月夜裏 野々香 小説の部屋

After Midway

 

第41話 1945/10 『アメリカ軍の朝鮮半島駐留』

 1945/10/27  空母F・Dルーズベルト 建造

 日本軍は、カムチャッカ半島全域を占領。

 さらにマガダン、オホーツクを占領する。

 そして、サルジニア、コルシカ。南米のミリン・バトス半島に移民船団を送り出した。

 

秋津 派遣艦隊

大鷹、冲鷹

吹雪、白雪、初雪、むら雲、薄雲、白雲、磯波、浦波、綾波、敷波

  
  

出雲 派遣艦隊

神鷹、海鷹

白露、時雨、村雨、夕立

睦月、弥生、卯月、皐月、水無月、文月、長月、三日月、望月、夕月

 

 アメリカは、経済力に物を言わせ、

 中国大陸、満州、朝鮮半島の利権を日本から買い取ってしまう。

 そして、独立諸国と協定を結び、

 次々と、地場を増やしていく。

 

 アメリカは、日本から朝鮮の利権を購入し、アメリカ軍を朝鮮半島に上陸させていく、

 日本軍とアメリカ軍が共にいる状況がしばらく続くが互いに衝突を避け回避しようとする。

 アメリカは、朝鮮民族の独立政府と交渉しようとしたが力不足で朝鮮民族をまとめられない。

 「どうなっているのだ。朝鮮民族は、まとまりがない」 アメリカ将校

 「国の統制より、個人の感情が強いだけです」 日本事務局員

 「・・・・」

 アメリカは、引継ぎ後も統治政策で日本人を緩衝に置き、暫定的に利用することに・・・

 金に目がくらんだ日本政府は、アメリカ軍に引継ぎし、

 撤収しようとしていた日本朝鮮総督府に待ったをかけ、

 見境なく引き受け、

 日米で朝鮮独立準備委員会なるものが組織されてしまう。

 

 

 日本は、財政的な危機と満州防衛の意欲をなくして撤退しつつあった。

 南方部隊も最小限だけ残して撤退。

 財政を再建しようと日本製兵器・武器弾薬、製品を輸出。

 この時、役に立ったのは、上陸作戦で使用され、

 放棄されたアメリカの船団だった。

 燃料不足で退避を諦め日本機動部隊に撃沈されるのを恐れ、

 九十九里海岸に乗り上げた輸送船500隻を日本は保有していた。

 この船団が日本再建の原動力となっていた。

 

 秋津州  (北ミリン・南バトス) 半島

 ブラジルは、日本軍に首都が占領された後遺症で混乱しており、

 アメリカ軍も進駐していた。

 そして、アメリカは、日本を悪役に仕立て、旨み(利権)を吸い上げていく。

 ブラジル利権の多くはアメリカが握ってしまい。

 日本の利権は、南北に向かい合って大陸に張り付いている半島であり、

 客観的にいうと、スカ。ハズレ。

 アメリカ資本にブラジル社会が牛耳られているのは日本のせいだと、

 地図と歴史で見せ付けてしまう。

 そのくせ、ちゃっかりと、半島にもアメリカの利権を置いたりする。

 秋津の安全保障上の理由らしく、実にえげつなかった。

 

 

  

 呉仮設作戦室

 「満州戦線は、安定しそうなのか?」

 「アメリカが置いていった兵器・武器弾薬を送るから何とかなるだろう」

 「ソ連軍も補給しながらじゃないと前進できないし、もうすぐ冬季戦だ」

 「ソ連は、いつまで戦うつもりかな」

 「分からないが諦めるまでだろう」

 「アメリカは、5個師団を朝鮮半島に上陸させる予定らしい。関東には100万も上陸させたのに・・・・」

 「南米の方がおいしいし政治的な限界なんだろう」

 「朝鮮半島は、日本、ソ連、中国に対する楔で、とりあえず確保する程度じゃないか」

 「ハワイは、大丈夫なのか?」

 「飛行場の地下格納庫に保管していた原子爆弾に砲弾が命中して核爆発が起きたそうだ」

 「フォード島を中心に爆発したから軍民合わせて60万人が蒸発」

 「それだけじゃなく、真珠湾にあった艦隊も重油も焼失。武器弾薬も誘爆した」

 「広島が20万人、長崎が7万人の死者を合わせたより数が多く、ほとんどが軍人だ」

 「広島、長崎は、B29爆撃機2機を偵察だと思って見逃したからだ」

 「しかし、ハワイの日系人がアメリカ本土の収容所で助かったのが皮肉だな」

 「日本に対する憎しみは大きいだろう」

 「戦争で殺し、殺されは、お互い様だ」

 「日本人も無差別爆撃も無差別艦砲射撃も受けて、たくさん殺されている」

 「日本の惨状はアメリカに伝えているし、日本もアメリカ側の惨状を知っている。そういうことだ」

 「日本が捕虜返還していたことが外交でプラスに働いている」

 「ベルサイユー条約でさえ捕虜返還は戦後処理だからな」

 「それに比べて、アメリカ戦略爆撃部隊は、無差別爆撃で真珠湾攻撃を相殺している」

 「もっとも、第二次真珠湾攻撃は、複雑なものを感じているだろうな」

 「被害の9割以上は、原子爆弾の誘爆だ」

 「帰還を考えない作戦か、真珠湾に艦隊特攻なんて、普通は考えないだろうな・・・」

 「互いに限界まで疲弊していたからね。作戦が成功してよかったよ」

 「原子爆弾の誘爆がなければ、条件付降伏も怪しかっただろうけどね」

 「それで、南米のミリン・バトス半島と地中海のサルジニアとコルシカを日本に譲渡ね」

 「何を考えているんだか」

 「日本が怖いから人質に取ろうとしたんだろう」

 「サルジニアとコルシカ。南米の日本人450万はいつでも殺せるぞってな」

 「確かに大きい数字だな。バトス・ミリン半島もだ。戦争になれば、助けようがない」

 「そうだな。とりあえず。要塞化だけはしておくか」

 「そんな予算はないよ」

 「・・・もともと占領など考えないでリオに上陸したからな」

 「ブラジルを混乱させるだけだった」

 「予想より上手くいって無政府化させてしまったがね」

 「しかし、あの作戦、陛下の勅命だけでやったんだろう」

 「帝都が占領されていたのに奇跡だな」

 「成功したのは、日本軍の上陸がありえないと思っていたのだろう」

 

 

 釜山港

 朝鮮から引き上げる日本の民間人は、日本軍によって護衛され、

 アメリカに売却できなかった全ての資財を半島持ち去っていく、

 朝鮮人は、上陸してきたアメリカ軍駐留部隊に取り入ろうと押し寄せ、

 アメリカ軍に攻撃と勘違いされ、機銃掃射されてしまう。

 その後、アメリカ軍を煽って、日本軍を攻撃させようとしたが相手にされず。

 日米両軍とも、一定の距離を保ち、関わろうとしない。

 朝鮮人は、日本人の撤収を遠巻きに見守るしかなかなかった。

  

 問題は、日本に密入国しようとする朝鮮人の排除だった。

 「・・・日本人より上手く日本語を話せる朝鮮人がいる」

 「ここで、判別できなければ、本土の連中に迷惑がかかる」  軍曹

 「しかし、日本人と朝鮮人は、基本的に似てますからね」  二等兵

 「まったくだ。夫婦は、一時、巨済島に留め置くが恨めしそうな顔をしやがって・・・」

 軍曹は、密入国しようとした朝鮮人の集団を睨みつける。

 「送り返しても、また来そうですね」

 「今度は、江華島に送り返すから。戻ってくるまで、時間を稼げるだろう」

 「そういえば、総督府の報告だと朝鮮人がアメリカ軍と組んで日本に侵攻しようとか、言っているようですが」

 「ははは・・・・無理だな。真珠湾は、廃墟になっている」

 「真珠湾とパナマを再建するまで、日本と事を構えないと思うがね」

 「自分の両親は、広島でやられました」

 「そうか・・・・俺の父親は、名古屋空襲でやられた」

 「本当は、こんな事やっていて良いのか、と思いますね」

 「民間人は、全て日本に引き揚げる」

 「そうなれば、釜山は、アメリカ軍の最前線になるだろう」

 「俺らは、故郷で野良仕事が出来るさ」

 「アメリカと。もう一度、戦争になるのでは?」

 「どうかな、北は、ソ連軍だ」

 「アメリカは、日本と戦争することが利益になるのか、考えるだろう」

 「その前にソ連軍と戦争が残っていたな。冬季明けは、戦争だ」

 「日本本土は、酷いのに朝鮮半島は、まったくの無傷ですからね」

 「アメリカ資本が入れば、一気に成長するかもしれないな」

 「しかし、アメリカ軍の装備は、贅沢だな」

 軍曹が双眼鏡で、アメリカ軍野営地を覗き込む

 「そうですね。トラックやジープが多いのが良いですね」

 「そうだな。何であんなに油があるんだろうな・・・」

  

  

 飛行場の格納庫

 巨大な爆撃機が修復されていた。

 B29戦略爆撃機。

 ほかにも、B17爆撃機。B26爆撃機。B25爆撃機。B24爆撃機。ブラックウィドウ・・・・・・

 不時着した機体と撃墜、撃破された機体から使えそうなものを集めて、組み立てていく。

 この機体があれば、日本の航空技術は、飛躍的に向上する。

 そして、戦力も大幅に・・・できそうに無い。

 理由は、簡単、予算が無い。

 不要な部署は統廃合させられ、人材を民間に戻してさえいる。

 せいぜい、修復したものを就役させるだけで、精一杯だった。

 日本帝国軍の成れの果てが、この有様。

 他にも不時着機体を集めれば、アメリカ軍機は一通り、コレクションできそうだった。

 この機体も修復が終われば、アメリカに売却され、対ソ連戦に投入される。

 そう、日本の戦争は、まだ終わっていない。

 

 

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