月夜裏 野々香 小説の部屋

   

After Midway

  

第48話 1946/05 『中国国民軍 VS ソビエト軍』

 大興安嶺、小興安嶺

 アメリカ軍事顧問団は、防衛線の標高、勾配。

 設備、兵装、食料、武器弾薬で試算して、マジノ線の倍の防衛力と評価。

 問題は国民軍の質。

 満州帝国の治安は悪化しつつあり、

 アメリカが日本から購入した利権地以外は、収奪、簒奪の無法地帯と化していく。

 国民党の不正腐敗は治安の悪化を招き、

 治安の悪化は犯罪を誘発させ、

 犯罪多発はモラルを低下させ、不正腐敗を蔓延らせて堂々巡りを繰り返した。

 現地のアメリカ軍事顧問団は、アメリカ本国へ深刻と思われる事柄を報告する。

 “中国国民軍は匪賊の延長であり、モラルが低く。軍隊としての規律は存在しない”

 “リットン報告書は正しく。日本の満州利権体制が満州帝国の治安を守っていたことが証明されている”

 “治安は悪化の一途を辿り、モラルの高い執政、行政、官僚組織、警察を早急に必要とする”

 “台湾族・黒人・フィリピン人の資質で、それを代行するのは至難である”

 “リットン報告書の通り。満州帝国の “名” を捨て、利権維持の “実” を取るのみで良いと思われる”

 “しかし、漢民族の流入は混乱を回避するため防ぐべきである”

 

 アメリカ軍事顧問団

 「どうです。ソ連軍は?」

 「ベルリンで交渉中らしいが攻めてきそうだな」

 「レンドリースの割引にも応じないらしいよ」

 「元々、満州をソビエトに引き渡すって言ったのアメリカだしね」

 「中国軍は、数ばかりで不安だな」

 「士気が低く、統制が執れなくて、勝手に村を襲撃ですからね」

 「武器を渡すのが怖いくらいですよ」

 「日本軍と組んで、ここにいるのなら最高だったがね」

 「彼らの撤収振りは、さすがですよ」

 「中国軍は、兵力だけ互角以上でもな・・・」

 「アメリカは、組む相手を間違えたんじゃないですか」

 「金に目が眩んだかな」

 「世界中の国が欲張り過ぎて戦争を起こしたんだよ」

 

   

 そして、雪解け、欧州から到着したソ連軍が侵攻を開始した。

 ソ連空軍。4000機にも及ぶシュトルモビク爆撃機、La戦闘機、Yak戦闘機が展開し、

 大興安嶺、小興安嶺防衛線の空を覆い爆撃していく。

 中国軍は、これまで、日本機の襲撃を受けたことがあった。

 しかし、ウンカのように押し寄せる桁違いの爆撃機から爆弾が投下されると浮き足立ち、

 さらに輸送機がソ連空挺部隊を降下させ、

 退路が断たれると戦意を喪失していく。

 そして、T34中戦車、スターリン重戦車の突進。

 M4戦車の砲撃がスターリン重戦車に跳ね返され、

 反撃の砲弾がM4シャーマン戦車を破壊すると、中国国民軍は戦線を崩壊させて遁走。

 アメリカ軍事顧問団と義勇軍(黒人部隊・フィリピン部隊・台湾人部隊)は、遁走する国民軍から取り残され、

 ソ連軍に包囲殲滅されていく。

 そして、満州防衛線、そのものが崩壊。

 ソ連軍を食い止めるものは、何一つ無かった。

 

シュトルモビク爆撃機

 

  

 日本海軍は、北東シベリアに上陸作戦を開始。

 孤立したソ連軍守備隊に比べ。

 日本軍は、圧倒的に優位だった。

 上陸部隊がコリマ川、レナ川の河口を制圧すると凍土を整地し、

 越冬施設を建設していく。

 ソ連軍は、北東シベリアの回復が不可能であることを悟ると、

 占領されている樺太の対岸で半島部に攻撃を加えた。

 しかし、日本の基地は要塞化されており、

 日本軍は、中国軍のように逃亡することは無く、踏み留まって反撃。

 ソ連軍の侵攻は挫かれていく。

  

 

 アメリカは、パナマ運河再建で10発以上の核爆弾を使用。

 全幅100mの艦船が通過できる運河を再建を始める。

 

 

 

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第48話 1946/05 『中国国民軍 VS ソビエト軍』
第49話 1946/06 『満州戦線崩壊』