機械や資材、部品類の避難をだした。

 数的な劣勢を認め、

 日本に在泊する全艦船に戦略資材を荷揚げさせると呉か南方へ避難させる。

 そして、呉を大本営に定めた。

 

 アメリカ機動部隊に護衛された米仏伊旧戦艦部隊が東京湾に侵入した。

 日本軍は、本土決戦の準備をしておらず、

 戦力の集中が間に合わない。

  

 日本航空基地

 「退避しろだと?」

 「数を揃えるまで迎撃は無しだ!」

 「バカな」

 「とにかく、日本中から航空戦力を集結させている」

 「しかし・・・」

 「戦力が揃ってから迎撃だ」

  

 

 アメリカ機動部隊から1000機以上の艦載機が飛び立つと東京を空襲していく。

 日本の戦略拠点と要塞群は、事前に場所を知られていたのか、

 的確に爆弾が投下されていた。

 日本の高射砲は、外地に送られて驚くほど少ない。

 それでも、要衝に配置された対空砲の弾幕が空襲部隊に吸い込まれ、

 少なからず、被弾させていた。

 しかし、艦砲射撃と機動部隊の空襲で、帝都全域は燃えていた。

 

 

 ネバダ 艦橋

 「提督。東京湾の日本の艦船は、全て避難しているようです」

 「あの潜水艦の通報か」

 「夜間に浮上し、水上機を出して、空中写真を撮られました」

 「最後まで、無電をやめなかったそうだ・・・」

 「勇敢なヤツでした」

 「日本軍機は?」

 「現れませんね」

 「対空砲火もほとんどない。日本本土の航空戦力は、空っぽだったのか」

 「道理で、南方で苦戦すると思ったよ」

 「日本の生産力は小さいからな」

 「しかし、前線では手強く、キルレートで負けていた」

 「当然、本土は穴だらけ、そういうことだろう」

 「ふ 背伸びしているだけの弱小国は脆いな」

 「・・・提督。射程に入ります」

 「目標は多摩川だったな?」

 「はっ!」

 「火攻めと水攻めか・・・」

 「戦艦の周囲は、水掘りで守られることになります」

 「ふっ 敵の戦艦に登る酔狂な兵隊がいるものか」

 「東京を火の海にしてやろう」

 「はっ!」

 「主砲発射!!」

 アメリカ戦艦部隊が帝都に向けて砲門を開くと、

 砲弾が東京へ撃ち込まれ、町並みを破壊していく、

 「・・・提督。民間人で喜んで、はしゃいでる連中がいるようです」

 「日本の皇帝に逆らう連中だろうか?」

 「どうでしょう。かなりの数ですが」

 「・・・護衛の艦艇に拾わせて、情報を聞き出してみろ」

   利根川、戦艦ヴィットリオ・ベネト、リットリオ

  江戸川、戦艦リシュリュー、テキサス

  多摩川、戦艦ネバダ、ペンシルバニア

  荒川、  戦艦アーカンソー、ニューヨーク

  隅田川、戦艦ニューメキシコ、ミシシッピー、アイダホ

  鶴見川、戦艦コンテ・ディ・カブール、ジュリオ・チュザーレ。

 米仏伊旧型戦艦13隻は、艦砲射撃で東京全域を火の海にしつつ、

 利根川、多摩川、荒川、隅田川、鶴見川を遡上し、各座上陸させていた。

 そして、戦艦に塞き止められた河川は氾濫を起こし、周辺を沼地に変えていく、

 九十九里浜に上陸したアメリカ軍上陸部隊が橋頭堡を確保していた。

 「なんだ。日本軍は、どうした」

 「撃ってきませんね」

 「まさか、いないんじゃないだろうな」

 「で、出迎えがないのは、困りますね」

 「客を迎えられないとは、なんという無礼なサルどもだ」

 「大砲ぐらい撃ってくるべきでしょう」

 「部隊を前進させ、日本人を捕まえて、聞いてみろ」

 「はっ」

 民間人が喜び、万歳しながら走ってくる。

 「アメリカ軍。ばんざ〜いニダ!」

 「アメリカ軍。ばんざ〜いニダ!!

 「アメリカ軍。ばんざ〜いニダ!!!・・・」

 「なんだ・・・あのキチガイは?」

 「さぁあ、民間人のようですが・・・」

 「敵は見てないよな」

 「はっ!」

 「スパイだ。撃て!」

 その後、あまりにもたくさんの事例を見て、保護。

 朝鮮人だとわかる。

 「日本人は、みんな逃げ出したニダ」

 「日本軍も皆、逃げ出したニダ」

 「もう、動けない年寄りしか残っていないニダ」

 「朝鮮人なのか」

 「そのようです」

 「朝鮮人は、日本人に従僕で好意的だと聞いていたが」

 「そ、そんなことないニダ」

 「みんな、日本に支配されて苦しんでいたニダ」

 「んん・・・・」

 朝鮮人が大規模な反乱を起こしたのは、1919年03月01日だけ・・・

 それ以外は、恭順。

 信用できないが・・・

 「大佐。コイツが出てきた家は、ばあさんが暴行されて殺されています」

 「なんてやつだ」

 「しかし、こいつは信用しよう」

 「日本軍は、どこに隠れている」

 「日本人を引っ張って逃げ出したニダ。恥ずかしいニダ」

 「他の情報を聞いてくれ、後は任せた」

 朝鮮人が引っ張られていく。

 「なぁ 俺たちが日本軍から助けようとしている相手は・・・」

 「「「・・・・・」」」

 「なんでもない、忘れてくれ」

 

 東京湾にいた日本の艦船は、事前に脱出し、

 損失は無かった。

 上陸したアメリカ軍は、九十九里浜に大規模な仮設飛行場を建設。

 輸送船から降ろした機体を組み立てていく。

 

 多摩川

 闇を焦がす炎が東京全域を飲み込み燃やし尽くそうとしていた。

 いくつもの炎の竜巻が東京の町並みを蹂躙しながら天を焦がしていく。

 時折、炎の竜巻が合流し、

 巨大な炎の竜巻となって、大地から物を噴き上げていく、

 多摩川は、遡上したネバダとペンシルバニアに塞き止められ、

 土手を越える水流が戦艦を回り込むように氾濫を起こし、

 辺りを水びだしに変え、

 炎の竜巻は、戦艦の近くにまで来なかった。

 ネバダ 艦橋

 溢れた河川のお陰で炎が届かなくても、熱風だけは艦橋まで届いた。

 そして、暗闇を焦がす大火を見る絶好の特等席となっていた。

 「恐ろしい光景だな・・・」

 「関東大震災の報告通り炎の竜巻ですね。計算通りだと思います・・・」

 「あとは、九十九里に上陸した友軍が上手く侵攻してくれれば良いが」

 「首都が、この有様です」

 「房総半島の守備隊は浮き足立っているはず。勝てますよ」

 「だが我々の兵站は、か細いよ」

 「ええ、そのために戦艦を13隻も突入させたようなものです」

 「命数が尽きるまで撃てますよ」

 炎と闇に照らされた表情は、不安、勝利、嫌悪が混ざっていた。

    

  

 この頃、日本海軍は、アメリカ海軍が直接本土に上陸するとは思っておらず。

 北太平洋のアメリカ機動部隊と、

 北ニューギニアのアメリカ軍の動きに合わせて

 日本機動部隊は、パラオに入港。

 対応しやすいように準備中だった。

 北ニューギニアのアメリカ軍の鉄道は、ニューギニアを支配する権益でもあり、

 ポートモレスビーから軍港ジャプラからサルミにまで達している。

 当然。ビアク島の日本軍は、連日の様に防空戦を強いられている。

 対日侵攻は、航空部隊と陸軍戦力が集中できる豪州を基盤にするはずだった。

 そして、ビスマルク・ソロモン諸島から、ミクロネシアに食い込み、

 マリアナ、小笠原を占領し、航空部隊で日本本土を爆撃して弱体化。

 その後、日本本土上陸作戦を行なうと推測していた。

 ところが、アメリカ機動部隊と上陸作戦艦隊が直接日本本土上陸してしまう。

 それも戦艦13隻を首都に各座上陸で突入させる荒業だった。

 日本は、アメリカの国力と輸送力を見誤り、

 本土防衛を軽視していたツケを支払わされていた。

 しかし、全てアメリカ側の思い通りというわけでもない。

 火攻めと水攻めを同時に行なったことが問題になった。

 橋頭堡を築いたアメリカ軍は、焼け野原の後、湿地化した関東平野に足を取られる、

   

 

 関東平野

 人々と荷馬車と鉄道に載せられた物資が関東から脱出していく、

 ヘルキャットが鉄道に向けて爆弾を投下し、

 少し離れた場所に落ち、爆発が機関車を揺らした。

 その後、機銃掃射を繰り返して、貨車を穴だらけにしていく。

 人々が詰め込まれた貨車は、阿鼻叫喚だった。

 時折、アメリカ艦載機が爆弾を落としていく、

 しかし、精密爆撃に慣れてないのか、機銃掃射より、被害が小さかった。

  

 

 モスクワ クレムリン カザコフ館

 「書記長。東京はアメリカ軍に占領されつつあるようです」

 「・・・・・」

 アメリカ軍の日本本土上陸と帝都占領は、国際情勢に影響を与え、

 スターリンは、極東で対日作戦の準備を始めさせる。

   

  

 呉

 仮皇居

 「朝鮮人がアメリカ軍に協力しているのか?」

 「はっ 火事場泥棒もしているようで犯罪も激化しています」

 「どうやら、朝鮮人の同化は失敗したとしか言えぬな」

 「はっ!」

 「講和条件は中国・満州だけでなく、朝鮮権益もアメリカに売却するしかないだろう」

 「し、しかし、それでは・・・」

 「もう良い。朝鮮人と隣人で居たくない」

 「朝鮮に利権売却の試算を行います」

 「まて」

 「はい」

 「アメリカは信用できない」

 「半島南部の島と小さな半島は、確保しておく方が良いだろう」

 「はっ」

 「財政を立て直さねば、日本は自滅する・・・」

 天皇は、満州・朝鮮の日本人を本土へ引き揚げさせる勅命を出した。

 そして、軍と警察に命令をだし、蜂起する朝鮮人と台湾人を取り押さえさせた。

 

 

 呉のホテルの会議室

 「陛下は、海軍に待機命令を出したままなのか」

 「そのようだ」

 「この状況で出撃せしなければ海軍は笑いものだぞ」

 「航空隊も防空のみ、増援部隊の展開が済むまで攻撃はしないそうだ」

 「航空部隊は8割を南方に向けていたからな」

 「まさか、直接本土を攻撃してくるとは思わなかった」

 「試作量産中の外国製エンジン装備の飛燕2型、疾風と」

 「訓練中の雷風戦闘機の部隊がなければ制空権を失っていた」

 「しかし、ドイツ首都ベルリン包囲と同時に日本本土上陸とはな」

 「アメリカは、輸送力は凄まじい」

 「そんなことより占領されたのは、日本の帝都、東京だぞ」

 「陛下が落ち着いているのが不思議でならんよ」

 「皇居が占領されているのに連合艦隊を待機させているのだからな」

 「だが関東から都民と、工作機械、部品、治具の避難も成功している」

 「アメリカ軍は、上陸したが洪水で関東平野制圧まで時間がかかるだろう」

 「嫌がらせで避難民が銃撃されているぞ」

 「機械を移動できなかった工廠は痛いが・・・」

 「あまった爆弾を地雷代わりに埋めたそうだ。せいぜい嫌がらせだな」

 「陸軍は、関東を封鎖しているのか?」

 「アメリカ軍は、他に上陸作戦をするのではないか?」

 「満州から戦車部隊を戻せるんだろうな」

 「そんな一度に聞かれても・・・」

 「連合軍は、アメリカ旧型戦艦8隻」

 「あと、フランス戦艦1隻、イタリア戦艦4隻の13隻を東京湾から河川を遡上させて各座上陸させた」

 「海上の戦艦戦力だけなら日本のティルピッツ、長門、伊勢、日向」

 「アメリカのウィスコンシンと小型戦艦グアムが残っているだけだ」

 「上陸作戦は戦艦が必要だから別の場所の上陸は難しいだろう」

 「今後は、関東に上陸した部隊の展開だろうか」

 「艦載機航空戦力の日本本土爆撃で決着をつけるつもりだろう」

 「アガッツ島航空基地を経由して、関東に4発爆撃機を移動させることが出来るよ」

 「と、とにかく、南方に配備した航空部隊を本土に戻して迎撃しないとな」

 「工場に飛行場を併設していなかったら危なかったよ」

 「絶対防衛線どころか、いきなり、帝都決戦か」

 「とんでもないことになったな」

  

  

 ドイツ軍がクルスク戦で善戦したことで余裕が生まれ、

 大西洋での日本艦隊の戦果は、西部戦線の連合軍の攻勢を軽減させ、

 ドイツ戦闘機に装備した自動空戦フラップの戦果も少なくなかった。

 いくつもの要因が重なり、XXI型Uボートの量産が進んだ。

 XXI型潜水艦は、世界最高の潜水艦だった。

 出撃しつつあるUボートの手前にB17爆撃機が燃え落ちて盛大な水柱を上げ、

 胴体内の爆弾が誘爆した。

 衝撃と波が数十隻のUボートを押し流し、海水が艦体を洗う、

 B17爆撃機を撃墜したフォッケウルフが水面を滑空しつつ、急上昇し、

 Uボートの出撃を支援していた。

 「急げ! 出撃するぞ!!」

 「か、艦長。し、正面・・・」

 P38ライトニング戦闘機が向かってくる。

 20mm機関砲を受ければ、艦体に穴が空いて潜航できなくなる。

 「ちっ! 全員、伏せろ!」

 艦長が伝声管に向かって叫ぶ。

 次の瞬間、横合いから機首と機尾にプロペラを付けた見慣れぬ戦闘機が飛び出し、

 ライトニング戦闘機に機銃を浴びせて撃墜し、飛び去っていく。

 

 

 

Uボート (XXI型)

ガトー級潜水艦 伊号 丙型
全長×全幅(m) 76.7× 6.6 95× 8.2 109.3 × 9.1
吃水 (m) 4.6 5.35
排水量 (水上t/水中t) 1621 × 1819 1825 × 2410 2557 × 3564
ディーゼルエンジン 4000hp 4基6500hp(4.8メガワット) 11,000hp
エレクトリックモーター 4400hp 4基2740hp(2.0メガワット) 2000hp
最大速度 (水上kt/水中kt) 15.5 / 17 20.75 / 8.75 23.5 / 8
水上航続距離 (km) 20650(11150海里)/10kt 21900(11800海里)/ 20.75kt 25900(14000海里)/16kt
水中航続距離 (km) 171(92海里)/4kt 177.6(96海里)/ 2kt 111(60海里)/8kt
最大速度 23.5kt
乗組員 57 80 101

魚雷

533mm魚雷発射管×6

533mm魚雷発射管 × 10 (艦首6、艦尾4)

533mm魚雷発射管 × 8

20mm連装機関砲×2 20mm機関砲×2 25mm機関砲×2
魚雷×23 魚雷×20
76mm砲 40口径140mm砲

日本の龍号は、大砲を外して、伊号のディーゼル機関を縮小。エレクトリックモーターを強化。

ゴムを多用。静粛性能と水上・水中航続力を向上させたものだった。

ディーゼル6000hp 32000海里 水上16kt

エレクトリックモーター3500hp 130海里 水中10kt くらい。

生産性は悪そう

 ケープタウンに向けて出撃したUボート (XXI型)は100隻、

 連合軍の対潜哨戒網を越えて、大西洋を南下していく。

Uボート (XXI型)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

誤字脱字・感想があれば掲示板へ

第34話 1945/03 『植民地と独立条約』
第35話 1945/04 『帝都侵攻』
第36話 1945/05 『ドイツ降伏と関東戦線』