月夜裏 野々香 小説の部屋

    

After Midway

   

第50話 1946/07 『日本軍の逆襲』

 日本の巡洋艦隊

 軽巡 (五十鈴、名取、由良、阿武隈、那珂、川内、神通、夕張) (香取、鹿島、香椎)

 駆逐艦 (神風、朝風、春風、松風、旗風、朝凪、夕凪)。

 LST20隻、

 輸送艦20隻が航空部隊に支援されながらウスリー川を遡上していく、

 そして、ハバロフスク上陸作戦を決行する。

 ハバロフスクは、極東ソ連軍の集積地のひとつであり、

 後方であるため闘病兵、傷病兵で療養している将兵ばかり。

 ソ連軍主力は、ハルピンを落とし、満州帝国の首都新京に向かう途上であり。

 ハバロフスクで、まともに戦える部隊は僅かだった。

 少数のT34戦車とスターリング重戦車の反撃は連携されておらず。

 日本の航空戦力と艦砲射撃によって撃破されてしまう。

 日本の上陸部隊は、ハバロフスクの守備隊と交戦後、ハバロフスクを制圧。

 スターリング戦車147両、T34中戦車832両、トラック2530台、火砲2430門、機関砲10540丁、武器弾薬。

 さらにシュトルモビク423機、Yak戦闘機210機、La戦闘機304機は、運用するソ連兵がいないため、

 ソ連軍が集積していた兵器・武器弾薬は、日本軍の手に落ちてしまう。

 

 路肩の外れにT34中戦車が落ちて停まり、

 日本軍に囲まれていた。

 「・・・このロシア人の少年は? 若いな」

 「服装と年齢から民間人ですね」

 「日本軍の上陸作戦を見て、慌てて戦車に乗ったのでしょう。勇敢なやつです」

 「まぁ〜 一人で乗って何とか動かせても、戦えるものじゃないさ」

 「路肩に落ちて気絶したおかげで命拾いしたな。坊主」

 15歳くらいの白人少年は、操縦席で眠っていた。

  

  

 満州戦線

 押し寄せるソ連軍。

 撤退する国民軍とアメリカ軍。

 米中連合軍の満州防衛線の崩壊。

 中国大陸が米中同盟で結ばれ、

 中国自由資本主義という繁栄の道が閉ざされつつあった。

 この戦場でアメリカ軍は、中国軍を不信し、

 同盟軍として戦線を共にする構想を放棄し始める。

 隣接する友軍が後退すれば敵に包囲される、

 頼りにならない友軍ほど怖いものはなく、

 どんなに精強な部隊でも補給が断たれ、

 退路が断たれれば敗北するしかなかった。

 そして、どんなに政治的な思惑があっても、

 不信感のある軍隊と同盟を組みたがるものではなかった。

 

 

 日本艦隊は、ベーリング海峡を越えて、北極圏側の北東シベリアへと上陸する。

 日本海軍にとって未知の世界だった。

 しかし、戦争焼結のための布石でもあった。

 そして、木製の極地用車両が陸揚げされると、

 すぐに越冬の準備が進められていく。

 そして、敵はソ連軍ではなく、自然だった。

  

   

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第49話 1946/06 『満州戦線崩壊』
第50話 1946/07 『日本軍の逆襲』
第51話 1946/08 『日ソ講和条約調印』