月夜裏 野々香 小説の部屋

    

After Midway

 

第45話 1946/02 『大陸利権売却』

 1) 日本は、台湾人に中国大陸に帰属するか。日本人として帰属するか、選択を要求。

 2) 日本は、満州・朝鮮・中国の利権をアメリカに売却。

 3) 日本は、満州をアメリカ・国民軍に引渡し。

 4) 日本は、朝鮮半島をアメリカ軍・朝鮮に引き渡し、満州・朝鮮半島から撤収する。

 5) 日本は、中国の租界をアメリカに引き渡してしまう。

 一見バラバラに行われた4つの決定は、パズルのように組み合わさる。

 国民・議会に気付かせず、

 それでいて、知らず知らずに一つの意図に向けて物事を誘導してしまう。

 そういった政策もある。

 ハリマン財閥は、鉄道鉄道を台湾人を利用し、満州・朝鮮経営をしようと考えていた。

 そして、アメリカ政府に雇われた台湾軍部隊は、満州・朝鮮半島・福建省へと移動していく、

 台湾人が誘導されたのは、法的な整備とアメリカ資本の強さによる。

 戦前戦中であれば考えられないような法整備が作られてしまうのも議会が強い為であり、

 旧軍人の反発を逃れたいためでもある。

 なぜ、こういった利敵政策が行われたのかというと。

 出雲・秋津を守るためと、非公式な約款ごとを守るためだった。

  

  

 再建中の赤レンガの一室

 「アメリカ資本は大きいな。台湾傭兵部隊が家族と一緒に次々と大陸へ渡っている」

 「日本人も雇われたくなるほどの賃金だ」

 「そういえば、アメリカの黒人も傭兵で満州へ行っているようだが」

 「アジアの利権を黒人と台湾人、フィリピン人に守らせようとしているのだろうな」

 「フィリピンの裏切り者」

 「金の力は大きいよ」

 「なんにしても日本の権益は、満州・朝鮮から手が離れた」

 「満州・朝鮮権益を売って得た資金で少しは、日本経済も立て直せそうだ」

 「他人の土地を売って・・・か。ヤクザだな。まるで・・・・」

 「しかし、国内の朝鮮人や台湾人を帰還させると産業で困るんじゃないのか」

 「船荷、炭鉱などは、彼らがいないと困るだろう」

 「んん・・・退役軍人は、多いが、理に聡い者が少ない」

 「民間企業では、あまり役に立たないそうだが・・・」

 「治安が悪化しそうだな・・・」

 「維持できないほど、軍人を作ったツケだよ」

 「今度は、機械化してやる」

 「貧乏な国は、人件費が一番安いからね」

 「まぁ 機械化も平行してやるそうだ」

 「サルジニアとコルシカにも工作機械を送っているから、そのうち自立できるだろう」

 「しかし、関東で手に入れた兵器・武器弾薬をアメリカに売るというのは、結局、金なのか」

 「日本は、満州から手を引いて戦車がいらなくなったからだろう」

 「国民軍が満州を守るために使うのならそれは、それでいいだろうさ」

 「戦後は、やっぱり金だよ。戦車と農業機械や土木建設機械との交換なら助かる」

 「金か・・・満州は良いとしても朝鮮半島は、まだ、安定していないのか」

 「満州も、匪賊が増えているよ。国民軍も匪賊と似ているし。不正腐敗でボロボロかな」

 「ハリマンもアジアの匪賊に苦しめられれば良いんだ。いい気味」

 「でも、あいつら、本当に金持ちだからな・・・」

 「朝鮮半島も、満州も、代表者がいないから軍政のままだな」

 「満州は蒋介石が握っているが組織は弱体化しつつあるようだ」

 「腐敗か」

 「ああ。中国人らしい腐敗構造だよ」

 「中国人に誠実に働かれる方が怖いよ」

 「彼らにまじめに働かれると日本とアメリカが連合しても勝てない。それだけの人口と資源がある」

 「日本は、中国内戦に介入するのか?」

 「国民軍に武器弾薬を売却するそうだ。満州防衛から手を離れて、こっちは助かる」

 「先行き不安だな。中国大陸の資源がアメリカに押さえられて、いずれは、日本も必要とされなくなる」

 「いや、アメリカから高いお金を出して買わされるだけだろう」

 「日本人は、アメリカ資本に労働を吸い上げられるな」

 「もういいよ。そんなの昔からだし」

 「いま欲しいのは、国家財政を破綻しかけている国債と軍票だ」

 「満州と中国の利権を叩き売っても、財政を立て直さないと終わりだよ」

 「まだ、東南アジアの独立条約で得られる利権が残っている。資源の10分の1は大きいね」

 「2000年までは、そうだな」

 「それまでにカムチャッカ半島や北東シベリアを開発すれば、何とかなるだろう」

 「まだ、正式に譲渡されていないのに?」

 「日ソ戦争がどうなるか、わからんよ」

 「売却した権益も対ソ戦の戦費に使われれば、後がない」

 「今度は、独立条約の利権までアメリカに売却だ」

 「ははは、笑えんほど、真実味があるよ・・・・・」

 

 

 台湾人傭兵部隊がアメリカの代理人として中国大陸の租界へと配備されていく、

 彼らは日本人への帰属を拒んだ者たちであり、

 アメリカは大陸権益維持のため台湾人を雇用した。

 アメリカ製の武器弾薬で身を守った黒人、フィリピン人、台湾人は、租界を強力な城砦へと変貌させていく、

 日本軍と日本人が引き上げると、

 日本の戦車より巨大なM4シャーマン戦車が陸揚げされ、

 土木建設機械が降ろされて、城砦が補強されていく、

 誰しも、日本の利権がアメリカに売られ、

 アメリカに裏切られ利権が移動した事も理解してしまう。

 

 

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第44話 1946/01 『再建と満州利権売却』
第45話 1946/02 『大陸利権売却』
第46話 1946/03 『サルジニア・コルシカ島とバトス・ミリン半島』